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第1章 おじさんと異世界の人々
第17話
村が落ち着きを取り戻して二日後。
森の入り口に、ゴツい連中が現れた。
「おーい! ここがマーレ村かーっ?」
野太い声が響き渡る。
見ると、鎧を着込んだ男女合わせて五人組。顔立ちからして、王都ギルドの正規冒険者だろう。
「……やっと来やがったか」
煙草をくゆらせながら、俺は広場の隅から眺めた。
あいつらが、村が依頼を出していた冒険者たちだ。
今さら感はすごいが、使えるものは使う。別に責めるつもりはねえ。
◇
村長トーマスが、ぺこぺこと頭を下げながら応対している。
「すみませんなあ、遠路はるばる!」
「ははっ、まあ、報酬次第だな!」
リーダー格の男が、にかっと笑った。
俺は、のそのそと近づき、声をかけた。
「おう」
「ん? あんた、ここの村人か?」
「ああ。ちょっと話がある」
俺は手短に説明した。
──森の魔獣は、すでに倒した。
──ついでに元凶も潰した。
──だから、手柄も素材も、ぜんぶあんたらにくれてやる。
──ただし、俺のことは一切口外すんな、と。
リーダー格の男は、ぽかんと口を開けた。
「……マジかよ」
「ああ。めんどくせぇ騒ぎはゴメンだからな」
「お、おう……わかった」
あっさりと頷いた。
冒険者連中は顔を見合わせ、ニヤニヤしながらうなずき合っている。
そりゃそうだろう。
本来なら危険手当込みで高額報酬が確定する案件を、ノーリスクで丸ごと手に入れられるんだ。
俺としても、名前が広まるよりずっとマシだ。
◇
「それと、ついでだ」
「ん?」
「森の汚染地域。残骸の処理と簡単な浄化作業、手伝ってくれ」
「……それくらいなら、いいぜ!」
リーダー格の男が、快く引き受けた。
お互い、利害が一致している。
こういうときは、さっさと利用できるもんを利用するに限る。
◇
数時間後。
冒険者たちの手際も悪くなかった。
残骸は集められ、簡単な清浄魔法で森の空気もかなりまともになった。
「ふぃー、終わった終わった!」
「いい汗かいたなー!」
はしゃぐ冒険者たちに、俺は手を振った。
「こっち来い」
「ん?」
「いいもん、振る舞ってやる」
◇
小屋に戻り、コーヒーを淹れた。
今日は特別に、ブルナ草ブレンドの煙草も用意した。
「お、おい、これって……」
リーダー格の男が、手巻き煙草を受け取りながら目を丸くする。
コーヒーカップを受け取った女戦士も、うっとりした顔をしていた。
「……なに、この香り……」
「飲め。吸え」
俺は椅子に腰を下ろしながら促した。
一口、コーヒーを啜った冒険者たち。
吸い込んだ煙草の一服。
次の瞬間、全員が、ぱあっと顔を輝かせた。
「な、なんだこれ……!」
「体が、軽い……っ!」
「疲れが、一気に吹き飛んだぞ……!」
感動の声が次々と上がる。
「──ふん」
煙を吐きながら、俺はぼそっと呟いた。
「おまけだ。ありがたく受け取っとけ」
冒険者たちは、心底嬉しそうな顔で、何度も何度も頭を下げた。
報酬よりも何よりも、この一杯と一服が、今日一日の最高のご褒美になったらしい。
まあ──。
俺も、たまには悪くねぇって思った。
森の入り口に、ゴツい連中が現れた。
「おーい! ここがマーレ村かーっ?」
野太い声が響き渡る。
見ると、鎧を着込んだ男女合わせて五人組。顔立ちからして、王都ギルドの正規冒険者だろう。
「……やっと来やがったか」
煙草をくゆらせながら、俺は広場の隅から眺めた。
あいつらが、村が依頼を出していた冒険者たちだ。
今さら感はすごいが、使えるものは使う。別に責めるつもりはねえ。
◇
村長トーマスが、ぺこぺこと頭を下げながら応対している。
「すみませんなあ、遠路はるばる!」
「ははっ、まあ、報酬次第だな!」
リーダー格の男が、にかっと笑った。
俺は、のそのそと近づき、声をかけた。
「おう」
「ん? あんた、ここの村人か?」
「ああ。ちょっと話がある」
俺は手短に説明した。
──森の魔獣は、すでに倒した。
──ついでに元凶も潰した。
──だから、手柄も素材も、ぜんぶあんたらにくれてやる。
──ただし、俺のことは一切口外すんな、と。
リーダー格の男は、ぽかんと口を開けた。
「……マジかよ」
「ああ。めんどくせぇ騒ぎはゴメンだからな」
「お、おう……わかった」
あっさりと頷いた。
冒険者連中は顔を見合わせ、ニヤニヤしながらうなずき合っている。
そりゃそうだろう。
本来なら危険手当込みで高額報酬が確定する案件を、ノーリスクで丸ごと手に入れられるんだ。
俺としても、名前が広まるよりずっとマシだ。
◇
「それと、ついでだ」
「ん?」
「森の汚染地域。残骸の処理と簡単な浄化作業、手伝ってくれ」
「……それくらいなら、いいぜ!」
リーダー格の男が、快く引き受けた。
お互い、利害が一致している。
こういうときは、さっさと利用できるもんを利用するに限る。
◇
数時間後。
冒険者たちの手際も悪くなかった。
残骸は集められ、簡単な清浄魔法で森の空気もかなりまともになった。
「ふぃー、終わった終わった!」
「いい汗かいたなー!」
はしゃぐ冒険者たちに、俺は手を振った。
「こっち来い」
「ん?」
「いいもん、振る舞ってやる」
◇
小屋に戻り、コーヒーを淹れた。
今日は特別に、ブルナ草ブレンドの煙草も用意した。
「お、おい、これって……」
リーダー格の男が、手巻き煙草を受け取りながら目を丸くする。
コーヒーカップを受け取った女戦士も、うっとりした顔をしていた。
「……なに、この香り……」
「飲め。吸え」
俺は椅子に腰を下ろしながら促した。
一口、コーヒーを啜った冒険者たち。
吸い込んだ煙草の一服。
次の瞬間、全員が、ぱあっと顔を輝かせた。
「な、なんだこれ……!」
「体が、軽い……っ!」
「疲れが、一気に吹き飛んだぞ……!」
感動の声が次々と上がる。
「──ふん」
煙を吐きながら、俺はぼそっと呟いた。
「おまけだ。ありがたく受け取っとけ」
冒険者たちは、心底嬉しそうな顔で、何度も何度も頭を下げた。
報酬よりも何よりも、この一杯と一服が、今日一日の最高のご褒美になったらしい。
まあ──。
俺も、たまには悪くねぇって思った。
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