役立たずと追放された辺境令嬢、前世の民俗学知識で忘れられた神々を祀り上げたら、いつの間にか『神託の巫女』と呼ばれ救国の英雄になっていました

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村に漂う重い沈黙を、騎士団長の低い声が打ち破った。
王都へ戻れという命令は、あまりにも突然で一方的なものだった。
それはこの村に訪れた安らぎへ、冷たい石を投げ込む行為に他ならない。

「どういう、ことでございますか。」

私の隣で、アルフレッドが震える声で尋ねた。
彼の顔から普段の穏やかさは消え、怒りと困惑で青ざめている。
長年仕えた辺境伯家への忠誠と、私への深い愛情が彼の中でぶつかっていた。
その葛藤が、握りしめた拳に表れている。

騎士団長は、感情を一切見せない無表情な顔で私たちを見下ろした。
その目は、道端の石ころでも見るかのように冷酷だ。
私たちの心の揺れなど、彼にとっては取るに足らないことなのだろう。

「言葉通りの意味だ、老いた執事よ。」
騎士団長はゆっくりと告げる。

「リゼット様には、直ちに辺境伯様のもとへお戻りいただく。これは、覆すことのできない決定事項である。」

彼の言葉には、反論を許さない重みがあった。
辺境伯家の命令は絶対であり、それに逆らうことなど誰も考えない。
それが、この世界の貴族社会における揺るぎない常識だったのだ。

しかし、この村はもはやその常識が及ぶ場所ではなかった。
この村の人々は、自分たちの手で未来を切り開き、新たな価値観を築き上げてきたのだから。

「ふざけるな。」

地を這うような低い声が、私の前から響いた。
声の主は、カイだった。
彼は、愛用の棍棒を握る手に力を込めて、騎士団長を真っ直ぐに睨みつける。
その瞳には、燃え盛る炎のような激しい怒りが宿っていた。
彼の背後には、村の若者たちが同じように険しい表情で立ち並ぶ。
誰もが一歩も引く気はない、という強い意志を示していた。

「あんたたちの都合で追い出しておいて、今更なんだってんだ。」
カイが吐き捨てるように言った。

「リゼット様は、俺たちの村の大切な巫女様だ。どこにも行かせたりはしねえぞ。」

カイの言葉が合図となった。
周りに集まっていた村人たちも、次々と手に持ったものを構えた。
それは鍬や鎌、そして棍棒だ。
畑を耕し村の暮らしを支える道具が、今は巫女を守るための武器に変わっていた。
先ほどまで笑顔で畑仕事をしていた老婆でさえ、錆びた鎌を震える手で握りしめている。
彼らの顔には、愛する巫女を奪われまいとする強い覚悟が浮かんでいた。
村の空気は張り詰めた弓の弦のように、いつ切れてもおかしくない緊張感に満ちていた。

騎士団長は、村人たちのむき出しの敵意をものともせず、冷ややかに鼻を鳴らした。
その目には、はっきりとした侮蔑の色が浮かんでいる。

「寄せ集めの連中が、剣も知らぬ農民どもが我らに逆らうか。」
彼は嘲笑うように言った。

「身の程を知るがいい。お前たちが手にしているのは、土をいじるための道具にすぎん。我らが腰に差しているのは、人の命を奪うための鉄の塊だぞ。」

彼の背後に控えていた兵士たちが、合図されたように一斉に剣の柄に手をかけた。
カチャリという硬い金属音が、不気味に大きく響き渡る。
それは、死の宣告にも似た冷たい音だった。
血の匂いが、すぐそこまで迫っているのを感じた。

「やめてください、皆さん。」

私は、カイと騎士団長の間に入って両手を広げる。
これ以上、事態が悪化するのを止めなければならない。
この村の者たちに、血を流させるわけにはいかないのだ。

「リゼット様、危ないです。」
カイが慌てて私を庇おうとする。

「こいつらは、本気で斬りかかってきます。」

私は、そんな彼に優しく微笑みかけた。
その微笑みは、彼と村人たちを安心させるためのものだ。

「大丈夫よ、カイ。それに、私はあなたたちの巫女である前に、ヴァインベルク辺境伯家の娘なのですから。」
私は静かに告げた。

「これは、私と私の家族の問題です。」

私は、騎士団長に向き直った。
その冷たい目を、私は真っ直ぐに見つめ返す。
もう、怯えて俯いていた昔の私ではないのだ。

「団長、お久しぶりです。お父様がお呼びとのことですが、理由をお聞かせ願えませんでしょうか。」
私は、礼儀正しく尋ねた。

「食い扶持減らしのために追い出した出来損ないの娘に、今更何の用があるというのですか。」

私の言葉には、ほんの少しだけ皮肉の色を込めた。
忘れたとは言わせない。
あなたたちが私にした仕打ちを、私は決して忘れてはいないのだと伝えるために。
私の問いに、騎士団長は一瞬だけ言葉に詰まったように見えた。
彼の鉄仮面のような表情が、ほんのわずかに揺らぐ。

「……それは、辺境伯様から直接お聞きください。」
彼は、やっとのことで言葉を絞り出した。

「我らは、リゼット様をお連れするよう命じられたに過ぎません。任務を、遂行するのみです。」

「では、命令に背けばどうなるのですか。」
私は、さらに問い詰める。

「この村を、力でねじ伏せるとでも言うのですか。ここにいる全員を、斬り捨てるとでも。」

私の言葉に、騎士団長は黙り込んだ。
彼は、ちらりと村人たちの数に目をやる。
その目には、先程までの侮りの色はもうない。
代わりに、かすかな驚きと戸惑いが浮かんでいた。

村人たちの数は、彼の率いる兵士たちよりもはるかに多い。
そして何より、彼らの目には命を懸けても巫女を守るという覚悟があった。
それは、金で雇われた兵士の目とは違う、本物の光だったのだ。
もしここで争いになれば、たとえ勝てたとしても兵士たちに大きな被害が出るだろう。
無傷では済まないと、歴戦の彼も理解しているはずだ。
それは、彼も望むところではないだろう。

「……分かりました、王都へは参りましょう。」

私がそう言うと、カイたちが「リゼット様」「そんな」と悲痛な声を上げた。
私は、彼らを手で制して話を続ける。
これは、降伏ではない。未来のための、交渉なのだと。

「ただし、条件があります。私一人では参りません。」
私は、はっきりと宣言した。

「私の護衛として、この村の者たちを何人か連れて行くことをお認めください。」

「護衛だと。」
騎士団長が、不快そうに眉をひそめる。

「我ら辺境伯騎士団がいるのだぞ、これ以上の護衛がどこに必要だというのだ。我らの力を、侮辱するか。」

彼のプライドを、傷つけたのかもしれない。
しかし、ここで引くわけにはいかなかった。

「あなた方の腕を疑うわけではありません。むしろ、王国でも屈指の騎士団であると存じております。」
私は、一度相手を持ち上げる。

「ですが、私はこの村の者たちを信頼しているのです。彼らがそばにいてくれなければ、私は安心して王都へは行けません。私の力が、十分に発揮できないやもしれません。」

私は、あえて自分の力をほのめかすような言い方をした。
彼らが私を必要としているのは、その不思議な力に違いないのだから。
私の言葉は、村人たちへの絶対の信頼を示すものだった。
カイや若者たちが、息を飲むのが分かった。
彼らの顔に、感動と決意の色が浮かんでいるのが見えた。

騎士団長は、しばらく腕を組んで考え込んでいた。
私の提案は、貴族の常識からすればあり得ないことだろう。
辺境の、それも農民を正式な護衛として王都に同行させるなど前代未聞に違いない。
しかし、ここで私が動かなければ、彼の任務は完全に失敗に終わる。
彼は、どちらが辺境伯にとって損害が少ないかを天秤にかけているようだった。

やがて、彼は大きなため息をついて言った。

「……よろしいでしょう。五人までなら、同行を許可します。」
それは、苦渋の決断だった。

「ただし、王都での行動は我らの指示に厳に従っていただく。武器の携行も、最低限のものしか認めん。」

「感謝いたします、団長。」
私は、深々と頭を下げた。

「その条件、お受けいたします。」

こうして、村と辺境伯家の間の小さな戦いはひとまずの決着を見た。
私が王都へ行くことは決まったが、それは屈辱的な連行ではない。
村の仲間と共に、自らの意志で赴くのだ。

その日の午後、村では急いで旅の準備が進められた。
王都へ向かうメンバーは、私とアルフレッドがまず決まった。
そして護衛役として、カイと村の若者四人が選ばれた。
選ばれた若者たちは、村一番の腕っぷしを誇る者たちだ。
しかし、それだけではない。
冷静で、思慮深い者たちをカイが中心となって選んでくれたのだ。

カイは、村に残る者たちに今後のことを細かく指示していた。
その姿は、もう立派な村の指導者だった。

「畑の世話は、当番制で頼むぞ。燻製小屋の火も、絶対に絶やすんじゃないぞ。」
彼は、力強く皆に語りかける。

「それから、学校の授業もだ。俺たちがいなくても、勉強は続けるんだ。トウマさん、陶器作りも頼んだぜ。」

彼の言葉に、村人たちは力強く頷いた。
彼らの間には、もう動揺や不安の色は見えない。
巫女様が留守の間、自分たちの手でこの村を守り抜くという強い意志があった。

女性たちは、私たちのために保存食をたくさん作ってくれた。
燻製の魚や、森の恵みのナッツを使った栄養価の高いお菓子だ。
蜂蜜を練り込んだ、日持ちのするパンも焼いてくれた。
子供たちは、お守りだと言って自分たちで作った小さな木の飾りを私にくれた。
拙い手で彫られた鳥の飾りは、どんな宝石よりも温かく輝いて見える。
村全体が、一つの大きな家族のように私たちを送り出そうとしてくれていた。
その温かい気持ちが、私の胸を熱くした。

出発の前夜、私は一人で学校の教室にいた。
窓から差し込む月明かりが、真新しい机と椅子をぼんやりと照らし出している。
黒板には、子供たちが書いたであろう拙い文字がまだ残っていた。
この場所で、子供たちの笑顔に囲まれていた日々が、まるで遠い夢のように感じられた。

「お嬢様、準備はよろしいのでございますか。」

アルフレッドが、そっと部屋に入ってきた。
その手には、温かいハーブティーの入ったカップが二つある。
カモミールの、心を落ち着かせる香りがふわりと漂った。

「ええ、ありがとうアルフレッド。」
私は、カップを受け取りながら答える。

「少し、考え事をしていたの。」

王都で、一体何が待っているのだろうか。
父は、なぜ急に私を呼び戻すのだろうか。
ギデオン殿の商人ギルドとの交易が、何か関係しているのかもしれない。
あるいは、この村で起きている奇跡の噂が、彼の耳に届いたのか。

どちらにしても、穏やかな話でないことだけは確かだった。
私を追い出した家族が、今更になって私を必要とする理由。
それは、彼らの手に負えない大きな問題が起きたからに違いなかった。

「心配しなくても大丈夫よ、アルフレッド。」
私は、決然として言った。

「私はもう、王都にいた頃の無力なリゼットではないわ。私には、知識という力と、信頼できる仲間たちがいるのだから。」

私は、窓の外で旅支度を整えているカイたちの姿を見ながら言った。
彼らは、騎士団の兵士たちに物怖じすることなく、堂々と自分たちの仕事をしている。
その背中は、驚くほど頼もしく見えた。

「はい、お嬢様。」
アルフレッドの声もまた、力強い。

「このアルフレッドも、命に代えてもお嬢様をお守りいたします。王都の者たちに、お嬢様がどれほど素晴らしいお方になられたか、見せてやりましょうぞ。」
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