21 / 147
第一章『妖精おじさんがあらわれた。ただし、その姿は見えない』
第21話 VS大物
しおりを挟む
――ズガァン!
イワナマズによる地割れ攻撃が紅さんの元に伸びてダメージを与える。範囲が広く避けるのは難しく見えた。
体力は半分と少しあるので焦らずにタイミングを待つ。マナポーションにはクールタイムと呼ばれる再使用に必要な時間が設定されている。出来る限り効率よく精神力を扱いたかった。
散々回復魔法を使ってきたんだ。そろそろ初心者の脱却を目指したい。
紅さんは大剣を構えながら次に備えている。そして、イワナマズが長いひげをしならせる攻撃をしたところで回復を行う。
「トリガー、ヒール」
体力は最大値まで戻った。大丈夫、自分の仕事はやれている。
「トリガー、パワーヒット!」
他のプレイヤーがスキルを発動させてダメージを与えた。イワナマズはのっそり回転しターゲットを変える。
「トリガー、詠唱」
今は透明にならなくてもいい。詠唱後にそのまま回復魔法をストックした。
――ズガァン!
地割れがスキルを使ったプレイヤーを襲う。半分強になった体力だがすぐ最大値に戻った。何かのスキル、ではなくヒールポーションを使ったのか?
「トリガー、チャージストライク!」
また別のプレイヤーがスキルを発動する。同時にイワナマズがターゲットする相手が変わって察した。きっと、ダメージを分散させることでポーション類のクールタイムを稼いでいるのだ。
事前に打ち合わせたのか阿吽の呼吸か。回復魔法をかけていただけの自分とは違い、最終戦に残っているのはゲームに慣れた人たちのはずだった。
ヒールポーションとの兼ね合いを考えるとタイミングは厄介になるが、指示を出すよう頼むのも他人任せな気がした。
今さらながら照明具を着けて存在をアピールする。基本的に狙われるプレイヤーを見ておけば間違いない。
みんな通常攻撃を加えつつ、ダメージを受ければ待機で時計回りの順にスキルを発動する。ターゲットが上手く代わる代わるになって感心した。
「ん?」
ヒールポーションを使わないプレイヤーに回復魔法をかけている最中、イワナマズと目が合った。その場での回転で終わらずにのっそりと前へ進んで確信する。明らかに自分が狙われていた。
「キュル助、カモフラージュ!」
「キュル!」
邪魔にならないよう透明化でしのぐが、イワナマズは右に左に頭部を動かす。
「トリガー、ダブルスラスト!」
スキルを使ったプレイヤーにすら見向きもせず、ターゲットの順番がおかしくなって方々に攻撃を散らした。
「フレイムブレイド」
その時、紅さんの大剣に炎が宿る。一度見た魔法だ。威力が上がるのか攻撃を数度繰り返すとイワナマズが狙いを定める。
「トリガー、パワーヒット!」
紅さんが防御に徹するも今度は中々ターゲットが外れない。回復魔法でサポートを行うけれど狙われる心配は常にあり、気は抜けなかった。
「離れろ! 何かくる!」
誰かの声と同時にイワナマズの短い胴体が持ち上がって地面へ落ちる。
――ガゴォン!
全方位へ地割れが起きるどころか所々に岩が生えて三人のプレイヤーが宙を舞った。無事に済んだのは離れていた自分一人。他は体力の大半を持っていかれ、短時間で全員を回復するのは難しかった。
連続で範囲攻撃はこないがヒールポーションのクールタイムも間に合っていないようで、かなり厳しい状況だ。マナポーションを飲むがいつまで耐えられるか。
「おお、やってんじゃん!」
分の悪さに攻撃の手が弱まるところへ、刀を持つ新たなプレイヤーが飛び込んできた。角刈りの髪型はファンタジーから程遠くて親近感を覚えた。
「どら! トリガー、速斬り!」
気合が入った声で刀を叩き込む。援軍は頼もしいが初めにいた人たちとは違って遠慮なくスキルを使用する。
周りがその勢いについていくか迷うなか、紅さんへのターゲットが角刈りさんへ移った。
「うお! いってえ!」
一撃で体力が半分以下に減り慌てたようにヒールポーションを使う。それでも攻撃の手は緩めずに全力だ。
すでに効率を考える余裕はない。気が付けばイワナマズの体力は半分を切っているが、まだまだ不安だらけ。できれば限られたプレイヤーに集中したかった。
「サンキュな!」
しかしというかやはりというか、見殺しにするのは気が引ける。回復魔法をかけて頑張ってもらおう。
「くるぞ!」
またイワナマズの胴体が持ち上がって緊張感が広がった。
「え? なになに?」
みんなが一斉に離れるも後に来た角刈りさんはひたすらに攻撃を続ける。
――ガゴォン!
「ぐはあああ!」
そして、全方位の地割れで見事に宙を舞った。体力の低さが影響したのか体力が全て吹き飛んで色味が失れる。叫び声があまりにも似合っていて笑いそうになってしまった。
イワナマズによる地割れ攻撃が紅さんの元に伸びてダメージを与える。範囲が広く避けるのは難しく見えた。
体力は半分と少しあるので焦らずにタイミングを待つ。マナポーションにはクールタイムと呼ばれる再使用に必要な時間が設定されている。出来る限り効率よく精神力を扱いたかった。
散々回復魔法を使ってきたんだ。そろそろ初心者の脱却を目指したい。
紅さんは大剣を構えながら次に備えている。そして、イワナマズが長いひげをしならせる攻撃をしたところで回復を行う。
「トリガー、ヒール」
体力は最大値まで戻った。大丈夫、自分の仕事はやれている。
「トリガー、パワーヒット!」
他のプレイヤーがスキルを発動させてダメージを与えた。イワナマズはのっそり回転しターゲットを変える。
「トリガー、詠唱」
今は透明にならなくてもいい。詠唱後にそのまま回復魔法をストックした。
――ズガァン!
地割れがスキルを使ったプレイヤーを襲う。半分強になった体力だがすぐ最大値に戻った。何かのスキル、ではなくヒールポーションを使ったのか?
「トリガー、チャージストライク!」
また別のプレイヤーがスキルを発動する。同時にイワナマズがターゲットする相手が変わって察した。きっと、ダメージを分散させることでポーション類のクールタイムを稼いでいるのだ。
事前に打ち合わせたのか阿吽の呼吸か。回復魔法をかけていただけの自分とは違い、最終戦に残っているのはゲームに慣れた人たちのはずだった。
ヒールポーションとの兼ね合いを考えるとタイミングは厄介になるが、指示を出すよう頼むのも他人任せな気がした。
今さらながら照明具を着けて存在をアピールする。基本的に狙われるプレイヤーを見ておけば間違いない。
みんな通常攻撃を加えつつ、ダメージを受ければ待機で時計回りの順にスキルを発動する。ターゲットが上手く代わる代わるになって感心した。
「ん?」
ヒールポーションを使わないプレイヤーに回復魔法をかけている最中、イワナマズと目が合った。その場での回転で終わらずにのっそりと前へ進んで確信する。明らかに自分が狙われていた。
「キュル助、カモフラージュ!」
「キュル!」
邪魔にならないよう透明化でしのぐが、イワナマズは右に左に頭部を動かす。
「トリガー、ダブルスラスト!」
スキルを使ったプレイヤーにすら見向きもせず、ターゲットの順番がおかしくなって方々に攻撃を散らした。
「フレイムブレイド」
その時、紅さんの大剣に炎が宿る。一度見た魔法だ。威力が上がるのか攻撃を数度繰り返すとイワナマズが狙いを定める。
「トリガー、パワーヒット!」
紅さんが防御に徹するも今度は中々ターゲットが外れない。回復魔法でサポートを行うけれど狙われる心配は常にあり、気は抜けなかった。
「離れろ! 何かくる!」
誰かの声と同時にイワナマズの短い胴体が持ち上がって地面へ落ちる。
――ガゴォン!
全方位へ地割れが起きるどころか所々に岩が生えて三人のプレイヤーが宙を舞った。無事に済んだのは離れていた自分一人。他は体力の大半を持っていかれ、短時間で全員を回復するのは難しかった。
連続で範囲攻撃はこないがヒールポーションのクールタイムも間に合っていないようで、かなり厳しい状況だ。マナポーションを飲むがいつまで耐えられるか。
「おお、やってんじゃん!」
分の悪さに攻撃の手が弱まるところへ、刀を持つ新たなプレイヤーが飛び込んできた。角刈りの髪型はファンタジーから程遠くて親近感を覚えた。
「どら! トリガー、速斬り!」
気合が入った声で刀を叩き込む。援軍は頼もしいが初めにいた人たちとは違って遠慮なくスキルを使用する。
周りがその勢いについていくか迷うなか、紅さんへのターゲットが角刈りさんへ移った。
「うお! いってえ!」
一撃で体力が半分以下に減り慌てたようにヒールポーションを使う。それでも攻撃の手は緩めずに全力だ。
すでに効率を考える余裕はない。気が付けばイワナマズの体力は半分を切っているが、まだまだ不安だらけ。できれば限られたプレイヤーに集中したかった。
「サンキュな!」
しかしというかやはりというか、見殺しにするのは気が引ける。回復魔法をかけて頑張ってもらおう。
「くるぞ!」
またイワナマズの胴体が持ち上がって緊張感が広がった。
「え? なになに?」
みんなが一斉に離れるも後に来た角刈りさんはひたすらに攻撃を続ける。
――ガゴォン!
「ぐはあああ!」
そして、全方位の地割れで見事に宙を舞った。体力の低さが影響したのか体力が全て吹き飛んで色味が失れる。叫び声があまりにも似合っていて笑いそうになってしまった。
10
あなたにおすすめの小説
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、魔王軍と戦うはめになった!
蛇崩 通
ファンタジー
ネットオークションに、異世界転移魔方陣が出品されていた。
三千円で。
二枚入り。
手製のガイドブック『異世界の歩き方』付き。
ガイドブックには、異世界会話集も収録。
出品商品の説明文には、「魔力が充分にあれば、異世界に行けます」とあった。
おもしろそうなので、買ってみた。
使ってみた。
帰れなくなった。日本に。
魔力切れのようだ。
しかたがないので、異世界で魔法の勉強をすることにした。
それなのに……
気がついたら、魔王軍と戦うことに。
はたして、日本に無事戻れるのか?
<第1章の主な内容>
王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。
魔王軍が、王都まで迫ったからだ。
同じクラスは、女生徒ばかり。
毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。
ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。
しかたがない。ぼくが戦うか。
<第2章の主な内容>
救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。
さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。
どう救出する?
<第3章の主な内容>
南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。
そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。
交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。
驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……
<第4章の主な内容>
リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。
明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。
なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。
三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します
miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。
そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。
軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。
誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。
毎日22時投稿します。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】
道雪ちゃん
ファンタジー
2024年の年末、世界中に突如ダンジョンが出現した。
大学生・三上ひよりも探索者になることを決意するが、与えられた職業は――世界で一人しかいないユニーク職「Lv.1チンピラ」。
周囲からは笑われ、初期スキルもほとんど役に立たない。
それでも、生き残るためにはダンジョンに挑むしかない。
これは、ネット住民と世界におもちゃにされながらも、真面目に生き抜く青年の物語。
※基本的にスレッド形式がメインです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる