禁断介護 老いた木に咲く若花

ニッチ

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二本目 ここお風呂場だよ?

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 ザアァァァ。
 秋雨あきさめが町を優しく濡らす土曜日、薄暗い午後五時頃だった。お爺ちゃんの家の和室にて、いつも通りの制服の私は、座布団の上に正座していた。――ヨレヨレな白のシャツと股引パッチ姿のお爺ちゃんへ、膝枕ひざまくらをしてあげながら。

「い、ひひっ。花梨ちゃんの、ふともも。あったかスベスベ」

 両腿の合間こと、スカートの上に頭を置くお爺ちゃんは、嬉しそうにニヤニヤ笑っていた。

「はいはい……ん?」

 携帯が振動バイブしていたので左手で取ると、お義母さんの少しあせった声が耳に飛び込んできた。どうも役所の職場から掛けて来ているみたいだった。

「(土曜日なのに)――え、お義母さん今晩は来られないの?」

 目と口が大きく開いてしまう。とりあえず、空いている右手で、お爺ちゃんの薄い頭皮を撫でつつ、耳へ集中する。

「そうなの。この時期には国庫補助金の秋調査があるんだけど、担当者がインフルエンザになっちゃって――」

 役場に勤めているお義母さんは家事もこなしつつ、女性ではまだまだ少ない係長をがんばっていた。だからというわけじゃないけど、真面目で立派な人だと私は思っている。
 ただ、配属ガチャっていうのかな? 割と忙しい部署であったり、地元対応のややこしい業務を任されることが多く、突発的に忙しくなることが昔からあった。

「えと。私はどうしたら?」

 いつもなら、もうそろそろ交代の時間だ。

「お兄ちゃんやお姉ちゃんにも頼んでみたけど、急なのと――その、ちょっとやっぱりアレみたいで」

 言葉をにごすお義母さんは少し悲しそうだった。きっとここしばらく、叔父さんや叔母さん達が、この家に出入りしているのを見たことがないからだろう。

「それでね。今日はパパに行ってもらおうと思うから、それまで一緒にいてあげてくれない? 一時間後には着けると思うから――」

 お父さんかぁ。お父さんも優しい人だし、嫌がったりもしないだろうけど、やっぱり義理の父親の介護って気を遣うし、大変なんじゃないかなぁ。
 それに、最近会っていないお父さんに、お爺ちゃんがどんな反応するか心配だ。だって先週の交代の時、私が出た後に実の娘であるお義母さんへ怒鳴っていたのも気がかりだもん。

「あ、あの。お義母さん」

「晩御飯は宅配で好きなのを――え、何?」

 膝の上がモゾモゾするけど、それどころじゃなかった。

「もし、もしなんだけど。私が一晩だけ泊まろっか?」

「!」

 多分お爺ちゃんのお相手は、お義母さんの次に私が馴れている、はずだから。

「ほ、ほら。お父さんは土曜日と平日の一日しかおやすみないし、お爺ちゃんのお世話も初めてじゃない」

 ――んんっ? な、なに? スカートの中に、なぜか生温かい風が。

「それはとっても助かるけど、本当にいいの? 花梨ちゃんだって予定が――それにお爺ちゃんのお世話は大人でも大変だし」

 生返事しつつ、目線だけ下げるけど胸が邪魔でよく見えない。すると、お爺ちゃんのうめくみたいな声が。

「か、花梨ちゃん。黒、パンツ、えっち」

「ぃっ!」

 む、胸を避けて前のめりに見下ろすと、お、お爺ちゃんが頭の一部をスカート中へ入れて、のぞき込んでるぅ!

