サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

☆ほしい

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第34話

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ロックタイラントの巨体が大きくぐらついた。
血が滝のように噴き出している。
それでも、こいつは倒れない。
本能が告げていた。
ここで気を緩めれば、逆に叩き潰される。

なら、畳みかけるしかない。

俺は牙を引き抜くと同時に、高速で側面へ回り込んだ。
渦潮掌握を応用し、地面に微弱な振動を発生させてバランスを狂わせる。
地踏掌握の効果も重ねて、奴の動きを完全に鈍らせた。

ロックタイラントが重い身体を支えきれず、膝をつく。

好機だ。

俺は地面を蹴り、跳躍した。

空中で水圧噴射を放ち、さらに加速する。
狙うは、頭部。

この巨体を支配している中枢を叩き潰す。

牙を剥き、落下する勢いを乗せたまま、頭頂部めがけて牙を突き立てた。

バギィッ!!と轟音が響き、硬い外殻が割れた。

ズブズブと牙が食い込む。

ロックタイラントが断末魔の叫びを上げる。

俺は牙を深く押し込み、脳髄を引き裂いた。

巨体が大きく震え、やがて動きを止めた。

感知スキルが告げる。

──敵意、完全消失。

(……やった)

重力が一気に緩み、身体が軽くなる。

勝った。
レベル差十五。
圧倒的な強者を、俺は確かに打ち倒した。

すぐにウィンドウが開いた。

【経験値を超大量に獲得しました】
【レベルが26に上昇しました】
【新スキル:重力耐性(初級)を習得しました】
【進化条件 一部達成】

(重力耐性……)

今戦ったばかりの能力への耐性。
これ以上ないタイミングだ。

俺はすぐにスキルを確認した。

【重力耐性(初級):重力変化による影響を三割軽減する】

(強い……)

これで、次に重力使いと戦うことになっても恐れる必要はない。

俺はロックタイラントの肉に食らいついた。

硬い。
だが、噛み砕くたびに、力が体内に染み込んでくる。

【経験値を獲得しました】
【筋力が大幅に上昇しました】
【耐久が大幅に上昇しました】

肉を喰らい、骨を砕き、血をすすり、すべてを俺のものに変えていく。

食い終えたころ、ステータスは大きく跳ね上がっていた。

【レベル:26】
【HP:125/125】
【MP:18/18】
【筋力:68】
【敏捷:76】
【知力:15】
【耐久:50】

ついに耐久が50に達した。
筋力も敏捷も飛び抜けている。

今なら、かつて俺が恐れていたどんな存在とも互角以上に渡り合えるだろう。

だが、それでも俺は満足していなかった。

まだだ。
まだ、上がある。

進化条件も達成率が高まったが、完全には到達していない。

さらなる強者を狩り、さらなる力を手に入れなければならない。

俺は感知スキルを広げ、次なる獲物を探した。

そして、島の奥地、さらに高い山の向こうに、別格の存在を感じ取った。

(いるな──まだ上が)

血が騒ぐ。
心臓が早鐘を打つ。

新たな強敵。
新たな進化。

俺は牙を剥き、地を蹴った。
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