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夜明けの光が、浄化された谷をすみずみまで照らし出していく。
あれほど満ちていた禍々しい気配は嘘のように消え去り、高峰には本来の澄み切った空気が戻っていた。
けれど、勝利の余韻に浸っている暇は私たちにはなかった。
「エル、動かせますか。一度、洞窟へ戻りましょう。あなたの傷の手当てが最優先です」
「…ああ、大したことはない。少し魔力に酔っただけだ」
彼はそう強がりを言うけれど、その顔色は明らかに悪く、私の肩を借りなければ立ち上がることすらままならないようだった。
背中の傷は、私の儀式の光である程度は浄化されたものの、邪悪な術の痕跡が色濃く残っている。
これを放置すれば、彼の生命力に関わるだろう。
私たちは互いの体を支え合うようにして、ゆっくりとイグニス様が眠る洞窟へと戻った。
洞窟の中は外の寒さが嘘のように、イグニス様の吐息でほんのりと温かい。
その温かさが、今は心細い私たちにとって何よりの救いだった。
私はエルを入り口近くの岩壁に寄りかからせ、彼の装束を慎重に脱がせていく。
露わになった背中の傷は、やはり痛々しいものだった。
紫黒に変色し、まるで焼け爛れたようになっている。
「…ひどい」
「見るな。これくらい、番人にとってはかすり傷だ」
彼はぶっきらぼうに言うけれど、その額には脂汗がびっしりと浮かんでいた。
私は何も言わずに鞄から治療道具一式を取り出す。
これは竜葬司の仕事道具の一つで、万が一、儀式の途中で不浄な魔力に触れてしまった時のための自己治療用の道具だ。
まさかそれを、他の誰かのために使う日が来るとは思わなかった。
私はまず、清浄な布を雪解け水で湿らせ、傷の周りの汚れを丁寧に拭っていく。
私の指が触れるたびに、彼の肩がびくりと震えるのが分かった。
「痛みますか?」
「…いや、大丈夫だ」
短い返事だったが、その声が微かに震えているのを私は聞き逃さなかった。
いつも傲岸不遜で自信に満ち溢れている彼が、今はひどく弱っている。
そのことが、なぜか私の胸を強く締め付けた。
守ってあげなければ、と。私が、この人を。
汚れを拭き終えると、私は小さなすり鉢を取り出した。
中に入れるのは、この高峰でしか採れないという三種類の貴重な薬草。
一つは強力な解毒作用を持つ「月影草」。一つは細胞の再生を促す「竜血石のかけら」。そして最後の一つが、あらゆる邪気を払うという希少な「陽光苔」。
これらを竜の骨から削り出したすりこぎで、丁寧にすり潰していく。
薬草が混ざり合うにつれて、心を落ち着かせるような爽やかな香りが立ち上り始めた。
これは竜葬司の師から、直接受け継いだ秘伝の軟膏のレシピだ。
「それは、一体何をしているんだ」
背後から、エルの訝しげな声がする。
「傷薬です。邪な魔力による傷はただの薬では治りません。その根源にある呪いを、浄化する必要があるんです」
「…そんなことまでできるのか。竜葬司というのは」
「ええ。私たちの仕事は常に死と、それが孕む穢れと隣り合わせですから。自分を守る術も仕事のうちなんです」
私は出来上がった鮮やかな緑色の軟膏を指に取り、彼の傷口へと優しく塗り込んでいく。
ひんやりとした軟膏が、彼の熱を持った肌にそっと触れた。
「――っ」
彼が息を呑む。
「しみますか?」
「いや…なんだか温かいものが、体の中へ入ってくるようだ…」
軟膏に込められた浄化の力が彼を蝕んでいた呪いを中和し、生命力を活性化させているのだ。
紫黒に変色していた傷口が、少しずつ元の肌の色を取り戻していくのが分かる。
私は彼の背中全体に軟膏を塗り終えると、その上から清浄な布を当てて包帯代わりにして固定した。
「よし、これで大丈夫でしょう。数日は安静にしていなければなりませんが、命に別状はありません」
