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再会と邂逅 001
しおりを挟む「そう言えば、ミアがお前のこと『レヴィ』って呼んでたけど、ちゃん付けはしなくなったのか」
成人男性一人がやっと通れそうな細い路地を進みながら、僕は今朝の会話を思い出す。
「昨日の夜、そういう話になったのですよ。『これからは仲間になるんだから、他人行儀なのはなしね』と言っておられました」
僕の前を行くレヴィが、ミアの口調を真似する。
本来なら男である僕が前を行くべきなのだろうが、この女子は喜び勇んで路地に突撃していってしまったのだ。
何だかんだ、子どもってこういうところが好きだよな。
僕はそうでもなかったけれど。
フェンスとか登らない系男子だった。
横断歩道の白い部分を飛び石みたいに渡らない系男子でもある。
「でもそれで言うと、お前は全くもって他人行儀なままじゃないか」
「私は年下も年下なので、さすがに敬語は抜けませんよ」
「そんなもんか」
「そんなもんです」
年下とは言うものの、ゾンビだった頃も換算すれば三百年以上生きているわけだが……その理屈を当てはめると僕は四二歳のおっさんになってしまうので、触れないでおこう。
「ところでイチカ」
「抜けてるぞ、敬語が」
「生憎敬意がないものでして」
「無条件で敬え。年上だぞ」
パワハラ上司もびっくりの言説である、我ながら。
「ところでイチカさん。そのブラックマーケットという闇市ですが、わざわざ私たちが探さずとも、ギルドに調べるよう依頼を出せばいいんじゃないですか?」
「あー……一応グレーもグレーな市場らしいし、大っぴらに依頼できるもんじゃないんだろ。僕もミアから聞くまで存在すら知らなかったから、詳しくはわからないけどさ」
逆に、どうしてミアはそんな危ない闇市のことを知っていたのだろう。
まあ、彼女は四年程旅をして過ごしているし、どこかで聞きかじることくらいあるか。
「となると、やはり情報屋を探すのが急務なわけですね」
「ああ。石をひっくり返してでも見つけないとな」
と、そうこうしている内に道が開け、僕らは大通りへと顔を出した。
路地裏作戦、失敗。
「あのー……提案があります」
「聞こうか」
「役所に行って、サリバの地図をもらうというのはどうでしょうか。闇雲に探すよりはその方が幾分か賢明かと」
「確かにな。おっけー、じゃあそうしよ――」
「その必要はないよ。どうやらミアくんが情報を掴んだみたいだからね、君たちが動くことはない」
あまりに自然に会話に割り込まれたので、一瞬時が止まる。
が、すぐさま声の主へと目線を動かすと、
「やあ。全然久しぶりじゃないね、イチカくん」
そこには、最早珍しくもない全身真っ白な人物が立っていた。
レヴィよりは年上に見える、中学生くらいの女の子。
またの名を、カミサマ。
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