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「おおっ! 帰ってきたぞ!」
村の男が、大きな声で叫んだ。
「どうだったんだ、蜂蜜は!?」
村に着くと、私たちの帰りを待っていた村人たちが興奮した様子で駆け寄ってきた。
彼らの視線は、私たちが抱えている大きな壺に釘付けになっている。
「ええ、見てちょうだい。この通りよ」
私はにっこりと微笑み、カイたちと一緒に壺の蓋を開けてみせた。
夕日を浴びて、中の蜂蜜が黄金色にキラキラと輝く。
蜜蝋の塊が浮かんだ、甘く濃厚な香りがふわっと広がった。
「「「うおおおおおおっ!!!」」」
その瞬間、村中に今日一番の地響きのような大歓声が巻き起こった。
村人たちは、信じられないものを見るような目で壺の中を覗き込む。
そして、口々に感動の言葉を叫んでいた。
「すごい……本当に蜂蜜だ!」
「こんなにたくさんの蜂蜜、見たことねえ!」
「リゼット様、本当に採ってきなさったのか……!」
アルフレッドが、感動で胸がいっぱいになった様子で私のそばにやってきた。
その目には、うっすらと涙が浮かんでいる。
「お嬢様、ご無事で……! そして、またしてもこのような奇跡を……!」
「だから、奇跡じゃないのよ、アルフレッド。さあ、みんな、これを村に運びましょう。これから、この宝物をもっと素敵なものに変身させるわ」
私の言葉に、村人たちは再び「おおーっ!」と歓声を上げた。
彼らは、喜んで壺を運ぶのを手伝ってくれた。
広場の中央に壺が置かれると、村人たちはまるで祭りのようにその周りに集まってきた。
特に子供たちは、早く舐めてみたくてうずうずしているようだ。
「さあ、まずはこの蜜を、食べやすいように綺麗にするわよ」
私は、大きな布を広げた。
その上に、蜜蝋ごと蜂蜜を移していく。
そして、その布で蜂蜜を包み込み、上からゆっくりと重石を乗せて圧力をかけた。
「こうすることで、蜜と巣を作っている蝋(ろう)を分けることができるの」
私の説明に、村人たちは興味津々で見守っている。
布の隙間から、とろりとした純粋な蜂蜜だけがゆっくりと染み出してきた。
下の受け皿に、黄金の液体が溜まっていく。
不純物が取り除かれた蜂蜜は、まるで溶かした宝石のように透き通り輝いていた。
「うわあ……綺麗だ……」
誰かが、うっとりと呟いた。
やがて、受け皿がいっぱいになる頃にはすっかり蜜が搾り取られた。
布の中には、白っぽい蝋の塊だけが残る。
「さあ、できたわよ。みんな、指を綺麗にして、少しだけ舐めてみて」
私がそう言うと、待ちかねていた子供たちがわっと受け皿に殺到した。
彼らは、恐る恐る指先に蜂蜜をつけぺろりと舐める。
その瞬間、子供たちの顔がぱあっと輝いた。
「あ……あまい!」
一人の少年が、目を見開いて叫んだ。
「おいしいー!」
今まで味わったことのない、濃厚で花の香りがする甘さ。
その感動的な美味しさに、子供たちは言葉を失う。
ただ、何度も指を舐めていた。
その様子を見ていた大人たちも、次々と蜂蜜を味わい始める。
一人の老婆が、指についた蜜をそっと口に運んだ。
「こ、これは……!」
「なんて甘さだ……天国の味か……」
長年の貧しい生活で、甘いものなど口にする機会がなかった村人たち。
彼らにとって、この蜂蜜の味は衝撃的だった。
あまりの美味しさに、その場に泣き崩れる老婆さえいる。
広場は、幸福なため息と喜びの声で満たされていた。
私も、指についた蜂蜜を舐めてみる。
うん、美味しい。
様々な花の蜜が混ざり合った、複雑で豊かな風味だ。
この土地の自然が、そのまま凝縮されているようだった。
「リゼット様、こっちの塊はどうするんだ?」
カイが、布に残った蜜蝋の塊を指差して尋ねた。
それは、蜂蜜を搾った後の残りかすに見える。
「ふふ、カイ。それはね、もう一つのお楽しみよ。これも、私たちの暮らしを豊かにしてくれる大切な宝物なの」
私はにっこりと笑い、蜜蝋の塊を手に取った。
「この蝋を溶かして、糸を浸して固めればとても明るくて長持ちする『ロウソク』が作れるわ。今みたいに、すぐに燃え尽きてしまう松明よりもずっと便利よ」
私は、ロウソクがもたらす未来を語った。
「すすだらけになる油のランプよりも、クリーンで安全なの」
「ロ、ロウソク……?」
村人たちは、初めて聞く言葉に目を丸くしている。
「ええ、それにこの蝋を布に塗れば水を弾くようになるわ。雨合羽だって作れるかもしれない」
私の説明に、村人たちの驚きはさらに大きくなった。
甘い蜜だけでなく、あの巣の塊にまでそんな使い道があったなんて。
彼らは、想像もしていなかったのだ。
「すげえ……蜂の巣って、捨てるところが一つもねえんだな……」
カイが、心底感心したように呟いた。
自然の中にあるものは、何一つ無駄なものはない。
昔の人は、そうやって自然と共存しその恵みを余すところなく利用してきたのだ。
「さて、それじゃあ、約束通りお菓子を作りましょうか」
私は、搾りたての蜂蜜と先日収穫した『森の恵み』のナッツを用意した。
まず、ナッツを粗く砕き熱した鍋で軽く煎る。
香ばしい匂いが漂い始めると、村人たちがごくりと喉を鳴らした。
食欲をそそる、たまらない香りだ。
次に、別の鍋に蜂蜜を入れ弱火でゆっくりと煮詰めていく。
甘い香りが、さらに濃厚になって広場に満ちていった。
蜂蜜がフツフツと泡立ち、少し色づいてきたところで煎ったナッツを加える。
そして、素早く混ぜ合わせた。
「これを、平らな石板の上に広げて、冷まして固めるのよ」
熱い蜂蜜とナッツを石板に広げると、あっという間に甘い香りの板が出来上がった。
まだ温かいうちに、ナイフで食べやすい大きさに切れ目を入れていく。
私は、このお菓子を『森の恵みの蜂蜜がらめ』と名付けた。
「さあ、出来立てよ。火傷しないように、気をつけて食べてね」
私がそう言うと、またしても子供たちが真っ先に手を伸ばした。
カリカリとしたナッツの食感と、香ばしさ。
そして、凝縮された蜂蜜の濃厚な甘さ。
それは、彼らが今まで食べたどんなものよりも美味しくて、贅沢な味だった。
「おいしい!」
「こんな美味しいお菓子、初めて食べた!」
子供たちの歓声に、大人たちも笑顔になる。
この村に、初めて「おやつ」という文化が生まれた瞬間だった。
人々は、ただお腹を満たすためだけでなく人生を楽しむための食事を初めて知ったのだ。
その日の夜、村では再び宴が開かれた。
もちろん、主役は蜂蜜と蜂蜜で作ったお菓子だ。
そして、私が早速作ってみせた蜜蝋のロウソクが、宴の席を優しく照らしていた。
ロウソクの炎は、松明のようにパチパチと音を立てることもない。
油のランプのように、煙たい匂いを出すこともない。
静かに、そして明るく村人たちの笑顔を照らし出している。
「この灯り……なんだか、心が安らぐなあ」
長老が、ロウソクの炎を見つめながらしみじみと呟いた。
その言葉に、皆が頷く。
穏やかな光は、人々の心を温かく包み込んでいた。
私は、蜂蜜がらめを頬張りながら満ち足りた気持ちでその光景を眺めていた。
家が建ち、水路が通り食料が安定した。
そして、甘いお菓子と穏やかな灯りが生まれた。
この村は、私が来た頃とは比べ物にならないほど豊かになった。
だけど、これで終わりじゃない。
野生の蜂の巣に頼るのではなく、村で蜂を飼う「養蜂」を始めればいい。
そうすれば、もっと安定して蜂蜜が手に入るようになる。
蜂蜜は村の特産品として、他の村や町との交易にも使えるかもしれない。
(交易……か)
もし、外の世界と交易ができるようになればこの村にはないものが手に入る。
例えば、塩。
鉄の道具。
もっと多様な作物の種。
村の可能性は、さらに大きく広がっていくはずだ。
「リゼット様、何を考えてるんだい?」
隣に座っていたカイが、不思議そうな顔で私の顔を覗き込んできた。
「ううん、この村の、これからのことを少しだけね」
私は微笑んで、ロウソクの炎に照らされた彼の顔を見つめた。
「カイ、蜂をね、村で飼うことはできると思う?」
「蜂を……飼う?」
カイは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
私の頭の中には、もう次の計画がロウソクの灯りのように、はっきりと見え始めていた。
私の突拍子もない提案に、カイはしばらく口をあんぐりと開けていた。
しかし、やがて何かを理解したようにその目に好奇心の光を宿した。
「……あんたが言うなら、できるんだろうな。次は、どうやって蜂を捕まえてくるんだ?」
彼の返事に、私は満足して頷いた。
この村の人々は、もう「できない」とは考えない。
どうすれば「できる」のかを、一緒に考えてくれる仲間になってくれたのだ。
