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3.バシュロ王子の提案
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「君は年に似合わず大人びているね。とても大人びている」
バシュロ第一王子殿下が値踏みをするような目で私を見ているのがわかる。
次いでにこっと笑ってファビアン・バイエに向かう。
「アシャール家との縁談は君に来た話だから、君が解決したまえ。ただし、長女のベルナデット嬢を欲しがるのはなしだ」
「殿下、それはどういう意味ですか」
ファビアンが問う。
「ベルナデット嬢は持参金がない以外は優良物件だ。しかし、生家からは独立したがっている。そうだね?ベルナデット嬢」
「はい」
そう、私は独立したいのだ。あんな家族は捨ててやる。
「他に望みは?」
正直に言っていいものか、私は躊躇した。
「その顔はあるね。言ってごらん。力になれるかもしれないよ」
うーん、どうしよう。迷ったが言ってみた。
「四年後に妹が入学します。母は妹の部屋はわたくしと一緒にする心づもりでいます」
「君は嫌なんだね」
「はい。ですから、下宿か部屋を借りようと思っています」
バシュロ第一王子殿下はにこにこ笑って言った。
「ご家族に絶対に手出しできない場所を提供できるよ」
私は面喰った。
王族が提供するとは一体どういうことなのかしら。
「ベルナデット・アシャール子爵令嬢、私と契約しないか?」
バシュロ第一王子殿下が続ける。
「君に側妃になって欲しい」
は?側妃?十二歳の子供に言うこと?
「恐れながら第一王子殿下、わたくしと縁を結んでも益はございません。実家に利用されるでしょう」
「そこは任せて」
バシュロ第一王子殿下が優雅に微笑みながら言った。
「君はとりあえず在学期間、優秀な成績を修めてくれ。その間に実家と切り離してあげる」
私は呆気にとられた。
「来年から生徒会に入って欲しい。報奨金は月金貨三十枚でどう?」
思わぬ言葉に驚く。
「高等部に入って十五歳のデビューの後に、将来の側妃としての契約を改めてしよう」
契約?
「私はカナーテ王国のオティーリエ王女を正妃に迎えることになっている。その前に側妃が必要なんだ」
私は黙って話を聞いた。
「君がこのまま文官専科で優秀な成績を修めるならば、私の政務の補佐を頼める。君はカテーナ語も優秀な成績を修めている。後宮でオティーリエ王女の補佐も任せられる。代わりに君を実家から保護しよう」
次いで言った。
「君はプライブ伯爵家の養女になるよう手配しよう。それから」
にっこり笑って続けた。
「契約のことはひとまず置いて、新年祭に招待しよう。まだデビューしていない妹のガーデン・パーティだから構えないで。気楽においで」
王族の、それも第一王子の言葉に逆らえるはずもない。
「はい」と答えるしかない。
「側妃の契約はデビューの後でいいからね。それまでよく考えて」
「バシュロ兄様、ベルナデット嬢はまだいとけないお年頃ですわ。それを側妃になんて…」
「リゼット、私は無理強いはしないし考える猶予を与えたよ」
「それでも…」
金髪の女性はリゼット第一王女殿下だった。十六歳のバシュロ第一王子殿下の二歳下の妹君だ。
リゼット第一王女殿下は私に向きなおった。
「名乗るのが遅れてごめんなさい。わたくしは王女のリゼット・デ・ラ・インジャルよ。リゼットと呼ぶことを許します」
「ありがとうございます。リゼット王女殿下」
王女に礼を言うと隣の巻き毛の女性も言う。
「わたくしはラレット侯爵家のミレーヌ。わたくしも名前で呼んでね」
「はい。ミレーヌ様」
「私も名を呼ぶことを許すよ。仲良くしよう」
バシュロ第一王子殿下が言うと、ファビアン・バイエも続く。
「ファビアンと呼んでくれ」
「私はオスロー伯爵家のマティアスだ」
「私はモルガン伯爵家のエティンヌ」
次々と名を呼ぶことを許される。
「生徒会は今はこの六人で運営している。来年から君も入るのだからよろしく」
バシュロ第一王子殿下が言う。
今日はあまりに突然のことが多すぎて、頭がクラクラしそうだ。
「可哀想に。顔色が悪いわ。もうこれ以上煩わせてはいけないわ。ミレーヌ、部屋まで送ってあげてくださる?」
リゼット第一王女殿下の言葉で、私はミレーヌ様に伴われて寮の部屋に帰った。
部屋で一人になると、先ほどのことが頭を悩ます。
私が側妃?契約?
いくら考えてもまとまらない。
バシュロ第一王子殿下は猶予を与えるとおっしゃった。
約三年。
私の成長を待つおつもりだろうか。
とにかく色々な面で、十二歳の私にはどうにもできなかった。
結論は、とりあえず今までの生活を続けることだった。
そして三日後、新年祭の招待状が届いた。
バシュロ第一王子殿下が値踏みをするような目で私を見ているのがわかる。
次いでにこっと笑ってファビアン・バイエに向かう。
「アシャール家との縁談は君に来た話だから、君が解決したまえ。ただし、長女のベルナデット嬢を欲しがるのはなしだ」
「殿下、それはどういう意味ですか」
ファビアンが問う。
「ベルナデット嬢は持参金がない以外は優良物件だ。しかし、生家からは独立したがっている。そうだね?ベルナデット嬢」
「はい」
そう、私は独立したいのだ。あんな家族は捨ててやる。
「他に望みは?」
正直に言っていいものか、私は躊躇した。
「その顔はあるね。言ってごらん。力になれるかもしれないよ」
うーん、どうしよう。迷ったが言ってみた。
「四年後に妹が入学します。母は妹の部屋はわたくしと一緒にする心づもりでいます」
「君は嫌なんだね」
「はい。ですから、下宿か部屋を借りようと思っています」
バシュロ第一王子殿下はにこにこ笑って言った。
「ご家族に絶対に手出しできない場所を提供できるよ」
私は面喰った。
王族が提供するとは一体どういうことなのかしら。
「ベルナデット・アシャール子爵令嬢、私と契約しないか?」
バシュロ第一王子殿下が続ける。
「君に側妃になって欲しい」
は?側妃?十二歳の子供に言うこと?
「恐れながら第一王子殿下、わたくしと縁を結んでも益はございません。実家に利用されるでしょう」
「そこは任せて」
バシュロ第一王子殿下が優雅に微笑みながら言った。
「君はとりあえず在学期間、優秀な成績を修めてくれ。その間に実家と切り離してあげる」
私は呆気にとられた。
「来年から生徒会に入って欲しい。報奨金は月金貨三十枚でどう?」
思わぬ言葉に驚く。
「高等部に入って十五歳のデビューの後に、将来の側妃としての契約を改めてしよう」
契約?
「私はカナーテ王国のオティーリエ王女を正妃に迎えることになっている。その前に側妃が必要なんだ」
私は黙って話を聞いた。
「君がこのまま文官専科で優秀な成績を修めるならば、私の政務の補佐を頼める。君はカテーナ語も優秀な成績を修めている。後宮でオティーリエ王女の補佐も任せられる。代わりに君を実家から保護しよう」
次いで言った。
「君はプライブ伯爵家の養女になるよう手配しよう。それから」
にっこり笑って続けた。
「契約のことはひとまず置いて、新年祭に招待しよう。まだデビューしていない妹のガーデン・パーティだから構えないで。気楽においで」
王族の、それも第一王子の言葉に逆らえるはずもない。
「はい」と答えるしかない。
「側妃の契約はデビューの後でいいからね。それまでよく考えて」
「バシュロ兄様、ベルナデット嬢はまだいとけないお年頃ですわ。それを側妃になんて…」
「リゼット、私は無理強いはしないし考える猶予を与えたよ」
「それでも…」
金髪の女性はリゼット第一王女殿下だった。十六歳のバシュロ第一王子殿下の二歳下の妹君だ。
リゼット第一王女殿下は私に向きなおった。
「名乗るのが遅れてごめんなさい。わたくしは王女のリゼット・デ・ラ・インジャルよ。リゼットと呼ぶことを許します」
「ありがとうございます。リゼット王女殿下」
王女に礼を言うと隣の巻き毛の女性も言う。
「わたくしはラレット侯爵家のミレーヌ。わたくしも名前で呼んでね」
「はい。ミレーヌ様」
「私も名を呼ぶことを許すよ。仲良くしよう」
バシュロ第一王子殿下が言うと、ファビアン・バイエも続く。
「ファビアンと呼んでくれ」
「私はオスロー伯爵家のマティアスだ」
「私はモルガン伯爵家のエティンヌ」
次々と名を呼ぶことを許される。
「生徒会は今はこの六人で運営している。来年から君も入るのだからよろしく」
バシュロ第一王子殿下が言う。
今日はあまりに突然のことが多すぎて、頭がクラクラしそうだ。
「可哀想に。顔色が悪いわ。もうこれ以上煩わせてはいけないわ。ミレーヌ、部屋まで送ってあげてくださる?」
リゼット第一王女殿下の言葉で、私はミレーヌ様に伴われて寮の部屋に帰った。
部屋で一人になると、先ほどのことが頭を悩ます。
私が側妃?契約?
いくら考えてもまとまらない。
バシュロ第一王子殿下は猶予を与えるとおっしゃった。
約三年。
私の成長を待つおつもりだろうか。
とにかく色々な面で、十二歳の私にはどうにもできなかった。
結論は、とりあえず今までの生活を続けることだった。
そして三日後、新年祭の招待状が届いた。
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