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第76話
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海上進出の準備は、すでに最終段階に入っていた。
俺は深淵都《アビス・シティ》から、蒼鱗都《ソウリント》へ向かう海流を自ら制御しながら、海上作戦の布石を打っていった。外洋はすでに制圧済みだ。だが、制圧はしただけで、維持には手間がかかる。
(外洋の維持と練兵はフィンに任せた。あいつなら、もう心配いらねぇ)
かつて外洋探索隊を率いたフィンは、今や外洋担当将軍となり、主に拠点維持と兵士の練度向上を任されている。俺の指示がなくても、フィンなら堅実に支えてくれるだろう。
その代わり、今、俺の横に控えるのは──
(ブレク、防衛隊長──ってわけだ)
「準備はバッチリっスよ、ボス!」
ぴしっと敬礼するブレクは、厚めの鱗に覆われた頑丈な体躯を持ち、気さくな口調で俺に報告してくる。妙にノリが軽いが、仕事は速く、戦闘力も申し分ない。フィンとは違い、多少砕けた話し方をするのも悪くない。区別もつきやすい。
(副官としては、まあ合格だな)
ブレクは蒼鱗都の防衛指揮官だが、今回は俺の海上進出作戦にも同行させることにした。やはり、隣で命令を即座に実行できる奴が必要だ。
「探索部隊の編成も終わってるっス。小回りの効く奴らを中心に、スカウトと護衛をセットで組ませたっスよ」
(いい判断だ。最初の探索でヘマったら、全部台無しだからな)
「それに、防衛網も広げておいたっス。外洋から本拠地に戻る連絡路に、待機小隊を配置したっス」
(防衛と探索、両方を並行できるのはありがてぇ)
俺は軽くうなずき、海上拠点強化計画の資料に目を通す。蒼鱗都を中心に、浮遊型の拠点を建設する予定だ。大型甲殻モンスターを素体にして、海上要塞を築く。浮遊する陸地だ。
(まずは要塞の素体選びからだな)
「大型甲殻モンスターの捜索隊も出したっス。候補地はこの三箇所っスね」
ブレクが差し出した海図に、赤くマークがついている。
(よし、先に一番近い場所からだ)
軽く指差すと、ブレクはすぐに応じた。
「了解っス!すぐ部隊を動かすっス!」
俺は海流を操って、進路を整えた。目指すは、巨大甲殻モンスターが出没するという海域。
(まずは──拠点の基礎を叩き上げる)
この海を支配するには、確かな牙城が必要だ。奪い、築き、守り、さらに攻める。
そのための第一歩が、今ここから始まる。
俺は深淵都《アビス・シティ》から、蒼鱗都《ソウリント》へ向かう海流を自ら制御しながら、海上作戦の布石を打っていった。外洋はすでに制圧済みだ。だが、制圧はしただけで、維持には手間がかかる。
(外洋の維持と練兵はフィンに任せた。あいつなら、もう心配いらねぇ)
かつて外洋探索隊を率いたフィンは、今や外洋担当将軍となり、主に拠点維持と兵士の練度向上を任されている。俺の指示がなくても、フィンなら堅実に支えてくれるだろう。
その代わり、今、俺の横に控えるのは──
(ブレク、防衛隊長──ってわけだ)
「準備はバッチリっスよ、ボス!」
ぴしっと敬礼するブレクは、厚めの鱗に覆われた頑丈な体躯を持ち、気さくな口調で俺に報告してくる。妙にノリが軽いが、仕事は速く、戦闘力も申し分ない。フィンとは違い、多少砕けた話し方をするのも悪くない。区別もつきやすい。
(副官としては、まあ合格だな)
ブレクは蒼鱗都の防衛指揮官だが、今回は俺の海上進出作戦にも同行させることにした。やはり、隣で命令を即座に実行できる奴が必要だ。
「探索部隊の編成も終わってるっス。小回りの効く奴らを中心に、スカウトと護衛をセットで組ませたっスよ」
(いい判断だ。最初の探索でヘマったら、全部台無しだからな)
「それに、防衛網も広げておいたっス。外洋から本拠地に戻る連絡路に、待機小隊を配置したっス」
(防衛と探索、両方を並行できるのはありがてぇ)
俺は軽くうなずき、海上拠点強化計画の資料に目を通す。蒼鱗都を中心に、浮遊型の拠点を建設する予定だ。大型甲殻モンスターを素体にして、海上要塞を築く。浮遊する陸地だ。
(まずは要塞の素体選びからだな)
「大型甲殻モンスターの捜索隊も出したっス。候補地はこの三箇所っスね」
ブレクが差し出した海図に、赤くマークがついている。
(よし、先に一番近い場所からだ)
軽く指差すと、ブレクはすぐに応じた。
「了解っス!すぐ部隊を動かすっス!」
俺は海流を操って、進路を整えた。目指すは、巨大甲殻モンスターが出没するという海域。
(まずは──拠点の基礎を叩き上げる)
この海を支配するには、確かな牙城が必要だ。奪い、築き、守り、さらに攻める。
そのための第一歩が、今ここから始まる。
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