「(こら、お爺ちゃん)――ひゃっ」

 んもぅ! こんな時に、フゥー、って息を吐いて、スカートをめくり上げるとか、何考えてるの、ほんとっ。 

「どうかした? お金は朱塗しゅぬりの化粧棚の一番上の奥にあるから」

 中へ侵入してくるお爺ちゃんの頭を右手で押さえるけど、力が強すぎると首とかが心配だった。けど力を弱めていたら、鼻先が内太ももを擦ったりして――ひぅ――くすぐったい。

「し、知ってるから大丈夫だよ。そ、それじゃ!」

「無理しないでね? 何かあったら電話でもアプリでも連絡して。すぐに返信できるかはわからないけど。そうだ。今度、何か好きな物を――」

 早口に返事をして電話を切り上げて――ぽいっ――携帯を畳の上へと投げ置く。ようやく両手でお爺ちゃんの細ばった肩を抑える。

「いひ、ひ。花梨ちゃん、オマタ、いいにほひ」

 つ、涎がスカートの中を濡らし、変な湿っぽい感触がする。もう、エッチなゾンビみたいな動き。

「よいしょ! ……ハァ~」

 太ももで頭を挟んで、一旦落ち着く。目と鼻の先にあるパンツへ向けて、深呼吸をしてよろこぶお爺ちゃんは、そのまま放っておくことにして。
 少し離れた仏壇ぶつだんへ顔を向けると、お婆ちゃんの遺影いえいと目が合う。懐かしくて優し気なその表情に向かって。

「お婆ちゃ~ん。何とかしてよ~」

 すでに真っ暗な外の闇を透かす窓に、雨粒が当たっては、小さく砕けていった。

 * * *

「おっ風呂、おっ風呂。花梨ちゃんと、お風呂♪」

 お泊りを決意したその日の夕食前だった。普段はお風呂を嫌がるらしいお爺ちゃんが、上機嫌で脱衣場まで来てくれた。家全体が古いから仕方ないとは言え、二畳くらいの広さの脱衣所は、壁や床のあちこちが剥れていた。実家に比べて寒く感じ、タオルも少し湿っぽいし――〇キブリとか、いないよね?

「さぁ、お爺ちゃん。脱ぐから万歳して」

「ばんじゃ~い。にっぽん、ばんじゃ~い」

 はいはい、っとシャツをめくり脱がせる。シミとホクロだらけの上半身で、乳首の周りからは白い毛が何本も生えて、あばら骨が目立った。

「次は下――」

「ううん。花梨ちゃん、の番」

 へっ? 顔を上げると、細張ほそばった両手をグーにして口を隠すお爺ちゃんが、クスクスと笑いつつ私の胸を見てくる。慌てて手を振る。

「む、無理無理。そもそも着替えなんて持ってきて無いし、涼しくて汗もかいてないから私は大丈夫――」

「やっ。花梨ちゃんも脱ぐのっ」

 ぅ゙~、と目を細めてうなり出す。ま、まさか、ソレを期待してお風呂へ?
 確かに制服で入って、うっかり濡れたら困るのは困る。けど流石に下着でってのはちょっとなぁ。お爺ちゃんとは言え男の人で、しかも義理だし、私だってもう中三だし――。

「くしゃんっ」

 ! 頭と上半身を前に振るお爺ちゃんは、肩の辺りを擦り始める。――そう言えば、高齢者がクシャミの衝撃で骨折したとかしないとか。
 ど、どっちにしろ、秋のこの時間帯に、断熱性能がほぼ無い脱衣所で、お爺ちゃんをこんな格好でってのはマズいよね。

「わ、わかったってば――ハァ」

 慌てて羽織っていた紺色のカーディガンを脱ぎ置き、制服のボタンを外していく。当然、はだけた服の合間から、黒のブラジャーと胸の谷間が見えてくる。

「きゃは、お着替え、ありがとう」

 ? ……っあ!

「む、向こう見ててってばぁ」

 遅いけど、振り返って背中をお爺ちゃんへ向ける。もう、本当にエッチなことだけは抜け目ないんだから。
 背中で視線を受け止めつつ、ブラウスも脱ぐと、上半身は黒のブラのみになった。スカートのホックを外してウエストベルトを掴むと、一瞬だけ戸惑いながらも――えいっ――と脱衣する。
 うぅ、全身下着姿とか、最近じゃあお義母さんにすら見せていないのにぃ。

「黒パンツ、えっちでかわいい。背中、キレイ」

「もういいって。次はお爺ちゃんが下を脱い――っでええっ⁉」

 う、腕で下着や肌を出来るだけ隠そうとする私は、目を丸くした。だだ、だって、お爺ちゃんの股引パッチの股間部分が、モリッと膨らんでいたんだもん。ひょ、ひょっとして、勃起ぼっきってヤツ?

