独身おじさんの異世界おひとりさまライフ〜金や評価は要りません。コーヒーとタバコ、そして本があれば最高です〜

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第10章 おじさんと妖狐

第143話

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店の中で、コーヒーを飲みながら煙草をくゆらせる。

俺はそのとき、あの女性との会話を思い返していた。狐の話、その正体、彼女の無防備な表情が脳裏に浮かぶ。

ただ、俺はそれを気にしない。

「妖狐」と聞いたときも、俺には驚きも特にない。ただ、彼女が話したかったことを話しているのだろうと思っただけだった。

俺が助けたことを感謝している、そう言っていたが、それも特に心に響くことはない。

煙草を取り出して、また火をつけた。ふと、あの狐がどこに行ったのか気にはなったが、もうそれもどうでもいい。助けるのが俺の性分だし、それだけだ。

「さて、何か作ろうか。」

ふと思いついた。俺には多くの道具を作る力がある。特に、自然から得られる素材で作るものは、何でも手に取るようにできる。今日もまた、何か新しいものを作ってやろう。

俺はあの日、助けた狐が使っていたキセルのことを思い出した。それは、立派なものではなかったが、使いやすそうだった。

「俺も自分で作ってみるか。」

まずは道具を整える。森に行く必要はない。この店にある木材や素材を使えば、十分だ。

木の板を切り、手に馴染むサイズのキセルを作る。自分で手を動かし、丁寧に作っていく。

作業をしながら、心地よい静寂が広がる。周りのものがすべて俺を包んでいるような気がする。外の世界の喧騒は、ここには全く影響を与えない。

そのまま作業を続けていると、煙草の香りが店に充満してきた。火をつけたキセルの先から漏れ出す煙が、ほんのりと店内を漂う。

手元で作り終えたキセルを持ち上げ、満足げに眺めた。

「うん、悪くない。」

出来上がったキセルを手に取って、少し手を休めることにする。こんな些細なことが、俺には心地よい。

自然に囲まれたこの空間、何もかもが自分の手の中にあるという感覚。それが、たまらなく好きだ。

コーヒーをもう一口飲み、また煙をくゆらせる。

その時、ふと頭に浮かんだのは、あの狐だった。俺が助けた狐、あれがどんな存在だったのか、考えることすら面倒だが、なんとなく気になってきた。

「まあ、どうでもいいか。」

そう呟きながら、再び作業を始める。今度はタバコを自分で育ててみようかと思い始めていた。前から興味はあったが、今がそのタイミングだろう。

外に目を向けると、空はもうすっかり夕暮れになっていた。ゆっくりとした時間が流れ、店内もその一部となっている。どこからともなく聞こえる鳥の声が、心地よいBGMのようだ。

俺はキセルを片手に、また煙草をくゆらせる。そして、静かに店の片隅で手を動かしながら考える。

「どうして、あんなに人は他人を気にするんだろうな。」

店の中に充満する煙の中、何気ない問いかけがふと浮かんだ。それは自分にとって、答えの出ない問いだ。

「俺にとって大切なのは、ただこれだけの時間。」

一人でいること、それが一番の安らぎだと、改めて感じる。

また煙を吸い込みながら、今はただ、手を動かしている。

外の世界のことなど、どうでもよかった。
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