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第1章 おじさんと異世界の人々
第35話
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リーナは、今日も一人だった。
昼下がり、客の気配もまばらな店に、すっと入ってきた。
「……来た」
呟くように、カウンターの前に腰掛ける。
俺は相変わらず、特に歓迎もしないし、追い払ったりもしない。
「タバコと……珈琲」
リーナが、ぽそっと言った。
「了解」
カウンターの下から、いつもの手巻きタバコを取り出し、同時に新しく淹れた珈琲を用意する。リーナには軽めのブレンドを選んだ。
タバコに火を点け、珈琲カップをそっと前に置く。
「……ありがと」
リーナは、それだけ言って、まずタバコを吸った。
ふーっと吐き出される煙。
目を細め、少し肩の力が抜けるのが見えた。
続いて、珈琲を一口。
「……ん、うまい」
それからしばらく、沈黙が続いた。
俺も黙って、珈琲を啜るだけ。
リーナはタバコを指先でくるくる回しながら、ぼそぼそと話し始めた。
「……あたしさ。魔力、少ないんだ」
ぽつりと。
「……子どもの頃から、ずっと。皆が魔法の練習してる間……あたしだけ、ぜんぜん、できなくて」
リーナは視線を落としたまま、ゆっくり煙を吐き出した。
「……それでも、頑張ったんだけど。今、もう……限界、かも」
か細い声だったが、冗談じゃないのはわかった。
「……冒険者ランク、伸びない。周りはどんどん強くなる。……でも、あたしだけ、置いてかれる」
俺は何も言わずに、珈琲を啜った。
リーナも、それでいいと思ってるみたいだった。
タバコを吸い、また煙を吐き出す。
「……悔しいけど。あきらめたくない」
小さな声で、けれど確かにそう言った。
俺は、軽く頷くだけにした。
慰めるつもりもないし、励ますつもりもない。ただ、その言葉をちゃんと受け止めた。
リーナはしばらく黙って、タバコと珈琲を交互に味わっていた。
やがて、少しだけ顔を上げた。
さっきまでより、ほんの少しだけ、目の下の影が薄くなっている。
「……また、来ていい?」
「好きにしろ」
俺はあっさり返した。
リーナは小さな笑みを浮かべた気がするが、すぐに無表情に戻って、席を立った。
短く手を挙げて、店を出ていく。
カラン、と小さな鈴の音。
俺は空になったカップを片付けながら、ふと思案した。
魔力が少ない、か。
リラックス効果だけじゃなく、魔力向上をメインに据えたタバコ……作れないか。
万能生成スキルを使えば簡単にできるかもしれないが、今はまだ、それは使わない。
素材の選定から試す。
気まぐれだが、たまにはそういうのも悪くない。
次にリーナが来たときに、何か一つくらい、渡せるかもしれない。
そんなことを思いながら、俺は新しいタバコのレシピを考え始めた。
昼下がり、客の気配もまばらな店に、すっと入ってきた。
「……来た」
呟くように、カウンターの前に腰掛ける。
俺は相変わらず、特に歓迎もしないし、追い払ったりもしない。
「タバコと……珈琲」
リーナが、ぽそっと言った。
「了解」
カウンターの下から、いつもの手巻きタバコを取り出し、同時に新しく淹れた珈琲を用意する。リーナには軽めのブレンドを選んだ。
タバコに火を点け、珈琲カップをそっと前に置く。
「……ありがと」
リーナは、それだけ言って、まずタバコを吸った。
ふーっと吐き出される煙。
目を細め、少し肩の力が抜けるのが見えた。
続いて、珈琲を一口。
「……ん、うまい」
それからしばらく、沈黙が続いた。
俺も黙って、珈琲を啜るだけ。
リーナはタバコを指先でくるくる回しながら、ぼそぼそと話し始めた。
「……あたしさ。魔力、少ないんだ」
ぽつりと。
「……子どもの頃から、ずっと。皆が魔法の練習してる間……あたしだけ、ぜんぜん、できなくて」
リーナは視線を落としたまま、ゆっくり煙を吐き出した。
「……それでも、頑張ったんだけど。今、もう……限界、かも」
か細い声だったが、冗談じゃないのはわかった。
「……冒険者ランク、伸びない。周りはどんどん強くなる。……でも、あたしだけ、置いてかれる」
俺は何も言わずに、珈琲を啜った。
リーナも、それでいいと思ってるみたいだった。
タバコを吸い、また煙を吐き出す。
「……悔しいけど。あきらめたくない」
小さな声で、けれど確かにそう言った。
俺は、軽く頷くだけにした。
慰めるつもりもないし、励ますつもりもない。ただ、その言葉をちゃんと受け止めた。
リーナはしばらく黙って、タバコと珈琲を交互に味わっていた。
やがて、少しだけ顔を上げた。
さっきまでより、ほんの少しだけ、目の下の影が薄くなっている。
「……また、来ていい?」
「好きにしろ」
俺はあっさり返した。
リーナは小さな笑みを浮かべた気がするが、すぐに無表情に戻って、席を立った。
短く手を挙げて、店を出ていく。
カラン、と小さな鈴の音。
俺は空になったカップを片付けながら、ふと思案した。
魔力が少ない、か。
リラックス効果だけじゃなく、魔力向上をメインに据えたタバコ……作れないか。
万能生成スキルを使えば簡単にできるかもしれないが、今はまだ、それは使わない。
素材の選定から試す。
気まぐれだが、たまにはそういうのも悪くない。
次にリーナが来たときに、何か一つくらい、渡せるかもしれない。
そんなことを思いながら、俺は新しいタバコのレシピを考え始めた。
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