「(こ、これって。私のせい? ま、まさかね)――と、とにかく脱いで入ろ」

 目を背けつつ、脱がせる。ビィン――う、うわぁ。ね、ネットで見たのよりは細長いけど、お、男性器オチンチンだ。
 鏡に映る私の頬は赤いまま、ドキドキしつつもお風呂場へと入っていく。色褪いろあせて欠けた壁面タイルが周囲を埋める中、正面に取付けられた鏡は、薄っすらと曇っていた。そこには、やや仮性包茎かせいほうけい気味だけど、元気な細長いオチンチンを揺らせる、やせ細ったお爺ちゃんが写っていた。
 私だけ気まずい状況だけど、年頃だからかついつい、大事なところへチラチラと目がいってしまう。

「(さ、さすがにお父さんのよりは小さいと思うけど)い、いつもこうなっちゃうの?」

 てか、九十歳を超えているのに? それとも認知症になるとこうなることがあるの?

「ううん。今日、はじめて」

 エ? 嘘っ。じゃ、じゃあやっぱりコレって、私の下着姿で――その、元気になっちゃったの? ロリコンってレベルじゃないよお爺ちゃん! だって七十歳以上も離れてるんだよ!

「いひ。花梨ちゃん、大きいおっぱい、安産型お尻」

 狭い浴室のだから、あっちこっち向かれると、お、オチンチンの先っぽがお腹を擦っちゃうよ。

「じ、じっとしててね。す、すぐ洗うから」

 今日はお風呂は止めてシャワーにしようそうしよう! 耳が赤いのにすら気付けない私は、泡立てたボディーソープで、動くお爺ちゃんを、優しく手で洗っていく。
 シミだらけの肩は、けど妙にツルツルで、またあちこちが骨ばっていた。手で洗いこすっていく中――身体の一部だけが、そのぉ。

「お、お爺ちゃん。えと、だ、大事な所だけは自分で洗えないかな?」

 上半身を一通り洗い終わって、ダメ元で聞いてみる。

「大事? どこ?」

「だ、だからぁ」

 もう羞恥しゅうちプレイってヤツだぞコレ。もだえる私の視線を、キョトンとした表情のお爺ちゃんが追っていく。

「チンコ?」

「! そ、そう。何とか、ここだけでも――」

「チンコ、痛い」

 ヘッ? あっ、そうなるもの、なの? 真下から六十度ほど盛りつ元気なオチンチンは、まるで私の方を、指そうとしているみたいだった。

「たすけて、花梨ちゃん」

「え? あ。う、ううっ」

 そ、そう言えば、男の人の射精は、前立腺癌ぜんりつせんがんの予防とか、ホルモン分泌がどうこうで、健康にもいいんだっけ? ってか、そんなことを知っている私はムッツリ? 
 ――い、いや、けど。人生で初めて触るオチンチンが、義理のお爺ちゃんのだなんて、ありえなくない?

「花梨ちゃん。寒い」

「ご、こめんね」

 とりあえずシャワーで温める。私は頭も体も沸騰ふっとうしているから、全く寒くないけど。でも恥ずかしくてクネクネと体をひねってしまう私は、最終的に、お爺ちゃんが可哀かわいそうという気持ちへ傾いてしまう。頭の中で百回ほど言い訳をしてから、中腰のまま右手を――伸ばすっ。
 グニィ。

「わわっ。ご、ごめん痛かった?」

 ふ、不思議な手応え。皮はツルツルで少し柔らかいけど、力を込めるとカチカチなゴムみたいな。ってか私、介護でもないのに、お爺ちゃんのオチンチンを、本当に触っちゃった……。

「花梨ちゃん、チンコきらい?」

「ぃ、いや! えっとね。好きとか嫌いじゃなくてっ! ――と、とりあえず、こ、擦る、の?」

 泡だらけの親指と人差し指で陰茎みき? の部分を握り持つと、ギリギリ作れた指の輪っかの中に収める。力の込め具合はサッパリだけど、痛くだけ無いようにと気を付けて。
 シュ、グニ、グニョ。

「(え、エッチな漫画とかだと、もっとしっかり握ってる感じだけど)――い、痛くない?」

 て、手コキ、だっけ? 何だかとってもイケナイ事をしているみたいで、さらにドキドキしてきた。黒の下着姿の私は、前髪の間からお爺ちゃんを見上げると、無表情で私の揺れるオッパイを見降ろしていた。
 ほ、本当に私、エッチな有料動画の、女優さんみたいなことしちゃってる~。

「キモチイイ。花梨ちゃん、上手」

 汚れた入れ歯を見せて笑うお爺ちゃん。そ、それは喜んでいい、のかな? って、なんだかヌルヌルして来たと思ったら、シャワーや汗じゃなく、透明な我慢汁かうぱーえき? が、先端から染み出て来てた。
 右手が疲れてきたから、左手に持ち変える。利き手じゃないから、少し力を込めてもっと速く――。
 シュ、シュッ、シュ。

「チンコ。大喜び」

「そ、そう。よ、よかったねぇ~」

 凍った笑顔を作りつつ、あらゆる意味で、これでいいのか私? っと戸惑いつつも、乗りかかった船とばかりに続けた。白い泡ぶくの隙間より、亀頭せんたんで赤黒いき出しの部分がのぞいて、たまにピクピクと震えた。色違いなナマコみたいな気が、しないでもなかった――。
 右手と左手で二往復したくらいの時だった。

「あっ」

 ? お爺が口を開けて目を閉じる。

「どうしたの、お爺ちゃ――」

射精でる

 ビュック。ビュルピュル、トプドボ!

「うひやぁあ!」 

 びび、びっくりしたぁ! いき、勢いよく白いのがオチンチンから飛び出て来たかと思ったら私のおヘソ辺りに――あっ、下着パンツにかかっちゃってる! ど、どうしよう。
 て、ていうか、生の精子って白い鼻水みたいにベトベトしてて、温かいんだ。あと少し生臭い? ってか、男の人の射精を生で見ちゃった。

「て、っていうか、私に浴びせるなんてひどいよお爺ちゃん!」
 
 トロォ。おヘソや腰椎ようついを伝う精液を見て怒りつつも、心臓はドキドキしっぱなしだった。

「キモチ、良かった。花梨ちゃん、すごい」

 笑いしわを刻んで、無邪気で嬉しそうな表情を見せつけられる。指で精液をふき取りつつ、ため息を吐く私は、怒る気力も湧いてこなかった。
 にしても、超高齢者でもあんなに勢いよく飛び出るもんなんだぁ。

「と、とにかく、身体を洗い終えるよ?」

 いくらか精子が付いたままの私は、急いでお爺ちゃんの下半身を泡ぶくにして、シャワーで流し終えた。頭もてきとーに洗って流す。

「(精液どうしよ? 体に付いたのは流したけど)――パンツはとりあえずけ置きかなぁ」

 脱衣所に戻りつつも、夜の服装なんかを心配してしまう。なのにお爺ちゃんったら、体を拭いてあげている間も、ず~っと、私の胸やお尻ばっかり見てくるんだもん。射精してあげたばっかりなのに、ほんっとあきれちゃう。
 ――けどまぁ、これでお爺ちゃんもスッキリしただろうし、だいぶ落ち着くんじゃないかな。

「はい。お爺ちゃん。シャツ着るよ~」

「は~い」

 鈍感で楽観的で、お爺ちゃんっ子な私は、考えもしていなかった。この後、トンデモな夜を、二人で迎えることになるだなんて……。
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