独身おじさんの異世界おひとりさまライフ〜金や評価は要りません。コーヒーとタバコ、そして本があれば最高です〜

旅する書斎(☆ほしい)

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第9章 おじさんとブッシュクラフト

第128話

日が高く昇る頃、俺は静かなキャンプ地で目を覚ます。昨夜の星空がまだ頭の中に残っている。ふと、焚き火の火が消えた跡を見つめ、まだ温かさが残っているのを感じる。起きてすぐに手を伸ばし、近くに置いたコーヒーのマグカップを手に取る。

「さて、今日も始めるか」

言葉にするまでもないが、こうして自分のペースで過ごすことが、何とも心地よい。毎日が同じ繰り返しに見えるかもしれないが、俺にはこれが一番だ。焚き火を囲み、コーヒーを飲み、煙草を吸いながらのんびり過ごす時間が、こんなにも大切だと実感している。

最初は、自然の中で過ごすのがこんなにも楽しいとは思わなかった。でも今は、少しずつその魅力を感じ始めている。静かな朝、焚き火の火を見つめながら、今日の計画を考える。今日は、新しく作った道具を使って、もう少し効率よく生活してみようと思う。

「まずは昼ご飯だな」

昼食を作るために、昨日作ったナイフを手に取る。刃が鋭くなっていて、切れ味が格段に良くなった。これで木を削る作業もずっと楽になったし、次は少しでも効率的に動けるだろう。

野草を少し摘んで、昨夜捕まえた魚を焼く準備をする。これもまた自分で捕まえた食材を使うから、達成感がある。何気ない昼食でも、自分で何かを作り上げることが、こんなにも満たされるとは思ってもいなかった。

「よし、これでいい」

火を起こし、魚を焼きながら、野草と一緒にスープを作る。温かいスープと焼きたての魚を前にして、深呼吸をする。周りの風景と、自分の手で作り上げたものが、すべてが一つになって、心を満たしていく。

「これが幸せってやつだな」

昼食を終えて、満腹感に包まれながら、少し昼寝をすることにした。昼寝も、今や日課の一部だ。昼間の温かい空気の中、寝袋に包まれて、ほんの少しの時間だけでも目を閉じると、心が落ち着く。目を閉じている間も、自然の音が耳に届く。風の音、鳥のさえずり、そして遠くでかすかに聞こえる川の流れ。

「いいな、ここは」

目を覚ますと、太陽が少し傾いている。昼寝から目覚めると、なんだか気分がすっきりしていて、心も体もリフレッシュされているように感じる。何も急ぐことなく、ゆっくりとした時間を過ごすことが、こんなにも貴重だとは思わなかった。

「さて、次は何をしようか」

少し休憩した後、今度は自分で作った道具を使って、木を切る作業を始める。木を切るのも、最初は思うようにいかなかったけれど、道具を作り、少しずつ手慣れてくると、何でもできる気がしてくる。

「うん、これで大丈夫だ」

自分の作った道具を使いこなせるようになったことに、少しだけ自信を持つようになった。最初の頃は、何もかもが手探りで、失敗ばかりだった。でも今は、それがうまくいくようになってきた。

昼の時間が過ぎ、夜が訪れる。焚き火の周りに座りながら、読書を始める。最近読んだ本の内容を思い出しながら、ゆっくりとページをめくる。いつの間にか、本の内容が心の中に染み込んでいく。普段の生活では気づかなかったことが、今の静かな時間の中で、少しずつ見えてくる。

「なるほど、こういう考え方もあるのか」

本を読みながら、時折自分の考えを整理してみる。自然の中で過ごしていると、何でもないように思えることが、実は大切だということに気づく。誰かと会話することなく、静かに過ごす時間が、こんなにも大事だとは思わなかった。

「夜の時間も、こんなに穏やかでいいんだな」

焚き火の炎を見つめながら、煙草をくゆらせ、夜空を見上げる。星が少しずつ輝き始めるのを見ていると、何とも言えない安らぎを感じる。この静かな時間が、俺にとっては最も大切な時間だ。

その日も、また自然の中で自分のペースで過ごす。何も急ぐことなく、ただ時間が流れていく。自分だけの生活空間が作り上げられて、ますますその時間が心地よく感じられる。

その晩も、焚き火を囲んで本を読みながら、ゆったりと過ごした。煙草を吸いながら、夜空を見上げ、明日また何をしようかと考えている自分に気づく。

「明日も、また少しずつ進んでいこう」

そう思いながら、焚き火を消して寝袋に包まれる。明日もまた、同じように過ごすのだろう。でも、そんな平穏な時間が、最も価値があるのだと、俺は心から感じていた。
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