死にゲーの世界のキャラに憑依したと思ったら、BL版の世界でした。 ~最悪領主になりきろうとしたが、日本人気質の所為でばれそうです~

番傘と折りたたみ傘

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お祭りへ

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 天候は晴れ。絶好のお祭り日和だ! レイルの屋敷の敷地内から出たのは初めてだった。屋敷の入り口にある大きな門をくぐり抜け、駆けていく馬車の中、グランデとライトの間に俺が座り、三人でぎゅうぎゅうに乗っていた。本当であれば、馬車には二人が乗り、一人が護衛の人たちと一緒に馬に乗って並走する予定だったのだが、誰が俺と馬車に乗るかというので揉めたのだ。俺としては、気まずいグランデより、ライトの方がいいのだが。グランデが乗ると言い出し、ライトも譲れないと言い合いになった。

 揉め合う二人を叱ってくれたのは、グレアだった。

「子どもではないのですから、大人しく三人で乗っては如何ですか?」

 そうやって、今に至る訳だが、ライトの体が大きい為、細身のグランデに寄り添う形になってしまう。温かい体温、細身なのにガッチリとした体格は、細マッチョというやつだろうか。風呂場でも見ているが、とても羨ましい肉体である。グランデの方へ視線を向ける。変な喧嘩をしてしまった為、グランデと視線が合わせ辛い。グランデが振り向いた瞬間に、目を逸らし顔を伏せてしまう。あぁ、どうすれば良いんだ。この嫌な関係を修復したいのに、冷たい瞳を見たくなくて、ついつい逸らしてしまう。

 ライトに誘われたこの祭りの件の了承を取るのにも、ほとんどライト頼みだった。

 ライトのやや後ろで、グランデがどう出るか緊張していた。絶対ダメと言うと思っていた。だが、返ってきた答えは違った。共に行くと言ってきたグランデに、驚いたがそれ以上に嬉しいと思った。あんなに突き放したのに、ついて来てくれるんだと嬉しかった。その所為で、余計に恥ずかしくなり、視線を合わせ辛くなってしまった。何とか、関係修復を図らなければ……。

「レイル様。こうして、出かけるの久しぶりだな」

「え? あ、そうだな」

 ライトの声に、焦った。グランデの事で頭が一杯だったなんて口が裂けても言えない。

 それよりも、夜会とかあるとは知らなかった。ライトは祭りがあるとしか言わなかったのだ。グランデには何とか誤魔化したが、夜会での仮装……どうなるのだろうか。少し、不安だ。

「どうしました? 何か不安なことでもありますか?」

「いや、何でもない。大丈夫だ。それよりも、あそこか?」

 グランデが心配そうに、声を掛けてきてくれたのに、俺は早々に話を切り上げた。これ以上根掘り葉掘り聞かれると、色々とバレてしまいそうだった。苦しいと訴えてくる胸の内は、俺の心なのか……それともレイルのものなのかは分からない。

 それよりも、窓の外が木々から、レンガの街並みへと変わっていた。

「おぉ! 着いたな!」

 俺の声に反応したライトが、大声を上げた。お祭りなんて、小学生の頃以来だ。どんな祭りなのか楽しみでならない。

 馬車が止まり、グランデが馬車の扉を開けて降りていった。俺も降りようと、座面から腰を上げ、扉から身を乗り出そうとしたその時、グランデが右手を伸ばして来ていた。

「どうぞ。怪我をされても困ります」

「あ、ありがとう」

 軽々と、俺を馬車から下ろしたグランデの紳士的な行動に、何となく気恥ずかしくて、視線を逸らしてしまう。

「いえ、それと」

 グランデが肩掛けのカバンから、何やら布を出してきた。

「レイル様。貴方は多くの方から恨まれていらっしゃるので、これを被って下さい」

 広げたそれをグランデが肩にかけてくれ、フードを被せてくれた。フードが大きめの様で、顔半分近くまで隠れてしまう。周りが見づらい。どうやら、これは外套の様だ。

「俺達がいるから、バレちまうんじゃないか?」

「いいえ。最近、レイル様は風邪を引いていました。どうやら、その噂が流れているようで、まさか祭りにいるとは思わないでしょう」

 なるほど。

「そうか。それじゃ、行こうぜ!」

 ライトの手が目の前に差し出された。その手をじっと見つめてから、ライトの顔を見る。

「迷子になったら困るだろ」

「迷子になんてならないって!」

「ダメだ。何もない時ですら、ここは人で凄いんだからな」

 ライトの手が伸びてきて、俺の手を握ってきた。柔らかく握られた手はとても温かくて心がほかほかした。
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