17 / 18
妊娠編
十六時間目 命の授業
しおりを挟む
ザワ、ザワザワ。
六月の長雨の音に負けないくらいの声や息遣い、足音が体育館内でぶつかり合っていた。そのほとんどが、四月に進級した新二年生や三年生達のだった。平日の放課後、集まったみんなは、これから起こる催し物を今か今かと待ちわびていた。
「――ってか、マジでやんの? 頭おかしいぜ」
「そう言って来てるお前も頭オカシイ(笑)」
「まだかな~。早くしろよ~」
先生達も含めた二百人以上の学校関係者がアリーナで立っていて、雑談しながらステージの方を何度も見ていた。五月くらいから事前告知があったとは言え、今日の特別授業こと、私の一大イベントを視姦するために集まったのだった。
なお新一年生を呼ばなかったのは、私のこれまでの経緯を知らないのと、刺激が強すぎるというのが、理由だったらしい。
「ハァ、フゥ」
ステージの舞台袖に隠れ立っている私は、今のところ陣痛が治まっていた。臨月のまるまるとしたお腹は制服を押し浮かせて、おへそがほぼ丸見えだった。今日という日に色々な思いをはせているそんな私へ、背後より――。
ムニュゥ。
「んんっ」
短いスカートの内側へ、毛だらけの腕を突っ込まれて、地味なマタニティーショーツの上から無遠慮にお尻を揉み掴まれる。手の主は、一年生のころ担任だった小田一先生だった。大きくなったお尻をまるで舐るみたいに、爪先で、指の腹で、手の平で触られちゃう。
「どしたぁ雁原。まさか今更、怖気づいたとか言わねーよなぁ?」
出産を目前にテンパる私へ、追い打ちをかけるようなセクハラ行為を何度もされて、マゾ心が勝手に震え悦んじゃう。
「も、もちろんです。ただ、その。しゅ、出産後も、単位の取得ができるように通学をお願い――んひゃ!」
モニュ。
こ、今度は横から、右側のオッパイを揉まれる。少し色白で細い手は、二年で新しく担任になった町廣先生だった。若くてチャラそうな先生はイメージ通りで、進学したその日から、妊娠中にも関わらず手玉に取られちゃった。校内のあちこちでフェラや手こき、パイズリなど、たっぷりネットリと性的服従を命じられて、マゾ女生徒を満喫してしまってきた。
「いや~、牛みたいな乳になってきたね~。母乳でも出たら、男子共は大喜びだろうね~。この記念すべき日に、ね」
……そう。今日は私の出産予定日で、明け方に自宅のベッドにて、陣痛が来て飛び起きた。お腹の中で発生する鈍痛と鋭痛を混ぜたような決して馴れないとてつもない痛みに、ドMな私は恍惚の表情で身悶えしていた。もっともっと味わっていたかったけど、赤ちゃんを産んであげないと可哀想と携帯を取り出して、病院ではなく町廣先生へ報告した。
ほどなくしてタクシーで迎えにきてもらった先は、かかりつけの産婦人科ではなく、学校の保健室だった。室内にて、先生達が手配した産科の先生に診てもらいつつも、間隔が短くなる陣痛に、ひっそりと股間を濡らし続けた。
放課後になって破水の前兆があり、肩を借りながらこの体育館へと移動してきたのだった。ていうのも以前より先生達から、生徒および教師達の立会出産を実施すると言われ続けていた。何でも、少子高齢化の対策とか、男子の出産への理解を深めるとか、色々な理屈で説明された。もちろん超マゾな私としては、同級生や先輩達に出産シーンを視姦されるという、最高に羞恥なショーで悶絶寸前だった。二つ返事をした私は、両親へ嘘の出産予定日を報告するという超アブナイ橋も渡って、先生達の望むままに今日を迎えた。その見返りじゃないけど、出産後の二ヶ月ほどは在宅学習を認めてもらい、さらに特例的に子供を連れての登校が可能な環境整備を――。
「痛っ!」
痛みで我に戻って、しかも膝を着いちゃうなんて、私もまだまだなぁ。けど――あ、あぁ、このナイフでお腹の中を引っ掻き回されるみたいな痛み、素敵すぎるよぉ。
「あの変態マゾの雁原が、膝をつく痛みとはなぁ」
「いよいよみたいですよ。小田一先生」
はぁ、はぁ――ンハァ。ついに、ついにドMな私が待ちに待ち望んだ出産の痛みが、経験できちゃう。鼻からスイカを出すなんて例えがあるくらいの痛み、生命を繋ぐのに必要な痛み、女性だけが味わえる神秘にして究極の痛み。
「町廣先生。右側を支えてやって。ステージへは引きずってでも行かせなきゃならん」
「教頭先生や他の先生達も、今日という日を愉しみにしていましたしね~」
さす、さすがの激痛で脂汗を浮かべる私は、でも薄ら笑いを浮かべながらステージに姿を現す。一瞬だけ静まると、熱視線とすら呼べる好奇の眼差しが、私の大きくなったお腹と胸、何より苦悶の表情で歪む顔へと突き刺さる。
「おおっ、出て来たぜ。――って、腹がほぼ丸出しじゃん。血管の浮き具合とかエグ(笑)」
「乳がまたデカくなってね? もう胸回りとかパッツンパッツンじゃねーか」
「あの苦しそうな雁原の表情、ガチでそそるわぁ~。もうシコちゃおっかな」
スポットライトに熱さを覚える中、今日のためにとステージ中央へ特設された分娩台が近づいてくる。傍に立つ白衣の男性二人は、今朝から私を診てくれている産婦人科の先生と助産師さんだった。何でも、この学校の卒業生とのことで、こんな異様な状況にも関わらず、眉一つ動かさずにカルテを見直したりしていた。
私は支えてもらいながら、何とか分娩台に乗り上げて出産の準備をする。股を開ける方向はもちろんアリーナ側こと、観客のいる方だった。
ハァ、ハァ――んふふっ。公開出産なんて最高の辱めが、いよいよ迫って、嬉しくて震えちゃう。けど、ひょっとしたらこの中にパパがいるかもって思えばむしろ全然アリ? なんて思考そのものがいよいよ、狂ってオカシクなってきたかな。
「(痛みの、周期が。いよいよ、もう――)ハァ、ハァ。あづっ♡」
人生で一番だった腹痛を倍増させて、さらに股間の中で膨らませるみたいな感覚に、思わず涎がこぼれそう。ほんと、すでに過去一な痛みなのに、もっともっと激増するなんて、マゾ冥利に尽きちゃうよぉ。
汗と荒い呼吸でふやけそうな私は、ふと股先から少し離れたところに、眼鏡をかけた二年生がいるのに気づいた。彼は――そう、一年生からの知り合いの叶井君で、ビデオカメラを持たされたまま、震えながら股間を膨らませていた。
「(大きなスクリーンに写す、ため? あ、あはは、本当に見世物みたいで幸せぇ)! 痛たたっ」
目蓋の隙間からアリーナを眺めると、佐々山君や関君、寺山君ら、一年生で同じクラスだったみんなのほとんどが、興奮しながら私を凝視していた。他にも体育教師の古野先生とか、今まで関わってきたみんなが。
……けれどもやっぱり、須藤さんの姿はなかった。
「(でも須藤さんに見棄てられたと思うと、それはそれで興奮)――いづ、ををっ!」
苦痛と快感で脳がバグりそうな中、地味なマタニティーパンツと、なぜかブラまで先生達に脱がされちゃう。遠くからの男子達の声が、辛うじて耳に入る。
「――おっ、陰毛剃っててパイパンじゃん。産む時ってみんなそうするのか?」
「にしても、大画面のドアップだと、グロさが際立つなぁ」
私にふさわしく、M字で脚を広げていると、痛みの波が短く大きくなってきて、興奮しては汗を噴き出す。
ンハァ、すごい、すごいよぉ。この人間が感じ取れるギリギリの痛みの全てが、私の、自分の、ボクの、ものぉ。
「雁原さん。まだイキんじゃダメですよ~」
お、お医者さんが、計器の数値やモニターを見ながら、落ち着いた声でそういう。視界の端では、小田一先生達が携帯のカメラにより、半裸で悶える私を激写して感じちゃう。
――ふぅ、はぁ。い、痛い! くふぅぁ。丸い物で肉を裂くみたいな疼痛に、黒い乳首がカッチカチに尖っちゃうよぉ!
「おいカメラマン。死にそうな雁腹の面をもっと映せって!」
「バッカむしろマンコ一択だろ。こっちはヌクためだけに来たんだよ」
「雁原~気合入れて産めよ~。誰の子供か知らんけど(笑)」
野次や罵声で耳が幸せだけど、時間の感覚がだんだんとなくなってくる。今朝からの波みたいな陣痛の間隔は、もう連続的、でぇ。
「ハァ、ハァ――んなああぁぁ!」
すご、すごひぃ。まるでお腹が破裂するみたいな、肉が限界まで引き延ばされるみたいな劇痛で、オマンコはとっくにビショ濡れだよぉ(みんなは羊水と勘違いしてるかもだけど)。
ひぎっ、喉が、渇いたなぁ。――ほんご! あぁ、女の身体って、苦痛耐性が高いから、出産できるんだろうなんんんん!
プシュ。
「先生。破水しました」
「よし。じゃあ雁原さん。そろそろお腹に力を込めて~」
ふへ? 産む? 産んじゃうの? 勿体なくない? ……けど、誰とも知らない精子でママになっちゃう、頭オマンコな私を晒すのも、惨めでいいかもぉ。ぃよ~っし!
「ひ、っは、フゥ……ひあ、あああぁっ!」
ズチヌヌチチチ。
おんごごご! ま、股がぁ、破瓜の痛みとは全く違う、広がる痛みでぇ。んはぁあ。誰かぁ、陰核を噛むか蹴ってぇ、きっと気持ちイイイイイィィからああああッ!
「――あ、あの糞ドMな雁原が、絶叫に近い喘ぎ声だしてんぞ」
「てかあれ、赤ん坊の頭か?」
「お、おいおい。雁原のヤツ、こんな状況で陰核に指先を伸ばそうとしてね? 妊婦の美少女が絶叫しながら出産自慰とか、もう気色悪いを通り越してホラーなんだが」
グニチ、ネチャチャ。
痛い痛いイダイいたひぃ! 股裂けてない? まだ股ある? 激痛で頭割れそうなの最高おおおぉぉ! これ、コレなほぉ。アタ、アタチが求めていた痛み、苦痛、激痛わわわわ!
「す、すげ。マンコってあんなに拡張できるのか――勃起が止まらねぇ!」
「おえっ。も無理。俺ちょっと出るわ」
「も、もう頭まで出てきたぞっ」
すご、女の身体って、ほんとすご! こんな痛みを一人で引き受けないといけないのも、耐えられてしまうのもももももも!
「ひあ、ああああっ。んぎぃぃぃ!」
「……が、がんばれ雁原!」
ハァ、ヒィ――えっ?
「あとちょっとだぞ!」
「半分以上でてきたぞ!」
み、みんな、応援を? アタシのことを、使い勝手の良い、生きたオナホ扱いしていた、みんな、が?
「もう少しだ!」
「雁原ファイトっ」
――あ、顎が外れそうな、くらひに口を開けて、声が、もう枯れそう。だけど…んンなああアアあああ!
ギニュ、ヌズボニュン。
「……ァ、アャァ、うなぁ、にぎゃあ!」
「! ハ、ぁんぁ? オぉ、っ」
? ひっ、は。ぁ、う、おん?
「「「うおおおおおおおおっ!」」」
「すげぇ、産まれた!」
「なんか俺、感動したよ!」
「どこかだよ。めっちゃグロかったし」
……ハァ、ハァ。んっ、ひぃ、ふぅ、おんほ。
が、学校で十人連続で強姦されたのなんて目じゃないくらいに、疲労感と喪失感に包まれて、頭がボーッと働かない。何が驚くって、さっきまでの陣痛が、嘘みたいに消えた事実に、未だに、心が追いつかなぃ。
「――さん、雁原さん」
お医者、さん? の声が、どっかから、して、くる。
「出血もほとんどなし、縫合の必要もありません。あと、お子さんもとても元気ですよ。手足の指もちゃんと二十本あります。ほら、男の子ですよ~」
逆光で眩しいけど、産毛みたいな柔らかい髪で、丸々とした赤ちゃんが、目をつむっては精一杯に泣いていた。
「わた、私の、あか、赤ちゃん?」
「そうですよ~。体重計りますね~」
ツゥー。勝手に涙がこぼれて、鼻水が少し出て来た。
……苦しみによる快感を求めてここまで来たのに、目の前の小さな命が与えてくれる感動に、心が漂白されるみたいだった。一瞬で身も心も、母親になっちゃったんだ。
「元気に、産まれて、くれて――」
ありがとう。
……パチ、パチパチパチ!
え? へっ? ステージの方から拍手が巻き起こる。男子生徒のみんなはもちろん先生達ですら、立ち上がっては拍手喝采をしてくれていた。
「体重は三千二百グラムです。抱っこしますか?」
小さなオチンコが、確かに付いていた。元気いっぱい泣いている赤ちゃんへ、震える手を伸ばす。感動しすぎて何から話せばいいかわからない、けど。
「たくさん、おっぱい、あげるからね」
今まで味わったことのない、穏やかで優しい温もりが、胸の奥から全身へ、波紋みたいに広がっていった。
六月の長雨の音に負けないくらいの声や息遣い、足音が体育館内でぶつかり合っていた。そのほとんどが、四月に進級した新二年生や三年生達のだった。平日の放課後、集まったみんなは、これから起こる催し物を今か今かと待ちわびていた。
「――ってか、マジでやんの? 頭おかしいぜ」
「そう言って来てるお前も頭オカシイ(笑)」
「まだかな~。早くしろよ~」
先生達も含めた二百人以上の学校関係者がアリーナで立っていて、雑談しながらステージの方を何度も見ていた。五月くらいから事前告知があったとは言え、今日の特別授業こと、私の一大イベントを視姦するために集まったのだった。
なお新一年生を呼ばなかったのは、私のこれまでの経緯を知らないのと、刺激が強すぎるというのが、理由だったらしい。
「ハァ、フゥ」
ステージの舞台袖に隠れ立っている私は、今のところ陣痛が治まっていた。臨月のまるまるとしたお腹は制服を押し浮かせて、おへそがほぼ丸見えだった。今日という日に色々な思いをはせているそんな私へ、背後より――。
ムニュゥ。
「んんっ」
短いスカートの内側へ、毛だらけの腕を突っ込まれて、地味なマタニティーショーツの上から無遠慮にお尻を揉み掴まれる。手の主は、一年生のころ担任だった小田一先生だった。大きくなったお尻をまるで舐るみたいに、爪先で、指の腹で、手の平で触られちゃう。
「どしたぁ雁原。まさか今更、怖気づいたとか言わねーよなぁ?」
出産を目前にテンパる私へ、追い打ちをかけるようなセクハラ行為を何度もされて、マゾ心が勝手に震え悦んじゃう。
「も、もちろんです。ただ、その。しゅ、出産後も、単位の取得ができるように通学をお願い――んひゃ!」