私がそう言うと、彼はしばらく何も言わなかった。
やがて、ぽつりと呟く。
「…すまなかったな」
「え?」
「俺がもっとしっかりしていれば、お前にあんな無茶な儀式をさせずに済んだ。敵の一人を、お前のところまで行かせてしまった」
それは、彼からの初めての謝罪の言葉だった。
私は思わず、彼の顔を覗き込む。その瞳には、深い悔しさが滲んでいた。
「何を言うんですか。あなたは私を守ってくれたじゃないですか。あなたが盾になってくれなければ儀式は失敗し、私たちは二人とも今頃ここにはいませんでした」
「だが…」
「それに、作戦は成功しました。私たちは勝ったんです。二人で力を合わせて」
私がまっすぐに彼の目を見て言うと、彼はバツが悪そうに視線を逸らした。
そして、その耳がほんのりと赤く染まっているのに、私は気づいてしまった。
なんだかその反応が可愛らしくて、私の口元が自然と綻んでしまう。
「何がおかしいんだ」
「いえ、なんでも。それより何か口にしましょう。あなたも私も、ずっと食べず飲まずでしたから」
私は立ち上がると、洞窟の隅に置いてあった荷物から干し肉と固いパンを取り出した。
そして焚き火を起こし、雪を溶かして温かいスープを作る。
戦いの後、こうして誰かのために食事の準備をするのは初めての経験だった。
不思議とその作業は少しも苦ではなく、むしろ心が満たされていくような温かい気持ちになる。
やがて出来上がった質素な食事を、私たちは並んで食べた。
エルはよほどお腹が空いていたのか、無言で夢中になってスープを啜っている。
その姿は少しだけ、子供っぽく見えた。
「…なあ、リーナ」
食事を終えた彼が、唐突に口を開いた。
「あの術師たち、いったい何者だったんだろうな。あんな大掛かりな儀式までして、竜の魔力を狙うなんて」
その問いに、私の心も曇る。
「分かりません。ですが彼らのやり方はとても手慣れているように見えました。おそらく、竜の力を狙う闇の集団…そういう組織なのでしょう」
竜葬司の間で、そんな噂を聞いたことがあった。竜の死は莫大な富を生む。その亡骸から作られる武具や薬品は法外な値段で取引され、その利権を狙う非合法な組織が存在する、と。
「奴ら、また来るだろうか」
「可能性は高いと思います。一度は失敗しましたが、彼らは諦めないでしょう。イグニス様が、その時を迎えるまで…」
私たちの戦いは、まだ終わってはいないのだ。
その事実に、私たちは改めて気を引き締める。
「でも、次はもっとうまくやれるはずです。私たちは、もう一人じゃありませんから」
私がそう言って微笑むと、エルは少し驚いたような顔をして、そして、ふっと柔らかく笑った。
私が彼のその顔を見るのは、初めてだった。
「…そうだな」
その短い肯定の言葉に、どれだけの意味が込められているのか。
私にはそれが痛いほど分かった。
もう、あなたは私の敵じゃない。あなたは、私の大切な仲間だ、と。
その日の夜は、穏やかに過ぎていった。
私たちは洞窟の入り口で、並んで暖かな焚き火にあたっていた。
燃える炎の向こうに、満点の星空が広がっている。
「星が、きれいですね」
「ああ。この山から見る星が一番だ。イグニスも、よくそう言っていた」
彼は遠い目をして、空を見上げる。
その横顔はとても優しくて、そして、少しだけ寂しそうだった。
私は彼から、もっとイグニス様の話を聞いてみたくなった。
彼が愛した友の話を。そして、私の知らない、生きていた頃の竜の話を。
「エル」
「なんだ」
「また、聞かせてください。イグニス様のこと」
私の言葉に、彼は少しだけ驚いたように私を見た。
そして、本当に嬉しそうに頷いた。
「ああ。いくらでも、話してやる」
その約束が、たまらなく嬉しかった。
凍てつく高峰の上で、私たちは確かに、二人だけではなかった。
死にゆく竜の大きな存在が、そして、これから生まれるであろう新しい絆が、私たちを温かく包んでくれている。
