34 / 36
34.捜査と変事
しおりを挟む
ガーデン・パーティが終わり、わたくし達は一息入れたいところだがそうもいかない。
神殿からアデルによる隠し帳簿を発見し、女王反対派の罪状を詳らかにしていった。
そして神殿のアデルの信奉者を陰が制圧した。アデルに気づかれないよう隠密に。
幸い娘達を召喚した七人の神官と神官長は反省房に一ヶ月繋いだ後、神殿の罪人を幽閉する塔に留め置いてある。
神官も神官長も闇の気に染まっておらず、今ではなぜあのような事をしたのか戸惑っている。
一時的にアデルから熱狂的衝動を起こす術をかけられたいたのだ。
アデルの居室から魔法所と魔法陣、魔法道具が発見された。
それは古代秘術の闇の力だ。
全員降格され魔力と神聖力を封じられ、下級神官としてそれぞれ地方の神殿に幽閉され神への奉仕の行を課される。
神殿では今までの神女長が新しく神殿長に任命された。
そうしているうちに、マイ、アカリ、シノブの三人を元の世界へ戻す力が溜まり、準備が進められた。できれば何事もないうちに戻したい。そのためには彼女達から闇の気を抜かなければならない。
闇の力が発動すればわたくしの力で一気に抜き取ることができるのだが、それには娘達への負担が大きく、また事を荒立てたくない。
"悪役令嬢"は一旦引き、"後略対象"が優しく遇したが、闇の力は一向に引かない。
特にマイは頑なで、日ごと沈み込んでいく。
また、三人にかかりりきりになると他の娘達の不満が募るので、手分けして対応に当たった。
とにかく六人全員が未だに自分は聖女だと主張し、元の世界へ戻ることを拒んでいるのだ。
事ここに来て、わたくしは一時の癇癪で、彼女達に真実を伝えたことを後悔した。
どうしたものかと考えていると、神殿から急な知らがもたらされた。
神官アデルが姿を消したのだ。
事は一刻を争う。
首謀者のシラニー公爵はじめ、イズハン侯爵とガイゼン侯爵とジルダイン伯爵は領地を管理人に任せて王都に居る。
センダール伯爵、シラウン伯爵、ジシア子爵、そしてアンリ・オランジュ一代男爵は領地に。
全員に監視と制圧部隊を秘密裏に配備していた。
もちろんその使い走りにまで。
そして一気に制圧したのだ。
全員を獄に繋ぎ置く。事情聴取などしない。
罪状は明らかなのだから。
罪状の証拠を突き付けると、言い逃れをする者、罪を擦りつける者、様々いたが、王家に取り付く島はなく、八人は極刑と決まった。
これを裁断したのは国王である父だ。
八家はもちろん、加担した者達は貴族籍を剥奪し、領地を含めた財産を没収する。
主要な八人以下、二十三人の貴族達が同じく罰せられる。
家族や親類たちは王宮の西奥の罪人を留め置く棟に収容された。
手を貸していなくとも類は及ぶ。
できることならばオランジュ男爵の娘シルヴィアには温情を与えて欲しいとわたくしは嘆願したが、ギリアム商会の方から商会権の返納の申し出があった。
商会も財産も全て王家に預け、沙汰が出るまで蟄居すると言うのだ。
ギリアム商会は等級を下げた商会権を与えられ、財産は一部没収の上、地方へ配置換えになるだろうと宰相が言った。
王家の牢獄棟はほぼ満員状態だ。
これから八人以外の処遇を決めなくてはならない。
アデルの行く先はわかっている。
アデルの制圧の前に王宮でも変事が起きた。
北奥の離宮の娘達が消えたのだ。
そこには古代魔術の空間召喚の跡があった。
アデルはかくも力をつけていたのだ。
完全にこちらの落ち度だ。
わたくし達は二手に分かれて収拾に乗り出した。
神殿からアデルによる隠し帳簿を発見し、女王反対派の罪状を詳らかにしていった。
そして神殿のアデルの信奉者を陰が制圧した。アデルに気づかれないよう隠密に。
幸い娘達を召喚した七人の神官と神官長は反省房に一ヶ月繋いだ後、神殿の罪人を幽閉する塔に留め置いてある。
神官も神官長も闇の気に染まっておらず、今ではなぜあのような事をしたのか戸惑っている。
一時的にアデルから熱狂的衝動を起こす術をかけられたいたのだ。
アデルの居室から魔法所と魔法陣、魔法道具が発見された。
それは古代秘術の闇の力だ。
全員降格され魔力と神聖力を封じられ、下級神官としてそれぞれ地方の神殿に幽閉され神への奉仕の行を課される。
神殿では今までの神女長が新しく神殿長に任命された。
そうしているうちに、マイ、アカリ、シノブの三人を元の世界へ戻す力が溜まり、準備が進められた。できれば何事もないうちに戻したい。そのためには彼女達から闇の気を抜かなければならない。
闇の力が発動すればわたくしの力で一気に抜き取ることができるのだが、それには娘達への負担が大きく、また事を荒立てたくない。
"悪役令嬢"は一旦引き、"後略対象"が優しく遇したが、闇の力は一向に引かない。
特にマイは頑なで、日ごと沈み込んでいく。
また、三人にかかりりきりになると他の娘達の不満が募るので、手分けして対応に当たった。
とにかく六人全員が未だに自分は聖女だと主張し、元の世界へ戻ることを拒んでいるのだ。
事ここに来て、わたくしは一時の癇癪で、彼女達に真実を伝えたことを後悔した。
どうしたものかと考えていると、神殿から急な知らがもたらされた。
神官アデルが姿を消したのだ。
事は一刻を争う。
首謀者のシラニー公爵はじめ、イズハン侯爵とガイゼン侯爵とジルダイン伯爵は領地を管理人に任せて王都に居る。
センダール伯爵、シラウン伯爵、ジシア子爵、そしてアンリ・オランジュ一代男爵は領地に。
全員に監視と制圧部隊を秘密裏に配備していた。
もちろんその使い走りにまで。
そして一気に制圧したのだ。
全員を獄に繋ぎ置く。事情聴取などしない。
罪状は明らかなのだから。
罪状の証拠を突き付けると、言い逃れをする者、罪を擦りつける者、様々いたが、王家に取り付く島はなく、八人は極刑と決まった。
これを裁断したのは国王である父だ。
八家はもちろん、加担した者達は貴族籍を剥奪し、領地を含めた財産を没収する。
主要な八人以下、二十三人の貴族達が同じく罰せられる。
家族や親類たちは王宮の西奥の罪人を留め置く棟に収容された。
手を貸していなくとも類は及ぶ。
できることならばオランジュ男爵の娘シルヴィアには温情を与えて欲しいとわたくしは嘆願したが、ギリアム商会の方から商会権の返納の申し出があった。
商会も財産も全て王家に預け、沙汰が出るまで蟄居すると言うのだ。
ギリアム商会は等級を下げた商会権を与えられ、財産は一部没収の上、地方へ配置換えになるだろうと宰相が言った。
王家の牢獄棟はほぼ満員状態だ。
これから八人以外の処遇を決めなくてはならない。
アデルの行く先はわかっている。
アデルの制圧の前に王宮でも変事が起きた。
北奥の離宮の娘達が消えたのだ。
そこには古代魔術の空間召喚の跡があった。
アデルはかくも力をつけていたのだ。
完全にこちらの落ち度だ。
わたくし達は二手に分かれて収拾に乗り出した。
6
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
私の願いは貴方の幸せです
mahiro
恋愛
「君、すごくいいね」
滅多に私のことを褒めることがないその人が初めて会った女の子を褒めている姿に、彼の興味が私から彼女に移ったのだと感じた。
私は2人の邪魔にならないよう出来るだけ早く去ることにしたのだが。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
捨てられた聖女は穢れた大地に立つ
宵森 灯理
恋愛
かつて聖女を輩出したマルシーヌ聖公家のソフィーとギルレーヌ王家のセルジュ王子とは古くからの慣わしにより婚約していたが、突然王子から婚約者をソフィーから妹のポレットに交代したいと言われる。ソフィーの知らぬ間に、セルジュ王子とソフィーの妹のポレットは恋仲になっていたのだ。
両親も王族もポレットの方が相応しいと宣い、ソフィーは婚約者から外されてしまった。放逐された失意のソフィーはドラゴンに急襲され穢れた大地となった隣国へ救済に行くことに決める。
実際に行ってみると、苦しむ人々を前にソフィーは、己の無力さと浅はかさを痛感するのだった。それでも一人の神官として浄化による救助活動に勤しむソフィーの前に、かつての学友、ファウロスが現れた。
そして国と民を救う為、自分と契約結婚してこの国に留まって欲しいと懇願されるのだった。
ソフィーは苦しむ民の為に、その契約を受け入れ、浄化の活動を本格化させる。人々を救っていく中でファウロスに特別な感情を抱きようになっていったが、あくまで契約結婚なのでその気持ちを抑え続けていた。
そんな中で人々はソフィーを聖女、と呼ぶようになっていった。彼女の名声が高まると、急に故郷から帰ってくるように、と命令が来た。ソフィーの身柄を自国に戻し、名声を利用とする為に。ソフィーとファウロスは、それを阻止するべく動き出したのだった。
氷の公爵は、捨てられた私を離さない
空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。
すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。
彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。
アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。
「君の力が、私には必要だ」
冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。
彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。
レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。
一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。
「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。
これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。
王家の血を引いていないと判明した私は、何故か変わらず愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女であるスレリアは、自身が王家の血筋ではないことを知った。
それによって彼女は、家族との関係が終わると思っていた。父や母、兄弟の面々に事実をどう受け止められるのか、彼女は不安だったのだ。
しかしそれは、杞憂に終わった。
スレリアの家族は、彼女を家族として愛しており、排斥するつもりなどはなかったのだ。
ただその愛し方は、それぞれであった。
今まで通りの距離を保つ者、溺愛してくる者、さらには求婚してくる者、そんな家族の様々な対応に、スレリアは少々困惑するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる