ハゲ戦記

マジキチ組長

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013.禿国初代守護大名 多髪禿房(たがみ はげふさ)

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 出生は禿国の豪族 多髪氏とされており、実質の禿国の支配者であった。
 やがて禿利幕府(はげかがばくふ)から禿国守護の役職を賜った事で幕府の庇護下に置かれた。

 禿房が視察の為に禿国の城下町を訪れていた時の話である。
 町では市場が開かれており、活気に溢れていた。
 そんな中で彼は一人の男を見かける。

『うむ?あそこに居るハゲは、どうしたのじゃ?』

 男の頭には髪が無い所謂『ハゲ』であった。
 身なりは非常に見窄らしく道行く人々は皆が男を避け、時折からかいの言葉などがかけられていた。
 禿房はそんな男を見て不思議に感じていたようである。

 すると一人の家臣が答える。

『ハゲは人に非ず故の事にございます。我らには関係の無き事でありましょう。』

 この国では古来から『ハゲ』は穢れとされており、ハゲた者は差別の対象となっていた。
 ひとたびハゲとなれば、人としての資格を失うなど非常にハゲに厳しい世であった。
 それ故に家臣たちも皆がその男を嘲笑していた。

 すると禿房はみるみるうちに険しい表情となり、怒鳴り声を上げる。

『ええい!貴様ら、たわけな事を申すでない!ハゲとて一人の人間ぞ!』

 そして家臣ら一人一人に対して問う。

『ハゲであろうとも、我らと対等に生きるべきであろう?お主らは間違っておるぞ。』

 そして翌日に禿房は領民たちに対して『ハゲ法』を公布し、ハゲへの差別を直ちに止めるように呼びかけた。
 ハゲ法によってハゲへの差別を厳しく取り締まり、反した者に対しては重税や投獄などの処断が下されたという。
 古来より蔑まれていた身分であったハゲに初めて市民権が与えられたのである。

 こうして禿房はハゲへの差別を撤廃するという大きな功績を残した。
 また、彼は隠居後に禿国のハゲ集落に移り住んで自らもハゲとして余生を過ごしたという。


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