モニュ。
こ、今度は横から、右側のオッパイを揉まれる。少し色白で細い手は、二年で新しく担任になった町廣先生だった。若くてチャラそうな先生はイメージ通りで、進学したその日から、妊娠中にも関わらず手玉に取られちゃった。校内のあちこちでフェラや手こき、パイズリなど、たっぷりネットリと性的服従を命じられて、マゾ女生徒を満喫してしまってきた。
「いや~、牛みたいな乳になってきたね~。母乳でも出たら、男子共は大喜びだろうね~。この記念すべき日に、ね」
……そう。今日は私の出産予定日で、明け方に自宅のベッドにて、陣痛が来て飛び起きた。お腹の中で発生する鈍痛と鋭痛を混ぜたような決して馴れないとてつもない痛みに、ドMな私は恍惚の表情で身悶えしていた。もっともっと味わっていたかったけど、赤ちゃんを産んであげないと可哀想と携帯を取り出して、病院ではなく町廣先生へ報告した。
ほどなくしてタクシーで迎えにきてもらった先は、かかりつけの産婦人科ではなく、学校の保健室だった。室内にて、先生達が手配した産科の先生に診てもらいつつも、間隔が短くなる陣痛に、ひっそりと股間を濡らし続けた。
放課後になって破水の前兆があり、肩を借りながらこの体育館へと移動してきたのだった。ていうのも以前より先生達から、生徒および教師達の立会出産を実施すると言われ続けていた。何でも、少子高齢化の対策とか、男子の出産への理解を深めるとか、色々な理屈で説明された。もちろん超マゾな私としては、同級生や先輩達に出産シーンを視姦されるという、最高に羞恥なショーで悶絶寸前だった。二つ返事をした私は、両親へ嘘の出産予定日を報告するという超アブナイ橋も渡って、先生達の望むままに今日を迎えた。その見返りじゃないけど、出産後の二ヶ月ほどは在宅学習を認めてもらい、さらに特例的に子供を連れての登校が可能な環境整備を――。
「痛っ!」
痛みで我に戻って、しかも膝を着いちゃうなんて、私もまだまだなぁ。けど――あ、あぁ、このナイフでお腹の中を引っ掻き回されるみたいな痛み、素敵すぎるよぉ。
「あの変態マゾの雁原が、膝をつく痛みとはなぁ」
「いよいよみたいですよ。小田一先生」
はぁ、はぁ――ンハァ。ついに、ついにドMな私が待ちに待ち望んだ出産の痛みが、経験できちゃう。鼻からスイカを出すなんて例えがあるくらいの痛み、生命を繋ぐのに必要な痛み、女性だけが味わえる神秘にして究極の痛み。
「町廣先生。右側を支えてやって。ステージへは引きずってでも行かせなきゃならん」
「教頭先生や他の先生達も、今日という日を愉しみにしていましたしね~」
さす、さすがの激痛で脂汗を浮かべる私は、でも薄ら笑いを浮かべながらステージに姿を現す。一瞬だけ静まると、熱視線とすら呼べる好奇の眼差しが、私の大きくなったお腹と胸、何より苦悶の表情で歪む顔へと突き刺さる。
「おおっ、出て来たぜ。――って、腹がほぼ丸出しじゃん。血管の浮き具合とかエグ(笑)」
「乳がまたデカくなってね? もう胸回りとかパッツンパッツンじゃねーか」
「あの苦しそうな雁原の表情、ガチでそそるわぁ~。もうシコちゃおっかな」
スポットライトに熱さを覚える中、今日のためにとステージ中央へ特設された分娩台が近づいてくる。傍に立つ白衣の男性二人は、今朝から私を診てくれている産婦人科の先生と助産師さんだった。何でも、この学校の卒業生とのことで、こんな異様な状況にも関わらず、眉一つ動かさずにカルテを見直したりしていた。
