サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

第31話

ジャングルクラウンの巨体が揺れるたび、地面が震えた。
だが、その鈍重な動きはもはや俺のスピードについて来られない。
水中で培った高速機動、そして進化によって得た膂力と敏捷性。
すべてをフル活用して、俺は一方的に敵を嬲った。

脇腹を裂き、足を噛み砕き、腕を削る。
巨大な身体を持つ強敵も、こうして確実に部位を破壊していけば、いずれは崩れる。

捕食本能が活性化し、血潮の加護で俺の攻撃はさらに鋭さを増す。

ジャングルクラウンが怒り狂い、咆哮と共に巨腕を振り回した。
だが、それも読み切っている。
感知スキルで予備動作を読み、最小限の動きでかわす。

さらに、水流支配を応用し、敵の足元に微弱な渦を生み出してバランスを崩す。

その隙を逃さず、俺は跳びかかる。

今度の狙いは、首筋。
巨体であろうと、頸動脈を断てば血液の供給を断ち、戦闘力を大幅に削げる。

鋭い牙を突き立て、力任せに肉を引き裂いた。

ぐしゃりと嫌な音と共に、温かい血が俺の身体に降り注ぐ。

ジャングルクラウンが苦痛にのたうち回る。

俺はさらに追撃を加えるため、胸元に爪を突き立てた。

肉を抉り、骨を砕く勢いで攻撃を繰り返す。

何度も、何度も。

巨体の敵が、次第に動きを鈍らせていく。

ついに、膝をついた。

（よし、仕留める──）

最後の一撃を放つため、俺は牙を剥き、跳躍した。

目標は心臓。

全力で牙を突き立てた。

ズブリと手応え。

血潮の加護が限界まで高まり、俺の身体能力が一時的に爆発的に跳ね上がる。

俺は牙を食い込ませたまま、心臓を引き裂いた。

ジャングルクラウンの巨体が、ゆっくりと崩れ落ちる。

感知スキルが告げる。

──敵意、消失。

（勝った……！）

荒く息を吐きながら、俺は拳を握った。

また一歩、頂点へと近づいた。

すぐにウィンドウが開く。

【経験値を大量に獲得しました】
【レベルが23に上昇しました】
【新スキル：地踏掌握（初級）を習得しました】

新たなスキル。
また、力を手に入れた。

俺はすぐにスキルウィンドウを開いた。

【地踏掌握（初級）：地面を介して周囲の振動を操り、敵のバランスを崩すことができる】

（いい……地上戦でも、俺は無敵になれる）

獲物の死骸に食らいつく。

その肉を、血を、骨を、すべて俺の糧に変える。

【経験値を獲得しました】
【筋力が上昇しました】
【耐久が上昇しました】

食い終わったころ、俺のステータスはさらに跳ね上がっていた。

【レベル：23】
【HP：112／112】
【MP：17／17】
【筋力：59】
【敏捷：69】
【知力：14】
【耐久：42】

進化後の強化に加え、ここまでの激闘の積み重ね。
今の俺は、もはや島に存在するどの生き物よりも強いと確信できた。

だが──それでも俺は、満足していなかった。

この島の制圧なんて、俺の目指す頂のほんの入口に過ぎない。

この世界には、まだまだ未知の強敵がいる。
新たな進化も、さらに上の存在も、必ず存在する。

だから俺は進む。
貪欲に、貪欲に、すべてを喰らい尽くすために。

次の狩場を求め、俺は再び動き出した。