村の男が、大きな声で叫んだ。
「どうだったんだ、蜂蜜は!?」
村に着くと、私たちの帰りを待っていた村人たちが興奮した様子で駆け寄ってきた。
彼らの視線は、私たちが抱えている大きな壺に釘付けになっている。
「ええ、見てちょうだい。この通りよ」
私はにっこりと微笑み、カイたちと一緒に壺の蓋を開けてみせた。
夕日を浴びて、中の蜂蜜が黄金色にキラキラと輝く。
蜜蝋の塊が浮かんだ、甘く濃厚な香りがふわっと広がった。
「「「うおおおおおおっ!!!」」」
その瞬間、村中に今日一番の地響きのような大歓声が巻き起こった。
村人たちは、信じられないものを見るような目で壺の中を覗き込む。
そして、口々に感動の言葉を叫んでいた。
「すごい……本当に蜂蜜だ!」
「こんなにたくさんの蜂蜜、見たことねえ!」
「リゼット様、本当に採ってきなさったのか……!」
アルフレッドが、感動で胸がいっぱいになった様子で私のそばにやってきた。
その目には、うっすらと涙が浮かんでいる。
「お嬢様、ご無事で……! そして、またしてもこのような奇跡を……!」
「だから、奇跡じゃないのよ、アルフレッド。さあ、みんな、これを村に運びましょう。これから、この宝物をもっと素敵なものに変身させるわ」
私の言葉に、村人たちは再び「おおーっ!」と歓声を上げた。
彼らは、喜んで壺を運ぶのを手伝ってくれた。
広場の中央に壺が置かれると、村人たちはまるで祭りのようにその周りに集まってきた。
特に子供たちは、早く舐めてみたくてうずうずしているようだ。
「さあ、まずはこの蜜を、食べやすいように綺麗にするわよ」
私は、大きな布を広げた。
その上に、蜜蝋ごと蜂蜜を移していく。
そして、その布で蜂蜜を包み込み、上からゆっくりと重石を乗せて圧力をかけた。
「こうすることで、蜜と巣を作っている蝋(ろう)を分けることができるの」
私の説明に、村人たちは興味津々で見守っている。
布の隙間から、とろりとした純粋な蜂蜜だけがゆっくりと染み出してきた。
下の受け皿に、黄金の液体が溜まっていく。
不純物が取り除かれた蜂蜜は、まるで溶かした宝石のように透き通り輝いていた。
「うわあ……綺麗だ……」
誰かが、うっとりと呟いた。
やがて、受け皿がいっぱいになる頃にはすっかり蜜が搾り取られた。
布の中には、白っぽい蝋の塊だけが残る。
「さあ、できたわよ。みんな、指を綺麗にして、少しだけ舐めてみて」
私がそう言うと、待ちかねていた子供たちがわっと受け皿に殺到した。
彼らは、恐る恐る指先に蜂蜜をつけぺろりと舐める。
その瞬間、子供たちの顔がぱあっと輝いた。
「あ……あまい!」
一人の少年が、目を見開いて叫んだ。
「おいしいー!」
今まで味わったことのない、濃厚で花の香りがする甘さ。
その感動的な美味しさに、子供たちは言葉を失う。
ただ、何度も指を舐めていた。
その様子を見ていた大人たちも、次々と蜂蜜を味わい始める。
一人の老婆が、指についた蜜をそっと口に運んだ。
「こ、これは……!」
「なんて甘さだ……天国の味か……」
長年の貧しい生活で、甘いものなど口にする機会がなかった村人たち。
彼らにとって、この蜂蜜の味は衝撃的だった。
あまりの美味しさに、その場に泣き崩れる老婆さえいる。
広場は、幸福なため息と喜びの声で満たされていた。
私も、指についた蜂蜜を舐めてみる。
うん、美味しい。
様々な花の蜜が混ざり合った、複雑で豊かな風味だ。
この土地の自然が、そのまま凝縮されているようだった。
「リゼット様、こっちの塊はどうするんだ?」
カイが、布に残った蜜蝋の塊を指差して尋ねた。
それは、蜂蜜を搾った後の残りかすに見える。
「ふふ、カイ。それはね、もう一つのお楽しみよ。これも、私たちの暮らしを豊かにしてくれる大切な宝物なの」
私はにっこりと笑い、蜜蝋の塊を手に取った。
「この蝋を溶かして、糸を浸して固めればとても明るくて長持ちする『ロウソク』が作れるわ。今みたいに、すぐに燃え尽きてしまう松明よりもずっと便利よ」
私は、ロウソクがもたらす未来を語った。
「すすだらけになる油のランプよりも、クリーンで安全なの」
「ロ、ロウソク……?」
村人たちは、初めて聞く言葉に目を丸くしている。
「ええ、それにこの蝋を布に塗れば水を弾くようになるわ。雨合羽だって作れるかもしれない」
私の説明に、村人たちの驚きはさらに大きくなった。
甘い蜜だけでなく、あの巣の塊にまでそんな使い道があったなんて。
彼らは、想像もしていなかったのだ。
「すげえ……蜂の巣って、捨てるところが一つもねえんだな……」
カイが、心底感心したように呟いた。
自然の中にあるものは、何一つ無駄なものはない。
昔の人は、そうやって自然と共存しその恵みを余すところなく利用してきたのだ。
「さて、それじゃあ、約束通りお菓子を作りましょうか」
私は、搾りたての蜂蜜と先日収穫した『森の恵み』のナッツを用意した。
まず、ナッツを粗く砕き熱した鍋で軽く煎る。
香ばしい匂いが漂い始めると、村人たちがごくりと喉を鳴らした。
食欲をそそる、たまらない香りだ。
次に、別の鍋に蜂蜜を入れ弱火でゆっくりと煮詰めていく。
甘い香りが、さらに濃厚になって広場に満ちていった。
蜂蜜がフツフツと泡立ち、少し色づいてきたところで煎ったナッツを加える。
そして、素早く混ぜ合わせた。
「これを、平らな石板の上に広げて、冷まして固めるのよ」
熱い蜂蜜とナッツを石板に広げると、あっという間に甘い香りの板が出来上がった。
まだ温かいうちに、ナイフで食べやすい大きさに切れ目を入れていく。
私は、このお菓子を『森の恵みの蜂蜜がらめ』と名付けた。
「さあ、出来立てよ。火傷しないように、気をつけて食べてね」
私がそう言うと、またしても子供たちが真っ先に手を伸ばした。
カリカリとしたナッツの食感と、香ばしさ。
そして、凝縮された蜂蜜の濃厚な甘さ。
それは、彼らが今まで食べたどんなものよりも美味しくて、贅沢な味だった。
「おいしい!」
「こんな美味しいお菓子、初めて食べた!」
子供たちの歓声に、大人たちも笑顔になる。
この村に、初めて「おやつ」という文化が生まれた瞬間だった。
人々は、ただお腹を満たすためだけでなく人生を楽しむための食事を初めて知ったのだ。
その日の夜、村では再び宴が開かれた。
もちろん、主役は蜂蜜と蜂蜜で作ったお菓子だ。
そして、私が早速作ってみせた蜜蝋のロウソクが、宴の席を優しく照らしていた。
ロウソクの炎は、松明のようにパチパチと音を立てることもない。
油のランプのように、煙たい匂いを出すこともない。
静かに、そして明るく村人たちの笑顔を照らし出している。
「この灯り……なんだか、心が安らぐなあ」
長老が、ロウソクの炎を見つめながらしみじみと呟いた。
その言葉に、皆が頷く。
穏やかな光は、人々の心を温かく包み込んでいた。
私は、蜂蜜がらめを頬張りながら満ち足りた気持ちでその光景を眺めていた。
家が建ち、水路が通り食料が安定した。
そして、甘いお菓子と穏やかな灯りが生まれた。
この村は、私が来た頃とは比べ物にならないほど豊かになった。
だけど、これで終わりじゃない。
野生の蜂の巣に頼るのではなく、村で蜂を飼う「養蜂」を始めればいい。
そうすれば、もっと安定して蜂蜜が手に入るようになる。
蜂蜜は村の特産品として、他の村や町との交易にも使えるかもしれない。
(交易……か)
もし、外の世界と交易ができるようになればこの村にはないものが手に入る。
例えば、塩。
鉄の道具。
もっと多様な作物の種。
村の可能性は、さらに大きく広がっていくはずだ。
「リゼット様、何を考えてるんだい?」
隣に座っていたカイが、不思議そうな顔で私の顔を覗き込んできた。
「ううん、この村の、これからのことを少しだけね」
私は微笑んで、ロウソクの炎に照らされた彼の顔を見つめた。
「カイ、蜂をね、村で飼うことはできると思う?」
「蜂を……飼う?」
カイは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
私の頭の中には、もう次の計画がロウソクの灯りのように、はっきりと見え始めていた。
私の突拍子もない提案に、カイはしばらく口をあんぐりと開けていた。
しかし、やがて何かを理解したようにその目に好奇心の光を宿した。
「……あんたが言うなら、できるんだろうな。次は、どうやって蜂を捕まえてくるんだ?」
彼の返事に、私は満足して頷いた。
この村の人々は、もう「できない」とは考えない。
どうすれば「できる」のかを、一緒に考えてくれる仲間になってくれたのだ。
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