独身おじさんの異世界おひとりさまライフ〜金や評価は要りません。コーヒーとタバコ、そして本があれば最高です〜

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第9章 おじさんとブッシュクラフト

第133話

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朝、目を覚ますと、いつもの静かな森の音が耳に入ってくる。昨日の残り火で暖を取ろうと思ったが、思いのほか温かい日差しが差し込んでいて、火を使う必要もない。空気がすっきりとしていて、今日もいい天気になるだろう。

「さて、次は家具だな」

小屋の中は、だいぶ整ってきた。寝袋を引いて、本を置くための棚も作った。だが、椅子がない。座る場所は地面か、簡単に作った木の台ぐらいだ。それに、最近長時間座っていると少し腰が痛くなってきた。やはり、座り心地の良い椅子を作ろう。

「でも、椅子か…」

椅子を作るには、まずしっかりとした木材を選ぶ必要がある。硬くて、長持ちする木が必要だ。周りを見回して、適当な木を見つける。なるべく真っ直ぐで、太い枝を探し、ナイフで少しずつ削りながら、使える木を見極めていく。

「これでいけるな」

思った通り、見つけた木は強度があり、しっかりとした質感だった。まずは、座面を作るために丸太を切り、必要な大きさに削る。座りやすい高さと安定感を確保するために、慎重に計算しながら作業を進める。

「まあ、失敗してもなんとかなるだろ」

椅子作りは初めてではないが、今回は全て自分の手で作るという点が違う。木を切り、削り、組み合わせる過程が面白くて仕方ない。道具がなかった時代の人々は、こんな感じで全てを作り上げていたんだろう。作業に没頭しながら、なんだかその時代の人々と繋がったような気がした。

「これで、座る部分ができたな」

次に背もたれを作る。背もたれも、座面と同じく、しっかりと支える必要がある。木の枝を使って、少しカーブをつける。座ってみたときに、ちょうど体にフィットするように調整していく。

「もう少しで完成か」

背もたれの部分を固定した後、全体を見てみる。なかなかいい感じだ。座る部分が安定していて、背もたれも体をしっかり支えてくれる。手を加えながら、少しずつ完成度が上がっていく。

昼食を挟んで、午後には最後の仕上げに取り掛かる。細かい部分を整え、座面をもう少し柔らかくするために、削りを加える。何度も何度も確認してみる。座ってみて、背中にフィットする感じがよくなってきた。

「これで、完成だ」

最後に、椅子をしっかりと組み立ててみると、予想以上にしっかりとしたものが出来上がった。木の質感も良く、座り心地も申し分ない。完成した椅子を小屋の中に置き、座ってみる。

「うん、これはいい」

ふと、心の中でほっと息をつく。今までは地面に座るか、簡易的な台に腰掛けていたが、これで落ち着いて本を読んだり、煙草を吸ったりできる場所ができた。

「これで、暮らしが少し快適になった」

昼間は焚き火を囲んでコーヒーを飲み、昼寝をし、夜には本を読んだり、煙草をくゆらせたりして過ごす。それが、俺の一日の流れだ。椅子が加わることで、さらにその時間が心地よく感じられるようになった。

「明日もまた、こうして過ごせるのか」

自然の中で過ごすこの時間が、だんだんと自分に馴染んできた。今では、何もかもがスムーズに流れ、生活が整ってきていると感じる。自分のペースで、焦らずに、少しずつ進んでいける。

その夜、焚き火の前で椅子に座りながら、また一つ思ったことがあった。次は何を作ろうか、と。
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