【完結】不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

旅する書斎(☆ほしい)

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エルフたちとの心温まる別れの後、俺たちは、彼らに教わった道をたどり、次の目的地である海を目指した。

大森林を抜けると、目の前には、どこまでも広がる紺碧の水平線と、白い砂浜が広がっていた。潮の香りと、リズミカルな波の音が、心地よく俺たちを迎えてくれる。

「うわあ……!海だー!」

俺の腕の中から飛び出したフェンは、初めて見る広大な海に大興奮で、波打ち際を元気に駆け回っている。その姿は、本当にただの子犬のようだ。

『レオン、見て見て!お水がしょっぱいよ!それに、小さなカニさんがいっぱいいる!』

フェンは、次から次へと新しい発見をしては、嬉しそうに俺に報告してくる。

「本当に綺麗な海ですね。心が洗われるようですわ」

リリアさんも、穏やかな表情で海を眺めている。

「ふむ。しかし、問題はどうやって海の底にあるという『珊瑚の神殿』へ行くか、だな。私とリリア殿が開発中の、水中呼吸のポーションは、まだ完成には程遠い」

アロイスさんが、腕を組んで唸る。

確かに、それが問題だ。いくら俺たちが特別な力を持っているからといって、水中で呼吸もできずに、海の底まで行くことなどできるはずがない。

その時、俺はエルフの族長から渡された、『月の雫の真珠』のことを思い出した。懐から、その美しい真珠を取り出してみる。

「族長さんは、これがあれば、海の民も俺たちを受け入れてくれると言っていたけど……」

俺がそう呟きながら、真珠を海の方へかざした、その瞬間だった。

真珠が、月の光のような、柔らかく、そして神秘的な光を放ち始めたのだ。そして、その光は、俺たち一人一人を、まるでシャボン玉のように、大きな光の泡で優しく包み込んだ。

「こ、これは……!?」

アロイスさんが驚きの声を上げる。

泡の中は、不思議なことに、外の空気と変わらず、普通に呼吸ができる。そして、水圧を感じることもない。

「すごい……!この真珠が、俺たちを守ってくれているのか!」

『わあ!シャボン玉の中に入ってるみたい!楽しい!』

フェンもルクスも、この不思議な現象を楽しんでいるようだ。

俺たちは、光の泡に包まれたまま、ゆっくりと海の中へと足を踏み入れた。すると、泡は俺たちの意思に従うかのように、海の底へと、静かに潜り始めた。

目の前には、信じられないほど美しく、そして幻想的な、海中の世界が広がっていた。

色とりどりの魚の群れが、俺たちの周りをダンスするように泳ぎ回り、ゆらゆらと揺れる海藻は、まるで緑の草原のようだ。そして、その先には、赤、青、黄色と、様々な色彩の珊瑚礁が、どこまでも続いていた。

「まるで、竜宮城だな……」

俺は、その美しさに、ただただ息をのむ。

しばらく海の中を進んでいると、賢そうな瞳をしたイルカの群れが、俺たちのところにやってきた。彼らは、俺たちの周りをくるくると回り、そして、こっちへおいで、とでも言うように、俺たちを先導し始めた。

イルカたちに導かれ、俺たちは、さらに海の奥深くへと進んでいく。やがて、目の前に、ひときわ大きく、そして壮麗な、光り輝く都が見えてきた。

その都は、全てが白く輝く巨大な珊瑚でできており、家々の窓には、真珠がはめ込まれ、柔らかな光を放っている。まさに、海の底の神殿都市だ。

俺たちが都に近づくと、半人半魚の姿をした、美しい『海の民』たちが、俺たちを出迎えてくれた。彼らの髪は、海藻のようにゆらめき、その肌は、真珠のように輝いている。

都の中央にある、最も大きな神殿に通されると、そこには、女王らしき、ひときわ気品と威厳に満ちた、美しい海の民が座っていた。

俺が、エルフの族長から預かった『月の雫の真-珠』を差し出すと、女王は、その美しい瞳をわずかに見開き、そして、深々と頷いた。

「月の民、エルフからの使者よ。そして、聖霊獣と光の精霊鳥を連れし、選ばれし者……。古の盟約に従い、我ら海の民は、あなた方を心から歓迎いたします」

女王の声は、海の静けさのように、穏やかで、そしてどこまでも透き通っていた。

女王は、俺たちが精霊王の使命を受けて、この星を救う旅をしていることを知ると、悲しげな表情で語り始めた。

「我ら海の民もまた、星の病に苦しんでおります。我らの命の源であり、この海の全ての生命を育む『大いなる海流』を生み出す、この珊瑚の神殿の力が、日に日に弱まっているのです」

