絶望の白 〜狼の館から脱出せよ〜

番傘と折りたたみ傘

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優しいキスと意地悪な愛撫 第一と第ニの狼

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 海斗が俺と目の高さを合わせる様に屈み、微笑んでくる。

「最後に君とキスがしたい。いい?」

 海斗とするキスは好きだ。甘い香りに包まれてされるキスが好き。少し強引でそれでも甘やかしてくれるキスを俺は大好きになっていた。

 大地も俺の顔を覗いてくる。

「俺もいいかな?」

 大地とするキスは好きだ。爽やかな香りに包まれたキスが好きだ。ほっとさせてくれる優しいキスを俺は大好きになっていた。

 二人の問いかけに、俺は頷いた。

「それじゃ、俺から」

 海斗の右手が俺の顎先に添えられる。ゆっくりと上に向かされて、海斗と視線が合う。これからキスするんだと思うと、恥ずかしい。俺を安心させる為か切なく笑った海斗と唇が重なった。

 唇で上唇を優しく食まれる。海斗の舌に唇を開けてと促されて、そっと開く。甘く心地良い
 キスを期待して、身体が疼く。ゆっくりと唇の間を通り抜けて、入ってきた舌が何かを俺の口腔に落とす。何だ。疑問に思ったその時、海斗の舌が、唇が、顔が離れて行く。その顔はとても悲しそうで今にも泣き出してしまいそうだ。

「え? 何こ」

 これは何と聞こうとしたが、大地の唇にその疑問は塞がれてしまった。

 ゆっくりと口の中に注がれる生温かい何か。段々と苦しくなって、仕方無しにコクリコクリと飲み込んだ。ゆっくりと何かを確認する様に動く大地の舌に、口腔の隅々まで舐られる。気持ちが良くなり、舌を絡めたいと思ってしまった。舌を伸ばしたが、大地の舌は抜けて行ってしまった。

 置いて行かれた俺の舌と想いは、切なくなった。

 悲しいのは俺なのに、俺から離れて行く大地の顔は、海斗と同じくとても悲しそうだった。

「何?」

 何を飲ませた? キスは? どうしてそんなに悲しそうなんだ?

「泣かないで、あきちゃんが満足するまでしてあげるから」

 頬を伝う涙をキスで拭われる。

「キス以上の事もしてあげる。あきくんが望む全てをしてあげるよ」

 そう言ってくれた二人が切なそうに笑うものだから、深く追求出来なかった。


 海斗のキスに溺れる。甘やかす様に、海斗の舌にゆっくりと舌が絡めとられて行く。粘膜が擦れ合う感覚に快感が湧き上がる。溢れ混ざり合った唾液をコクリと飲み込んだ。身体の中まで海斗のものになった様に感じて、嬉しく思った。

 そっと、キスをしたままソファに寝かされる。ソファのふわふわした感覚が背中に伝わる。いつの間にか、コートもジャケットも脱がされていて裸だった。

 海斗の舌先に上顎を擽られて、気持ちが良い。頬の裏をそっと舐られてから、舌が抜け出て行った。

 唇が離れ、銀色の糸が互いの舌を繋ぎ途切れた。そっと、触れるだけのキスを唇、鼻先、頬に落とされる。優しいその行為が愛されていると感じさせてくれた。首筋から耳にかけて舌が通って行く。耳を甘噛みされて、小さく喘いでしまった。

「気持ちいい?」

 そっと囁かれた言葉に、頷いた。

「可愛い」

 可愛いと言われて、嬉しく思うのは大好きになってしまった所為だろうか。

「ひぁ!」

 下半身からの快楽に驚いた。キスに夢中になっていたせいで、両脚を開かされていた事に気付かなかった。

「あぁ、可愛い声。もっと聞きたい」

 海斗が俺の上から避けたお陰で、俺は下半身の状態を把握してしまった。

 片足をソファの背もたれに掛けられて、もう片足を大地の手によって開かされていた。

 俺の内太腿をゆっくりと大地の舌が舐っていた。足の付け根を舌先で弄び、もうすぐ緩く勃ち上がった陰茎という所で、太腿に戻ってしまう。じりじりとした快感に理性が壊されて行く。何度も何度も陰茎の際まで行っては戻ってを繰り返されて、我慢できなくなった。

「お願い……」

「何?」

 大地がにこにこと笑う。分かってるくせに、意地悪をするつもりだ。中途半端に残った理性が羞恥を感じさせる。触って、舐めて欲しい。だが、恥ずかしくて言えない。

「虐めないで」

「言ってくれないと分からないよ」

 言わないと触らないという様に、大地の指が足の付け根と陰茎の際を撫ぜながら行き来する。その行為で弱い快楽がお腹に溜まって行く。段々と溜まって行く快感に、イきたいという思いに駆られる。イきたい。しかし、弱い快楽ではイけない。触って欲しい。だが、恥ずかしい。色々な思いに呑まれて、腰を動かして大地の手に陰茎を当てようとしたが、避けられた。
 段々と切なくなった。

「あまり、虐めるな」

 そう言った海斗から額に触れるだけのキスを落とされた。海斗の優しさに心が軽くなる。

「海斗は優しいからな」

「お前、Sじゃないだろ」

「まあ、たまにやってみようかな思っただけだよ」

 大地の返答に、海斗が盛大な溜息を吐いた。

「あきちゃんに嫌われるぞ」

「あ! それ嫌だ! ごめんね」

 そう言った大地に陰茎の先へとキスが落とされた。焦らされ続けた俺はその刺激だけで、びくりと腰が跳ねた。

「ふふ、本当に可愛いよ」

 大地の舌が竿を余す所なく舐る。待ちに待った陰茎への愛撫に酔いしれる。段々と呼吸が乱れていく。気持ちが良くて、堪らない。

「はぁ、ん、あぁ、ああ!」

 亀頭が大地の口の中へと消える。強い快楽に理性がぐずぐずになっていく。
 口を窄め裏筋を舌で刺激しながら、上下に抽送される。快感が溜まって行き、溢れてしまうと思ったその時。

 海斗が俺の胸の飾りを指で摘み、舌で舐った。

「ふぁぁあああ!!」

 ピリリと走った快感に、俺はイってしまった。
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