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君との週末(柊山視点)
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――こういった行為は久しぶりだったけれど、何とか形になって良かったな
そんな風に余韻を噛み締めながら、先ほどリビングから持ってきた水を飲む。隣には布団を頭から被っている遥君が丸まっている。
「遥君も水飲みなよ。君の分もあるよ」
遥君は先程からこんな状態だ。どうしたものかなと丸まった布団をつついた。
――キャンプの時もそうだったけれど、丸まるのが癖なのかな
君の知らない部分に触れたようで微笑ましく思った。
どうしてこうなったかといえば、行為の後にさかのぼる。
息を荒げながら彼の中から自分のものを引き抜くと彼の額に唇を落とした。そこで彼の体を涙や体液でひどく汚してしまったことに気づいた。遥君は赤く火照った体と虚ろな表情で僕を見つめながら息を整えていた。熱っぽいその姿にまた欲望がちらつきそうになったので、慌ててコンドームを処理して、腹に着いた体液をティッシュで拭った。下着を履きながら『体を拭くものを持ってくる』と彼に言うと寝室を出た。
水やタオルを持って寝室に戻り濡らしたタオルで彼の体を拭いた。ぼうっとしていた彼も何をされているのか分かったのかはっとしたように僕を見ると「先にイッてしまいました」と申し訳なさそうに言った。謝られるとは思ってなかったので「じゃあ次は一緒にね」と笑った。それを聞くと遥君は「早くてすみません」と言い、自己嫌悪に陥ってしまったのか布団に潜り混んでしまったのだった。
――遥君には申し訳ないけれど面白いな
そう思ったので、さっきからそれを観察していた。
「遥君、大丈夫だよ。早くなかったよ」
気休めになるかどうか分からない言葉をかけながら布団をポンポンと叩く。同性のそういった時間の平均など知らないので、本当に気休めだ。
「次の時に頑張ろうよ。ね?」
そう言うと、布団から顔を出した。布団に潜っていたからか、まだ顔が赤い。
「……また抱いてくれるんですか?」
「当たり前じゃないか……さっきも言ったけれど、僕も君を抱きたいんだよ」
遥君の髪の毛を撫でた。気持ち良さそうにされるがままになっている。
「……先生」
布団から出てくると僕に体を寄せてきた。
「……オレ、先生に求められてとても嬉しかったです」
「少し強引だったよね……辛くなかったかな?」
「いえ、すごく気持ち良かっ………………素敵でした」
遥君は率直な感想を言いかけたのか、口をつぐんだ。
「ふっ……ははっ……気持ち良かったなら僕も嬉しいよ」
彼の肩を抱きながらつい吹き出してしまった。
「……先生は、オレの体、どうでした?」
不安げな面持ちで訪ねてくる。気になってしまうのだろうか。
「そうだね……細かく伝えた方が良いかな」
「え?」
僕は遥君の耳元に口を近づけて囁くように言った。
「まず服を捲った時に照れていたせいか胸の辺りが赤くなっていたのが視覚的に楽しめて良かった。あとは健康的な肌の手触りが好みだし、胸や脇腹をなぞると息を飲んで目が潤むのが良いなと思ったよ。それから寝室に移動する時に僕にしがみついて手を握ってきたのがすごく可愛くて、ベッドに移動すると自分から服を脱ぐのが積極的でとても嬉しかったかな、それから僕に組み敷かれた時に……」
「も、もうっ、良いです!十分ですっ……」
僕の口を抑えながら目を白黒させている。
「まだ、寝室での感想があるよ。僕が君に覆い被さりながら君の中に入っている時にしがみついてきて僕の名前を……」
「いえ! もう良いです! 大丈夫です! いや、わざとですよね!?」
「ああ、分かった?」
僕の口を抑える手を掴んで口づけた。
「可愛いね、遥君」
「ッ……!」
普段の生真面目で清潔な印象からは程遠いような乱れ方を思い出しながら、気まずそうな彼の顔を見た。
暴いてみたかったものが、少し見えたような気がして。嬉しくなった。
「…………次は、オレが先生に色々します」
ボソリとそう言うと僕の肩に頭を寄せる。今回は僕が彼を組み敷いてしまったので、『触りたい』という彼の要望はあまり叶わなかったようだ。
「楽しみにしておくよ。でも僕も君としたいことが色々あるんだよね。困ったなあ」
サイドボードに目を向けながら言った。
「…………次の次で、お願いします」
「そうだね。これから回数を重ねていけば良いよね」
遥君は困ったように微笑んで僕の手の平を撫でながらため息を吐いた。
「……オレ、幸せです」
そう言うとそっと唇を重ねてきた。
「……もう一回する?」
彼の肩を引き寄せて、口づけを返しながら言った。
「ん……いや、今はまだ、大丈夫です!まだ夕方ですし……そんな、続けざまにすると、オレの心がもちませんし……いや、昼からしていたのに、今更ですかね……」
恋人みたいなことをしようと彼を呼んだのが、昼からこういった行為に耽って日没をむかえるとは思ってもいなかった。
「そうだね。まだ、夜があるし。夜も寄り添って眠ろうね。遥君」
そう言うと彼は照れたように頷く。
「オレ、もう少ししたら夕食を作りますね」
「遥君疲れているでしょ。今度でも良いよ?」
健気なことを言うので心配になってそう言った。
「はい、体は大丈夫です。オレ、体力はありますから! それに、先生に食事を作るの楽しみにしていたので……」
遥君が赤い顔で言うので胸が温かくなる。
ふと時計を見ると十七時を回った所だった。
「何時頃から作るのかな。僕も手伝うから」
「ありがとうございます。そうですね……もう少しゆっくりして……三十分くらい経ったら作り始めましょうか」
遥君は下着を穿いてシャツも着ようとしていた。その手をそっと掴む。
「先生?」
「遥君、それまでイチャイチャしようか」
「宣言するのは、本当にやめてください……」
そう言って恥ずかしそうにはにかむと、着ようとしたシャツをそっと置いた。
――三十分で済むかな
そんなことを思いながら、また唇を重ねた。遥君の幸せそうな顔を見ていると、こちらの心まで満たされていくような気がする。
遮光カーテンの隙間から夜の帳が下りるのを感じた。君と過ごす週末はまだ始まったばかりだ。
そんな風に余韻を噛み締めながら、先ほどリビングから持ってきた水を飲む。隣には布団を頭から被っている遥君が丸まっている。
「遥君も水飲みなよ。君の分もあるよ」
遥君は先程からこんな状態だ。どうしたものかなと丸まった布団をつついた。
――キャンプの時もそうだったけれど、丸まるのが癖なのかな
君の知らない部分に触れたようで微笑ましく思った。
どうしてこうなったかといえば、行為の後にさかのぼる。
息を荒げながら彼の中から自分のものを引き抜くと彼の額に唇を落とした。そこで彼の体を涙や体液でひどく汚してしまったことに気づいた。遥君は赤く火照った体と虚ろな表情で僕を見つめながら息を整えていた。熱っぽいその姿にまた欲望がちらつきそうになったので、慌ててコンドームを処理して、腹に着いた体液をティッシュで拭った。下着を履きながら『体を拭くものを持ってくる』と彼に言うと寝室を出た。
水やタオルを持って寝室に戻り濡らしたタオルで彼の体を拭いた。ぼうっとしていた彼も何をされているのか分かったのかはっとしたように僕を見ると「先にイッてしまいました」と申し訳なさそうに言った。謝られるとは思ってなかったので「じゃあ次は一緒にね」と笑った。それを聞くと遥君は「早くてすみません」と言い、自己嫌悪に陥ってしまったのか布団に潜り混んでしまったのだった。
――遥君には申し訳ないけれど面白いな
そう思ったので、さっきからそれを観察していた。
「遥君、大丈夫だよ。早くなかったよ」
気休めになるかどうか分からない言葉をかけながら布団をポンポンと叩く。同性のそういった時間の平均など知らないので、本当に気休めだ。
「次の時に頑張ろうよ。ね?」
そう言うと、布団から顔を出した。布団に潜っていたからか、まだ顔が赤い。
「……また抱いてくれるんですか?」
「当たり前じゃないか……さっきも言ったけれど、僕も君を抱きたいんだよ」
遥君の髪の毛を撫でた。気持ち良さそうにされるがままになっている。
「……先生」
布団から出てくると僕に体を寄せてきた。
「……オレ、先生に求められてとても嬉しかったです」
「少し強引だったよね……辛くなかったかな?」
「いえ、すごく気持ち良かっ………………素敵でした」
遥君は率直な感想を言いかけたのか、口をつぐんだ。
「ふっ……ははっ……気持ち良かったなら僕も嬉しいよ」
彼の肩を抱きながらつい吹き出してしまった。
「……先生は、オレの体、どうでした?」
不安げな面持ちで訪ねてくる。気になってしまうのだろうか。
「そうだね……細かく伝えた方が良いかな」
「え?」
僕は遥君の耳元に口を近づけて囁くように言った。
「まず服を捲った時に照れていたせいか胸の辺りが赤くなっていたのが視覚的に楽しめて良かった。あとは健康的な肌の手触りが好みだし、胸や脇腹をなぞると息を飲んで目が潤むのが良いなと思ったよ。それから寝室に移動する時に僕にしがみついて手を握ってきたのがすごく可愛くて、ベッドに移動すると自分から服を脱ぐのが積極的でとても嬉しかったかな、それから僕に組み敷かれた時に……」
「も、もうっ、良いです!十分ですっ……」
僕の口を抑えながら目を白黒させている。
「まだ、寝室での感想があるよ。僕が君に覆い被さりながら君の中に入っている時にしがみついてきて僕の名前を……」
「いえ! もう良いです! 大丈夫です! いや、わざとですよね!?」
「ああ、分かった?」
僕の口を抑える手を掴んで口づけた。
「可愛いね、遥君」
「ッ……!」
普段の生真面目で清潔な印象からは程遠いような乱れ方を思い出しながら、気まずそうな彼の顔を見た。
暴いてみたかったものが、少し見えたような気がして。嬉しくなった。
「…………次は、オレが先生に色々します」
ボソリとそう言うと僕の肩に頭を寄せる。今回は僕が彼を組み敷いてしまったので、『触りたい』という彼の要望はあまり叶わなかったようだ。
「楽しみにしておくよ。でも僕も君としたいことが色々あるんだよね。困ったなあ」
サイドボードに目を向けながら言った。
「…………次の次で、お願いします」
「そうだね。これから回数を重ねていけば良いよね」
遥君は困ったように微笑んで僕の手の平を撫でながらため息を吐いた。
「……オレ、幸せです」
そう言うとそっと唇を重ねてきた。
「……もう一回する?」
彼の肩を引き寄せて、口づけを返しながら言った。
「ん……いや、今はまだ、大丈夫です!まだ夕方ですし……そんな、続けざまにすると、オレの心がもちませんし……いや、昼からしていたのに、今更ですかね……」
恋人みたいなことをしようと彼を呼んだのが、昼からこういった行為に耽って日没をむかえるとは思ってもいなかった。
「そうだね。まだ、夜があるし。夜も寄り添って眠ろうね。遥君」
そう言うと彼は照れたように頷く。
「オレ、もう少ししたら夕食を作りますね」
「遥君疲れているでしょ。今度でも良いよ?」
健気なことを言うので心配になってそう言った。
「はい、体は大丈夫です。オレ、体力はありますから! それに、先生に食事を作るの楽しみにしていたので……」
遥君が赤い顔で言うので胸が温かくなる。
ふと時計を見ると十七時を回った所だった。
「何時頃から作るのかな。僕も手伝うから」
「ありがとうございます。そうですね……もう少しゆっくりして……三十分くらい経ったら作り始めましょうか」
遥君は下着を穿いてシャツも着ようとしていた。その手をそっと掴む。
「先生?」
「遥君、それまでイチャイチャしようか」
「宣言するのは、本当にやめてください……」
そう言って恥ずかしそうにはにかむと、着ようとしたシャツをそっと置いた。
――三十分で済むかな
そんなことを思いながら、また唇を重ねた。遥君の幸せそうな顔を見ていると、こちらの心まで満たされていくような気がする。
遮光カーテンの隙間から夜の帳が下りるのを感じた。君と過ごす週末はまだ始まったばかりだ。
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