サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました

☆ほしい

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第78話

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(次は海賊どもの掃討だ)

アイアンフロートに戻ると同時に、作戦会議を開いた。やることは決まっている。海賊、つまり──人間どもをこの海域から根絶やしにする。

「ボス、偵察隊から報告っス!三箇所、人間どもの拠点を確認したっス!」

ブレクが海図に印をつけながら、歯を見せて笑った。

(全部ぶっ潰す。移動距離が短いところから順に叩け)

「了解っス!」

俺は部隊をまとめた。高速遊泳持ち、感知スキル持ち、それに捕縛網の使い手を中心に編成。小回りが利き、突撃と制圧に向いた精鋭だけを集めた。

(目標は第一拠点。潰す)

海上に浮かぶ小島、そのわきに人間たちは粗末な砦を作っていた。木材を雑に組み合わせ、帆船の残骸を積み上げただけの代物だ。油断はしないが、こんな粗末なもの、風が吹けば飛ぶ。

「第一部隊、出撃準備完了っス!」

(行くぞ)

俺たちは潮の流れを掴み、一直線に小島へ向かった。

波を割って進むと、海面に人間たちの拠点が見えた。ぼろぼろの見張り台、腐った帆布、燻る焚き火。粗野な連中が数人、船の甲板で酒を飲みながら騒いでいる。

(終わりだ)

俺は指を弾いた。

ブレクが即座に吠えた。

「突撃っス!!」

高速遊泳スキルを限界まで引き出し、海面を破る。一斉に飛び出したサハギン兵たちが、矢のように砦に突撃した。

俺は先頭に立ち、水圧噴射を放った。高圧水流が帆布を破き、見張り台を粉砕する。

「な、なにいいいッ!?」

人間たちが狼狽する。武器を取る前に、俺は渦潮掌握を展開した。拠点全体が傾き、人間どもがよろめく。

(駄目だ。間に合わねえ)

逃げ出そうとした奴を、ブレクたちが捕縛網で拘束した。もがきながらも、あっという間に捻じ伏せられる。

「ぎゃああああっ!」

「く、くそ魚風情がああっ!」

(魚じゃねぇ。王だ)

俺は逃げ遅れた一人を水圧で吹き飛ばし、牙を剥いた。

(人間ども──喰い散らかしてやる)

数分後、拠点は崩壊し、人間たちは全員拿捕された。

「第一拠点、制圧完了っス!」

(次だ。第二拠点へ移動する)

「ラジャっス!」

俺たちはすぐに潮流を使い、第二の拠点へ向かった。

第二拠点は岩礁に隠された入り江だった。人間たちはそこに小型船を並べ、自然の地形を盾にして潜伏している。

だが──

(無駄だ。感知してる)

入り江に近づくと、俺は水中から静かに領域を広げた。滅海領域。その影響下では、隠れることすら許されない。

(包囲しろ。一気に叩く)

「了解っス!」

四方から、サハギン兵たちが一斉に雪崩れ込んだ。

入り江の中で、人間どもが悲鳴を上げる。

「な、なんだ!?海から──うわあああっ!」

「化け物だ、逃げろ!」

俺は渦潮を発生させ、小型船を強引に転覆させた。もがく人間たちを、水中から引きずり込む。

「ぎゃあああ!?」

「誰か、助け──」

無駄だ。誰も助けない。誰も逃がさない。

入り江はあっという間に血と泡に沈み、人間たちは次々と捕らえられていく。

「第二拠点、制圧っス!」

(次──第三だ)

「もう、行くっスか?」

(当然だ。息つく暇なんざねぇ)

潮流をさらに加速させ、俺たちは第三の拠点へ向かう。

第三拠点は、人間たちが拠点らしい拠点を築いていた。小型ながら石造りの砦に改造され、数隻の小型帆船が周囲を警戒していた。

(ほう。今までのゴミとは違うな)

「警備固めてるっスね」

(だから何だ。潰すだけだ)

俺は深く海流を操作し、味方全体に加速をかけた。

(まず、船を潰す)

「了解っス!」

サハギン兵たちは一斉に船を狙った。俺は滅海領域を拡大し、海流を捻じ曲げた。帆船の舵が効かなくなる。

「舵が取れねぇ!」

「船が回る、バカ、止めろおおお!」

船同士がぶつかり、木材と帆布が飛び散った。慌てた人間たちが砦へ逃げ込もうとするが──間に合わない。

俺は先頭に立ち、渦潮掌握で砦の入り口を吹き飛ばした。

「突入っス!!」

「うおおおっ!」

サハギンたちが雪崩れ込む。人間たちは必死に剣を振るうが、遅い。甘い。脆い。

ブレクが鋭く叫ぶ。

「捕虜は生け捕り最優先っス!」

(生かしても意味はねぇが、使い道はある)

敵の指揮官らしき男が剣を構えたが、俺は水圧噴射を直撃させた。

「ぐぼっ……!」

派手に吹き飛び、石壁に叩きつけられて沈黙する。

数分後、砦の中は人間たちの呻き声と捕虜の鎖音だけになった。

「第三拠点、制圧完了っス!」

(海賊、人間──壊滅だ)
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