気がついたら、前世で読んだ小説の中にいました。三年後に破滅する悪役令嬢の、専属メイドとして。
主人公? いいえ。令嬢? いいえ。メイドです。お給金はいいし、お屋敷のごはんはおいしいし、この職場、失いたくありません。つまり、お嬢様に破滅されては困るのです。
というわけで、筋書きにある危険ごとは全部、メイドの仕事で潰します。
性悪な殿方からの招待状は、暖炉にぽい。危ない夜会は「お嬢様はお風邪です」でお断り。浪費癖はお小遣い制で直して、意地の悪い取り巻きは玄関で門前払い。
おかげでお嬢様はすくすく素直に育って、いまでは王子殿下に溺愛される社交界の人気者。破滅の気配はどこにもありません。
ついでに最近、休憩に行くと、なぜかわたしの分のお茶が置いてあります。犯人はお嬢様つきの護衛騎士さまだそうです。……なぜでしょう。
そして、変な噂も流れています。「あの家のメイドは只者ではない」って。他家からの引き抜きのお手紙は――暖炉にぽい、で。
……でも王家の紋章入りのお手紙は、さすがに燃やせません。どうしましょう、これ。
文字数 92,161
最終更新日 2026.09.08
登録日 2026.08.19
わたくし、前世の記憶で気づきましたの。この体、物語で断罪される悪役令嬢ですわ。
卒業の夜、王子さまに罪状を読み上げられて国外追放。……冗談ではありませんわ。
でも、考えましたの。罪状にされる前に、謝ってしまえばよろしいのでは?
というわけで、謝罪の行脚を始めましたわ。壊した髪飾りは直して返す。取り上げた本は二冊にして返す。言い過ぎた言葉は――これが一番大変でしたの。人前で、ちゃんと言い直しますのよ。相手が違えば、謝り方も違いますでしょう?
そうしたら、おかしいんですの。謝った相手が、次々お友達になっていきますのよ。一番緊張したのは、いちばん睨みの怖い公爵子息さまでしたけれど……あの方、謝ったその日から、なぜか毎回わたくしの行脚についてきますの。
そして断罪の日。王子さまが罪状を読み上げるたび、会場のみなさまが「その件はもう解決済みですわ」。
断罪、まさかの空振り。おまけに筆頭のはずの公爵子息さまが、跪いて一言。
「あなたの謝りっぷりに、惚れました」
……それ、どういう罪状ですの?
文字数 92,835
最終更新日 2026.09.08
登録日 2026.08.19
手違いで死んだら、転生のおまけが品切れだった。
女神さま、それはないでしょ。
で、代わりにもらったのがこれ。「毎月、当代最強級のスキルが、おまかせで入れ替わる」っていう変わり種だ。中身は選べない。月が替わった朝、勝手に新しい力が入ってる。
火の月は炎のスキルだった。鍛冶場と竈を任されて、町一番の働き者って呼ばれた。
水の月には、日照りで枯れかけた畑をまるごと生き返らせた。お礼の芋が食いきれない。
雷の月なんて、町に迫った魔物の群れを一人で追い払っちゃったからな。
ただし、月が替わればぜんぶ元通り。昨日まで英雄でも、今日からはただの新入りだ。
おかげで町のみんなは、毎月こう聞いてくる。
「来月のあんたは何の人だい?」
力は月替わりでも、積み上がるものはちゃんとある。町のみんなの信頼と、俺を呼ぶ声は、先月より確実に増えてる。
俺の正体を知ってるのは、腐れ縁の幼馴染だけ。あいつも月の頭には一番乗りで顔を出す。「今月は何ができるの」って、目を光らせながら。
さあ、次の月は何の力かな。今月も気楽に、張り切っていこう。
文字数 91,704
最終更新日 2026.09.08
登録日 2026.08.19
成人の儀で授かったスキルは〈お留守番〉。任された場所を離れずに守ると、力が上がる。それだけ。
戦えないと笑われて、俺の仕事はいつも荷物番だった。
ある日、エリート部隊が「足手まといは野営地で待ってろ」と俺を置いて、洞窟の奥へ向かった。その晩、野営地に魔物の大群が押し寄せた。
――スキルが、光った。
気づけば朝で、俺の前には魔物の山ができていた。任された場所を守るときだけ、俺は誰にも負けないらしい。
通りがかった商隊がそれを見ていて、噂は勝手に広まった。今の俺は「留守番屋」。家でも店でも砦でも、守ってほしい場所があれば呼んでくれ。料金は相場より高いが、その価値はある。
ちなみに俺を置いていった部隊は、大事な倉の番を頼める相手がいなくて困っているそうだ。
文字数 91,581
最終更新日 2026.09.08
登録日 2026.08.19
実技試験で、丸太を台ごと真っ二つにした。試験場が静まり返った。
「今の斬撃は何だ」「刃を添えただけに見えたぞ」「あれは達人の太刀筋だ」
いや、ただの薪割りだが。
結果は『評価不能』。おまけに試験台を壊したから、あやうく門前払いになるところだった。拾ってくれたのは校長で、「台の弁償は体で払え」。というわけで、学校の薪番をやりながらの特例入学だ。
俺は山奥で、じいちゃんに毎日薪割りで育てられた。教えは二つだけ。「腰で割れ」「刃は最後に添えるだけ」。朝飯の前に三百本、しくじるとおかずが一品減る。理不尽なじいちゃんだった。その理不尽が、王都じゃ達人の技らしい。
今日も薪小屋で薪を割ってると、生徒も教官も見物に集まってくる。実技で俺に負けた侯爵家のお嬢様は「弟子にしてください」と薪小屋の前から動かない。
山のじいちゃんからは手紙が来た。『薪割りをサボるな。仕送りは芋でいい』。
じいちゃん、あんた何者なんだ。
文字数 62,033
最終更新日 2026.09.01
登録日 2026.08.19
過労死したブラック企業のサラリーマン、佐藤健司。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界だった。しかも人間と戦争中の魔王軍で、いちばん弱くていちばん人が死ぬ「墓場」部隊の参謀に転生していた。
前世で働きすぎて死んだ俺の願いは、たった一つ。今度こそ健康に、毎日ちゃんと定時で帰ること。
そのために残業をやめさせ、有給を配り、部下を無駄死にさせない段取りを組んだだけ。なのに、なぜか兵は誰も死ななくなり、誰も落とせなかった砦は戦わずに落ち、魔王軍はどんどん強くなっていく。
「兵の命を大事にする、恐ろしく冷酷な策略家」
そんな勘違いが勝手に広まって、俺は魔王様に見初められ、人間の国は次々と白旗を上げていく。俺はただ、定時で帰りたいだけなのに。
無自覚に最強なダメ社畜の、ホワイト企業化コメディ、はじまります。
※本作は、既存作品を全面的に改稿(リライト)した作品です。
文字数 109,688
最終更新日 2026.08.25
登録日 2026.07.20
名門の家に生まれたのに、私だけ「浄化の力なし」の役立たず。家族の失敗した呪いの品を地下でこっそり片づける係で、みんなからは「ゴミ溜め場の聖女」とバカにされていました。
でも、死にかけたある日、前世の記憶がよみがえります。私はもともと、古い宝物を直すお仕事をしていたのです。
そこで気づいてしまいました。この家が「呪い」と呼んで怖がっている品は、呪いなんかじゃない。ただ古くて、汚れて、壊れているだけ。だったら、直せます。
家を出て、小さな修復のお店を開きました。錆びた短剣も、泣いている銀のロケットも、百年ものの「呪いの剣」も、前世の知識でぜんぶ元通り。気づけば街の人に頼られて、王様からも呼ばれるように。
一方その頃、私を追い出した実家は、私がいないと道具ひとつ直せずに大あわて。今さら「戻ってきて」と泣きつかれても……もう遅いです。
※本作は、既存作品を全面的に改稿(リライト)した作品です。
文字数 119,022
最終更新日 2026.08.24
登録日 2026.07.28
大陸最強――国が「特級個体災害“天裂”」と呼ぶ少女ルゥ。一振りで山が消え、機嫌が悪いと足元の地面が割れる、人の形をした天災。
そんな彼女の機嫌をこの世で唯一なだめられるのが、ただの幼馴染である俺、ハルの手料理だ。
剣も魔法も使えない俺にできるのは、飯を作ることくらい。だが、俺が卵焼きを焼くだけで最強はご機嫌になり、俺が三日家を空けただけで国がひとつ滅びかける。おかげで俺の毎日の献立は、いつの間にか国家機密になっていた。
「飯を作る=世界の安全保障」。胃を痛める対策室の隊長を横目に、今日も俺は最強の幼馴染に飯を作る。――彼女が飯を欲しがる“本当の理由”に、俺だけが気づかないまま。
最強と平凡の、歪で温かい同居ごはんコメディ。
文字数 195,881
最終更新日 2026.08.21
登録日 2026.07.09
「魔力ゼロの無能が、私の隣に立つな」
公爵令嬢のリディアは、生まれつき魔力がない。それだけの理由で、家族にも婚約者の第一王子にもずっとバカにされてきた。
そこへ現れたのが、強い光の魔力を持つ聖女エリアーデ。王子はここぞとばかりにリディアへ婚約破棄を突きつけ、国の外へ追い出してしまう。
追放先は、寒くてやせた北の辺境。ところが荷馬車に揺られている途中で、リディアは前世を思い出した。働きすぎて死んだ、日本の理系の研究者だったころの記憶を。
そして気づく。この世界で「魔法」と呼ばれているものは、前世で習った理科でぜんぶ説明がつくのだと。火の魔法はただの燃焼、水の魔法はただの化学の反応。だったら、魔力なんてなくても同じことができる。
たどり着いた辺境の村で、リディアは前世の知識だけを頼りに、鉄も、汚れがよく落ちる石けんも、作物がぐんぐん育つ肥料も作りはじめる。村人たちは大喜びで、いつしか彼女を「本物の聖女様だ」と崇めるようになっていた。
一方、リディアを追い出した王国では、彼女が陰でこっそり支えていた大事な仕組みが、次々に壊れはじめていて――。
追放されて、むしろ最高。読みやすさ第一の、痛快“理科チート”ざまぁ物語。
※本作は、既存作品を全面的に改稿(リライト)した作品です。
文字数 111,671
最終更新日 2026.08.16
登録日 2026.07.20
「役立たず」と笑われて、辺境の村へ追い出された令嬢エリス。
でも、これはわたくしにとって願ったりですわ。だって、辺境には口うるさい貴族も、面倒な決まりもございませんもの。魔法と科学を組み合わせて、好きなだけ道具を作れる。こんなに楽しい場所、ほかにございませんわ。
まずは、こわれた家を直して、きれいな水を出して、やせた畑をよみがえらせて――。
気づけば、さびれていた村は、とんでもない速さで大きくなっていきましたの。村の人たちはわたくしを「神さまの使い」なんて呼びますけれど、ふふ、ただの追放された令嬢ですわよ?
やがて、わたくしの街の噂は王都にも届きましたわ。
あれほどわたくしをバカにした人たちが、今さら「戻ってきてくれ」ですって? 残念ですけれど、この辺境が楽しすぎて、王都に帰る気はございませんの。
さあ、今日はなにを作りましょうか。
誰も口出ししてこない辺境で、わたくしの好きにやらせていただきますわ。
※本作は、既存作品を全面的に改稿(リライト)した作品です。
文字数 114,037
最終更新日 2026.08.16
登録日 2026.07.20
「動物に好かれるだけ」のハズレスキル持ち。そう言われて、俺はパーティを追放された。
過労死して異世界に来たと思ったら、授かったのは戦うこともできないハズレスキル。仲間にも見捨てられ、明日のパンにも困る毎日だった。
そんなある日、森で傷ついた白いもふもふ「フェン」を拾う。手当てをしてやると、なんとフェンは人の言葉を話した。しかも珍しい薬草や魔晶石を次々に見つけてきて、俺の暮らしはあっという間に楽になっていく。
やがて巨大な魔狼がフェンにひざまずき、伝説を記した本のページが、この小さな相棒とぴたりと重なった。
え、こいつ、数百年に一度しか現れない最強の聖獣だったの?
これは、ハズレスキルで追放された俺が、最強もふもふと始めるあたたかい異世界スローライフ。うまい飯と、もふもふと、ちょっとした成り上がり。今さら「戻ってこい」と言われても、もう遅いです。
※本作は、既存作品を全面的に改稿(リライト)した作品です。
文字数 115,705
最終更新日 2026.08.16
登録日 2026.07.20
残業まみれの毎日に、俺はとうとう辞表を叩きつけた。
その帰り道、力尽きるように倒れて――目が覚めたら、知らない世界の川のほとりに寝ころんでいた。
神様がくれたのは、【万能造船】というスキル。
頭に思い描いた船を、その辺の木や石から丸ごと作り出せる。しかも船は使い込むほど育って、網でもクレーンでも、必要なものがどんどん生えてくる。
「もう誰にもこき使われない。今度は好きに生きるんだ」
まずは小さなボートを一艘。川を下って港町に着いた俺は、前世の知識で燻製や魚の調味料を作って売ってみた。すると、これが飛ぶように売れる。大食いの用心棒に、川で助けた女の子。気づけば船には、賑やかな仲間が増えていた。
売れたお金で船を大きくして、次の町へ。行く先々でうまいものを作っては商売を広げるうち――俺の財布は、いつの間にか町ひとつ買えるほどに膨らんでいた。
会社に潰された俺が、水の世界で船を育てて成り上がる。のんびり、痛快、成り上がりの物語。
※本作は、既存作品を全面的に改稿(リライト)した作品です。
文字数 112,861
最終更新日 2026.08.16
登録日 2026.07.20
ブラック企業で身も心もすり減らした相馬蓮司(42歳)。
過労死の果てに辿り着いたのは、剣と魔法の異世界だった。
神様から「万能スキル」を押し付けられたものの、蓮司が選んだのは──戦いでも冒険でもない。
静かな辺境の村外れで、珈琲と煙草の店を開く。
作り出す珈琲は病も呪いも吹き飛ばし、煙草は吸っただけで魔力上限を突破。
伝説級アイテム扱いされ、貴族も英雄も列をなすが──本人は、そんな騒ぎに興味なし。
「……うまい珈琲と煙草があれば、それでいい」
誰かと群れる気も、媚びる気もない。
ただ、自分のためだけに、今日も一杯と一服を楽しむ。
誰にも縛られない孤高のおっさんの、異世界マイペースライフ。
※本作は、旧版の『独身おじさん』を全面的に書き直した改稿版です。
文字数 149,669
最終更新日 2026.08.14
登録日 2026.07.28
「帳簿ばかり見ている女は、公爵夫人にふさわしくない」
婚約破棄の舞台で、そう言われました。広間じゅうが笑いました。
でも、わたしは十年間その家の帳簿をつけてきたのです。だから知っています。フェルゼン公爵家の帳簿は、十二年前から一度も合っていません。
前の暮らしで、わたしは会計士でした。顔も名前も思い出せませんが、数字の読み方だけは体に残っています。
魔法は使えません。剣も振れません。できるのは、歩幅を数えること、三度足すこと、端数を見ること、日付の差を取ること。ただそれだけです。
けれど紙は書き直せても、焼けた家は書き直せない。買ったことになっている馬は、どこにもいない。十二年前に辞めた十一人は、どこかで暮らしている。
一行ずつ数えていくと、公爵家の足もとから音が鳴りはじめました。
わたしを笑わなかった人がひとりだけいます。王室監査院の監査卿。人の顔を見ずに、数字のほうを見る人です。
数える女の、静かな監査ざまぁ。
文字数 115,533
最終更新日 2026.08.11
登録日 2026.07.20
わたしの仕事は、番登録の書類を受け取って、判を押すことです。
獣人のご夫婦が来て、紙を出して、わたしが押す。それだけ。人間のわたしには縁のない話ですけど、この判は速くて、まっすぐで、かすれません。そこだけは誇りです。
その書類を、三日続けて突き返されました。
二階から下りてくる白い狐の監察官さま。役所じゅうで、この人に書類を突き返されなかった人はいません。
一日目は、点が薄い。二日目は、「三」の横棒が短い。三日目は、捺印欄から0.5ミリ出ている。
四日目は、朱肉が濃い。
……あの、これ、どういうことですか。
窓口の列がざわつきはじめて、同僚の目が変わって、課長が逃げ腰になって、わたしの判が知らないところで使われていて。
気づけば、わたしのまわりで何かが動いています。
あの人の名前を、わたしはまだ知りません。
文字数 104,699
最終更新日 2026.08.10
登録日 2026.07.20
「魔力ゼロ」――それだけの理由で、リーゼは生家を追放された。
かつて日本で家庭科教師だった記憶を持つ彼女が流れ着いたのは、疫病と飢えで滅びかけた死に村ロウデン。魔法も、聖なる力も、彼女にはない。あるのは、手洗い、煮沸、そして「ちゃんと食べる」という、ただの家庭科の知識だけ。
ところが――井戸を清め、鍋で煮炊きし、傷を洗っただけで、村はみるみる生き返っていく。倒れていた病人が起き上がり、痩せた子らの頬に赤みがさす。
村人は言う。「聖女様の奇跡だ」と。教会は言う。「これぞ神の御業」と。二つ名は、勝手にどんどん大きくなっていく。
「いえ、すごいのは衛生であって、私じゃなくて……」
否定すればするほど、なぜか信仰は篤くなっていく。魔力ゼロの“聖女”リーゼの、慎ましくもやかましい村おこしが、今日も始まる。
文字数 146,237
最終更新日 2026.08.07
登録日 2026.07.09
この学園の恋の八割は、私の手紙で動いています。
書いているのは私です。渡すのはお客さんです。届いた恋が実っても、私の名前はどこにも出ません。手間賃は銀貨一枚。西棟三階の空き教室で、放課後だけ開いています。
顔を覚えてもらえない、という取り柄がありました。だから代筆屋ができます。
私が守りたい人がひとりだけいます。セシリア様。あの方には、破滅の夜が来ることになっています。私はまだ一度も口をきいたことがありません。すれ違うだけです。
止めるつもりはありません。ただ、来ないことにするだけです。
そのために、手紙を書きます。書かないこともします。順番を変えます。噂を一本だけ流します。
けれど、私の書いた紙が知らない人の手に渡り、私の合図を知っている誰かが現れ、私の名前を騙る売り物が出回りはじめて――
代筆屋は、自分の字から逃げられません。
文字数 73,228
最終更新日 2026.08.02
登録日 2026.07.20
リゼット・フォーリアは公爵家の令嬢でありながら、授かったスキルが【毒味】という戦闘にも魔法にも縁のない「ハズレ能力」だった。
婚約者の王太子からは「恥さらし」と公衆の面前で婚約を破棄され、代わりに選ばれたのは攻撃魔法に秀でた男爵令嬢。
宮廷を追われたリゼットは、敵対関係にある隣国との国境の砦町に流れ着く。そこで出会ったのは隣国の将軍ヴォルフ・ゼルベリア。
彼は原因不明の慢性毒に蝕まれ、余命いくばくもない身だった。リゼットの【毒味】は、あらゆる物質の成分を舌で分子レベルまで判別できる能力。
彼女はヴォルフの食事に仕込まれた微量の遅効性魔毒を一口で特定し、毒の経路から宮廷内の暗殺者の正体まで炙り出す。
砦町の食糧汚染事件を解決し、ヴォルフの命を救ったリゼットは、将軍閣下から「俺の傍にいろ」と請われる。
文字数 27,482
最終更新日 2026.04.07
登録日 2026.03.31
伯爵令嬢セラフィーナは、スキル【糸紡ぎ】しか持たない「針子令嬢」と蔑まれていた。彼女は義母と義姉に家の財産を奪われ、借金の肩代わりとして呪われた辺境伯ロエルとの契約結婚に差し出される。
それは、「呪いで三年以内に死ぬ男の妻」という体のいい生贄だった。しかしセラフィーナの【糸紡ぎ】は、あらゆる素材から糸を生成し編み上げる能力だった。
彼女は魔物の呪いが「目に見えない呪詛の糸」で構成されていることに気づく。その呪いの糸を自らの指で手繰り寄せ、一本ずつ解きほぐし、無害な布へと編み直す。
文字数 26,034
最終更新日 2026.04.07
登録日 2026.03.31
魔法至上主義の公爵家で、魔力回路を整えるだけの【調律師】として蔑まれてきた令嬢アイリス。
戦えない無能として婚約破棄され、死の森と呼ばれる辺境に追いやられる。
そこで彼女が出会ったのは、あまりに強大すぎる魔力のせいで体が崩壊しかけている狂乱の公爵だった。
アイリスは【魔力調律】を駆使し、彼の暴走する魔力を黄金の比率で整え、彼を伝説の英雄へと進化させる。
彼女の指先が触れるだけで、あらゆる魔導具は限界を超えた性能を発揮し、公爵の呪いすらも祝福へと変わる。
文字数 28,369
最終更新日 2026.04.07
登録日 2026.03.31