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ブラック企業で身も心もすり減らした相馬蓮司(42歳)。
過労死の果てに辿り着いたのは、剣と魔法の異世界だった。
神様から「万能スキル」を押し付けられたものの、蓮司が選んだのは──戦いでも冒険でもない。
静かな辺境の村外れで、珈琲と煙草の店を開く。
作り出す珈琲は、病も呪いも吹き飛ばし、煙草は吸っただけで魔力上限を突破。
伝説級アイテム扱いされ、貴族も英雄も列をなすが──本人は、そんな騒ぎに興味なし。
「……うまい珈琲と煙草があれば、それでいい」
誰かと群れる気も、誰かに媚びる気もない。
ただ、自分のためだけに、今日も一杯と一服を楽しむ。
誰にも縛られず、誰にも迎合しない孤高のおっさんによる、異世界マイペースライフ、ここに開店!
文字数 124,943
最終更新日 2025.05.30
登録日 2025.05.12
わたくしの名は、エリス・フォン・グリムヴァルト。貴族としての礼儀作法よりも、魔力演算式と魔導理論が似合う超絶技巧の開発者。そんなわたくしが、ある日“辺境左遷”という処分を受けましたの。理由?上層部がわたくしの技術を理解できなかった、それだけのことでしてよ。
けれど、辺境とは実験天国。規制も監視も干渉もございませんわ。思う存分、わたくし好みの街を創り、技術を育て、好きなだけ世界をいじって遊べる、夢の楽園ですわね。
まずは村の衛生環境を、魔導濾過装置と抗菌水循環網で劇的改善。荒れた畑は魔導触媒と自動播種機で肥沃な楽園に早変わり。民たちはわたくしの魔具に目を丸くして跪き、ついには「神の使い」などと呼び始めましたけれど――ふふ、違いますわ。“神”ではなく、“革命者”ですのよ。
――これは、ひとりの宮廷令嬢が、技術と魔導で世界の常識を塗り替える物語。
ん?恋愛? そのうち、面白ければ考えて差し上げますわ。
その前にまずは、“未来”を再設計いたしましょうか。
世界よ、わたくしの好奇心に耐えられまして?
文字数 34,394
最終更新日 2025.05.30
登録日 2025.05.20
文化文政の江戸・深川。
人知れず佇む一軒の飯屋――『やわらぎ亭』。
暖簾を掲げるのは、元武家の娘・おし乃。
家も家族も失い、父の形見の包丁一つで町に飛び込んだ彼女は、
「旨い飯で人の心をほどく」を信条に、今日も竈に火を入れる。
常連は、職人、火消し、子どもたち、そして──町奉行・遠山金四郎!?
変装してまで通い詰めるその理由は、一膳に込められた想いと味。
鯛茶漬け、芋がらの煮物、あんこう鍋……
その料理の奥に、江戸の暮らしと誇りが宿る。
涙も笑いも、湯気とともに立ち上る。
これは、舌と心を温める、江戸人情グルメ劇。
文字数 35,962
最終更新日 2025.05.30
登録日 2025.05.16
夜会で父が失脚し、家は没落。屋敷の裏階段で滑り落ち、気づけば異世界――。
王国貴族だったアナスタシアが転移先で授かったのは、“極上調合”という紅茶とハーブのスキルだった。
戦う気はございませんの。復讐もざまぁも、疲れますわ。
彼女が選んだのは、湖畔の古びた小屋で静かにお茶を淹れること。
奇跡の一杯は病を癒やし、呪いを祓い、魔力を整える力を持つが、
彼女は誰にも媚びず、ただ静けさの中で湯気を楽しむのみ。
「お代は結構ですわ。……代わりに花と静寂を置いていってくださる?」
騎士も王女も英雄も訪れるが、彼女は気まぐれに一杯を淹れるだけ。
これは、香草と紅茶に囲まれた元令嬢の、優雅で自由な異世界スローライフ。
文字数 36,894
最終更新日 2025.05.30
登録日 2025.05.20
西暦1542年、三河国岡崎にて徳川家康が誕生する。
その裏で、密命が下された。「この子に影をつけよ」と――。
“影”とは、名もなき護衛。
表には決して現れず、命を懸けて主を守る存在。
それは徳川将軍十五代を陰から支え続けた、無名一族の記録なき使命だった。
斬り、隠れ、消え、そしてまた次の世代へと忠義は継がれる。
史実に名を刻まぬまま、彼らは日本の歴史そのものを裏から動かしてきたのだ。
これは、竹千代(家康)の誕生とともに始まった、
“徳川の影”と呼ばれる者たちの、血と忠の物語。
影の始まり、それは一人目・影之丞の足跡から――。
文字数 18,991
最終更新日 2025.05.28
登録日 2025.05.18
野盗に怯える農村。
頼るは、名を捨て誇りを失った三人の浪人。
その後ろを追うのは、剣も握れぬ十四の少年・宗次郎。
斬れぬ剣、未熟な心、それでも彼は憧れだけで前に立った。
冷めきった浪人たちの心に、少年の無垢な想いが火を灯す。
戦場で問われるのは、技ではない。命と心で斬る覚悟だ。
村のために戦う意味。
誰かを守るために剣を抜く重み。
宗次郎は、三人の侍に“戦うとは何か”を学んでいく。
そして、四人は共に立つ――
斬ることも、生きることも、まだ知らぬ“半人前”として。
これは、少年が侍になるまでの、始まりの剣の記録。
文字数 39,800
最終更新日 2025.05.27
登録日 2025.05.16
鍛治狂い――村瀬宗兵衛と呼ばれるその男は、尾張の片隅に炉を構え、人の依頼ではなく、自らの欲に従って刀を打ち続けていた。時は応仁の乱が終わり、諸国が割れ始める戦国前夜。将軍家は名ばかりとなり、有力大名もまだ確固たる権威を持たぬ混迷の時代。刀の需要は急増していた。
宗兵衛は領主にも侍にも頭を下げず、ただ「良い素材」と「使い手の技量」だけを見て刀を渡した。敵味方を選ばず、報酬にも興味を示さず、「この刀がどれだけ血を吸い、技を受け止めるか」にしか関心がなかった。
腕の立つ剣士ほど宗兵衛の刃を求めた。やがて、彼の刀をめぐって戦が動く。宗兵衛の作は、一度手にすれば離せぬ“業物”となり、持ち主が倒れれば、また別の強者の手に渡る。その刀が戦場を渡り歩くたび、宗兵衛は鍛冶場に戻り、記録帳にだけ言葉を刻む。
「また一振り、近づいた」
究極の一振りを求め、血と鉄を喰らいながら宗兵衛は今日も炉に火を入れる。そこに正義も忠義もない。ただ、斬るための刀だけが存在する。
文字数 19,668
最終更新日 2025.05.26
登録日 2025.05.17
爆死で最期を迎えた元傭兵リック・ヴァーノン。
目を覚ますと、そこはスキルやステータスが支配する中世風の異世界だった。
だが、リックにとって魔法の詠唱や神の加護なんざ、おとぎ話にすぎない。
持ち込んだのは改造ハンドガン、火薬の知識、そして殺意と皮肉。
王の命令?「黙って地面とキスしてろ」
聖騎士の正義?「正義が通じるなら、弾丸は要らねぇだろ?」
異世界でもルールは変わらない。
先に引き金を引いた奴が勝つ。
――俺の正義は、9mmパラベラム弾でできてるんだ。
これは、戦場帰りの男が異世界でぶっ放す、弾丸無双の開幕戦だ。
文字数 27,607
最終更新日 2025.05.26
登録日 2025.05.20
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