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4.時を告げる雌鶏
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白猫ジルは日向の長椅子の上のクッションを占領して、気持ちよさそうに眠っている。
ジルと暮らし始めて一ヶ月ほど過ぎた。
あれ以来、青い雌鶏亭に足を向けていない。
町には一日か二日置きに通った。ジルの食事の材料のためだ。
デーティアは基本的に自給自足に近い生活をしており、小さな菜園で野菜を作り、森で木の実やキノコを採り、卵用に鶏、乳のためにヤギを数頭飼育していた。バターやチーズもその乳で作った自家製だ。年に一度の冬の祭りにはヤギを一頭か二頭、提供していた。
デーティアだけなら自分の菜園で穫れた野菜にヤギの乳、パンやクラッカーに自家製のジャムやバターやチーズ、少々の干し肉や干し魚や卵を添えただけの簡素な食事でいい。
飼っている鶏をたまに絞めて食べるが、基本は卵を産ませるためだ。
しかしジルには今は人間の味付けをしたものは食べさせられないので、町の肉屋や魚屋で新鮮な食材を買った。しかもジルは鶏肉が好物なので、雄鶏を買って来て飼いはじめた。卵を産ませるための雌鶏の中には雄鶏は一羽いれば十分だったが、今では常時数羽の雄鶏を肉用に飼育している。それを数日置きに絞めて料理した。
それをヤギの乳や水で煮て、マッシュポテトや麦粉を混ぜてスプーンで一口ずつ与える日々だ。
いつもは自分で持って行く商品も
「欲しいなら取りにきな。あたしだって必要なものはこの足で買いにきているんだからね」
と言い渡してある。
町の衆はデーティアが青い雌鶏亭での騒ぎで機嫌が悪いと思っているらしい。
デーティアにしてみればハンナ亡きあと
「どうでもいいよ。知ったこっちゃないね」
なのだが、それは敢えて口にしない。
青い雌鶏亭以外の商売相手は、低姿勢でデーティアの機嫌を探るように損なわないように商品を取りに来る。デーティアは以前のように作り置きをそのまま渡すことはなく、来た時に注文を取って量を制限している。
一ヶ月も過ぎると商店では品薄になったらしく、直接買いに来るご婦人も増えた。
商人達は
「デーティアさん、こちとら商売あがったりですよ。いい加減機嫌を直してくださいよ」
と懇願する。
デーティアは
「知ったこちゃないね。あたしは猫の世話で忙しいんだよ。可愛いったらありゃしない」
と答えるに留めた。
事と次第によっては、また王宮に出張らないといけないのでそれを考えて調整しているのだ。
その日、サリーがデーティアを訪ねて来た。
「デーティアさん、どうか許してください。あなたのハーブがなくなって味が落ちたって、客が減っているんです」
泣かんばかりのサリーにデーティアはケロっと言った。
「先月買い戻したものはそこにあるよ。欲しいなら売るよ。でも王都から取り寄せるんじゃなかったのかい?」
「そんな意地悪を言わないでください。許してくださるならメグにも謝らせますから」
「意地悪なんてつもりはないよ。王都のハーブやスパイスはさぞ上等だろう?そのうち客も王都の味に慣れるんじゃないかい?」
もうサリーは涙目だ。
「メグが王都から買ったことは買ったんですが、目の玉が飛び出るくらい高くて…質もよくなくて…」
へえ、一旦は王都のモノを使ったんだ。デーティアは心の中でニヤニヤする。
どうせ一番安い店から取り寄せた粗悪品だったんだろうね。値段もふっかけられたんだろう。
「メグには困っているんです」
サリーの顔は憔悴していた。
「ま、お座り。あたしは客に椅子もお茶もすすめないような行儀の悪い魔女じゃないからね」
サリーを座らせ、蜂蜜を入れたミントティーとアニスシードを入れたクッキーを出す。
ミントティーの香りを吸い込み、サリーはほうっとため息をついた。
「ああ、いい香り」
サリーはおいしそうにミントティーを飲み、クッキーを齧る。
「アニスシードのクッキーは小さな頃からあたしの大好物でした。お使いでここにくるといつもくれたのを思い出しますよ」
サリーはぽつぽつと語りだした。
メグは大金貨に浮かれて、エディをせっついて王都へ買い出しに行った。
もちろん店で使うハーブと調味料が一番の目的だが、メグは王都であれもこれもとエディに強請った。
初めての王都、初めての華やかな品々。
馬車で1日ほどで王都に行けるリャドはそれほど田舎ではなく栄えているが、深い森を控えた町だ。そんな町には不釣り合いな、滑稽とも言えるほど着飾ってメグは帰ってきた。ご機嫌だ。
ご満悦で買い付けたものを披露するメグに対してエディは渋い顔だ。
得意満面で着飾って店に出た。
青い雌鶏亭は先月の騒ぎと若女将の珍妙な装いで一時期話題になり、町の人々からメグは田舎孔雀と陰で呼ばれるようになった。リャドの町では家政上手で身ぎれいな女を、町雌鶏と呼ぶのだ。
それにメグが王都から買ってきたハーブや調味料が粗悪なので味が落ち、今では閑古鳥が鳴いている。
「メグは垢抜けない田舎娘なんです」
サリーは言う。
「そこがいいところだったし、そのうち町の生活にも慣れるだろうと思っていたんですよ。あたしもお姑さんも可愛がっていたつもりだったのに、あの子はあの子で不満を貯めていたのに気づきませんでした」
「ああ、あたしのことをハーフ・エルフだって、てんで信じていなかったよ。魔女を騙る売春婦で、エディとの関係も疑ってた」
サリーは目を剥いた。
「あの子の村じゃあ、魔女はいなかったか老婆だったんだろうよ。エルフの存在自体信じていなかったのかも」
サリーはまた涙目になった。
「一体どうしたらいいんでしょうね。ハーブや調味料をデーティアさんのものに戻せば味も戻りますが…」
「またメグが騒がないか心配なんだろ?」
「ええ。今日はまたメグとエディが王都へ買い出しにでているんです。明後日には帰ると思うんですが…」
「メグは王都が気に入っちまったんだね?」
「もうのぼせ上がっちまって…」
デーティアは新しくミントティーをサリーのカップに注いて、蜂蜜をすすめる。
「大金貨はまだ残っているのかい?」
ニヤニヤしてデーティアが聞くと、サリーはうなだれた顔を上げた。
「あんな泡銭、さっさと遣っちまえばいいんですよ。なくなればメグも思い知るでしょうよ」
「おやおや、投げやりだね」
「今日もエディと喧嘩しながら出かけましたよ。あれ以来、うちはみんなぎくしゃくしてます」
「あたしの払った大金貨のせいで?でもあれは正当な料金だよ。ジルは可愛いいい子だしね。ああ、ジルってつけたんだ」
「うちでは"にゃあ公"って呼んでいました」
デーティアはついつい笑ってしまった。ハンナはおもしろいよ。猫の中身が王子様だって知ったらどんな顔をしたかね?
その時、ジルが起きてきてデーティアに体をすりつけてきた。
「ジル、お腹が空いたのかい?待ってな。サリー、ちょっとごめんよ」
デーティアは台所へ行って、ジルの食事を取ってきた。
ジルは椅子でおとなしく待っている。そんなジルにデーティアは甲斐甲斐しくスプーンで食事を与える。
「ちょっとデーティアさん!猫にスプーンで餌をあげるなんて!お姑さんと同じことをするんですね」
「ハンナもこうしていたのかい?」
くすくす笑う。
「でも今は自尊心を大切にしなきゃね。早くただの猫になって自分で食べてもらえるようにしなきゃと思っているんだよ」
それには問題が山積みでね。と心の中で付け加えた。
「サリー、おまえさんは気が優し過ぎるよ。マークは料理の腕前はいいけど気が弱いし」
またうなだれるサリー。デーティアはその口にアニスシードのクッキーを押し込む。
「元気だしな。青い雌鶏亭の売りの一つは女衆の愛嬌と元気だよ」
三杯目はローズマリーのお茶にした。
「あんたの作る白身魚の香草焼きはなかなかのものになっているよ。また食べに行きたいから気張りなよ」
「気張るって…」
「嫁の躾さ」
気の優しいサリーにはそれが難しいのはわかっている。
「このままじゃエディとメグの仲も壊れちまうよ。誰かが悪者にならなきゃおさまらない。大金貨の残りはあんたが管理しな」
ぐっと詰まるサリーを見て、やっぱりメグの好きにさせていたんだと確信する。
「あれはハンナの猫の代金だ。あんたに払ったんだよ。メグにじゃない」
ハーブと調味料の袋と、アニスシードのクッキーといくつかの小瓶やハーブティーなどの入った籠を渡してデーティアは言う。
「これであんたは磨きをかけて綺麗になってお気張り。娘っこに負けない色艶になるよ」
サリーが小さい頃によくしたように髪を撫でた。
「青い雌鶏亭の女将はあんただ。あんたが采配をしっかり振るいな。とりあえす二ヶ月」
「二ヶ月?」
「二ヶ月経ってもメグがあのままならうちに寄こしな。嫌がってもね。あたしが躾けてあげるよ。ハンナのレシピも叩き込んでやる」
ニヤっと笑って続ける。
「大金貨も店の看板娘の座もあんたのものになれば、ちっとは目が覚めるだろうよ。その間、勝手にエディと喧嘩させときな。あんたがやることは青い雌鶏亭を立て直すことと嫁への躾だよ」
「躾…」
「甘やして放っておいていたんだろ?雌鶏が時を告げれば国は亡びるっていうけどさ、青い雌鶏亭は違うさ。雄鶏に時を告げるように勧めるのも雌鶏の役目だよ」
肩をぽんぽん叩いて励ます。
「あたしはちょっと留守にするからね。その前にハーブや調味料は届けてあげるよ」
サリーを送り出したデーティアは思案した。
男どもは女が世話をやかないと、てんでだらしがないね。
さて、こっちはどうしたもんかね。
もちろんジルの方だ。
ジルと暮らし始めて一ヶ月ほど過ぎた。
あれ以来、青い雌鶏亭に足を向けていない。
町には一日か二日置きに通った。ジルの食事の材料のためだ。
デーティアは基本的に自給自足に近い生活をしており、小さな菜園で野菜を作り、森で木の実やキノコを採り、卵用に鶏、乳のためにヤギを数頭飼育していた。バターやチーズもその乳で作った自家製だ。年に一度の冬の祭りにはヤギを一頭か二頭、提供していた。
デーティアだけなら自分の菜園で穫れた野菜にヤギの乳、パンやクラッカーに自家製のジャムやバターやチーズ、少々の干し肉や干し魚や卵を添えただけの簡素な食事でいい。
飼っている鶏をたまに絞めて食べるが、基本は卵を産ませるためだ。
しかしジルには今は人間の味付けをしたものは食べさせられないので、町の肉屋や魚屋で新鮮な食材を買った。しかもジルは鶏肉が好物なので、雄鶏を買って来て飼いはじめた。卵を産ませるための雌鶏の中には雄鶏は一羽いれば十分だったが、今では常時数羽の雄鶏を肉用に飼育している。それを数日置きに絞めて料理した。
それをヤギの乳や水で煮て、マッシュポテトや麦粉を混ぜてスプーンで一口ずつ与える日々だ。
いつもは自分で持って行く商品も
「欲しいなら取りにきな。あたしだって必要なものはこの足で買いにきているんだからね」
と言い渡してある。
町の衆はデーティアが青い雌鶏亭での騒ぎで機嫌が悪いと思っているらしい。
デーティアにしてみればハンナ亡きあと
「どうでもいいよ。知ったこっちゃないね」
なのだが、それは敢えて口にしない。
青い雌鶏亭以外の商売相手は、低姿勢でデーティアの機嫌を探るように損なわないように商品を取りに来る。デーティアは以前のように作り置きをそのまま渡すことはなく、来た時に注文を取って量を制限している。
一ヶ月も過ぎると商店では品薄になったらしく、直接買いに来るご婦人も増えた。
商人達は
「デーティアさん、こちとら商売あがったりですよ。いい加減機嫌を直してくださいよ」
と懇願する。
デーティアは
「知ったこちゃないね。あたしは猫の世話で忙しいんだよ。可愛いったらありゃしない」
と答えるに留めた。
事と次第によっては、また王宮に出張らないといけないのでそれを考えて調整しているのだ。
その日、サリーがデーティアを訪ねて来た。
「デーティアさん、どうか許してください。あなたのハーブがなくなって味が落ちたって、客が減っているんです」
泣かんばかりのサリーにデーティアはケロっと言った。
「先月買い戻したものはそこにあるよ。欲しいなら売るよ。でも王都から取り寄せるんじゃなかったのかい?」
「そんな意地悪を言わないでください。許してくださるならメグにも謝らせますから」
「意地悪なんてつもりはないよ。王都のハーブやスパイスはさぞ上等だろう?そのうち客も王都の味に慣れるんじゃないかい?」
もうサリーは涙目だ。
「メグが王都から買ったことは買ったんですが、目の玉が飛び出るくらい高くて…質もよくなくて…」
へえ、一旦は王都のモノを使ったんだ。デーティアは心の中でニヤニヤする。
どうせ一番安い店から取り寄せた粗悪品だったんだろうね。値段もふっかけられたんだろう。
「メグには困っているんです」
サリーの顔は憔悴していた。
「ま、お座り。あたしは客に椅子もお茶もすすめないような行儀の悪い魔女じゃないからね」
サリーを座らせ、蜂蜜を入れたミントティーとアニスシードを入れたクッキーを出す。
ミントティーの香りを吸い込み、サリーはほうっとため息をついた。
「ああ、いい香り」
サリーはおいしそうにミントティーを飲み、クッキーを齧る。
「アニスシードのクッキーは小さな頃からあたしの大好物でした。お使いでここにくるといつもくれたのを思い出しますよ」
サリーはぽつぽつと語りだした。
メグは大金貨に浮かれて、エディをせっついて王都へ買い出しに行った。
もちろん店で使うハーブと調味料が一番の目的だが、メグは王都であれもこれもとエディに強請った。
初めての王都、初めての華やかな品々。
馬車で1日ほどで王都に行けるリャドはそれほど田舎ではなく栄えているが、深い森を控えた町だ。そんな町には不釣り合いな、滑稽とも言えるほど着飾ってメグは帰ってきた。ご機嫌だ。
ご満悦で買い付けたものを披露するメグに対してエディは渋い顔だ。
得意満面で着飾って店に出た。
青い雌鶏亭は先月の騒ぎと若女将の珍妙な装いで一時期話題になり、町の人々からメグは田舎孔雀と陰で呼ばれるようになった。リャドの町では家政上手で身ぎれいな女を、町雌鶏と呼ぶのだ。
それにメグが王都から買ってきたハーブや調味料が粗悪なので味が落ち、今では閑古鳥が鳴いている。
「メグは垢抜けない田舎娘なんです」
サリーは言う。
「そこがいいところだったし、そのうち町の生活にも慣れるだろうと思っていたんですよ。あたしもお姑さんも可愛がっていたつもりだったのに、あの子はあの子で不満を貯めていたのに気づきませんでした」
「ああ、あたしのことをハーフ・エルフだって、てんで信じていなかったよ。魔女を騙る売春婦で、エディとの関係も疑ってた」
サリーは目を剥いた。
「あの子の村じゃあ、魔女はいなかったか老婆だったんだろうよ。エルフの存在自体信じていなかったのかも」
サリーはまた涙目になった。
「一体どうしたらいいんでしょうね。ハーブや調味料をデーティアさんのものに戻せば味も戻りますが…」
「またメグが騒がないか心配なんだろ?」
「ええ。今日はまたメグとエディが王都へ買い出しにでているんです。明後日には帰ると思うんですが…」
「メグは王都が気に入っちまったんだね?」
「もうのぼせ上がっちまって…」
デーティアは新しくミントティーをサリーのカップに注いて、蜂蜜をすすめる。
「大金貨はまだ残っているのかい?」
ニヤニヤしてデーティアが聞くと、サリーはうなだれた顔を上げた。
「あんな泡銭、さっさと遣っちまえばいいんですよ。なくなればメグも思い知るでしょうよ」
「おやおや、投げやりだね」
「今日もエディと喧嘩しながら出かけましたよ。あれ以来、うちはみんなぎくしゃくしてます」
「あたしの払った大金貨のせいで?でもあれは正当な料金だよ。ジルは可愛いいい子だしね。ああ、ジルってつけたんだ」
「うちでは"にゃあ公"って呼んでいました」
デーティアはついつい笑ってしまった。ハンナはおもしろいよ。猫の中身が王子様だって知ったらどんな顔をしたかね?
その時、ジルが起きてきてデーティアに体をすりつけてきた。
「ジル、お腹が空いたのかい?待ってな。サリー、ちょっとごめんよ」
デーティアは台所へ行って、ジルの食事を取ってきた。
ジルは椅子でおとなしく待っている。そんなジルにデーティアは甲斐甲斐しくスプーンで食事を与える。
「ちょっとデーティアさん!猫にスプーンで餌をあげるなんて!お姑さんと同じことをするんですね」
「ハンナもこうしていたのかい?」
くすくす笑う。
「でも今は自尊心を大切にしなきゃね。早くただの猫になって自分で食べてもらえるようにしなきゃと思っているんだよ」
それには問題が山積みでね。と心の中で付け加えた。
「サリー、おまえさんは気が優し過ぎるよ。マークは料理の腕前はいいけど気が弱いし」
またうなだれるサリー。デーティアはその口にアニスシードのクッキーを押し込む。
「元気だしな。青い雌鶏亭の売りの一つは女衆の愛嬌と元気だよ」
三杯目はローズマリーのお茶にした。
「あんたの作る白身魚の香草焼きはなかなかのものになっているよ。また食べに行きたいから気張りなよ」
「気張るって…」
「嫁の躾さ」
気の優しいサリーにはそれが難しいのはわかっている。
「このままじゃエディとメグの仲も壊れちまうよ。誰かが悪者にならなきゃおさまらない。大金貨の残りはあんたが管理しな」
ぐっと詰まるサリーを見て、やっぱりメグの好きにさせていたんだと確信する。
「あれはハンナの猫の代金だ。あんたに払ったんだよ。メグにじゃない」
ハーブと調味料の袋と、アニスシードのクッキーといくつかの小瓶やハーブティーなどの入った籠を渡してデーティアは言う。
「これであんたは磨きをかけて綺麗になってお気張り。娘っこに負けない色艶になるよ」
サリーが小さい頃によくしたように髪を撫でた。
「青い雌鶏亭の女将はあんただ。あんたが采配をしっかり振るいな。とりあえす二ヶ月」
「二ヶ月?」
「二ヶ月経ってもメグがあのままならうちに寄こしな。嫌がってもね。あたしが躾けてあげるよ。ハンナのレシピも叩き込んでやる」
ニヤっと笑って続ける。
「大金貨も店の看板娘の座もあんたのものになれば、ちっとは目が覚めるだろうよ。その間、勝手にエディと喧嘩させときな。あんたがやることは青い雌鶏亭を立て直すことと嫁への躾だよ」
「躾…」
「甘やして放っておいていたんだろ?雌鶏が時を告げれば国は亡びるっていうけどさ、青い雌鶏亭は違うさ。雄鶏に時を告げるように勧めるのも雌鶏の役目だよ」
肩をぽんぽん叩いて励ます。
「あたしはちょっと留守にするからね。その前にハーブや調味料は届けてあげるよ」
サリーを送り出したデーティアは思案した。
男どもは女が世話をやかないと、てんでだらしがないね。
さて、こっちはどうしたもんかね。
もちろんジルの方だ。
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