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第22話
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俺はイールの血に濡れた腕を見下ろしながら、ゆっくりと息を吐いた。
酸素なんて必要ないこの身体なのに、自然と呼吸の仕草が出るほどだった。
それだけ、この戦いは、俺の全力を引き出させた。
勝った。
本当に勝ったんだ。
レベル差五。
圧倒的不利だったはずの相手に、正面から勝ち切った。
進化して、力を手に入れて。
それでもまだ足りないと、戦い続けて。
こうして、俺はまた一歩、上へ進んだ。
ウィンドウが表示されっぱなしだった。
【レベル:15】
【HP:52/52】
【MP:8/8】
【筋力:26】
【敏捷:30】
【知力:7】
【耐久:18】
【スキル:水中遊泳(中級)、噛みつき(中級)、水圧噴射(初級)、感知(中級)、硬鱗化(初級)、甲羅強化(初級)、高速遊泳(中級)、捕食本能(初級)、渦潮操作(初級)、血潮の加護(初級)、雷撃耐性(初級)】
ステータスもスキルも、着実に底上げされている。
特に敏捷が三〇を超えたのは大きい。
水中戦において、スピードは最大の武器だ。
これで、並のモンスターなら視界にすら捉えられずに狩れるだろう。
そして、新たに手に入れたスキル──雷撃耐性。
これも非常にありがたい。
【雷撃耐性(初級):雷撃属性の攻撃に対する耐性を持つ。被ダメージを二割軽減】
もし、今後さらに強力な雷撃を使う敵と出会ったとき、間違いなく役に立つ。
すべてが、俺の血肉になっている。
(……もっと、だ)
満足なんてしていられない。
この力を手に入れたのなら、さらに次を目指さなきゃ意味がない。
俺はイールの肉に食らいついた。
電撃を帯びた肉は舌を刺すような刺激があったが、そんなもの気にしない。
噛みちぎり、喉に押し込み、身体に力を取り込む。
【経験値を獲得しました】
【筋力が小幅に上昇しました】
【敏捷が小幅に上昇しました】
一口ごとに、確実に力が積み上がっていく。
今この瞬間も、俺は強くなっている。
そう実感できる。
すべてを食い尽くすと、辺りは再び静けさを取り戻した。
闇。
冷たい海流。
血と鉄の匂い。
その中に、俺は確かに生きている。
ふと、進化ウィンドウがちらついた。
【進化条件 一部達成】
【現在達成率:50%】
(また進化できる……)
次の進化が、もう視界に入っている。
俺は拳を握った。
ここで終わる気なんてない。
まだまだ、こんなものじゃない。
この海の、最果てにたどり着くまで。
最強の存在になるまで。
俺は泳ぎ続ける。
感知スキルを広げ、次の獲物を探した。
微かだが、また新たな気配が海流の向こうから漂ってきた。
酸素なんて必要ないこの身体なのに、自然と呼吸の仕草が出るほどだった。
それだけ、この戦いは、俺の全力を引き出させた。
勝った。
本当に勝ったんだ。
レベル差五。
圧倒的不利だったはずの相手に、正面から勝ち切った。
進化して、力を手に入れて。
それでもまだ足りないと、戦い続けて。
こうして、俺はまた一歩、上へ進んだ。
ウィンドウが表示されっぱなしだった。
【レベル:15】
【HP:52/52】
【MP:8/8】
【筋力:26】
【敏捷:30】
【知力:7】
【耐久:18】
【スキル:水中遊泳(中級)、噛みつき(中級)、水圧噴射(初級)、感知(中級)、硬鱗化(初級)、甲羅強化(初級)、高速遊泳(中級)、捕食本能(初級)、渦潮操作(初級)、血潮の加護(初級)、雷撃耐性(初級)】
ステータスもスキルも、着実に底上げされている。
特に敏捷が三〇を超えたのは大きい。
水中戦において、スピードは最大の武器だ。
これで、並のモンスターなら視界にすら捉えられずに狩れるだろう。
そして、新たに手に入れたスキル──雷撃耐性。
これも非常にありがたい。
【雷撃耐性(初級):雷撃属性の攻撃に対する耐性を持つ。被ダメージを二割軽減】
もし、今後さらに強力な雷撃を使う敵と出会ったとき、間違いなく役に立つ。
すべてが、俺の血肉になっている。
(……もっと、だ)
満足なんてしていられない。
この力を手に入れたのなら、さらに次を目指さなきゃ意味がない。
俺はイールの肉に食らいついた。
電撃を帯びた肉は舌を刺すような刺激があったが、そんなもの気にしない。
噛みちぎり、喉に押し込み、身体に力を取り込む。
【経験値を獲得しました】
【筋力が小幅に上昇しました】
【敏捷が小幅に上昇しました】
一口ごとに、確実に力が積み上がっていく。
今この瞬間も、俺は強くなっている。
そう実感できる。
すべてを食い尽くすと、辺りは再び静けさを取り戻した。
闇。
冷たい海流。
血と鉄の匂い。
その中に、俺は確かに生きている。
ふと、進化ウィンドウがちらついた。
【進化条件 一部達成】
【現在達成率:50%】
(また進化できる……)
次の進化が、もう視界に入っている。
俺は拳を握った。
ここで終わる気なんてない。
まだまだ、こんなものじゃない。
この海の、最果てにたどり着くまで。
最強の存在になるまで。
俺は泳ぎ続ける。
感知スキルを広げ、次の獲物を探した。
微かだが、また新たな気配が海流の向こうから漂ってきた。
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