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第6章:京都行ったから本気出す!
お灸をすえちゃうぞ
しおりを挟むあつつつっ!
でも、いい感じ~~
「黒古。これ効くなぁ。日頃の疲れがいっぺんに抜けていく。まるで風呂に入っているみたいに温まる」
「そうでしょそうでしょ? このツボ、効果ありと認む、ですわ。でもリアル風呂入りたいですわ。作ってくださいませ十兵衛君」
なぜか黒古。本圀寺にいます。
いままで怖くて京の都に来れなかったんだとか。基本ヒッキーなのだそうで、甲賀で薬草採取と生活費稼ぐため、鍼灸師していたと。
「だめだ。まだ銭が足らん。おまえらがどんどん集まってくるから生活費だのなんだのがかかりすぎる!」
「あ~、ちまちました小物だわね! あんた。それにあたしが護衛としてついて来てやったんだから感謝しなさいよね!」
タカビーなセリフ。
もちろんあいつです。
退魔……もとい甲賀忍雪風です。
びしっ! と、うつ伏せ状態でこっちへ人差し指を向けて来る。
「おまえ。その恰好で恥ずかしくないのか? 俺は男だぞ? 別室でやってもらえ」
雪風は上半身裸で、この俺の自室で一緒にお灸をすえてもらっている。ついでに首に何本も針が刺さっている。
「しょうがないでしょ? 黒古はあたし専属の友達……じゃない、鍼灸師。あんたこそ出て行ってよね!」
「いろいろツッコミどころはあるが見逃す。だけどな、せめてその檄薄胸部装甲にもっとしっかりとしたバルジをつけろ!」
ひゅんっ!
苦無が飛んで来た。どこに隠していた?
上半身には胸のとこだけ『さらし』をちょっとだけ巻いている。まったく色気はない。
「檄薄言うな! 絶壁も無し。貧乳とかも厳禁!」
「問題ない。御本尊様」
更に飛んでくる苦無をつまんで捨てる。
冬場の寒さが厳しい京の都。豪邸の部類であるこの寺でも、基本障子だけの寒い作り。隙間風がないだけましだよね。
だが! それで諦める俺ではないっ!
必ずやレンガとガラスを製造して、温い部屋作るんだ!
「そういえば連歌の誘いが来ていたわ。義昭から」
「……それを言うな、黒古。おまえ代わりに参加してくれないか。いいとこのお嬢様なんだろ?」
「嫌ですわ。だいたい連歌なんて即興でやるものは向いておりませんの」
どうも稽古事は結構やっているらしい黒古。
おまわりさん、こいつです。上級国民がいます!
「光秀様。将軍様がお呼びでございまする」
襖の向こうから声。何というバッドタイミング。連歌の事かな~。やめてよね。光秀、家出したい。
「仕方あるまい。首だけになると寧々ちゃんが泣く」
◇ ◇ ◇ ◇
「おお。明智とやら。よう参った。もっと近こう」
遂に白粉、お歯黒、書き眉毛になってしまったのか、義昭よ。
まだ全権力は信ちゃんが握っているのよ。そんな余裕ないでしょ? もっと武士らしくしないと。
「ははっ」
「そなた、甲賀をたった一人で調略したと聞いて居る。世には出来る武士《もののふ》が家臣として必要じゃ。どうじゃ、儂に仕えぬか?」
お~っと。真正面からのヘッドハンティング!
まさか元プータローの俺が、ヘッドハントされる御身分になるとは!
時代も変わったもんだ。あ、リアルで時代変わってるんだったよ。
でもな。
正史では、足軽か徒武者待遇で最初雇われたはず。そして本圀寺の変で奮戦。それを信ちゃんが目をつけて「こいつは使える」となって両方の家臣に。
?
ちょっとヤヴァい方向へ?
正史のように両刀、じゃない二股かける家臣生活になってしまい、織田家家臣からにらまれる!
絶対に断ろう!
「だが断る」
を言ってもいいのかな?
その言葉が今にも口元から出ようとした時、障子の向こうが「ドタドタ」と騒がしくなり声がした。
「上様! 三好の残党がこちらへ向かっておりまする。早くご動座を」
「なんと。軍勢はどの程度じゃ」
「それが……1万を下らず」
「に、逃げる! 支度をせい」
あ~、本圀寺ね。
そうでした。冬の本圀寺。
1月でした、今日。
三好の軍勢1万以上が1000人に満たない将軍配下を攻め立てた戦い。この寺、全く防御力無いです。ぬり壁くらいしかない。
これでよく持ちこたえたよね。
偉いぞ、本物の光秀。
だが。
ここには明智機動部隊がいる。
そう簡単には落ちない。
「上様。直言お許しを。ここから信長の居城、岐阜まで30里(120km)あまり。早馬を飛ばして1日。こちらまで行軍となると早くて2日。しかし関ヶ原では雪が降っておりましょう。少なくとも騎馬隊が来るまでの3日間、我が手の者でお守りいたす」
いや、あんたを守るんじゃないよ。この俺の安全をだ。
でもな、こいつ守るの失敗したら、結局信ちゃんにスパッ!と首落とされる。仕方ないさ。本気出そうか。
またかよ。
「京都来たから本気出す」
本気出しっぱなしだよ。
肩がこっちゃう。また黒子にお灸をすえてもらわないと。
ブルブル震えてしがみついてくる義昭君を引っぺがし、指示を出し始める。ここの守りは俺が総指揮官なんだよ。
「村井殿。上様をお頼み申す。それがしは周囲を警戒。守備に就きます故」
「しかし護衛の手勢が……」
村井貞勝さんにお願いする。この人は文官の元締めしている。
結構この人好き。頼れるおじさん。もう初老かな?
いい管理職然としているよ。官僚としては一流よ。正史ではたしか京都所司代になったとかで。
だけど武力は期待できないな~。
「腕の立つ、ビシッ!という甲賀忍者をお付けいたす。ご安心を」
「ビシッ!?」
さっきまでチューンナップしていた雪風に人働きしてもらうか。大分ステータス上がったようだから安心して任せられる。
三好って今後もしぶとく信ちゃんに反抗しているんだよな。こいつに少しお灸をすえておこう。
もぐさではなくて鉛だけど。鉛は健康にいいと聞く。だって白粉に混ぜて上級国民が愛用しているくらいだ。三好三人衆にも健康生活を指南してあげりゅ。
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