私は支えてもらいながら、何とか分娩台に乗り上げて出産の準備をする。股を開ける方向はもちろんアリーナ側こと、観客のいる方だった。
ハァ、ハァ――んふふっ。公開出産なんて最高の辱めが、いよいよ迫って、嬉しくて震えちゃう。けど、ひょっとしたらこの中にパパがいるかもって思えばむしろ全然アリ? なんて思考そのものがいよいよ、狂ってオカシクなってきたかな。
「(痛みの、周期が。いよいよ、もう――)ハァ、ハァ。あづっ♡」
人生で一番だった腹痛を倍増させて、さらに股間の中で膨らませるみたいな感覚に、思わず涎がこぼれそう。ほんと、すでに過去一な痛みなのに、もっともっと激増するなんて、マゾ冥利に尽きちゃうよぉ。
汗と荒い呼吸でふやけそうな私は、ふと股先から少し離れたところに、眼鏡をかけた二年生がいるのに気づいた。彼は――そう、一年生からの知り合いの叶井君で、ビデオカメラを持たされたまま、震えながら股間を膨らませていた。
「(大きなスクリーンに写す、ため? あ、あはは、本当に見世物みたいで幸せぇ)! 痛たたっ」
目蓋の隙間からアリーナを眺めると、佐々山君や関君、寺山君ら、一年生で同じクラスだったみんなのほとんどが、興奮しながら私を凝視していた。他にも体育教師の古野先生とか、今まで関わってきたみんなが。
……けれどもやっぱり、須藤さんの姿はなかった。
「(でも須藤さんに見棄てられたと思うと、それはそれで興奮)――いづ、ををっ!」
苦痛と快感で脳がバグりそうな中、地味なマタニティーパンツと、なぜかブラまで先生達に脱がされちゃう。遠くからの男子達の声が、辛うじて耳に入る。
「――おっ、陰毛剃っててパイパンじゃん。産む時ってみんなそうするのか?」
「にしても、大画面のドアップだと、グロさが際立つなぁ」
私にふさわしく、M字で脚を広げていると、痛みの波が短く大きくなってきて、興奮しては汗を噴き出す。
ンハァ、すごい、すごいよぉ。この人間が感じ取れるギリギリの痛みの全てが、私の、自分の、ボクの、ものぉ。
「雁原さん。まだイキんじゃダメですよ~」
お、お医者さんが、計器の数値やモニターを見ながら、落ち着いた声でそういう。視界の端では、小田一先生達が携帯のカメラにより、半裸で悶える私を激写して感じちゃう。
――ふぅ、はぁ。い、痛い! くふぅぁ。丸い物で肉を裂くみたいな疼痛に、黒い乳首がカッチカチに尖っちゃうよぉ!
「おいカメラマン。死にそうな雁腹の面をもっと映せって!」
「バッカむしろマンコ一択だろ。こっちはヌクためだけに来たんだよ」
「雁原~気合入れて産めよ~。誰の子供か知らんけど(笑)」
野次や罵声で耳が幸せだけど、時間の感覚がだんだんとなくなってくる。今朝からの波みたいな陣痛の間隔は、もう連続的、でぇ。
「ハァ、ハァ――んなああぁぁ!」
すご、すごひぃ。まるでお腹が破裂するみたいな、肉が限界まで引き延ばされるみたいな劇痛で、オマンコはとっくにビショ濡れだよぉ(みんなは羊水と勘違いしてるかもだけど)。
ひぎっ、喉が、渇いたなぁ。――ほんご! あぁ、女の身体って、苦痛耐性が高いから、出産できるんだろうなんんんん!
プシュ。
「先生。破水しました」
「よし。じゃあ雁原さん。そろそろお腹に力を込めて~」
ふへ? 産む? 産んじゃうの? 勿体なくない? ……けど、誰とも知らない精子でママになっちゃう、頭オマンコな私を晒すのも、惨めでいいかもぉ。ぃよ~っし!
