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触れたい想い・前編(柊山視点)
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十月の二十四日は僕の誕生日だったけれど、遥君に出張が入ってしまった。彼は二十三日の夜、仕事が終わってからスーツ姿で僕の家に来てくれた。
忙しい中で、僕のことを考えてくれているのだと思うと、心が温かくなった。玄関に入ると、彼は上がると帰りたくなくなると照れたように言い、そのまま話し始めた。
「誕生日、当日に祝えなくて……すみません」
「いや、君が謝ることなんて何もないよ。僕は仕事終わりに来てもらえて……会えて、とても嬉しいよ。忙しいのにありがとう、遥君」
僕は自分の誕生日にそこまでこだわりがなかったけれど、遥君が大事なイベントに思ってくれることを嬉しく感じていた。すまなさそうに言われ、こちらの方が申し訳無くなってしまう。
「そう言って頂けると、オレも嬉しいです……あ、今日はネクタイピン、付けているんですよ!」
彼はジャケットの中をチラッと見せてくれた。ネクタイに僕が贈った銀色でシンプルなデザインのネクタイピンが付いている。
「付けていると元気が出るので、スーツの時は付けるようにしているんです」
「そっかあ……嬉しいな……」
「明日の出張にも、付けて行きますね」
遥君は照れたように笑った。堪らなくなったので荷物を持ったままの彼を引き寄せて、唇を重ねた。
「ぅ……んんっ……」
唇を食んだり舐めたりすると、遥君は甘い吐息を漏らした。彼の唇の隙間を舌でなぞると、口を少し開けてくれたので、彼の舌を自分の舌先で刺激した。ビクッと震えながら舌を絡めてくれたので、しばらく唇を貪っていると彼が身をよじった。
「はぁ……はぁ……も……これ以上は……」
「ああ……そうだね」
熱い息を吐き出す彼を離すのは名残惜しかったけれど、手を離した。
「はぁ……それで、誕生日プレゼントを持ってきたので、後で開けてくださいね」
彼は鞄と一緒に持っていた小さな紙袋を渡してきた。
「ありがとう。こういう風に祝ってもらうの、久しぶりだから嬉しいよ」
「そうなんですね」
「うん、本当にありがとう……」
紙袋を受け取ると、今度は彼の額に軽くキスをした。
「も……ダメですっ……」
遥君は赤い顔をして一歩後ろに下がった。僕は残念だなと思いながら笑った。
「次の予定が合う週末に、一緒にお祝いしましょうよ」
「それは嬉しいなあ」
「オレの時も、敬久さんの家で祝ってもらいましたから……どこか食事にでも行きましょうか?」
彼が愛しそうに言う顔を見ると、胸がギュッと締めつけられるような感覚になる。
――このまま帰って欲しくないけれど、そんなことは言えるわけがないな
「僕、行きたい所があるんだ」
「どこですか? 予約しておきますよ」
「……君の家」
「…………オレの、家、ですか」
遥君は困ったような顔をして考え込んでしまった。
忙しい中で、僕のことを考えてくれているのだと思うと、心が温かくなった。玄関に入ると、彼は上がると帰りたくなくなると照れたように言い、そのまま話し始めた。
「誕生日、当日に祝えなくて……すみません」
「いや、君が謝ることなんて何もないよ。僕は仕事終わりに来てもらえて……会えて、とても嬉しいよ。忙しいのにありがとう、遥君」
僕は自分の誕生日にそこまでこだわりがなかったけれど、遥君が大事なイベントに思ってくれることを嬉しく感じていた。すまなさそうに言われ、こちらの方が申し訳無くなってしまう。
「そう言って頂けると、オレも嬉しいです……あ、今日はネクタイピン、付けているんですよ!」
彼はジャケットの中をチラッと見せてくれた。ネクタイに僕が贈った銀色でシンプルなデザインのネクタイピンが付いている。
「付けていると元気が出るので、スーツの時は付けるようにしているんです」
「そっかあ……嬉しいな……」
「明日の出張にも、付けて行きますね」
遥君は照れたように笑った。堪らなくなったので荷物を持ったままの彼を引き寄せて、唇を重ねた。
「ぅ……んんっ……」
唇を食んだり舐めたりすると、遥君は甘い吐息を漏らした。彼の唇の隙間を舌でなぞると、口を少し開けてくれたので、彼の舌を自分の舌先で刺激した。ビクッと震えながら舌を絡めてくれたので、しばらく唇を貪っていると彼が身をよじった。
「はぁ……はぁ……も……これ以上は……」
「ああ……そうだね」
熱い息を吐き出す彼を離すのは名残惜しかったけれど、手を離した。
「はぁ……それで、誕生日プレゼントを持ってきたので、後で開けてくださいね」
彼は鞄と一緒に持っていた小さな紙袋を渡してきた。
「ありがとう。こういう風に祝ってもらうの、久しぶりだから嬉しいよ」
「そうなんですね」
「うん、本当にありがとう……」
紙袋を受け取ると、今度は彼の額に軽くキスをした。
「も……ダメですっ……」
遥君は赤い顔をして一歩後ろに下がった。僕は残念だなと思いながら笑った。
「次の予定が合う週末に、一緒にお祝いしましょうよ」
「それは嬉しいなあ」
「オレの時も、敬久さんの家で祝ってもらいましたから……どこか食事にでも行きましょうか?」
彼が愛しそうに言う顔を見ると、胸がギュッと締めつけられるような感覚になる。
――このまま帰って欲しくないけれど、そんなことは言えるわけがないな
「僕、行きたい所があるんだ」
「どこですか? 予約しておきますよ」
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「…………オレの、家、ですか」
遥君は困ったような顔をして考え込んでしまった。
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