独身おじさんの異世界おひとりさまライフ〜金や評価は要りません。コーヒーとタバコ、そして本があれば最高です〜

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第1章 おじさんと異世界の人々

第7話

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翌日。

朝から小屋の前に人影がちらほら見えた。

「なあ、ここか? すげえ匂いするっていうのは……」

「間違いねえよ、子供たちが言ってた通りだ!」

どうやら、昨日の夫婦が噂を広めたらしい。 興味本位の村人たちが、ぽつぽつと小屋に集まってきていた。

「──めんどくせえな」

心の中でぼやきながらも、俺は小屋の扉を開ける。

「用か?」

俺の一言に、村人たちは一斉に押し黙った。

その中から、一人の中年男が、恐る恐る前に出る。

「こ、ここが……あの、すげえコーヒーと煙草を作ってるって……」

「そうだが」

「あ、あの、もし、よかったら……俺にも一杯……!」

そう言って、男は懐から銀貨を取り出そうとする。

「金はいい。飲みたきゃ座れ」

手であしらうと、男は恐縮しながら、腰を下ろした。

俺はいつものようにコーヒーを淹れ、煙草を一本巻いて手渡す。

男は緊張しながら、それらを手に取った。

そして──。

一口、コーヒーを啜った瞬間、男の体がほわりと光に包まれた。

「っ……!」

その場にいた全員が、目を見開いた。

昨日の夫婦と同じだ。最高位支援魔法級の効果が、自然発動する。

男は驚きつつも、やがて感極まったように両手で顔を覆った。

「こ、これ……すごい……! 腰の痛みが、消えてる……!」

「ふーん」

俺は特に感慨もなく、煙草に火をつけた。

煙を吸い込み、肺に落とす。その感覚すら、今は心地いい。

周囲の村人たちは、興奮して騒ぎ出した。

「す、すげえ!」

「本物だ! 奇跡だ!」

「オッサン、マジで何者なんだよ!」

「……さあな」

適当に肩をすくめる。

万能生成スキルのおかげで作ったコーヒーと煙草。味だけでなく、効果も最高級。 だが、それがどうしたって話だ。

俺にとっては、うまい一杯と一服さえあればいい。それ以上を望む気はない。



それからしばらく、村人たちは代わる代わるコーヒーを飲み、煙草を吸い、驚きと感動を繰り返していた。

誰一人として、カフェイン中毒にもならず、煙の害に苦しむ者もいない。

むしろ、皆の顔色がみるみる良くなり、体の不調も消えていく。

──そういうものらしい。

万能生成スキルが作った嗜好品には、負の側面が一切ない。

楽しむためだけに存在する、純粋な贈り物みたいなもんだ。

「オッサン、すげえよ!」

「村長にも教えなきゃ!」

「ギルドに登録したら一財産だぜ、これ!」

騒ぎ立てる村人たちを、俺はただ、ぼんやりと眺めていた。

──騒ぎになるのはごめんだが、まあ、こいつらが勝手に盛り上がるくらいなら、別に構わねえか。

適当に流しながら、俺は再びカップを手に取った。

冷めかけたコーヒーを啜る。

うん、うまい。

俺には、それだけで十分だった。
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