そんな気がした、夜だった。
あれほど満ちていた禍々しい気配は嘘のように消え去り、高峰には本来の澄み切った空気が戻っていた。
けれど、勝利の余韻に浸っている暇は私たちにはなかった。
「エル、動かせますか。一度、洞窟へ戻りましょう。あなたの傷の手当てが最優先です」
「…ああ、大したことはない。少し魔力に酔っただけだ」
彼はそう強がりを言うけれど、その顔色は明らかに悪く、私の肩を借りなければ立ち上がることすらままならないようだった。
背中の傷は、私の儀式の光である程度は浄化されたものの、邪悪な術の痕跡が色濃く残っている。
これを放置すれば、彼の生命力に関わるだろう。
私たちは互いの体を支え合うようにして、ゆっくりとイグニス様が眠る洞窟へと戻った。
洞窟の中は外の寒さが嘘のように、イグニス様の吐息でほんのりと温かい。
その温かさが、今は心細い私たちにとって何よりの救いだった。
私はエルを入り口近くの岩壁に寄りかからせ、彼の装束を慎重に脱がせていく。
露わになった背中の傷は、やはり痛々しいものだった。
紫黒に変色し、まるで焼け爛れたようになっている。
「…ひどい」
「見るな。これくらい、番人にとってはかすり傷だ」
彼はぶっきらぼうに言うけれど、その額には脂汗がびっしりと浮かんでいた。
私は何も言わずに鞄から治療道具一式を取り出す。
これは竜葬司の仕事道具の一つで、万が一、儀式の途中で不浄な魔力に触れてしまった時のための自己治療用の道具だ。
まさかそれを、他の誰かのために使う日が来るとは思わなかった。
私はまず、清浄な布を雪解け水で湿らせ、傷の周りの汚れを丁寧に拭っていく。
私の指が触れるたびに、彼の肩がびくりと震えるのが分かった。
「痛みますか?」
「…いや、大丈夫だ」
短い返事だったが、その声が微かに震えているのを私は聞き逃さなかった。
いつも傲岸不遜で自信に満ち溢れている彼が、今はひどく弱っている。
そのことが、なぜか私の胸を強く締め付けた。
守ってあげなければ、と。私が、この人を。
汚れを拭き終えると、私は小さなすり鉢を取り出した。
中に入れるのは、この高峰でしか採れないという三種類の貴重な薬草。
一つは強力な解毒作用を持つ「月影草」。一つは細胞の再生を促す「竜血石のかけら」。そして最後の一つが、あらゆる邪気を払うという希少な「陽光苔」。
これらを竜の骨から削り出したすりこぎで、丁寧にすり潰していく。
薬草が混ざり合うにつれて、心を落ち着かせるような爽やかな香りが立ち上り始めた。
これは竜葬司の師から、直接受け継いだ秘伝の軟膏のレシピだ。
「それは、一体何をしているんだ」
背後から、エルの訝しげな声がする。
「傷薬です。邪な魔力による傷はただの薬では治りません。その根源にある呪いを、浄化する必要があるんです」
「…そんなことまでできるのか。竜葬司というのは」
「ええ。私たちの仕事は常に死と、それが孕む穢れと隣り合わせですから。自分を守る術も仕事のうちなんです」
私は出来上がった鮮やかな緑色の軟膏を指に取り、彼の傷口へと優しく塗り込んでいく。
ひんやりとした軟膏が、彼の熱を持った肌にそっと触れた。
「――っ」
彼が息を呑む。
「しみますか?」
「いや…なんだか温かいものが、体の中へ入ってくるようだ…」
軟膏に込められた浄化の力が彼を蝕んでいた呪いを中和し、生命力を活性化させているのだ。
紫黒に変色していた傷口が、少しずつ元の肌の色を取り戻していくのが分かる。
私は彼の背中全体に軟膏を塗り終えると、その上から清浄な布を当てて包帯代わりにして固定した。
「よし、これで大丈夫でしょう。数日は安静にしていなければなりませんが、命に別状はありません」
私がそう言うと、彼はしばらく何も言わなかった。
やがて、ぽつりと呟く。
「…すまなかったな」
「え?」
「俺がもっとしっかりしていれば、お前にあんな無茶な儀式をさせずに済んだ。敵の一人を、お前のところまで行かせてしまった」
それは、彼からの初めての謝罪の言葉だった。
私は思わず、彼の顔を覗き込む。その瞳には、深い悔しさが滲んでいた。
「何を言うんですか。あなたは私を守ってくれたじゃないですか。あなたが盾になってくれなければ儀式は失敗し、私たちは二人とも今頃ここにはいませんでした」
「だが…」
「それに、作戦は成功しました。私たちは勝ったんです。二人で力を合わせて」
私がまっすぐに彼の目を見て言うと、彼はバツが悪そうに視線を逸らした。
そして、その耳がほんのりと赤く染まっているのに、私は気づいてしまった。
なんだかその反応が可愛らしくて、私の口元が自然と綻んでしまう。
「何がおかしいんだ」
「いえ、なんでも。それより何か口にしましょう。あなたも私も、ずっと食べず飲まずでしたから」
私は立ち上がると、洞窟の隅に置いてあった荷物から干し肉と固いパンを取り出した。
そして焚き火を起こし、雪を溶かして温かいスープを作る。
戦いの後、こうして誰かのために食事の準備をするのは初めての経験だった。
不思議とその作業は少しも苦ではなく、むしろ心が満たされていくような温かい気持ちになる。
やがて出来上がった質素な食事を、私たちは並んで食べた。
エルはよほどお腹が空いていたのか、無言で夢中になってスープを啜っている。
その姿は少しだけ、子供っぽく見えた。
「…なあ、リーナ」
食事を終えた彼が、唐突に口を開いた。
「あの術師たち、いったい何者だったんだろうな。あんな大掛かりな儀式までして、竜の魔力を狙うなんて」
その問いに、私の心も曇る。
「分かりません。ですが彼らのやり方はとても手慣れているように見えました。おそらく、竜の力を狙う闇の集団…そういう組織なのでしょう」
竜葬司の間で、そんな噂を聞いたことがあった。竜の死は莫大な富を生む。その亡骸から作られる武具や薬品は法外な値段で取引され、その利権を狙う非合法な組織が存在する、と。
「奴ら、また来るだろうか」
「可能性は高いと思います。一度は失敗しましたが、彼らは諦めないでしょう。イグニス様が、その時を迎えるまで…」
私たちの戦いは、まだ終わってはいないのだ。
その事実に、私たちは改めて気を引き締める。
「でも、次はもっとうまくやれるはずです。私たちは、もう一人じゃありませんから」
私がそう言って微笑むと、エルは少し驚いたような顔をして、そして、ふっと柔らかく笑った。
私が彼のその顔を見るのは、初めてだった。
「…そうだな」
その短い肯定の言葉に、どれだけの意味が込められているのか。
私にはそれが痛いほど分かった。
もう、あなたは私の敵じゃない。あなたは、私の大切な仲間だ、と。
その日の夜は、穏やかに過ぎていった。
私たちは洞窟の入り口で、並んで暖かな焚き火にあたっていた。
燃える炎の向こうに、満点の星空が広がっている。
「星が、きれいですね」
「ああ。この山から見る星が一番だ。イグニスも、よくそう言っていた」
彼は遠い目をして、空を見上げる。
その横顔はとても優しくて、そして、少しだけ寂しそうだった。
私は彼から、もっとイグニス様の話を聞いてみたくなった。
彼が愛した友の話を。そして、私の知らない、生きていた頃の竜の話を。
「エル」
「なんだ」
「また、聞かせてください。イグニス様のこと」
私の言葉に、彼は少しだけ驚いたように私を見た。
そして、本当に嬉しそうに頷いた。
「ああ。いくらでも、話してやる」
その約束が、たまらなく嬉しかった。
凍てつく高峰の上で、私たちは確かに、二人だけではなかった。
死にゆく竜の大きな存在が、そして、これから生まれるであろう新しい絆が、私たちを温かく包んでくれている。
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