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さてはて、そんなこんなで私は目の前の攻略キャラ達を改めて観察してみた訳だけど。
冷黒王子は───うん。
さすがは王族の血筋だ、半端なく顔が良い。
でも光ってない。
で、王子の隣に居る[宮廷魔導士]クリストファ-エイベル・ドートンは───‥うん、光ってない。
やっぱり〈ギル様〉だけが光って見える。
つまりこの現象は、私が過去の記憶に引き摺られていると判断していいだろう。しかも現在進行系で危険度MAX状態だ。
(‥うん、マジ泣きしそうだわ…いやもう泣いてるか…。)
口は笑ってるのに涙が出るってどんな状況だよ。
あぁ、おかし過ぎる状況だったわ…。
今の私は両手で顔を覆って俯いてる。
それで、エステル様の後ろにピッタリくっ付く感じで隠れてるから、私の情けない泣き顔は誰からも見られる心配はないんだけど。
いやもうね‥そんなん気にしてられないくらい、私の心はキャパオーバーだよ…ううぅ。。
(何で一人だけ光って見えるの…何で〈ギル様〉なの…てゆーかこの現象はあんまりにも酷すぎるよ、創世神様…。)
いくら私が前世で得た青Fの記憶を取り戻したからって、私はつい最近まで普通にこの世界でリリアン-フォートレックとして生きてきたのだ。
過去の私が持ち得なかった、今の私が培ってきた想いがあるんだよ。
それなのに光希が青Fの攻略キャラの中で一番熱を上げてたギル様が光って見えるとか…こんなの、強制的に相手を意識してしまう[魅了]の魔術を掛けられたも同然じゃんか……。
(……‥‥ん?)
んんんん???
ちょっと待てよ。
ついさっき私が否定した、“私が気づかない間に何者かに[魅了]の魔術をかけられてて、それで視界がおかしくなった”可能性。
さっきは〈晶鏡石〉ありきで考えられる線から除外したけど、神の御業なら?
──────答えは『できる』だ。
(‥うっそ…‥マジで…?)
いやいや‥ええぇーーー…マジで??
でもでも、考えてみれば私が前世の記憶を取り戻したのだって、神様が必要があったからそうしたとしか考えられない覚醒の仕方だったし…。
(そっか‥そういうことか…なるほどね…。)
この、“人が光って見える”不可解な現象は、光希の好みと私の好みが同じだからって線よりも、神の御業の方が説明がつくわ…。
あーーーーでもそうと分かれば、自分の意志に関係なく勝手に心を操られてる感じがして、正直すごく嫌な気分がしてきたわ…。
(・・・あぁも~~~っ! 創世神様の人でなしぃぃ~~~~っっ)
神様が人ではないのは知ってるけど、私だって神様にこんな八つ当たりみたいなこと言いたくないけど!
私が青Fと酷似した世界に転生したのは、しかも私の前世の記憶が蘇ったのは、絶対に神様的な理由があるからだと私の第六感が伝えてくるのだ。
じゃあその理由は何ぞや?って考えたら。
この世界を生み出した、この世界の唯一神である創世神様が理由を知ってる筈なのだ。
創世神様は人々の信仰の対象ではあるけれど、本来なら只々この世界の行く末を見守る存在でしかない。
でも今の私の状況を考えたら、創世神様は見守る一線を確実に越えて、私という個体に干渉してきてるのは明らかだ。
そうまでして理由が無い筈ないでしょ。
───だったら言わせてもらう。
私が創世神様に何らかの役割を課せられてこの世界に転生させられたのだとして。
私はその役割や理由を一切『知らされていない』のに、どう汲み取れと?
私は〔読心〕の能力は持っていても、神様の声は聴こえない。
知らないし聴こえないということは、理不尽にだって思うし、役割や理由が分からなければ、今後も私は神様のいいように振り回されるしかないってことだ。
( ‥ッッ…。)
あまりの理不尽さに嗚咽が漏れそうになって、慌てて呑み込んだ。
(‥───これが窮地に立たされるってヤツか‥‥。)
本来なら希望に満ちて入学する筈だった[王立アカデミー学院]が、今や魔窟さながらだよ。
(っとに…私の記憶を蘇らせる必要があったんなら、同時に役割と理由も伝えろってんだ…。)
え?神様に対して口が悪すぎるって?
それぐらい今の私の心はヤサグレてるんだよ。
だって自分の意思に関係なく人が光って見えるんだよ?
しかもそれが光希が惚れ込んでた〈ギル様〉だよ?
この現状から導き出される【恋愛ルート】行きの未来を想像したら、ゾワゾワ悪寒がするし、今の気分は最っ高にド最悪だよ。
(あぁもう、ほんと何でギル様が光って見えるのか、せめて理由くらいは教えてよ創世神様ーーーーっっ)
私が不安視してる未来は単なる懸念で、私がギル様に絆されても、青Fどおりに【Happy End】を迎えられるのかもしれない。
だけど私の第六感は、“そう成らない”と告げている。
体中を駆け巡ってる悪寒が【Bad End】になると告げているのだ。
そりゃそうだろう。
青Fの【恋愛ルート】で【Happy End】や【Normal End】を迎えるのに一番重要な “相手に対する気持ち” が、私には全くないんだもの。
ギル様に思い入れがあったのは前世であって、
今世の私は『ギル様に何の思い入れもない』んだもの。
それなのにギル様が光って見えるとか…‥
(──あぁ~~~もう!どんな嫌がらせだよコンチクショーーーーッ!)
本来なら敬うべき神様に対して、怒り以外の感情が浮かばないんですけど!?
(創世神様はこのティタ二ア王国を滅ぼしたいんですかーーーーーっ!?)
私が持つ膨大な魔力は、魔力量を測ることに匙を投げられた途轍もない量なんだよ!
しかも私は〈晶鏡石〉を持ってても魔力制御が覚束無いんだよ!
私が〔読心〕の能力者だからか、〈晶鏡石〉でも私は感情の高ぶりが抑えきれずで、偶に自分の意志に関係なく魔法が発動したりするんだよ!
しかも発動する魔法が、いきなり転移したりされたり飛ばしたり物を壊したり溶けたり消えたりと効果が一定しないとくれば、どんなに私が危険人物か分かるでしょ知ってるでしょ創世神様は!?
で、私が光って見えてるギル様は、冷黒王子にとってもこの国にとってもめちゃくちゃ重要な人なんだよ!
青Fの設定どおりなら、冷黒王子のティタニア王国第一王子の護衛長で、ゆくゆくはティタニア王の補佐官となる片腕的存在なんだよギル様は!!
そんな大事な人に私が近づいて懇意になって、青Fのストーリーどおりにギル様が私を城に招きでもしたらさぁ!
国の中枢に一瞬で国を滅ぼす大爆弾を置くのと同義だし、下手すれば周辺国まで被害が及ぶよねぇ!?
だからこそ私は!私は…っっ
冷黒王子はもちろん、ギル様にも絶対に近づく訳にはいかないのに…っっ
どうしてギル様を光って見せる必要があるのか、ガチで教えてほしいんですけど!!
(───っっ ‥分かんないよ、創世神様…っっ。)
青Fでキーパーソンだった冷黒王子が光って見える方がまだ理由は想像できるわ、ハァ~…。
(こんな何もヒント無しで動けって、私にどうしろってゆーのさ…。)
…まぁ何にせよ今の私は自分の第六感を信じるしかないから、全力でギル様と関わることを避けるけどね…トホホ。。
(…やるしか無いのかぁ…ハァ~…。)
ギル様が光って見える今の状況を考えたら、どちらにしろ既に私は神様の術中に嵌ってて後には引けないんだ。
こうなったら冷黒王子よりもギル様と関わる[フラグ]を全力で回避しないと、青Fで言うところの【イチャラブ推進ストーリー】に私は飲み込まれて…結果、国が滅ぶ。
青Fどおりの【イチャラブ推進ストーリー】なら、主人公ポジションの私は誰かしらの【恋愛ルート】に入ったが最後、対象キャラの[好感度]が上がることを邪魔しに他の攻略キャラ達がとっかえひっかえ訪ねてくるせいで(上手く選択すれば同時攻略も可能だけどしないけどね)、勉学に勤しむ時間が取れなくなるのは確実だろう。
〔魔法薬剤師〕の免許が取れなくなるどころか現実はもっと深刻で、私は国からのお達しで自分が持つ膨大な魔力の制御方法を身に付ける為にこの学院に来たのだ。
それなのにギル様が光って見えるとか…このまま行けば攻略キャラ達が私の学ぶ時間を尽く邪魔しにくることになる。
(…ははは…国が滅ぶ未来しか想像できないわ…。‥っっ‥ゔぇ‥。)
あまりの重圧に吐き気がこみ上げてきたし…。
てゆーか、さっきからまるで警告のように悪寒が止まらない上に、幻聴まで聴こえ始めた。
(このBGMは…嘘でしょ。。)
本当にこの世界が青Fどおりなら、このまま進めばギル様との【恋愛ルート】に入る筈だけど、私はまだ何も選択してないし、【Happy End】か【Normal End】だって可能性はある筈なのに、何でか今、私の耳には青Fで【Bad End】を迎えた時に流れるBGMが聴こえている。
(…なるほど‥これはアレだ。“心胆を寒からしめる”展開ってヤツだわ…。)
私は今、心の奥底から恐怖を感じている。
このBGMが聴こえるってことは、
予想どおり『私が創世神様から干渉を受けてる』ことがこれで決定した訳だ。
でもって、創世神様は神の声が聴こえない私に『このまま進むのはヤバい』と、幻聴で警告してきてると考えていいだろう。
(フフフ…なんて一方的な御指示なんでしょ~。私が神様から受ける巻き込まれるだけの対価って一体何なんでしょ~かね~…ウフフフフ…。)
って、客観視してる場合じゃないんだけどね。
そうでもしないと倒れてしまいそうなんだもん。
クッソ笑えない状況なのに、悪寒のせいで膝が笑って立ってるのもやっとだし、なんかもう自分の運命に、この状況に、泣くの通り越していっそ笑えてきたわ、ははは‥ハァ。。
…─────決めた。
顔を覆った両手を外す流れで、私は指先で両瞼を外側に引っ張り涙を拭い去った。
それから俯いた顔をゆっくりと上げた。
エステル様の背中越しに、もう一度しっかりと彼等を──ギル様を見据えて考える。
(明日にでも街の教会に行って、神父さんに〔神降ろし〕ができる神官様を紹介してもらおう。)
それなりのお布施料がかかるけど、我が家に貯金は全然無いけど、国が滅ぶ可能性があるんだ。四の五の言ってらんない。
こうなったら創世神様の意図を訊きに行くしかない。
今日帰ったら両親や兄に相談しよう。うん。
(ってことで…しっかりしろよ、私!!!)
私は自分に一喝することで気合いを入れ直した。
(とにかく今は何とかしてギル様の【恋愛ルート】に入る[フラグ]をへし折らないと!)
せめてギル様と関わることだけは回避しなきゃ、まずはそこからだ!
(えーと、えーとっ‥。)
私は回らない頭を無理やり回転させて、何とか[フラグ]回避する策を絞り出そうと、今までの経緯を振り返った。
(───なにか、何かないのかっ‥‥。)
冷黒王子と関わる[フラグ]を回避するのはもう無理だ。
王子とは“渡り廊下”で衝突してるし、私が〔読心〕の能力者だと王子にはバレてるしで、既に私と王子の間には[フラグ]が立ってるだろう。
(だからこそ王子が[裏庭]に来たんだろうしね‥。)
ってことで、今から王子の[フラグ]を回避するのは難易度“高”だから王子の件は後回しだ。
それを踏まえてギル様と関わる[フラグ]を回避するには…ううぅん…回避策、回避策‥。
・・回避・・・え‥?
(ちょ‥ちょっと待って…‥。)
ちょーーーーーーっと待って。
…王子の護衛を任されてるギル様は、
王子に紐付いてる人だから…
冷黒王子と関わる[フラグ]が立ってるなら……
(ギル様と関わる[フラグ]も、立ってることになるんじゃあ…。)
‥え、え、そんな……
(待て待て待て待て!ちょーーーーっと待て!!)
────まだ結論を出すのは早い。
‥そうだよ。だって…
“私は今、ギル様から目を逸らされてる。”
目を逸らされてるってことは、
(『ギル様も私と関わりたくない』意思表示とも取れるよね?)
もしもギル様が私と関わりたくないって思ってるんなら‥。
(このまま見つめてれば…───睨まれるはず。)
そう考えつつ、暫くギル様を見つめていると…
ギル様の目線が、
スゥ・・・と、私の方へ静かに向いて・・・・
(───…え‥なんで笑───‥。。)
ズキンッ
(‥痛っ‥‥)
…へ?
なにこれ…どういうこと??
─────────────────────
今、私に向かって
ギル様が笑った、あの顔は────。
─────────────────────
(まるで私を、挑発するかのように、笑われたのは…。)
しかも今度は目線を外された後、まるで不満だとでも言うかのような『憮然とした顔』で王子を守るように立ち直されたのだ。
(───これは‥‥ちょっとマズい展開になったんではなかろうか…。)
…あ‥やばい。。
冷黒王子がギル様になんか話しかけてる。
うわ、ちょっ‥王子から黒いオーラが立ち昇ってるんですけど!?
(えっ‥何でギル様しょげてるの!?)
ってか、王子がギル様の肩を叩いて何か言って…
───ヒッ!王子の黒いオーラが濃くなった!!?
───ひぇ!王子がこっち見たし!!!
(───!??!?!?!?!)
な、なん、なんで、王子がこっち見て‥
王子が‥冷黒王子が‥極上の笑顔で・・・
わーーらーーわーーれーーたーーーっっ!!!!
冷黒王子は───うん。
さすがは王族の血筋だ、半端なく顔が良い。
でも光ってない。
で、王子の隣に居る[宮廷魔導士]クリストファ-エイベル・ドートンは───‥うん、光ってない。
やっぱり〈ギル様〉だけが光って見える。
つまりこの現象は、私が過去の記憶に引き摺られていると判断していいだろう。しかも現在進行系で危険度MAX状態だ。
(‥うん、マジ泣きしそうだわ…いやもう泣いてるか…。)
口は笑ってるのに涙が出るってどんな状況だよ。
あぁ、おかし過ぎる状況だったわ…。
今の私は両手で顔を覆って俯いてる。
それで、エステル様の後ろにピッタリくっ付く感じで隠れてるから、私の情けない泣き顔は誰からも見られる心配はないんだけど。
いやもうね‥そんなん気にしてられないくらい、私の心はキャパオーバーだよ…ううぅ。。
(何で一人だけ光って見えるの…何で〈ギル様〉なの…てゆーかこの現象はあんまりにも酷すぎるよ、創世神様…。)
いくら私が前世で得た青Fの記憶を取り戻したからって、私はつい最近まで普通にこの世界でリリアン-フォートレックとして生きてきたのだ。
過去の私が持ち得なかった、今の私が培ってきた想いがあるんだよ。
それなのに光希が青Fの攻略キャラの中で一番熱を上げてたギル様が光って見えるとか…こんなの、強制的に相手を意識してしまう[魅了]の魔術を掛けられたも同然じゃんか……。
(……‥‥ん?)
んんんん???
ちょっと待てよ。
ついさっき私が否定した、“私が気づかない間に何者かに[魅了]の魔術をかけられてて、それで視界がおかしくなった”可能性。
さっきは〈晶鏡石〉ありきで考えられる線から除外したけど、神の御業なら?
──────答えは『できる』だ。
(‥うっそ…‥マジで…?)
いやいや‥ええぇーーー…マジで??
でもでも、考えてみれば私が前世の記憶を取り戻したのだって、神様が必要があったからそうしたとしか考えられない覚醒の仕方だったし…。
(そっか‥そういうことか…なるほどね…。)
この、“人が光って見える”不可解な現象は、光希の好みと私の好みが同じだからって線よりも、神の御業の方が説明がつくわ…。
あーーーーでもそうと分かれば、自分の意志に関係なく勝手に心を操られてる感じがして、正直すごく嫌な気分がしてきたわ…。
(・・・あぁも~~~っ! 創世神様の人でなしぃぃ~~~~っっ)
神様が人ではないのは知ってるけど、私だって神様にこんな八つ当たりみたいなこと言いたくないけど!
私が青Fと酷似した世界に転生したのは、しかも私の前世の記憶が蘇ったのは、絶対に神様的な理由があるからだと私の第六感が伝えてくるのだ。
じゃあその理由は何ぞや?って考えたら。
この世界を生み出した、この世界の唯一神である創世神様が理由を知ってる筈なのだ。
創世神様は人々の信仰の対象ではあるけれど、本来なら只々この世界の行く末を見守る存在でしかない。
でも今の私の状況を考えたら、創世神様は見守る一線を確実に越えて、私という個体に干渉してきてるのは明らかだ。
そうまでして理由が無い筈ないでしょ。
───だったら言わせてもらう。
私が創世神様に何らかの役割を課せられてこの世界に転生させられたのだとして。
私はその役割や理由を一切『知らされていない』のに、どう汲み取れと?
私は〔読心〕の能力は持っていても、神様の声は聴こえない。
知らないし聴こえないということは、理不尽にだって思うし、役割や理由が分からなければ、今後も私は神様のいいように振り回されるしかないってことだ。
( ‥ッッ…。)
あまりの理不尽さに嗚咽が漏れそうになって、慌てて呑み込んだ。
(‥───これが窮地に立たされるってヤツか‥‥。)
本来なら希望に満ちて入学する筈だった[王立アカデミー学院]が、今や魔窟さながらだよ。
(っとに…私の記憶を蘇らせる必要があったんなら、同時に役割と理由も伝えろってんだ…。)
え?神様に対して口が悪すぎるって?
それぐらい今の私の心はヤサグレてるんだよ。
だって自分の意思に関係なく人が光って見えるんだよ?
しかもそれが光希が惚れ込んでた〈ギル様〉だよ?
この現状から導き出される【恋愛ルート】行きの未来を想像したら、ゾワゾワ悪寒がするし、今の気分は最っ高にド最悪だよ。
(あぁもう、ほんと何でギル様が光って見えるのか、せめて理由くらいは教えてよ創世神様ーーーーっっ)
私が不安視してる未来は単なる懸念で、私がギル様に絆されても、青Fどおりに【Happy End】を迎えられるのかもしれない。
だけど私の第六感は、“そう成らない”と告げている。
体中を駆け巡ってる悪寒が【Bad End】になると告げているのだ。
そりゃそうだろう。
青Fの【恋愛ルート】で【Happy End】や【Normal End】を迎えるのに一番重要な “相手に対する気持ち” が、私には全くないんだもの。
ギル様に思い入れがあったのは前世であって、
今世の私は『ギル様に何の思い入れもない』んだもの。
それなのにギル様が光って見えるとか…‥
(──あぁ~~~もう!どんな嫌がらせだよコンチクショーーーーッ!)
本来なら敬うべき神様に対して、怒り以外の感情が浮かばないんですけど!?
(創世神様はこのティタ二ア王国を滅ぼしたいんですかーーーーーっ!?)
私が持つ膨大な魔力は、魔力量を測ることに匙を投げられた途轍もない量なんだよ!
しかも私は〈晶鏡石〉を持ってても魔力制御が覚束無いんだよ!
私が〔読心〕の能力者だからか、〈晶鏡石〉でも私は感情の高ぶりが抑えきれずで、偶に自分の意志に関係なく魔法が発動したりするんだよ!
しかも発動する魔法が、いきなり転移したりされたり飛ばしたり物を壊したり溶けたり消えたりと効果が一定しないとくれば、どんなに私が危険人物か分かるでしょ知ってるでしょ創世神様は!?
で、私が光って見えてるギル様は、冷黒王子にとってもこの国にとってもめちゃくちゃ重要な人なんだよ!
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そんな大事な人に私が近づいて懇意になって、青Fのストーリーどおりにギル様が私を城に招きでもしたらさぁ!
国の中枢に一瞬で国を滅ぼす大爆弾を置くのと同義だし、下手すれば周辺国まで被害が及ぶよねぇ!?
だからこそ私は!私は…っっ
冷黒王子はもちろん、ギル様にも絶対に近づく訳にはいかないのに…っっ
どうしてギル様を光って見せる必要があるのか、ガチで教えてほしいんですけど!!
(───っっ ‥分かんないよ、創世神様…っっ。)
青Fでキーパーソンだった冷黒王子が光って見える方がまだ理由は想像できるわ、ハァ~…。
(こんな何もヒント無しで動けって、私にどうしろってゆーのさ…。)
…まぁ何にせよ今の私は自分の第六感を信じるしかないから、全力でギル様と関わることを避けるけどね…トホホ。。
(…やるしか無いのかぁ…ハァ~…。)
ギル様が光って見える今の状況を考えたら、どちらにしろ既に私は神様の術中に嵌ってて後には引けないんだ。
こうなったら冷黒王子よりもギル様と関わる[フラグ]を全力で回避しないと、青Fで言うところの【イチャラブ推進ストーリー】に私は飲み込まれて…結果、国が滅ぶ。
青Fどおりの【イチャラブ推進ストーリー】なら、主人公ポジションの私は誰かしらの【恋愛ルート】に入ったが最後、対象キャラの[好感度]が上がることを邪魔しに他の攻略キャラ達がとっかえひっかえ訪ねてくるせいで(上手く選択すれば同時攻略も可能だけどしないけどね)、勉学に勤しむ時間が取れなくなるのは確実だろう。
〔魔法薬剤師〕の免許が取れなくなるどころか現実はもっと深刻で、私は国からのお達しで自分が持つ膨大な魔力の制御方法を身に付ける為にこの学院に来たのだ。
それなのにギル様が光って見えるとか…このまま行けば攻略キャラ達が私の学ぶ時間を尽く邪魔しにくることになる。
(…ははは…国が滅ぶ未来しか想像できないわ…。‥っっ‥ゔぇ‥。)
あまりの重圧に吐き気がこみ上げてきたし…。
てゆーか、さっきからまるで警告のように悪寒が止まらない上に、幻聴まで聴こえ始めた。
(このBGMは…嘘でしょ。。)
本当にこの世界が青Fどおりなら、このまま進めばギル様との【恋愛ルート】に入る筈だけど、私はまだ何も選択してないし、【Happy End】か【Normal End】だって可能性はある筈なのに、何でか今、私の耳には青Fで【Bad End】を迎えた時に流れるBGMが聴こえている。
(…なるほど‥これはアレだ。“心胆を寒からしめる”展開ってヤツだわ…。)
私は今、心の奥底から恐怖を感じている。
このBGMが聴こえるってことは、
予想どおり『私が創世神様から干渉を受けてる』ことがこれで決定した訳だ。
でもって、創世神様は神の声が聴こえない私に『このまま進むのはヤバい』と、幻聴で警告してきてると考えていいだろう。
(フフフ…なんて一方的な御指示なんでしょ~。私が神様から受ける巻き込まれるだけの対価って一体何なんでしょ~かね~…ウフフフフ…。)
って、客観視してる場合じゃないんだけどね。
そうでもしないと倒れてしまいそうなんだもん。
クッソ笑えない状況なのに、悪寒のせいで膝が笑って立ってるのもやっとだし、なんかもう自分の運命に、この状況に、泣くの通り越していっそ笑えてきたわ、ははは‥ハァ。。
…─────決めた。
顔を覆った両手を外す流れで、私は指先で両瞼を外側に引っ張り涙を拭い去った。
それから俯いた顔をゆっくりと上げた。
エステル様の背中越しに、もう一度しっかりと彼等を──ギル様を見据えて考える。
(明日にでも街の教会に行って、神父さんに〔神降ろし〕ができる神官様を紹介してもらおう。)
それなりのお布施料がかかるけど、我が家に貯金は全然無いけど、国が滅ぶ可能性があるんだ。四の五の言ってらんない。
こうなったら創世神様の意図を訊きに行くしかない。
今日帰ったら両親や兄に相談しよう。うん。
(ってことで…しっかりしろよ、私!!!)
私は自分に一喝することで気合いを入れ直した。
(とにかく今は何とかしてギル様の【恋愛ルート】に入る[フラグ]をへし折らないと!)
せめてギル様と関わることだけは回避しなきゃ、まずはそこからだ!
(えーと、えーとっ‥。)
私は回らない頭を無理やり回転させて、何とか[フラグ]回避する策を絞り出そうと、今までの経緯を振り返った。
(───なにか、何かないのかっ‥‥。)
冷黒王子と関わる[フラグ]を回避するのはもう無理だ。
王子とは“渡り廊下”で衝突してるし、私が〔読心〕の能力者だと王子にはバレてるしで、既に私と王子の間には[フラグ]が立ってるだろう。
(だからこそ王子が[裏庭]に来たんだろうしね‥。)
ってことで、今から王子の[フラグ]を回避するのは難易度“高”だから王子の件は後回しだ。
それを踏まえてギル様と関わる[フラグ]を回避するには…ううぅん…回避策、回避策‥。
・・回避・・・え‥?
(ちょ‥ちょっと待って…‥。)
ちょーーーーーーっと待って。
…王子の護衛を任されてるギル様は、
王子に紐付いてる人だから…
冷黒王子と関わる[フラグ]が立ってるなら……
(ギル様と関わる[フラグ]も、立ってることになるんじゃあ…。)
‥え、え、そんな……
(待て待て待て待て!ちょーーーーっと待て!!)
────まだ結論を出すのは早い。
‥そうだよ。だって…
“私は今、ギル様から目を逸らされてる。”
目を逸らされてるってことは、
(『ギル様も私と関わりたくない』意思表示とも取れるよね?)
もしもギル様が私と関わりたくないって思ってるんなら‥。
(このまま見つめてれば…───睨まれるはず。)
そう考えつつ、暫くギル様を見つめていると…
ギル様の目線が、
スゥ・・・と、私の方へ静かに向いて・・・・
(───…え‥なんで笑───‥。。)
ズキンッ
(‥痛っ‥‥)
…へ?
なにこれ…どういうこと??
─────────────────────
今、私に向かって
ギル様が笑った、あの顔は────。
─────────────────────
(まるで私を、挑発するかのように、笑われたのは…。)
しかも今度は目線を外された後、まるで不満だとでも言うかのような『憮然とした顔』で王子を守るように立ち直されたのだ。
(───これは‥‥ちょっとマズい展開になったんではなかろうか…。)
…あ‥やばい。。
冷黒王子がギル様になんか話しかけてる。
うわ、ちょっ‥王子から黒いオーラが立ち昇ってるんですけど!?
(えっ‥何でギル様しょげてるの!?)
ってか、王子がギル様の肩を叩いて何か言って…
───ヒッ!王子の黒いオーラが濃くなった!!?
───ひぇ!王子がこっち見たし!!!
(───!??!?!?!?!)
な、なん、なんで、王子がこっち見て‥
王子が‥冷黒王子が‥極上の笑顔で・・・
わーーらーーわーーれーーたーーーっっ!!!!
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