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第1章 おじさんと異世界の人々
第13話
ブルナ草のブレンドに満足した俺は、ふと考えた。
「──そうだ。もう少し、きっちり仕上げるか」
いくら最高級の葉を使っても、巻きが甘けりゃ、味も台無しになる。
久しぶりに、手巻きタバコを本格的に作ることにした。
◇
まず、用意するのは、適度に乾燥させた葉。
手触りがカサカサしすぎても駄目だし、湿り気が残りすぎてもいけない。乾きすぎた葉は砕けやすいし、湿りすぎれば燃え方が悪くなる。
万能生成スキルで調整した葉は、手にしっとり馴染む、理想的なコンディションだった。
次に、刻み。
葉脈を丁寧に取り除き、細かく裂く。俺はやや粗めに仕上げるのが好みだ。あんまり細かく刻みすぎると、空気の流れが悪くなって、吸い心地が重くなる。
「……よし」
刻み終えた葉を、小さな陶器の皿に盛る。
そこから、ひとつまみ──指先で軽くほぐしながら、手巻き用の巻紙の上に均等に広げる。
「均一に、適量な」
昔、どこかで聞いた言葉が、頭をよぎった。
タバコは、葉の量が多すぎても少なすぎても駄目だ。詰めすぎれば吸いにくいし、スカスカだと火が走ってしまう。
バランスが、命。
◇
葉を乗せたら、両端を指で軽く押さえ、くるりと紙を巻く。
親指と人差し指で、きゅっと締めながら、空気が抜けないように丁寧に。
最後に、巻紙の端に仕込んである天然樹脂の糊部分を、舌先で軽く湿らせ、ぴたりと封をする。
手巻きタバコの完成だ。
「ふぅ……」
一本の細身のタバコを、手のひらに転がす。
機械巻きとは違う、微妙なムラと、人間の手のぬくもりが宿った一本。
これが、いいんだ。
◇
火をつける。
吸い込んだ煙が、肺に落ち、血管を巡る。
「……っは」
思わず、肩の力が抜けた。
ブルナ草のすっきりとした香り、コーヒー葉の豊かな甘み、わずかな苦味。
すべてが、絶妙に調和している。
一本のタバコで、ここまで味に深みが出せるとは。
「手間ってのは、やっぱ無駄じゃねえな」
誰に聞かせるでもなく、ぽつりと呟いた。
◇
手巻きタバコの蘊蓄は、いくらでもある。
巻紙ひとつ取っても、原料や厚さ、燃焼速度で味が変わるし、葉のブレンド次第で、香りも吸い心地も千差万別になる。
市販のタバコじゃ、絶対に味わえねえ、世界で一つだけの一本。
それが、手巻きの醍醐味だ。
そして──。
異世界で、最高品質の葉を自分の手で育て、加工して、巻いて、吸う。
この贅沢に勝るものなんざ、そうそうあるもんじゃねえ。
◇
もう一本、丁寧に巻き上げながら、ぼんやり考えた。
「……今度、オリジナルブレンドでも作ってみるか」
ブルナ草以外にも、魔力増強系の薬草や、精神安定系の香草はたくさんある。
それらを組み合わせれば、戦士向け、魔法使い向け、癒し系……いろんなバリエーションが作れる。
もちろん、売る気なんかない。
俺が吸って、楽しむためだけに。
「……まあ、ゆっくりな」
ひとりごちた声を煙に乗せて、また一口、深く吸い込んだ。
「──そうだ。もう少し、きっちり仕上げるか」
いくら最高級の葉を使っても、巻きが甘けりゃ、味も台無しになる。
久しぶりに、手巻きタバコを本格的に作ることにした。
◇
まず、用意するのは、適度に乾燥させた葉。
手触りがカサカサしすぎても駄目だし、湿り気が残りすぎてもいけない。乾きすぎた葉は砕けやすいし、湿りすぎれば燃え方が悪くなる。
万能生成スキルで調整した葉は、手にしっとり馴染む、理想的なコンディションだった。
次に、刻み。
葉脈を丁寧に取り除き、細かく裂く。俺はやや粗めに仕上げるのが好みだ。あんまり細かく刻みすぎると、空気の流れが悪くなって、吸い心地が重くなる。
「……よし」
刻み終えた葉を、小さな陶器の皿に盛る。
そこから、ひとつまみ──指先で軽くほぐしながら、手巻き用の巻紙の上に均等に広げる。
「均一に、適量な」
昔、どこかで聞いた言葉が、頭をよぎった。
タバコは、葉の量が多すぎても少なすぎても駄目だ。詰めすぎれば吸いにくいし、スカスカだと火が走ってしまう。
バランスが、命。
◇
葉を乗せたら、両端を指で軽く押さえ、くるりと紙を巻く。
親指と人差し指で、きゅっと締めながら、空気が抜けないように丁寧に。
最後に、巻紙の端に仕込んである天然樹脂の糊部分を、舌先で軽く湿らせ、ぴたりと封をする。
手巻きタバコの完成だ。
「ふぅ……」
一本の細身のタバコを、手のひらに転がす。
機械巻きとは違う、微妙なムラと、人間の手のぬくもりが宿った一本。
これが、いいんだ。
◇
火をつける。
吸い込んだ煙が、肺に落ち、血管を巡る。
「……っは」
思わず、肩の力が抜けた。
ブルナ草のすっきりとした香り、コーヒー葉の豊かな甘み、わずかな苦味。
すべてが、絶妙に調和している。
一本のタバコで、ここまで味に深みが出せるとは。
「手間ってのは、やっぱ無駄じゃねえな」
誰に聞かせるでもなく、ぽつりと呟いた。
◇
手巻きタバコの蘊蓄は、いくらでもある。
巻紙ひとつ取っても、原料や厚さ、燃焼速度で味が変わるし、葉のブレンド次第で、香りも吸い心地も千差万別になる。
市販のタバコじゃ、絶対に味わえねえ、世界で一つだけの一本。
それが、手巻きの醍醐味だ。
そして──。
異世界で、最高品質の葉を自分の手で育て、加工して、巻いて、吸う。
この贅沢に勝るものなんざ、そうそうあるもんじゃねえ。
◇
もう一本、丁寧に巻き上げながら、ぼんやり考えた。
「……今度、オリジナルブレンドでも作ってみるか」
ブルナ草以外にも、魔力増強系の薬草や、精神安定系の香草はたくさんある。
それらを組み合わせれば、戦士向け、魔法使い向け、癒し系……いろんなバリエーションが作れる。
もちろん、売る気なんかない。
俺が吸って、楽しむためだけに。
「……まあ、ゆっくりな」
ひとりごちた声を煙に乗せて、また一口、深く吸い込んだ。
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