「ひ、っは、フゥ……ひあ、あああぁっ!」
ズチヌヌチチチ。
おんごごご! ま、股がぁ、破瓜の痛みとは全く違う、広がる痛みでぇ。んはぁあ。誰かぁ、陰核を噛むか蹴ってぇ、きっと気持ちイイイイイィィからああああッ!
「――あ、あの糞ドMな雁原が、絶叫に近い喘ぎ声だしてんぞ」
「てかあれ、赤ん坊の頭か?」
「お、おいおい。雁原のヤツ、こんな状況で陰核に指先を伸ばそうとしてね? 妊婦の美少女が絶叫しながら出産自慰とか、もう気色悪いを通り越してホラーなんだが」
グニチ、ネチャチャ。
痛い痛いイダイいたひぃ! 股裂けてない? まだ股ある? 激痛で頭割れそうなの最高おおおぉぉ! これ、コレなほぉ。アタ、アタチが求めていた痛み、苦痛、激痛わわわわ!
「す、すげ。マンコってあんなに拡張できるのか――勃起が止まらねぇ!」
「おえっ。も無理。俺ちょっと出るわ」
「も、もう頭まで出てきたぞっ」
すご、女の身体って、ほんとすご! こんな痛みを一人で引き受けないといけないのも、耐えられてしまうのもももももも!
「ひあ、ああああっ。んぎぃぃぃ!」
「……が、がんばれ雁原!」
ハァ、ヒィ――えっ?
「あとちょっとだぞ!」
「半分以上でてきたぞ!」
み、みんな、応援を? アタシのことを、使い勝手の良い、生きたオナホ扱いしていた、みんな、が?
「もう少しだ!」
「雁原ファイトっ」
――あ、顎が外れそうな、くらひに口を開けて、声が、もう枯れそう。だけど…んンなああアアあああ!
ギニュ、ヌズボニュン。
「……ァ、アャァ、うなぁ、にぎゃあ!」
「! ハ、ぁんぁ? オぉ、っ」
? ひっ、は。ぁ、う、おん?
「「「うおおおおおおおおっ!」」」
「すげぇ、産まれた!」
「なんか俺、感動したよ!」
「どこかだよ。めっちゃグロかったし」
……ハァ、ハァ。んっ、ひぃ、ふぅ、おんほ。
が、学校で十人連続で強姦されたのなんて目じゃないくらいに、疲労感と喪失感に包まれて、頭がボーッと働かない。何が驚くって、さっきまでの陣痛が、嘘みたいに消えた事実に、未だに、心が追いつかなぃ。
「――さん、雁原さん」
お医者、さん? の声が、どっかから、して、くる。
「出血もほとんどなし、縫合の必要もありません。あと、お子さんもとても元気ですよ。手足の指もちゃんと二十本あります。ほら、男の子ですよ~」
逆光で眩しいけど、産毛みたいな柔らかい髪で、丸々とした赤ちゃんが、目をつむっては精一杯に泣いていた。
「わた、私の、あか、赤ちゃん?」
「そうですよ~。体重計りますね~」
ツゥー。勝手に涙がこぼれて、鼻水が少し出て来た。
……苦しみによる快感を求めてここまで来たのに、目の前の小さな命が与えてくれる感動に、心が漂白されるみたいだった。一瞬で身も心も、母親になっちゃったんだ。
「元気に、産まれて、くれて――」
ありがとう。
……パチ、パチパチパチ!
え? へっ? ステージの方から拍手が巻き起こる。男子生徒のみんなはもちろん先生達ですら、立ち上がっては拍手喝采をしてくれていた。
「体重は三千二百グラムです。抱っこしますか?」
小さなオチンコが、確かに付いていた。元気いっぱい泣いている赤ちゃんへ、震える手を伸ばす。感動しすぎて何から話せばいいかわからない、けど。
「たくさん、おっぱい、あげるからね」
今まで味わったことのない、穏やかで優しい温もりが、胸の奥から全身へ、波紋みたいに広がっていった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる