独身おじさんの異世界おひとりさまライフ〜金や評価は要りません。コーヒーとタバコ、そして本があれば最高です〜

旅する書斎(☆ほしい)

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第9章 おじさんとブッシュクラフト

第132話

朝の空気はすでに温かく、風が心地よく流れている。昨日、一日かけて小屋の最後の部分を完成させた。

屋根の草をしっかりと覆い、外壁も塗り固めて隙間を埋めた。

外見は粗いが、俺が望んでいたのはあくまで自然と調和する空間だ。それができたんだから、今日はその成果をじっくり味わおうと思っている。

「さて、これでひと段落だ」

小屋の中に入ると、木の香りが充満している。床に座り込んで、ゆっくりと視線を巡らせる。まだ家具はないが、必要最低限のものだけは整えておいた。寝袋を引いて、煙草を置く小さな木のテーブル、そして焚き火用の石囲い。あとは本を置くための棚も作っておいた。

「この場所、いいな」

外にいるのと違って、ここは完全に自分だけの空間だ。誰かが来ることもないし、何かに追われることもない。何もかも、自分のペースで進められる。その静けさが、心地よさを引き立ててくれる。

昼過ぎ、少しの休憩を取りながら考える。「このままのペースで、この場所を別荘のように使うのもいいな。」外の家から来て、自然の中で生活できる別荘、それこそがこの場所の使い方として最適だろう。

「でも、少し不安なこともあるな」

本来なら、モンスターや天候の変化など、あらゆる要素に対して準備が必要だ。俺は便利アイテムを使うつもりはないが、やはり安全に過ごすためには、何か工夫をしなければならない。それに、ここを完全に「自分の家」として使うためには、何か一つでも魔法で強化した方がいい。

「一応、少しだけ便利なことを考えてみよう」

まず、家の周りにモンスター避けの魔法をかけることに決める。強力な魔法は使いたくないが、せめて普通の魔物が入ってこないように、範囲内に結界を張る。それに、家自体には「状態保存」の魔法をかけて、何もかもそのまま保存できるようにする。これで、もし俺がここを離れていても、家の中はそのままの状態で残り続ける。

「よし、これで完璧だ」

魔法の設定が完了すると、すぐにその効力が実感できた。モンスターが近づく気配も感じないし、家の中も時間が止まったかのように静かだ。これで、もしもの時も安心だ。何も心配することはない。

その後は、さらに家の周りを整え、道を広げていく。今度は、山を登った先に展望台のような小さな休憩所を作ることに決めた。焚き火を囲むのもいいが、たまには違う景色を楽しみたいからだ。

作業が終わると、少し体を休めるために森の中を散歩してみる。風が木々を揺らし、鳥のさえずりが耳に心地よい。自然の中での生活が、ますます楽しく感じられてきた。何も急ぐことなく、無理に計画を立てることなく、ただこの場所で自分の時間を過ごすことができる。

「こんな静かな生活、やっぱり最高だな」

夕方になると、焚き火を囲みながら、本を開いて読んだり、煙草をくゆらせたりして過ごす。どこかのんびりとした時間が流れていくのが、最高にリラックスできる瞬間だ。

「明日はどんなことをしようか」

今後のことを少し考えながらも、結局大きな計画は立てないまま、自然の流れに身を任せることにした。少しずつ生活を整え、毎日を楽しんで過ごしていく。それが、今の俺にとって何よりも幸せなことだ。

その夜、寝袋に包まりながらふと思う。「次にやりたいことは何だろう?」 それは、今すぐには思い浮かばなかった。ただ、明日もまた静かに過ごせることが、何よりも心地よかった。

次の日、また朝が来る。焚き火を囲みながらコーヒーを飲む時間、煙草を吸いながら空を見上げる時間、そして本を読みながらゆっくり過ごす時間。それらが、少しずつ俺の「家」としてのリズムを作っていくのだろう。
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