女王の話によれば、神殿の力が弱まったことで、海流は乱れ、多くの魚たちが住処を失い、あれほど美しかった珊瑚礁も、少しずつその色を失い始めているのだという。

「どうか、皆様のお力で、この海の源泉を、救ってはいただけないでしょうか」

「はい、お任せください。そのために、俺たちはここへ来たのですから」

俺たちは、女王の案内で、神殿の最も奥深く、そして最も神聖な場所である、『源泉の心臓』へと向かった。

そこには、家ほどもある巨大な、純白の真珠が安置されていた。本来なら、内側から眩いばかりの光を放っているはずのその真珠は、今や、黒く、そしてヘドロのような『澱みの泥』に覆われ、弱々しく、そして不規則に明滅を繰り返しているだけだった。

「これが……虚無の因子が生み出した、海の澱み……」

リリアさんが、顔をしかめる。

「ふむ。物理的な汚染ではないな。生命エネルギーそのものを蝕む、呪いのようなものだ。これを洗い流すには、陸と海の、双方の清浄な力が必要となるだろう」

アロイスさんが、冷静に分析する。

俺たちは、早速、浄化の準備に取り掛かった。リリアさんとアロイスさんは、海の民から提供された、強い浄化作用を持つという『光る海藻』と、俺たちが陸で集めてきた、生命力あふれる薬草を組み合わせ、特別な浄化液を調合した。

そして、俺は、澱みに覆われた『源泉の心臓』の前に立ち、その心に、直接語りかけた。

(海の心よ……聞こえるかい?君は、一人じゃない。君の苦しみ、俺たちが全て、洗い流してあげるからね)

俺が浄化液を振りかけると同時に、フェンとルクスが、水中であるにもかかわらず、その輝きを失うことのない、聖なる光と癒しの光を放った。フェンの周りだけ、まるで空気のドームができたかのように、水が存在しない不思議な空間が生まれている。

そして、女王をはじめとする海の民たちが、神殿中に、古来から伝わるという、魂を浄化する、美しい祈りの歌声を響かせ始めた。その歌声は、まるで超音波のように、澱みの泥の結合を、内側から破壊していく。

全ての力が、一つになった、その時。

『源泉の心臓』を覆っていた黒い澱みが、まるで陽光に溶ける雪のように、綺麗さっぱりと洗い流されていった!

そして、本来の姿を現した巨大な真珠は、内側から、眩いばかりの、力強い虹色の光を放ち始めたのだ!

その光は、神殿全体、そして海全体へと、波紋のように広がっていく。その光に触れた、色褪せていた珊瑚礁は、一斉に、息をのむほど鮮やかな色彩を取り戻し、元気のなかった魚たちは、喜びのダンスを踊るように、生き生きと泳ぎ始めた。

「おお……!神殿が……海が、生き返った……!」

海の民たちは、その奇跡の光景を前に、歓喜の涙を流していた。

浄化を終え、俺たちが海の民たちから手厚い歓待を受けていると、女王が、お礼として、一つの美しい宝玉を俺に手渡してくれた。

「これは、我ら海の民に伝わる、『風の宝玉』。それがあれば、空に浮かぶ島、最後の源泉があるという、『天空の聖域』への道が開かれるでしょう」

空に浮かぶ島、『天空の聖域』。そこが、俺たちの旅の、最後の目的地となるのだろうか。

「レオン様。この星の未来を、あなたに託します」

女王のその言葉を胸に、俺たちは、すっかり元気を取り戻した、美しく輝く海を後にした。

イルカたちに見送られながら、光の泡に包まれて、ゆっくりと海上へと戻っていく。眼下には、どこまでも広がる、生命力に満ちた青い世界。

俺は、次の目的地である、天空の聖域に思いを馳せながら、新たな決意を固めていた。
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