1 / 2
第1章 出会い編
狐につままれる
しおりを挟む
人気絶頂の若手女優が自殺した。
連続ドラマ、CM、映画、舞台と活躍し、テレビで彼女の姿を見ない日はなかった。
それほどの人気女優だった。
恋の遍歴はワイドショーで度々取り上げられ、広告を含め、彼女が掲載されていない雑誌はないのでは、と思われる程。
彼女の名前を知らない人でも、顔だけは見たことがある、という人が国民の9割を超えるのではないかというくらい、広く知られている女優。
そんな人気絶頂の最中、彼女は自殺した。
原因は、不明。
彼女の自殺した翌日は、ワイドショーが挙って彼女の死を取り上げた。
1週間も経つと、彼女に関する情報は、すべてのメディアから流れることが無くなった。
追悼番組すら組まれなかった。
私は彼女に好感を持っていた。
所詮、別世界の人間だ。
判断材料は、彼女が出演したドラマと映画。
そのどれもが素晴らしい作品で、頻繁に何かしらの賞を受賞していた。
ミーハーではなく、流行を追うことをしない私でも、面白いと思う作品ばかりだった。
もう彼女が出演する新しい作品を観ることができない。
そう思うと、残念だった。
ファンでも知人でもないので、悲しいという気持ちはなかった。
それでも、彼女の死後の世間の動きには疑問を持った。
職場には彼女の大ファンだという男性が何人もいた。
彼女にしたい、嫁にしたいと、よく聞かされていた。
にも拘らず、
彼女の話をすると、一瞬時が止まったようになり、突然別の話題を話し始めるのだ。
疑問は深まる。
気持ち悪い。
そう思った。
今でも彼女の姿は、街中のポスターや雑誌、彼女が新人の頃脇役で出演したドラマの再放送で、度々見る機会がある。
そこにいるのに、誰も認識していない。
気持ちが悪かった。
彼女が何かの事件に巻き込まれて、実は自殺ではなく殺されていて、情報操作でマスコミで取り上げられなくなる。
フィクションの世界の話ならありえるかもしれない。
けれど、一般人にまで浸透しているのは、どう考えてもおかしい。
私のまわりのすべての人間の記憶から、彼女の存在が無くなっているのだ。
そんな言いようのない気持ちの悪い思いは、彼女が亡くなって1年を過ぎても消えなかった。
『なんで認識阻害も忘術も効かないのかしら?』
聞き覚えのある声が、頭の中に響いた。
続いて、子供のような声が聞こえる。
『女神様が人間世界にいた時のことをこんなにもはっきり覚えている人間は、初めてですね。』
『困ったわ。たまに下界に降りていたこともばれると困るけれど、今回はちょっと興味本位だけで女優というものをやってしまったのに。主神様に叱られてしまうわ。どうしようかしら。』
背筋が凍った。
連続ドラマ、CM、映画、舞台と活躍し、テレビで彼女の姿を見ない日はなかった。
それほどの人気女優だった。
恋の遍歴はワイドショーで度々取り上げられ、広告を含め、彼女が掲載されていない雑誌はないのでは、と思われる程。
彼女の名前を知らない人でも、顔だけは見たことがある、という人が国民の9割を超えるのではないかというくらい、広く知られている女優。
そんな人気絶頂の最中、彼女は自殺した。
原因は、不明。
彼女の自殺した翌日は、ワイドショーが挙って彼女の死を取り上げた。
1週間も経つと、彼女に関する情報は、すべてのメディアから流れることが無くなった。
追悼番組すら組まれなかった。
私は彼女に好感を持っていた。
所詮、別世界の人間だ。
判断材料は、彼女が出演したドラマと映画。
そのどれもが素晴らしい作品で、頻繁に何かしらの賞を受賞していた。
ミーハーではなく、流行を追うことをしない私でも、面白いと思う作品ばかりだった。
もう彼女が出演する新しい作品を観ることができない。
そう思うと、残念だった。
ファンでも知人でもないので、悲しいという気持ちはなかった。
それでも、彼女の死後の世間の動きには疑問を持った。
職場には彼女の大ファンだという男性が何人もいた。
彼女にしたい、嫁にしたいと、よく聞かされていた。
にも拘らず、
彼女の話をすると、一瞬時が止まったようになり、突然別の話題を話し始めるのだ。
疑問は深まる。
気持ち悪い。
そう思った。
今でも彼女の姿は、街中のポスターや雑誌、彼女が新人の頃脇役で出演したドラマの再放送で、度々見る機会がある。
そこにいるのに、誰も認識していない。
気持ちが悪かった。
彼女が何かの事件に巻き込まれて、実は自殺ではなく殺されていて、情報操作でマスコミで取り上げられなくなる。
フィクションの世界の話ならありえるかもしれない。
けれど、一般人にまで浸透しているのは、どう考えてもおかしい。
私のまわりのすべての人間の記憶から、彼女の存在が無くなっているのだ。
そんな言いようのない気持ちの悪い思いは、彼女が亡くなって1年を過ぎても消えなかった。
『なんで認識阻害も忘術も効かないのかしら?』
聞き覚えのある声が、頭の中に響いた。
続いて、子供のような声が聞こえる。
『女神様が人間世界にいた時のことをこんなにもはっきり覚えている人間は、初めてですね。』
『困ったわ。たまに下界に降りていたこともばれると困るけれど、今回はちょっと興味本位だけで女優というものをやってしまったのに。主神様に叱られてしまうわ。どうしようかしら。』
背筋が凍った。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~
結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』
『小さいな』
『…やっと…逢えた』
『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』
『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』
地球とは別の世界、異世界“パレス”。
ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。
しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。
神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。
しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。
原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。
その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。
生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。
初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。
阿鼻叫喚のパレスの神界。
次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。
これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。
家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待!
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
小説家になろう様でも連載中です。
第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます!
よろしくお願い致します( . .)"
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
婚約を解消されたし恋もしないけど、楽しく魔道具作ってます。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「君との婚約を解消したい」
「え? ああ、そうなんですね。わかりました」
サラは孤児で、大人の男であるジャストの世話になるため、体面を考えて婚約していただけだ。これからも変わらず、彼と魔道具を作っていける……そう思っていたのに、サラは職場を追われてしまった。
「甘やかされた婚約者って立場は終わったの。サラ先輩、あなたはただの雇われ人なんだから、上司の指示通り、利益になるものを作らなきゃいけなかったのよ」
魔道具バカなのがいけなかったのだろうか。けれどサラは、これからも魔道具が作りたい。
異世界カントリーライフ ~妖精たちと季節を楽しむ日々~
楠富 つかさ
ファンタジー
都会で忙しさに追われる日々を送っていた主人公は、ふと目を覚ますと異世界の田舎にいた。小さな家と畑、そして妖精たちに囲まれ、四季折々の自然に癒されるスローライフが始まる。時間に縛られず、野菜を育てたり、見知らぬスパイスで料理に挑戦したりと、心温まる日々を満喫する主人公。現代では得られなかった安らぎを感じながら、妖精たちと共に暮らす異世界で、新しい自分を見つける物語。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる