隷属したのは元勇者!?

くろこう

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自己紹介ってこんなだっけ

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 ちゃんと学校に編入できたのでしょうか。私シャルは一昨日に契約を結んだ相手であるカナデを自分の教室に向かうついでに探していました。
 あれから周りの誰に聞いても誰一人としてカナデを城内で見てないと言ってました。私も次の日には夢なのかなと思い契約の時についた左人差し指の傷を見ましたがちゃんとまち針で刺した跡が残ってました。
 試しに1度呼んでみようかとも思いましたが、もし何か取り込み中だった場合が申し訳ないのでカナデを信じてこの日まで待ちましたが一向に現れる気配がありません。本当に大丈夫なのでしょうか?
 そんなことを考えてたら私のクラスであるEクラスに着きました。
 この学院には中等部と高等部が存在し、クラスがA~Eクラスまであります。
 中等部では魔法の基礎や魔力についての雑学や初級魔法の練習などを行い、高等部では中級魔法や上級魔法、それぞれ6属性に派生する魔法や混合魔法を習います。
 それに魔力量が多い者や覚えてる魔法が上位や強力な者からAクラスへとなりそれからどんどんB、C、D、Eと下のクラスへとなります。私はEクラスでさらにその中でも最下位です。私は魔力量が非常に少なく、覚えてる魔法も6属性のうち2属性だけで、火、風だけで使える魔法も初級魔法のみです。
 クラスに入ると先に来てた人たちからは嘲笑の目で見られます。やはり王国の王女が一番下のクラスで最下位なのがおもしろいのでしょう。それに拍車をかけるように私が本当の子供ではないこともあると思いますが。この事は当時のメイドの誰かが誰かに言ったことが始まりだと聞いています。特に国王の話となると拡散力はとても早く犯人も分かっていないということらしいです。でもメイドまでは分かっているのなら誰かわかるとも思いますけども。
 周りの目が気になりながらも教室の端っこの席に座ります。そして授業が始まるまでここで静かにしときましょう。ですがカナデは本当に本当に大丈夫なのでしょうか。そんなことを考えていると、目的の相手が教室に入ってきました。
「カナデ遅いです。」
つい席を立ってカナデに声をかけてしまいました。
 いつも静かな私を見てたみんなは急に立ち上がって声を発した私に驚きの顔になったあと、すぐに呼ばれた少年に目をやりました。そして始まるのは静かな声での陰口。私やカナデを指さしては何かを話しています。
「主さ…じゃなくてシャル2日ぶりだね。元気そうでよかったよ。僕も今日からEクラスに入ることになったんだ。あっ、隣の席いいかな?いいよね?それじゃあ失礼しまーす。」
 シャルの声を聞くなり、手を振りながら挨拶をし、気づけば隣に座ったカナデにさらに周りの人達はその話で盛り上がる。 
「カナデはどうやって編入したんですか。編入・入学試験はもう終わってたはずなのに。」
 周りのことは1度忘れて奏がどうやって編入したのかが気になったシャルは周りには聞こえないくらいの声で奏尋ねる。
「どうやってかは内緒だよ。やっぱり謎の多い男性ってかっこいいよね。ただ強いて言うなら元勇者パワーと言ったところかな。」
 「ムッ。そうやってはぐらかす。」
 顔をリスのように膨らまして拗ねるシャルに周りからは「もしかして彼氏?」などの声がちらほら聞こえた。
 そのあとも城をどうやって誰にも気付かれずに抜け出したのか、この2日間何してをしていたのか聞くが全て話しをはぐらかされてしまう。
「みなさん、席に着いてください。」
 不意に教室の前にある教卓から声が聞こえた。そこにいたのは白髪の男性だった。
「今日からこのクラスの担任になりましたアレンと言います。よろしくお願いします。」
 そう言うと周りを見渡して頭を下げる。その時に私を見つけるとニコッ口元が上がったように見えたがすぐに頭を下げたから分からなかった
「次は君たちの名前と顔を覚えたいから1人ずつ自己紹介をしてほしいんだけど。そうだな…そこの君から自己紹介してもらおうかな。」
 そこで指を指されたのはシャルだった。
「わ、私からですか!」
 まさか隅にいたシャルが最初に当たるとは思ってもいなかったのか驚きの声を上げてしまった。
「そうだけど、なにか不都合でもあるかな?」
「いえ、大丈夫です。」
 シャルは1度大きく深呼吸をすると自己紹介を始める。
「シャルといいます。これからみんなと仲良くしていきたいと思ってます。よろしくお願いします。」
 そう言って座ろうとしたがアレン先生は座らせてはくれなかった。
「シャルさんはフルネームとかないの?得意な魔法は?中級魔法は使えるのかな?」
 私が触れたくないことをズバズバと質問してくるアレン先生に私はここでようやく私が最初に当てられた意味を知った。先生は私をこのクラスの見せ物として使い、僕は君たち側だよと他の生徒たちの信頼などを獲得しようとしているのだと。
「はいはーい、よろしくお願いしますって言った時点で自己紹介は終わりだと思いまーす。」
 そんな時、隣に座っていたカナデが手を挙げて 私を守ってくれた。
 アレン先生は少し眉を顰めるがすぐに最初の顔に戻った。
「君は?」
「僕の名前は奏っていいます。隣に座っているシャルとは主従関係を結んでいるからあまりそういういじめみたいなこととかやめてほしいと思います。ちなみに今日から編入してきました。」
 周りからは「主従関係?」や「彼氏じゃないの?」など様々な声が聞こえるが奏はそれを無視して続ける。
「あまりそういうことしちゃうとあとからどうなっても知らないよ、せ・ん・せ・い。」
「あなたが学院長が言っていた編入生ですね。それでいじめているつもりは全くなかったのですが一応聞いておきましょうか。どうなるんですか?」
すっとぼけたようにいうアレンに奏もいつものように微笑みながら答える。
「とりあえずその白髪がなくなります。要はハゲになるってことですね。それに場合によっては学院の先生としてここにいるのももしかしたらダメになるかもですね。」
 今奏とアレンの間で火花が散っているのが誰から見ても明らかだ。
「僕にばかり時間を使っても無駄だし、次の人に回そうかな。」
 そう言って奏は席に座った。
それからはみんな無難な普通の自己紹介をし終わった。
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