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第2章:深淵編(夜の街と消えた境界線)
第10話:境界線の消滅
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今夜の八キロの行軍もいよいよ終盤。俺の脳は、キチガイミックスと夜のテンション、そして昨日の「荒らし」を撃退した全能感で完全に沸騰していた。
配信『たってやる。』の画面は、かつてないほどの熱狂を見せている。もはやコメントの文字が読める速度を超えて、電子の滝のように流れていく。
「おい、お前ら!今の会社なんてな、俺という存在を閉じ込めておくには狭すぎる器なんだよ。解決策?そんなもん、取引先の社長の耳元で愛国歌を囁きながら、ダル絡みの波に沈めてやるだけだ!」
俺はマンションが建ち並ぶ静かな住宅街を、爆音の独白とともに突き進んでいた。もはや「会社員」という擬態は、ボロボロに剥がれ落ちた抜け殻に過ぎない。
その時だ。画面に流れた、ある常連リスナーの何気ない、だが極限まで研ぎ澄まされたエグい下ネタのコメントが、俺の笑いのツボを直撃した。
「……っ、ふ、ガッ……!!」
運悪く、俺は水分補給のためにペットボトルの麦茶を口に含んだ直後だった。
かつてディスカウントストアの前で披露した「あの惨劇」が、今度はマンションのエントランス前で再現された。
ブフォッ!!という凄まじい音とともに、茶色の液体が夜の空気中に盛大に噴射される。ライトに照らされた麦茶の飛沫は、まるで宗教画の後光のように俺の顔の周りで輝き、そして重力に従ってエントランスのタイルを無惨に濡らした。
「ゲホッ、ゴホッ!おい……お前ら、殺す気か!麦茶が……俺の気管を逆走して、魂まで茶色に染まるところだったぞ!」
咳き込みながらスマホに向かって叫ぶ。かつてなら警察を呼ばれかねない事態だが、今の俺にはそんな恐怖はない。むしろ、この「二度目の噴射」を神が与えた演出だとさえ感じていた。
だが、トラブルはそれだけでは終わらなかった。
噴射の衝撃か、あるいは「キチガイミックス」の代謝が極限に達したせいか、猛烈な尿意が俺を襲った。
「あー……おい、緊急事態だ。ダムが決壊する。俺は今から、このままトイレに突入する」
普通なら、ここで配信を止めるか、せめてミュートにするのが現代社会の「マナー」というやつだろう。だが、俺はマジキチ組長だ。
「いいか、お前ら。俺は嘘をつかない。俺の『生』をすべて見せると誓ったはずだ。ミュート?そんな姑息な真似、Studio MAD-KICHIの美学に反する。ありのままを聴け!」
俺はスマホを手に持ったまま、近くのコンビニのトイレへ駆け込んだ。そして、盛大な放尿音をマイクが完璧に拾い上げる。
『ジョボジョボジョボジョボ……』
コメント欄は一瞬で阿鼻叫喚の図に変わった。
『おい、マジで流してんのかよwww』『最低すぎるだろ組長!』『音が生々しすぎて草』
一部のリスナーが「汚い」「不快だ」と荒らし始めたが、俺はスッキリとした表情でカメラに向かって言い放った。
「うるせえ!キチガイに恥などない!排泄は生命の咆哮だ!これこそが、コンプラに去勢されたお前らが忘れてしまった『生の音』だろうが!恥ずかしいと思う心こそが、お前らを不自由にしている鎖なんだよ!」
放尿実況を終え、再び外へ出る。もはやマンションの廊下ですら、俺にとっては配信スタジオの一部だ。俺はさらにボルテージを上げ、深夜の路上で、放送コードを三回ほど突き抜けるレベルのエグい下ネタを大声でぶちまけていた。
その時、前方から帰宅途中らしき中年女性の通行人が歩いてきた。俺の声は夜の静寂を切り裂き、その女の耳にダイレクトに突き刺さったはずだ。
「……でよお!そのマカが効きすぎて、俺の魂は今や……」
女と目が合った。女は「うわぁ……」という、言葉にならない、しかし明確に「この世で最も汚らわしいものを見た」という絶望的な顔をして、俺を避けるように足早に走り去っていった。
あからさまなドン引き。だが、それがどうした。
「ハハハ!見たかお前ら!今の顔が、正気が狂気に触れた瞬間の表情だ!最高に気持ちいいぜ!」
通行人の視線。警察の影。会社の破滅。
それらすべてが、今の俺にとっては「たってやる。」という物語を彩る極上のスパイスに過ぎない。
現実(リアル)とネット(リスナー)が、麦茶と放尿の飛沫の中で一つに溶け合っていく。どちらが本当の俺で、どちらが虚像なのか。そんな境界線は、もうどこにも残っていない。
俺はマンションの自室に入り、玄関で崩れ落ちるように座り込んだ。
「やりたい放題……。ああ、明日もきっと、素晴らしい一日になる」
画面の中では、俺の狂気に当てられたリスナーたちが、狂ったようにスタンプを連打している。
俺は最後の一錠の「キチガイミックス」を噛み砕き、暗闇の中でスマホの光に照らされながら、勝利を確信した。
境界線は、消滅した。
ここから先は、マジキチ組長が支配する、真実と狂気のパレードだ。
配信『たってやる。』の画面は、かつてないほどの熱狂を見せている。もはやコメントの文字が読める速度を超えて、電子の滝のように流れていく。
「おい、お前ら!今の会社なんてな、俺という存在を閉じ込めておくには狭すぎる器なんだよ。解決策?そんなもん、取引先の社長の耳元で愛国歌を囁きながら、ダル絡みの波に沈めてやるだけだ!」
俺はマンションが建ち並ぶ静かな住宅街を、爆音の独白とともに突き進んでいた。もはや「会社員」という擬態は、ボロボロに剥がれ落ちた抜け殻に過ぎない。
その時だ。画面に流れた、ある常連リスナーの何気ない、だが極限まで研ぎ澄まされたエグい下ネタのコメントが、俺の笑いのツボを直撃した。
「……っ、ふ、ガッ……!!」
運悪く、俺は水分補給のためにペットボトルの麦茶を口に含んだ直後だった。
かつてディスカウントストアの前で披露した「あの惨劇」が、今度はマンションのエントランス前で再現された。
ブフォッ!!という凄まじい音とともに、茶色の液体が夜の空気中に盛大に噴射される。ライトに照らされた麦茶の飛沫は、まるで宗教画の後光のように俺の顔の周りで輝き、そして重力に従ってエントランスのタイルを無惨に濡らした。
「ゲホッ、ゴホッ!おい……お前ら、殺す気か!麦茶が……俺の気管を逆走して、魂まで茶色に染まるところだったぞ!」
咳き込みながらスマホに向かって叫ぶ。かつてなら警察を呼ばれかねない事態だが、今の俺にはそんな恐怖はない。むしろ、この「二度目の噴射」を神が与えた演出だとさえ感じていた。
だが、トラブルはそれだけでは終わらなかった。
噴射の衝撃か、あるいは「キチガイミックス」の代謝が極限に達したせいか、猛烈な尿意が俺を襲った。
「あー……おい、緊急事態だ。ダムが決壊する。俺は今から、このままトイレに突入する」
普通なら、ここで配信を止めるか、せめてミュートにするのが現代社会の「マナー」というやつだろう。だが、俺はマジキチ組長だ。
「いいか、お前ら。俺は嘘をつかない。俺の『生』をすべて見せると誓ったはずだ。ミュート?そんな姑息な真似、Studio MAD-KICHIの美学に反する。ありのままを聴け!」
俺はスマホを手に持ったまま、近くのコンビニのトイレへ駆け込んだ。そして、盛大な放尿音をマイクが完璧に拾い上げる。
『ジョボジョボジョボジョボ……』
コメント欄は一瞬で阿鼻叫喚の図に変わった。
『おい、マジで流してんのかよwww』『最低すぎるだろ組長!』『音が生々しすぎて草』
一部のリスナーが「汚い」「不快だ」と荒らし始めたが、俺はスッキリとした表情でカメラに向かって言い放った。
「うるせえ!キチガイに恥などない!排泄は生命の咆哮だ!これこそが、コンプラに去勢されたお前らが忘れてしまった『生の音』だろうが!恥ずかしいと思う心こそが、お前らを不自由にしている鎖なんだよ!」
放尿実況を終え、再び外へ出る。もはやマンションの廊下ですら、俺にとっては配信スタジオの一部だ。俺はさらにボルテージを上げ、深夜の路上で、放送コードを三回ほど突き抜けるレベルのエグい下ネタを大声でぶちまけていた。
その時、前方から帰宅途中らしき中年女性の通行人が歩いてきた。俺の声は夜の静寂を切り裂き、その女の耳にダイレクトに突き刺さったはずだ。
「……でよお!そのマカが効きすぎて、俺の魂は今や……」
女と目が合った。女は「うわぁ……」という、言葉にならない、しかし明確に「この世で最も汚らわしいものを見た」という絶望的な顔をして、俺を避けるように足早に走り去っていった。
あからさまなドン引き。だが、それがどうした。
「ハハハ!見たかお前ら!今の顔が、正気が狂気に触れた瞬間の表情だ!最高に気持ちいいぜ!」
通行人の視線。警察の影。会社の破滅。
それらすべてが、今の俺にとっては「たってやる。」という物語を彩る極上のスパイスに過ぎない。
現実(リアル)とネット(リスナー)が、麦茶と放尿の飛沫の中で一つに溶け合っていく。どちらが本当の俺で、どちらが虚像なのか。そんな境界線は、もうどこにも残っていない。
俺はマンションの自室に入り、玄関で崩れ落ちるように座り込んだ。
「やりたい放題……。ああ、明日もきっと、素晴らしい一日になる」
画面の中では、俺の狂気に当てられたリスナーたちが、狂ったようにスタンプを連打している。
俺は最後の一錠の「キチガイミックス」を噛み砕き、暗闇の中でスマホの光に照らされながら、勝利を確信した。
境界線は、消滅した。
ここから先は、マジキチ組長が支配する、真実と狂気のパレードだ。
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