82 / 98
1
一件落着?
しおりを挟む
怪しまれている俺に代わって、グランデが助け舟を出してくれた。
「レイル様は、お前に領地内で店を構えて欲しいと思っているのではないか」
「俺が、領地内でだと」
「そうすれば、様々な種類の武器や防具が手に入る。それ以上に、経済がまわり、領地内が豊かになる。そうですよね。レイル様」
グランデが、ふわりと笑った。その表情に、ドキドキする。いやいや、それよりも、この助け舟に乗らなければ!
「そ、そうだ!」
俺の答えに、眼を細めたままのロッドから不満が伝わってくる。どうすれば、レイルを信じて貰えるのだろう。ロッドに納得して貰わなければ。
「ロッドが居てくれれば……俺は、嬉しい」
純粋に心の内から出た言葉だった。レイルの所為で、人生を踏み外してしまったロッドには、報われて欲しい。
ロッドの怪しむ表情が、呆れたような表情に変わった。
「まぁ……依頼者から、暗殺依頼は取り下げられてるしな」
「え? 取り下げられているのか?」
ロッドは自分の恨みでレイルを狙ったと思っていたが、どうやら別に依頼した人がいるようだ。レイルへの恨みが思っていた以上に酷いようだ。だが、取り下げしたという事というのはどういうことだろうか。
「依頼者の事は、守秘義務があるから詳しくは言えない。が、ここ数日のブレイド様の行いで取り下げる事にしたらしい。俺は、俺の条件を飲んでもらえれば、別に命はいらない」
「良かった」
誰かというのは教えてもらえない様だが、取り敢えずは一安心して良いということだろう。ロッドもこれで暗殺者を辞め、武器屋を復帰するという事で一件落着という事だ。だが、そう簡単にはいかないと、それが世の常だと思い知らされる。
「レイル様、そうはいきません」
「え?」
ほっとしていた俺に、グランデの一言が突き刺さる。
「未遂だといえ、彼はレイル様に服毒、暗殺を企てたのですよ」
「で、でも」
「そうだ。レイル様。良くて、領地追放。悪くて、死刑だ」
いつの間にか、ライトが側に来ていた。ライトの言葉は、グランデの言葉をグッと俺へと押し込んでくる様だった。まるで、注射器で薬を押し込むようにだ。
「そ、そんな」
グランデとライトへ向けていた視線をロッドへと向ける。俺の視線に気づいたロッドは肩をすくませた。仕方がないと、それが当たり前だという様な仕草だ。それで、良い筈がない。この世界も弱いものが損をするのか。力や権力、財のある者が徳をする。どこの世界も残酷だ。
「ですが、ここの領地内で一番の決定権を持つのは、レイル様です」
グランデの言葉が、道を開いてくれた。
「あ……」
「私やライトが何を言おうと、決定権は貴方にあります。貴方が、何を望んでも叶います」
そうだった。今は、俺がレイルだ。俺の言ったことや願ったことが現実になる。ロッドの命を奪う事もできるという事だ。いや、そんなこと望んでいない。しかし、領主として罰を与えなければ、二人とも納得してはくれないだろう。ロッドに何か罰を与えなければならないとしたら、何をすれば良いのだ。命の他に、ロッドにとって多少の苦で済んで、損をしないそんな方法……あるのだろうか。
目を閉じて、考え直す。ロッドが好きなものは武器、そして嫌いなものはレイルだ。そうだ! これならば助けられるかもしれない。俺は、勇気を持って目を開けた。
「レイル様は、お前に領地内で店を構えて欲しいと思っているのではないか」
「俺が、領地内でだと」
「そうすれば、様々な種類の武器や防具が手に入る。それ以上に、経済がまわり、領地内が豊かになる。そうですよね。レイル様」
グランデが、ふわりと笑った。その表情に、ドキドキする。いやいや、それよりも、この助け舟に乗らなければ!
「そ、そうだ!」
俺の答えに、眼を細めたままのロッドから不満が伝わってくる。どうすれば、レイルを信じて貰えるのだろう。ロッドに納得して貰わなければ。
「ロッドが居てくれれば……俺は、嬉しい」
純粋に心の内から出た言葉だった。レイルの所為で、人生を踏み外してしまったロッドには、報われて欲しい。
ロッドの怪しむ表情が、呆れたような表情に変わった。
「まぁ……依頼者から、暗殺依頼は取り下げられてるしな」
「え? 取り下げられているのか?」
ロッドは自分の恨みでレイルを狙ったと思っていたが、どうやら別に依頼した人がいるようだ。レイルへの恨みが思っていた以上に酷いようだ。だが、取り下げしたという事というのはどういうことだろうか。
「依頼者の事は、守秘義務があるから詳しくは言えない。が、ここ数日のブレイド様の行いで取り下げる事にしたらしい。俺は、俺の条件を飲んでもらえれば、別に命はいらない」
「良かった」
誰かというのは教えてもらえない様だが、取り敢えずは一安心して良いということだろう。ロッドもこれで暗殺者を辞め、武器屋を復帰するという事で一件落着という事だ。だが、そう簡単にはいかないと、それが世の常だと思い知らされる。
「レイル様、そうはいきません」
「え?」
ほっとしていた俺に、グランデの一言が突き刺さる。
「未遂だといえ、彼はレイル様に服毒、暗殺を企てたのですよ」
「で、でも」
「そうだ。レイル様。良くて、領地追放。悪くて、死刑だ」
いつの間にか、ライトが側に来ていた。ライトの言葉は、グランデの言葉をグッと俺へと押し込んでくる様だった。まるで、注射器で薬を押し込むようにだ。
「そ、そんな」
グランデとライトへ向けていた視線をロッドへと向ける。俺の視線に気づいたロッドは肩をすくませた。仕方がないと、それが当たり前だという様な仕草だ。それで、良い筈がない。この世界も弱いものが損をするのか。力や権力、財のある者が徳をする。どこの世界も残酷だ。
「ですが、ここの領地内で一番の決定権を持つのは、レイル様です」
グランデの言葉が、道を開いてくれた。
「あ……」
「私やライトが何を言おうと、決定権は貴方にあります。貴方が、何を望んでも叶います」
そうだった。今は、俺がレイルだ。俺の言ったことや願ったことが現実になる。ロッドの命を奪う事もできるという事だ。いや、そんなこと望んでいない。しかし、領主として罰を与えなければ、二人とも納得してはくれないだろう。ロッドに何か罰を与えなければならないとしたら、何をすれば良いのだ。命の他に、ロッドにとって多少の苦で済んで、損をしないそんな方法……あるのだろうか。
目を閉じて、考え直す。ロッドが好きなものは武器、そして嫌いなものはレイルだ。そうだ! これならば助けられるかもしれない。俺は、勇気を持って目を開けた。
37
あなたにおすすめの小説
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!
ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。
らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。
なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。
ユキ・シオン
那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。
成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。
出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。
次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。
青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。
そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり……
※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる