僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ

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作戦終了 001

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 僕は大穴の中に散らばったフェンリルのコアを回収し、レヴィの空けてくれた横穴を伝って地上へと戻る。
 カムバック、僕。

「お疲れ様です、イチカさん」

 一足先に地上に出ていたレヴィが、にこやかな笑顔で僕を出迎えてくれた。

「そっちもな。こんなに大きな穴を掘るのは大変だったろ?」
「そうでもなかったですよ。せっかくスキルがあるんだから、有効活用しないと」

 今回の作戦の要……フェンリルたちを一網打尽にするための落とし穴は、レヴィのスキルによって作られたものだ。
 【墓荒らしトゥームレイダー】。
 地面に穴を開け、地中を移動することができるスキル。
 以前、自暴自棄になっていたレヴィが僕の前から姿を消すのに使ったこともある。
 その掘削能力で落とし穴を作り、僕の合図で一気に崩落させるというのが、レヴィの役目だった。

「私は地上の様子を窺えなかったのでわかりませんが、万事上手くいっていたのですか?」
「あーまあ……上々かな?」

 本当は中々にスリリングでバイオレンスなバトルを繰り広げていたのだけれど、わざわざ言う必要もない。
 今はただ、作戦の成功を祝っていよう。

「とにかく、無事に終わって良かったです。イチカさんの身に何かが起きて合図がなければ、私、一生土の中ということもあり得ましたからね」
「さすがにそれは、自分のタイミングで地上に戻ってくれとしか……」

 と、勝利の余韻に浸って雑談に花を咲かせているところに、血相を変えたミアが走ってきた。

「ああ、ミア。お疲れ……」
「イチカの馬鹿‼ ほんとに死んだかと思ったじゃない‼」

 言いながら、僕の胸にグーパンチの連打を繰り出すミア。
 ポカポカという擬音がしっくりくる。

「あ、頭を食べられるなんて、そんなの聞いてないわよ‼ 馬鹿‼ ほんとに馬鹿なんだから‼」
「ご、ごめん……でもほら、こうしてピンピンしてるわけだし、結果オーライじゃないか?」
「こっちの心臓は全然オーライじゃないのよ‼」

 怒り心頭といった面持ちである。
 はてさて、どうなだめたらいいものか。
 僕が大怪我を負う可能性は事前に伝えていたとはいえ、客観的に見ている方からすればショッキングな光景だったのだろう。

「仲間が襲われているのを黙って見ていなきゃいけない気持ちがわかる? 今後、こんな作戦はごめんよ!」

 ミアの役目は、もちろん最後の一撃を与えること……そのために、フェンリルの警戒の外、具体的には大木の上で待機してもらっていたのだ。
 そして、僕がどれだけ酷い目にあっても決して声を上げることは許されなかった。
 そんなことをすれば、フェンリルたちにミアの存在がバレてしまう。
 結果、彼女は一人、僕が痛めつけられる様を静かに見守ることしかできなかったのだ。

「わかった。これからはもう少し、僕自身の安全も考えるよ……正直、今回は無茶し過ぎたなって思ってるんだ」

 僕だって、そう何度も臨死体験はしたくない。
 痛いものは痛いし、怖いものは怖いのだ。
 不死身の身体ありきの戦い方は、当分ごめんである。

「……約束だからね? ほんと、何度叫びそうになったかわからないんだから」

 ミアは大きく息を吐き、自分の頬をパンパンと二回叩いた。

「さて、じゃあフェンリルの群れ退治はこれでいいとして……残る依頼も片づけちゃいましょ。難易度は下がるけど、油断しないようにね。特にイチカ、死ぬような怪我はなしよ」
「……善処します」

 改めて釘を刺されたが、しかし僕はどこまでいってもレベル1だ。
 スライムに攻撃されただけで死にかける、そんな貧弱男である。
 精々、命を大事にしていこう。

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