ウチに伝わる昔話がおかしい件

裕澄

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女木村

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俺、山岡桃希やまおかとうき
の住む
女木めぎ村は、 
村の半分以上の住民がじぃちゃん ばーちゃんという、
まぁ。いわゆる"限界集落"ってやつ。
さらに、
スマホの電波も入りにくいという、欲しくもない特大オマケ付きの村。

ウチの村に伝わる、昔話の"ももたろう"これが、普通じゃない。

 正直いうと、中二病臭がひどい。
小さいガキの頃から、聞いてきたけど
なんなんだよ…。

【鬼を長い眠りにつかせ。】って、最終的に、倒してないしそれに、
【ももたろうの力を継ぐもの】って所がさらに中二病臭を濃くしてる。

…ドコのRPGの設定だよ。

 絶対遊びで考えた、昔話を誰かが本気にして伝えたヤツだろ。

こんな、おかしなド田舎の村
俺としては20歳になったし、
 早く都会に出て都会生活を満喫したい。

そうなんだけど…俺が「都会へ行く」って、言うと必ずオヤジが反対してくる。
毎回、絵に描いたような猛反対。
猛反対した後
「俺が認める位の男になるまでは、芽木に居ること。」っていう、謎の家訓まで出来上がった。
そこまでして、反対する理由が俺にはわからないし、
オヤジが認める位の男って、基準もおかしい。

母ちゃんは、俺がガキの頃に死んだらしく顔はボンヤリしか覚えてないし
一緒に遊んだ記憶もあまりない。

ガキの頃、剣道を教えてくれた
村にある神社の神主でもある師匠曰く
「体は弱かったけど、優しくて笑顔の素敵な美人で、才色兼備とは桃子さんのこと。」だと、よく言ってる。


師匠は、母ちゃんに惚れてたんじゃないか
って程母ちゃんの話をしてくれた。

その師匠の神社だって、なんか変わった神様か何かを祀ってるらしい。
詳しくは教えてくれなかったけど。

ガキの頃本堂に近付こうとして、結界?の側まで行って凄く怒られた。
尋常じゃないほどに。

なんて、呑気に考えながら家の縁側に転がっていると
吉備きびじーちゃん家の裏山から
「ヴォォォー!!」と何かの叫び声がいつくも聞こえた。
その叫び声の方を見ると、
吉備じーちゃんの山が、
どんどん荒されているのが遠くからでもわかる。
「…鬼だ!!鬼が出たぞっ!!!みんな逃げろっー!」
と言う吉備じーちゃんの声が俺の家まで聞こえてきた。

…吉備じーちゃん、こんなにデカイ声出るんだったら、俺に色々頼むなよ…っと。

そんな場合じゃないよな。
ってか、意味がわからない。
スマホがどうのこうのとか、言ってるこの時代に鬼なんて、いるのかよ!

こういうのって、アニメとかマンガの世界でしかあり得ないんじゃないのかよ??

吉備じーちゃんの家は、2メートル位の鬼に襲われて半壊状態。
吉備じーちゃんの家を散々荒らした鬼達は、芽木村をめちゃくちゃにしはじめた。

…嘘だろ!? なんなんだよ!!
こんなド田舎の村じゃなくてもいいだろ…
…そうだよな。これは夢だ。
…夢なんだよな??
…なぁ??

「…とりあえず、じーちゃん達を集会所に避難させないと!…ちっ。なんでこういう時に居ないんだよ。オヤジ!」オヤジもウチの村では、若者の世代に入る訳なんだけど、こういう時に限って街まで出掛けていたりする。

とりあえず、俺は逃げ遅れた人が居ないか村を見て回る事にした。


鬼に出会う可能性も否定はできず、万が一の為に、家に飾ってある真剣とオヤジから聞いていた刀を持ち出した。
一応、剣術は習ってたから、何もないよりはマシだ。

村の家や畑が鬼達によって、荒されている。
「みんな!とりあえず集会所に集まってくれ!!」と、俺が声をかけて歩いていると
「ヴォォォー!!」鬼の叫び声が近くで聞こえた

ふと、振り替えると数十メートル先に鬼をみつけた。


「…ヤバイよな。これって。俺狙われるよな…」ぼそりと呟くと、俺は後退りをする。

必死に集会所へ逃げる俺に鬼は気づいたみたいだ…

絶体絶命だろ、俺。

「俺達が倒しますから…安心してください!桃希さん!!…ですよね。
いぬいさん。」と、俺と鬼の間にいつの間にか立っていたのは、
俺の1つ年下の#遠山沙流_とうやまさる_#だった。
「お前…なんでここに!?修行してたんじゃないのかよ!?」

「桃希さん!大丈夫ですか??」と沙流は集会所の方を見た。
 「…乾さん。結界の確認は??」
「その話は後にしてくれ!!…まずは、ここに居る鬼を片付けるぞ!沙流っ!」
 乾さんという人と、沙流は素人の俺でもわかるほど、戦う人間の空気を身に纏っている。


二人は空手のような動きで、どんどん鬼に攻撃をしていく。

俺はというと…
刀を持ってきたのは、いいけど真剣を使い慣れてる訳でもないし、
バケモノ相手に戦えるのか??

「…桃希くん、すまない。自分と沙流だけではここに居る鬼を止められそうにない!…力を貸してくれっ!!」
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