動物園の飼育員だった青年、相馬 優(そうま ゆう)は、神様のうっかりミスで命を落としてしまう。
お詫びとして、彼は異世界への転生と一つのユニークスキルを授けられた。そのスキルは【万物言語理解】。どんな生き物とも言葉を交わせるという、一見戦闘には役立たない地味な能力だった。
「ユウ」として異世界の森で目覚めた彼は、そこで親を失ったらしい魔物の赤ちゃんたち――トカゲ、スライム、子犬――を発見する。前世の知識と飼育員としての使命感から、彼は赤ちゃんたちを保護し、育てることを決意。
スキルのおかげで「お腹すいた!」「もっと遊んで!」という彼らの言葉は筒抜け。ユウは専門知識を活かして栄養バランスの取れた餌を作り、適切な環境を整え、愛情を注いでいく。
しかし、彼が育てている魔物たちは、実は世界を揺るがすほどの伝説級の魔獣だった。ユウはただの動物のお世話をしているだけなのに、周囲からは「伝説の魔獣たちを従える、史上最強のテイマー」だととんでもない勘違いをされていく。
文字数 88,657
最終更新日 2025.12.05
登録日 2025.11.08
宮廷料理人のリオは、彩りや見た目の華やかさばかりを重視する王侯貴族たちから「地味で工夫がない」と罵られ、宮廷を追放されてしまう。
失意のまま辺境の街に流れ着いた彼は、日銭を稼ぐため、得意だった保存食――干し肉や乾燥果物、岩のように硬いが栄養価の高いパン――を作って冒険者ギルドの片隅で売り始める。
すると、それを食べた冒険者たちの間で「疲労が一瞬で吹き飛ぶ」「瀕死の重傷から回復した」「魔力が劇的に向上する」と謎の噂が広がり始めた。リオの作る「ただの保存食」は、いつしか伝説の回復薬やドーピングアイテムとして扱われ、彼の店にはSランク冒険者が行列を作る事態に。
一方その頃、リオを追い出した宮廷では、栄養バランスの悪い食事のせいで騎士たちの能力が著しく低下し、大問題となっていた。
文字数 72,497
最終更新日 2025.12.02
登録日 2025.11.08
「役立たずの土いじりスキルめ、お前は今日でクビだ!」
勇者パーティーを支援する荷物持ちだった青年、カイン。
彼が持つスキル【家庭菜園】は、ただ作物を育てるだけの外れスキルだと、仲間から蔑まれダンジョンに置き去りにされてしまう。
命からがら森の奥へ逃げ延びたカインは、どうせなら静かに自給自足のスローライフを送ろうと決意し、スキルを発動させる。
すると、畑から生えてきたのは伝説の回復薬「世界樹の葉」や、最強の金属「オリハルコン」だった。
カイン自身はそれが凄いものだと知らず、「この葉っぱ、やけに元気になるな」「この芋、妙に硬くて食べられないや」と首をかしげるばかり。
しかし、彼が捨てた硬い芋を拾った騎士はそれが聖剣の原料だと気づき、カインの作ったハーブティーを飲んだ瀕死の聖女は全快してしまう。
噂は瞬く間に広がり、カインの畑には彼を神の使いだと崇める者たちが集い始める。
本人の知らないところで、小さな畑は聖地となり、やがて国をも揺るがす存在へと発展していくのだった。
文字数 83,453
最終更新日 2025.12.02
登録日 2025.11.08
過労死した日本のサラリーマンが目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界。
しかも、人間と敵対する魔王軍の参謀ヴァイスとして転生していた。
彼が配属された部隊は、根性論がまかり通り、非効率な作戦で兵士たちが疲弊しきったブラックな職場そのものだった。
前世のトラウマが蘇ったヴァイスは、自身の命と健康を守るため、魔王軍の職場改革に乗り出す。
「定時連絡の徹底」「兵站管理の合理化」「傷痍軍人への手厚い福利厚生」「有給休暇制度の導入」。
前世の社畜スキルを活かした改革は、兵士たちの士気を劇的に向上させ、魔王軍全体の戦闘力を飛躍的に高めてしまう。
ヴァイス本人は、ただホワイトな環境で定時に帰りたいだけなのだが、その合理的すぎる施策は魔王や他の幹部たちから「人間の心理を読み切り、最小の犠牲で最大の戦果を挙げる冷酷非道な策略」と勘違いされていく。
いつしか彼は恐怖と尊敬の対象となり、魔王からは絶大な信頼と寵愛を受けることになるのだった。
文字数 37,363
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
宮廷錬金術師のリリアーナは、地味で役に立たないとされたスキル【万物解析】を理由に、無能の烙印を押されて王都から追放されてしまう。
心機一転、彼女は静かな暮らしを求めて辺境の町で小さな素材屋を開くことにした。
しかし、あらゆる物の情報、最適な加工法、未知の特性までも見抜く彼女のスキルは、素材屋稼業で真価を発揮する。
ただの薬草から高純度のポーションの材料を見抜き、鉄クズと思われた鉱石から希少な魔法金属を特定するリリアーナの店は、瞬く間に冒険者たちの間で評判となった。
さらに彼女の解析は、人の隠れた才能すら見抜くことができたため、リリアーナのアドバイスで覚醒した冒険者たちが次々と現れる。
リリアーナ本人は店の経営に夢中なだけだったが、気づけば彼女の店は大陸中の富と情報、そして伝説級の素材が集まる拠点となっていた。
その一方で、有能な彼女を失った王国は深刻な素材不足に陥り、国力がみるみるうちに傾き始めていたのだった。
文字数 35,530
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
「どうしてこうなった……」
俺、相川徹は、ヒロインが全員不幸になることで有名な鬱ゲー『堕天のアークナイト』の世界に、名もなきモブ兵士「トール」として転生してしまった。
この世界で生き残る唯一の希望は、誰も気づかなかったゲームの仕様――「敵の殺意が高いほど、こちらの防御力が無限に上昇する」という、ドM専用の隠しスキルだけ。
俺はこのスキルと原作知識を武器に、聖女が火あぶりにされる運命を覆し、呪われた王女を救い、裏切られる女騎士を助けるなど、次々と悲劇のルートを破壊していった。
もちろん、すべては俺が安らかに余生を送るため。感謝なんてされなくてもいい。
だが、救われたヒロインたちは俺の異常な防御力を「全てを受け止めてくれる神の力」だと勘違い。いつしか俺を神と崇めるヤンデレ親衛隊を結成し、俺に近づく者すべてを「害虫」として排除し始めた。
原作のラスボスより、明らかに君たちの方が怖い。頼むから、俺をそっとしておいてくれ!
文字数 38,567
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
前世でやり込んだ同人ゲーム『堕天のアストライア』。それは、登場人物のほとんどが裏切りや絶望の果てに死ぬか、精神が壊れるかで終わる超絶鬱ゲーだった。
そんな世界に、名前すらないモブ貴族の三男として転生してしまった俺。どうせなら、前世で一番好きだったヒロイン『リリアナ』だけでも救いたい。幸い、俺には全ての破滅フラグを回避できる『原作知識』がある。
正体を隠し、偶然を装い、彼女に降りかかる不幸をこっそり潰していく。順調に彼女の未来が明るい方へ向かうことに安堵していた俺だったが、ある時から様子がおかしくなっていく。
「また“偶然”助けてくださったのですね」「あなたの“計画”通り、私は幸せです」「さあ、次は誰を“排除”しますか?」
俺の行動は全て、何か巨大な目的を達成するための布石だと勘違いされ、救ったはずのヒロインや攻略対象者たちから、狂信的な執着を向けられるようになっていた。俺はただの親切なモブだ。誰か信じてくれ!
文字数 42,683
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
スキルが全てのこの世界で、僕が授かったのは【全自動】という謎のスキルだった。
何の効果もない外れスキルだと馬鹿にされ、役立たずとして故郷の村から追放されてしまう。
途方に暮れた僕は、とりあえず森で眠ることにした。
すると、翌朝。なぜかレベルが大幅に上がっていたのだ。
そう、僕のスキルは、睡眠中にあらゆる行動を「全自動」で行い、経験値を稼ぎ続けるというとんでもないチートスキルだったのである。
寝れば寝るほど強くなる。そんな都合のいい力に戸惑いながらも、僕は自由な冒険者としての生活をスタートさせる。
これは、寝ているだけで最強になった僕が、最高の仲間たちと出会い、美味しいものを食べて、たまに悪を討伐する、そんな気ままな旅の記録。
文字数 33,281
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
気が付いたら、前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢「イザベラ」に転生していた。
ヒロインをいじめ、王子に婚約破棄され、最後は国外追放される運命。普通なら絶望するところだけど……私、歓喜した。
社畜だった前世の記憶を持つ私にとって、貴族の窮屈な生活は地獄そのもの。
むしろシナリオ通りに追放されて、辺境でのんびり暮らす方がよっぽど幸せじゃない?
そうと決まれば、計画開始!
ゲーム知識を総動員して、わざとヒロインに嫌われるように動き、王子には呆れられるように振る舞う。全ては、穏やかなスローライフを手に入れるため!
なのに、なぜか私の行動は裏目に出てばかり。
ヒロインには「なんて不器用な優しさなの!」と懐かれ、冷酷なはずの王子には「君の本当の姿に気づいた」と執着される始末。
お願いだから、シナリオ通りに私を追放して!私の平穏な毎日を返して!
文字数 32,221
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
公爵家に生まれながら、魔力も剣才も持たないセレスティアは、家族から『ゴミ漁りの姫』と呼ばれ虐げられていた。
彼女は、ガラクタを拾い集める奇癖があったからだ。
ある日、濡れ衣を着せられた彼女は、ついに家を勘当されてしまう。
しかし、彼女の持つスキル【解析】は、物の構造や最適な加工法を一瞬で見抜く、世界でただ一つの生産系チート能力だった。
誰もが見向きもしないガラクタも、彼女の手にかかれば国宝級の魔道具に生まれ変わる。
自分の能力の価値に気づかぬまま、セレスティアは王都の路地裏で小さな道具屋を開く。
「こんな物でも、誰かの役に立てばいいな」と並べた品々は、やがて国中の権力者たちを巻き込む大騒動を引き起こしていく。
文字数 34,252
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
公爵令嬢のエレオノーラは、卒業パーティーの壇上で、婚約者である第一王子から罪状を突きつけられていた。
ここは、前世でプレイした乙女ゲームの世界。
そして今は、悪役令嬢である自分が断罪される、物語のクライマックスシーンだ。
しかし、彼女は絶望しなかった。
なぜなら、彼女の中身は法学部卒の日本人だったからだ。
ヒロインの涙ながらの訴えに対し、エレオノーラは叫ぶ。
「異議あり!その証言は伝聞であり、証拠能力は認められませんわ!」
次々と挙げられる罪状を、彼女は前世の法律知識でことごとく論破していく。
状況証拠の脆弱性、証言の矛盾、そして王子たちの思い込み。
華やかなパーティー会場は、いつしか厳粛な法廷の場と化す。
これは、ゲームの強制力に『法』という武器で立ち向かい、自らの無罪を証明する、一人の悪役令嬢の物語。
文字数 33,593
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
戦闘に役立たない【絶対解体】という地味なスキルしか持たなかった第二王女のソフィアは、家族や婚約者から「役立たず」と蔑まれ、ついに王家から追放されてしまう。
生きるためにギルドの解体士となった彼女だったが、そのスキルはただの解体能力ではなかった。
伝説級の魔獣であろうと、骨一本、皮一枚傷つけることなく完璧に解体し、最高品質の素材を瞬時に取り出すことができる、唯一無二のチートスキルだったのである。
ソフィアが解体した素材はあまりに高品質なため、市場で高値で取引されるようになる。
彼女は自分の力を信じてくれる仲間たちと共に商会を立ち上げ、その価値を認められ、やがて王国一の富を築き上げていく。
一方、ソフィアを追い出した王国は、質の悪い素材しか手に入らなくなり、経済も軍事力も徐々に衰退の一途を辿っていた。
文字数 35,692
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
王太子から身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢のセレスティア。
絶望のあまり気を失った彼女は、自分が現代日本で接客業のバイトリーダーだった前世を思い出す。
このままでは処刑は免れない。
処刑執行人として現れたのは、鉄仮面と名高い冷酷な騎士団長だった。
その時、セレスティアは新たな能力に目覚める。
それは、相手の自分に対する『好感度』が数値で見えるスキルだった。
騎士団長の好感度は絶望的な『2』。
死にたくない一心で、セレスティアは前世で培ったクレーム対応術と営業スマイルを駆使し、必死に彼の機嫌を取ろうと試みる。
しかし、その必死の行動が、周囲には「全てを見通す聖女の深慮遠謀」「民を思う慈愛の表れ」と次々に勘違いされていく。
本人はただ処刑を回避したいだけなのに、いつの間にか派閥争いを解決し、腐敗した貴族を断罪する救国の英雄に祭り上げられてしまい……!?
文字数 34,867
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.08
「君には何の価値もない」と、魔力至上主義の公爵家から追放された令嬢のエリアナ。
彼女は、前世が過労死したパティシエだった記憶を思い出し、第二の人生は誰にも縛られず、大好きな菓子作りをして静かに暮らそうと決意する。
唯一持っていたスキル【神の厨房(ゴッズ・キッチン)】を使い、森の奥で小さなカフェを開店。
訪れるのは、傷ついた動物や森の精霊たちだけ。
特製のハーブクッキーで魔獣を手懐け、栄養満点のフルーツタルトで精霊の機嫌を取りながら、のんびりとしたスローライフを満喫していた。
しかし、彼女の作るお菓子には、食べた者の傷を癒し、魔力を大幅に回復させるというとんでもない付与効果があったのだ。
その噂は瞬く間に広まり、やがて国最強の騎士団長や、不治の病に悩む王女様までが、彼女の作るケーキを求めて辺境の森までやってくるようになり……。
文字数 33,385
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.09
公爵令嬢のロザリアは、自分が乙女ゲームの悪役令嬢だと気づいた瞬間、全てを捨てて国外へ逃亡した。
王子との婚約、華やかな社交界、そして待ち受ける断罪エンド。
すべてから逃れるため、彼女は森の奥で静かに暮らすことを選んだ。
そんなある日、彼女は森の中で一人の赤ん坊を拾う。
その赤ん坊の首には、見覚えのあるペンダントが。
それは、ゲームのヒロインであり、将来自分を断罪する『聖女』の証だった。
「――詰んだわ、人生」
絶望するロザリアだったが、このまま放置すれば聖女は王国の暗部に利用され、もっと悲惨な未来が待っていることを知っていた。
そして何より、自分を殺す元凶になることも。
「こうなったら……私がこの子を育てるしかない!私を断罪できないくらい、私を大好きな子に!」
これは、破滅フラグを回避したいだけの悪役令嬢が、聖女を愛情と前世の知識で魔改造し、最強の娘に育て上げる物語。
母の愛は、やがて王国の運命すらも大きく変えていく。
文字数 33,535
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.09
侯爵令嬢のリディアは、あらゆる物事の「最適化」しかできない地味なスキルを理由に、役立たずの烙印を押され婚約者の王子から追放される。
与えられたのは、寂れた辺境の小さな家だけだった。
しかし彼女のスキルは、作物を育てれば最高品質になり、道具を直せば新品以上の性能になり、料理をすれば絶品になるという、生活に特化した超万能スキルだったのだ。
リディアは面倒事を嫌い、ただ快適な引きこもり生活を送りたいだけ。
それなのに、彼女の作るものが次々と評判を呼び、寂れた村はいつの間にか豊かな街へと発展していく。
一方、リディアを追放した王国では、あらゆるものの質が低下し、国力が衰退の一途を辿っていた。
全ては、国中のあらゆる物事を陰で「最適化」していたリディアがいなくなったせいだと、王国の人間はまだ誰も気づいていない。
文字数 36,594
最終更新日 2025.11.17
登録日 2025.11.09
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
文字数 157,358
最終更新日 2025.11.12
登録日 2025.10.01
公爵令嬢のリディアは、生まれつき魔力を持たない『無能』として、家族からも婚約者である第一王子からも虐げられる日々を送っていた。
ある日、絶大な魔力を持つ『聖女』が現れたことで、王子はリディアに婚約破棄を突きつけ、彼女を国外追放処分にする。
失意のどん底で、リディアは自分が理系研究者だった前世の記憶を思い出す。そして、この世界の『魔法』と呼ばれている現象が、前世の化学や物理の法則で説明できることに気づいてしまう。
追放先の辺境の地で、彼女は魔力ではなく『知識』を使い、生活を豊かにする画期的な道具を次々と開発。その技術は『失われた古代魔法』と噂になり、いつしか人々から本物の聖女よりも崇められる存在になっていく。
一方、リディアを追放した王国は、彼女が陰で支えていた魔法インフラが次々と崩壊し、衰退の一途を辿っていた。
文字数 131,446
最終更新日 2025.11.01
登録日 2025.10.01
エルミート王国の第七王女リリアーナは、王族でありながら魔力を持たない『無能』として生まれ、北の塔に長年幽閉されていた。
ある日、高熱で生死の境をさまよった彼女は、前世で臨床心理士(カウンセラー)だった記憶を取り戻す。
時を同じくして、リリアーナは厄介払いのように、魔物の跋扈する極寒の地を治める『氷の辺境伯』アシュトン・グレイウォールに嫁がされることが決定する。
死地へ送られるも同然の状況だったが、リリアーナは絶望しなかった。
彼女には、前世で培った心理学の知識と言葉の力があったからだ。
心を閉ざした辺境伯、戦争のトラウマに苦しむ騎士たち、貧困にあえぐ領民。
リリアーナは彼らの声に耳を傾け、その知識を駆使して一人ひとりの心を丁寧に癒していく。
やがて彼女の言葉は、ならず者集団と揶揄された騎士団を鉄の結束を誇る最強の部隊へと変え、痩せた辺境の地を着実に豊かな場所へと改革していくのだった。
文字数 132,337
最終更新日 2025.10.30
登録日 2025.10.01