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第一章『妖精おじさんがあらわれた。ただし、その姿は見えない』
第46話 ゾンビと楽しい鬼ごっこ
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「いよいよ本番でござるな」
下忍オクトパスの動きはゾンビのそれよりも早い。
「ボスは拙者が!」
コヨミさんに任せるしかないが、彷徨う残り四体が問題だ。まずはボスに集中してもらうため全てのターゲットを取りたかった。
近づいて攻撃を加えていくのは反撃が怖い。回復魔法がベストだが時間はかかると考えた結果、雫石を使う安全策を選択する。
アイテムを手に下忍ゾンビへ投げる。当然のように避けられるが狙い通りこちらへ向かってきた。他の三体にも雫石を投げて部屋の中を走る。
壁際に沿って鬼ごっこをしつつ振り返り、距離が開いたのを確認し回復魔法を魔導書にストックする。
「跳躍!」
コヨミさんの体力はほとんど減っていない。スキルを使いながら様子見の最中だろうか。
下忍オクトパスは頭から触手を四本垂らして振り回す。長さがある攻撃手段で普通に避けるのは難しそうだった。
余裕のあるうちにゾンビへ回復魔法を解放し、再び走り回ってストックする。飼育管にいるキュル助を出しても体力の管理ができるかどうか。今は温存でコヨミさんに回復を入れた。
ゆっくりで構わないので数を減らしたい。鬼ごっこを続けて魔導書を手に回復魔法を唱える。
「瞬歩!」
コヨミさんの考えも同じようで、攻撃よりも避けることを意識してくれていた。
「トリガー、ヒール!」
≪爆符を入手しました≫
体力が減った下忍ゾンビを回復魔法で仕留める。これで少しは鬼ごっこも楽になった。
「むむ! ナカノ殿!」
急に呼びかけられてコヨミさんへ視線を移す。下忍オクトパスを相手に変わらず戦っているが……?
「触手の数が増えたでござる!」
言われて気づく。先ほどまでは四本だった触手が五本になっていた。
間違いなく、きっかけは下忍ゾンビを倒したこと。首に巻かれる触手がボスにつながっているギミックなのだろう。つまり、周りを減らすほどボスは強化される?
走りながらサポートに努めて見守るが、攻撃は継続して触手を振るうだけだ。
「ナカノ殿に余裕があれば、ゾンビを残していただきたい。攻撃の威力が上がっているでござる」
近くに来たコヨミさんが言葉を残し離れて行った。受けるダメージが増えるのは、こちらとしても避けたい。それに、数が減るにつれて新たな脅威が増える可能性もあった。
鬼ごっこには慣れてきた。とりあえず、安定しだした状況を維持するのが一番だ。現実なら息切れ間違いなしだが壁際を必死に走る。
スキルの中には早く走ったり物理系のスキルを使用する際に消費する持久力というステータスもあるが、軽く走る程度で戻るため今回は下忍ゾンビの遅さに助けられていた。走れば走るほど上昇するスキル。今後を見据えての訓練にもなる、とまでは余裕を出さず必死にサポートだ。
「トリガー、ヒール!」
順調に進んで下忍オクトパスの体力が減ってきた。しかし、このまま終わるとは思えない。ゲージが半分に届く目前、準備に回復魔法をストックし直す。
「爆符を使うでござるよ! 瞬歩!」
走りながらゾンビとの距離を取りつつ集中する。
――ボゴオン!
爆発音と共に体力ゲージが半分を切った。身構えると部屋の中心辺りが急に暗くなる。どうやら六本の円柱にかかる松明の炎が消えたようだ。
「トリガー、ゲットアウト!」
「キュルル!」
飼育管を手にキュル助を出動させる。さすがに状況が一変したので念には念を。周りに雫石を撒いて備えを万全にした。ゾンビが群がっても切り抜けられるはず。
すると、すぐに灯りが元に戻る。周囲を確認するコヨミさんと目が合うが、下忍オクトパスの姿がどこにもなかった。
壁に天井をくまなく探すが見当たらない。通路は青い炎で遮られて三体のゾンビも近づいてくる。まだ戦闘が続いているのは明らかで、だとしたら……透明化?
名称はタコでも忍が付いている。慌てて地面を調べたところ、揺らめく影が何もない場所でポツンと動いていた。
「地面の影を見てください!」
「っ、了解でござる!」
キュル助の透明化も見破られた。きっと不自然な影には意味がある。
コヨミさんが影に向かって走り短剣を振るった。
「ギギギ……!」
空間が歪んで、その場に下忍オクトパスが姿を現す。気づかなければ不意の攻撃を受けていたところだ。もしくは仕掛けでゾンビを倒し切る必要があると思い込み、触手の数を増やして難易度を上げていたかもしれない。
キュル助を連れて鬼ごっこに戻る。傍らにいてくれるだけで安心感が違った。
「トリガー、ヒール!」
コヨミさんは前半と同様の動きで対応する。ボスの行動変化は乗り切れたのか、順調な流れを取り戻しダメージを与えていった。
体力バーの把握を怠らず四割、三割、二割、一割と減る間にも気を付けるが特に変わった攻撃はこない。やはり、下忍ゾンビを残せたのがいい方向につながったのか。
「瞬歩!」
スキルで離れるのを見て爆符を使用したのだと予測する。
――ボゴゴゴオン!
「ギギギ……ギギ、ギ……」
連続する爆発音で残り少なかった下忍オクトパスの体力が吹き飛んだ。触手が力なく垂れ下がり、ついには地面へ倒れた。
鬼ごっこをしていたゾンビたちも黒い煙から解放されて倒れる。通路を遮っていた青い炎が消えて、ボスの討伐が完了したことが分かった。
下忍オクトパスの動きはゾンビのそれよりも早い。
「ボスは拙者が!」
コヨミさんに任せるしかないが、彷徨う残り四体が問題だ。まずはボスに集中してもらうため全てのターゲットを取りたかった。
近づいて攻撃を加えていくのは反撃が怖い。回復魔法がベストだが時間はかかると考えた結果、雫石を使う安全策を選択する。
アイテムを手に下忍ゾンビへ投げる。当然のように避けられるが狙い通りこちらへ向かってきた。他の三体にも雫石を投げて部屋の中を走る。
壁際に沿って鬼ごっこをしつつ振り返り、距離が開いたのを確認し回復魔法を魔導書にストックする。
「跳躍!」
コヨミさんの体力はほとんど減っていない。スキルを使いながら様子見の最中だろうか。
下忍オクトパスは頭から触手を四本垂らして振り回す。長さがある攻撃手段で普通に避けるのは難しそうだった。
余裕のあるうちにゾンビへ回復魔法を解放し、再び走り回ってストックする。飼育管にいるキュル助を出しても体力の管理ができるかどうか。今は温存でコヨミさんに回復を入れた。
ゆっくりで構わないので数を減らしたい。鬼ごっこを続けて魔導書を手に回復魔法を唱える。
「瞬歩!」
コヨミさんの考えも同じようで、攻撃よりも避けることを意識してくれていた。
「トリガー、ヒール!」
≪爆符を入手しました≫
体力が減った下忍ゾンビを回復魔法で仕留める。これで少しは鬼ごっこも楽になった。
「むむ! ナカノ殿!」
急に呼びかけられてコヨミさんへ視線を移す。下忍オクトパスを相手に変わらず戦っているが……?
「触手の数が増えたでござる!」
言われて気づく。先ほどまでは四本だった触手が五本になっていた。
間違いなく、きっかけは下忍ゾンビを倒したこと。首に巻かれる触手がボスにつながっているギミックなのだろう。つまり、周りを減らすほどボスは強化される?
走りながらサポートに努めて見守るが、攻撃は継続して触手を振るうだけだ。
「ナカノ殿に余裕があれば、ゾンビを残していただきたい。攻撃の威力が上がっているでござる」
近くに来たコヨミさんが言葉を残し離れて行った。受けるダメージが増えるのは、こちらとしても避けたい。それに、数が減るにつれて新たな脅威が増える可能性もあった。
鬼ごっこには慣れてきた。とりあえず、安定しだした状況を維持するのが一番だ。現実なら息切れ間違いなしだが壁際を必死に走る。
スキルの中には早く走ったり物理系のスキルを使用する際に消費する持久力というステータスもあるが、軽く走る程度で戻るため今回は下忍ゾンビの遅さに助けられていた。走れば走るほど上昇するスキル。今後を見据えての訓練にもなる、とまでは余裕を出さず必死にサポートだ。
「トリガー、ヒール!」
順調に進んで下忍オクトパスの体力が減ってきた。しかし、このまま終わるとは思えない。ゲージが半分に届く目前、準備に回復魔法をストックし直す。
「爆符を使うでござるよ! 瞬歩!」
走りながらゾンビとの距離を取りつつ集中する。
――ボゴオン!
爆発音と共に体力ゲージが半分を切った。身構えると部屋の中心辺りが急に暗くなる。どうやら六本の円柱にかかる松明の炎が消えたようだ。
「トリガー、ゲットアウト!」
「キュルル!」
飼育管を手にキュル助を出動させる。さすがに状況が一変したので念には念を。周りに雫石を撒いて備えを万全にした。ゾンビが群がっても切り抜けられるはず。
すると、すぐに灯りが元に戻る。周囲を確認するコヨミさんと目が合うが、下忍オクトパスの姿がどこにもなかった。
壁に天井をくまなく探すが見当たらない。通路は青い炎で遮られて三体のゾンビも近づいてくる。まだ戦闘が続いているのは明らかで、だとしたら……透明化?
名称はタコでも忍が付いている。慌てて地面を調べたところ、揺らめく影が何もない場所でポツンと動いていた。
「地面の影を見てください!」
「っ、了解でござる!」
キュル助の透明化も見破られた。きっと不自然な影には意味がある。
コヨミさんが影に向かって走り短剣を振るった。
「ギギギ……!」
空間が歪んで、その場に下忍オクトパスが姿を現す。気づかなければ不意の攻撃を受けていたところだ。もしくは仕掛けでゾンビを倒し切る必要があると思い込み、触手の数を増やして難易度を上げていたかもしれない。
キュル助を連れて鬼ごっこに戻る。傍らにいてくれるだけで安心感が違った。
「トリガー、ヒール!」
コヨミさんは前半と同様の動きで対応する。ボスの行動変化は乗り切れたのか、順調な流れを取り戻しダメージを与えていった。
体力バーの把握を怠らず四割、三割、二割、一割と減る間にも気を付けるが特に変わった攻撃はこない。やはり、下忍ゾンビを残せたのがいい方向につながったのか。
「瞬歩!」
スキルで離れるのを見て爆符を使用したのだと予測する。
――ボゴゴゴオン!
「ギギギ……ギギ、ギ……」
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