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第4章 おじさんとソロキャンプ
第69話
キャンプの設営が一段落して、次に考えたのは食料の確保だった。
もちろん、持ち込んだ保存食もある。干し肉やクラッカー、ミックスナッツなんかは最低限バックパックに詰めてきた。だが、せっかくのソロキャンプだ。どうせなら、この森で獲れたものを食いたい。
俺は荷物から愛用のコンパクトなクロスボウを取り出した。
万能生成スキルで作ったこの一品は、見た目は地味だが、精度も威力も文句なしだ。
矢を一本つがえ、そっと森へと歩を進める。
ターゲットは、あまり大きくない獣だ。鹿や猪だと、この後の処理が手間になる。
理想は、小型のウサギかキジあたり。
踏み込む足音をできるだけ抑え、獣道を辿る。
風向きを確認しながら、慎重に進む。
しばらくすると、耳に微かな音が届いた。
カサ……カサ……
低い藪の向こうで、何かが動いている。
俺はしゃがみ込み、慎重に目を凝らした。
──いた。
丸々と太ったウサギが、一匹。
白っぽい毛並みが、草むらの緑にちらりと映えた。
呼吸を整え、狙いを定める。
「……っ」
放たれた矢は、わずかに音を立てて空気を切り裂き、獲物の急所を正確に貫いた。
動きが止まる。
俺は一呼吸置いてから近寄り、ウサギを慎重に抱え上げた。
矢を抜き取り、短く手を合わせる。
「……いただく」
森の恵みに感謝を告げた。
そのまま川へ向かう。
先ほど見つけておいた、小さな清流だ。
浅瀬に膝をつき、持参したナイフを取り出す。
鋭く研いであるこの刃なら、解体も手早く済む。
まずは喉元に切り込みを入れ、血を抜く。
澄んだ水が、赤く染まる。
それを見届けながら、ウサギの体を優しく揉みほぐしていく。
血抜きが終わったところで、次は腹を裂く。
「……よし」
慎重に刃を入れ、内臓を取り出していく。
一つ一つを確かめながら、使えそうな部位だけを取り分ける。
肝臓や心臓は丁寧に洗えば、後で焼いて食える。
腸や胃袋はここで処分だ。
作業の間、頭の中は妙に澄んでいた。
無駄な思考も、雑念もない。
ただ、ウサギの命を無駄にしないように、丁寧に、確実に。
全ての下処理を終えたころには、太陽が傾き始めていた。
川の水で手を洗い、顔を上げる。
冷たい水滴が肌に気持ちいい。
ウサギの肉を丁寧に包み、簡易のクーラーバッグにしまった。
キャンプサイトに戻ったら、すぐに焚き火台に乗せて、じっくりとローストする予定だ。
それまでに、下味もつけておきたい。
森で摘んだハーブと塩を揉み込み、肉を柔らかく馴染ませる。
川辺での作業を終え、俺は荷物を背負い直した。
そして、タバコを一本取り出し、火をつける。
深く吸い込んで、肺に煙を満たした。
(……いい夜になりそうだ)
目の前に広がる森は、どこまでも深く、どこまでも自由だった。
もちろん、持ち込んだ保存食もある。干し肉やクラッカー、ミックスナッツなんかは最低限バックパックに詰めてきた。だが、せっかくのソロキャンプだ。どうせなら、この森で獲れたものを食いたい。
俺は荷物から愛用のコンパクトなクロスボウを取り出した。
万能生成スキルで作ったこの一品は、見た目は地味だが、精度も威力も文句なしだ。
矢を一本つがえ、そっと森へと歩を進める。
ターゲットは、あまり大きくない獣だ。鹿や猪だと、この後の処理が手間になる。
理想は、小型のウサギかキジあたり。
踏み込む足音をできるだけ抑え、獣道を辿る。
風向きを確認しながら、慎重に進む。
しばらくすると、耳に微かな音が届いた。
カサ……カサ……
低い藪の向こうで、何かが動いている。
俺はしゃがみ込み、慎重に目を凝らした。
──いた。
丸々と太ったウサギが、一匹。
白っぽい毛並みが、草むらの緑にちらりと映えた。
呼吸を整え、狙いを定める。
「……っ」
放たれた矢は、わずかに音を立てて空気を切り裂き、獲物の急所を正確に貫いた。
動きが止まる。
俺は一呼吸置いてから近寄り、ウサギを慎重に抱え上げた。
矢を抜き取り、短く手を合わせる。
「……いただく」
森の恵みに感謝を告げた。
そのまま川へ向かう。
先ほど見つけておいた、小さな清流だ。
浅瀬に膝をつき、持参したナイフを取り出す。
鋭く研いであるこの刃なら、解体も手早く済む。
まずは喉元に切り込みを入れ、血を抜く。
澄んだ水が、赤く染まる。
それを見届けながら、ウサギの体を優しく揉みほぐしていく。
血抜きが終わったところで、次は腹を裂く。
「……よし」
慎重に刃を入れ、内臓を取り出していく。
一つ一つを確かめながら、使えそうな部位だけを取り分ける。
肝臓や心臓は丁寧に洗えば、後で焼いて食える。
腸や胃袋はここで処分だ。
作業の間、頭の中は妙に澄んでいた。
無駄な思考も、雑念もない。
ただ、ウサギの命を無駄にしないように、丁寧に、確実に。
全ての下処理を終えたころには、太陽が傾き始めていた。
川の水で手を洗い、顔を上げる。
冷たい水滴が肌に気持ちいい。
ウサギの肉を丁寧に包み、簡易のクーラーバッグにしまった。
キャンプサイトに戻ったら、すぐに焚き火台に乗せて、じっくりとローストする予定だ。
それまでに、下味もつけておきたい。
森で摘んだハーブと塩を揉み込み、肉を柔らかく馴染ませる。
川辺での作業を終え、俺は荷物を背負い直した。
そして、タバコを一本取り出し、火をつける。
深く吸い込んで、肺に煙を満たした。
(……いい夜になりそうだ)
目の前に広がる森は、どこまでも深く、どこまでも自由だった。
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