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君との温かい食卓・前編(柊山視点)
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遥君にお風呂に入るよう促し、彼の荷物をリビングに運んだ。僕は久々に触れ合った余韻に浸りながらぼんやりとソファに座っていた。
十分程時間が経ち、そろそろホットワインを作り始めようとキッチンに入った。エプロンを着け用意した材料を切っていると、遥君が戻って来た。彼はパタパタと台所に入って来て隣に並んだ。遥君も寝る時のような格好ではなく、きちんとした格好をしている。僕に合わせてくれたのだろう。
「お風呂、頂きました」
「早かったね。ゆっくり入っていて良かったのに」
髪を慌てて乾かしたのかまだ少し濡れているようだった。
「ふふっ、髪、まだちょっと濡れてるね? 風邪引いちゃうよ」
「……今日は、出来るだけあなたのそばにいたかったので……」
遥君は僕をちらりと見ると顔を伏せた。
「……先程は……お騒がせしました。ちょっと……いや、かなり、オレ、興奮しちゃって……」
「ううん、大丈夫だよ」
三週間ぶりに触れ合ったので、僕も彼と同じく興奮してしまっていた。
「僕も君に触りたかったし」
「そ、そうですか。オレと一緒ですね……」
遥君は頬を赤らめて、ふいっと顔を背けた。
「……何か、手伝うことありますか?」
「大丈夫、切って煮るだけだから」
僕は慎重に生姜をスライスした。事前に練習をしたので何とか失敗せずに済みそうだ。
「じゃあ、オレも持って来たお菓子切り分けますね。あとでまな板貸してください」
「うん」
遥君がリビングに置いてある紙袋を取りに行ったので、僕はまな板を空けるため切った材料を鍋に入れた。ワインの蓋を開けて慎重に軽量カップに注いでいると、遥君が戻って来た。
「あ、ワインはノンアルコールのだから」
「わあ、ありがとうございます」
遥君はニコニコと笑った。彼はアルコールにあまり強くないので選んで良かったなとほっとした。ワインを鍋に入れて火にかけ、タイマーをセットした。遥君は紙袋から箱を取り出すと、中身をまな板に出した。
「何ていうお菓子なの? いやパンかな?」
大きなパンに真っ白な砂糖がたっぷりとまぶされていて、とても甘そうなお菓子だ。
「これはシュトーレンというパン菓子です」
「名前だけ聞いたことあるなあ。食べたことないから楽しみだよ」
遥君は中央から真っ二つに切ると、薄くスライスした。
「真ん中から切って食べていくらしいんですよ……不思議ですよね。少し味見してみますか?」
「うん、頂くよ」
「オレも食べようかな……」
一切れを半分に切って口元に差し出されたので、そのままパクリと食べた。表面の砂糖が甘く、中はナッツやドライフルーツがぎっしりと入っていて洋酒の風味がする。
「けっこう甘いけれど美味しいね。お酒に合いそうな味」
「生ケーキか悩んだのですが……日持ちするのが良いなって思って。残ったら執筆の合間に食べてください」
遥君は嬉しそうに笑うと、残りの半切れをパクリと食べた。
十分程時間が経ち、そろそろホットワインを作り始めようとキッチンに入った。エプロンを着け用意した材料を切っていると、遥君が戻って来た。彼はパタパタと台所に入って来て隣に並んだ。遥君も寝る時のような格好ではなく、きちんとした格好をしている。僕に合わせてくれたのだろう。
「お風呂、頂きました」
「早かったね。ゆっくり入っていて良かったのに」
髪を慌てて乾かしたのかまだ少し濡れているようだった。
「ふふっ、髪、まだちょっと濡れてるね? 風邪引いちゃうよ」
「……今日は、出来るだけあなたのそばにいたかったので……」
遥君は僕をちらりと見ると顔を伏せた。
「……先程は……お騒がせしました。ちょっと……いや、かなり、オレ、興奮しちゃって……」
「ううん、大丈夫だよ」
三週間ぶりに触れ合ったので、僕も彼と同じく興奮してしまっていた。
「僕も君に触りたかったし」
「そ、そうですか。オレと一緒ですね……」
遥君は頬を赤らめて、ふいっと顔を背けた。
「……何か、手伝うことありますか?」
「大丈夫、切って煮るだけだから」
僕は慎重に生姜をスライスした。事前に練習をしたので何とか失敗せずに済みそうだ。
「じゃあ、オレも持って来たお菓子切り分けますね。あとでまな板貸してください」
「うん」
遥君がリビングに置いてある紙袋を取りに行ったので、僕はまな板を空けるため切った材料を鍋に入れた。ワインの蓋を開けて慎重に軽量カップに注いでいると、遥君が戻って来た。
「あ、ワインはノンアルコールのだから」
「わあ、ありがとうございます」
遥君はニコニコと笑った。彼はアルコールにあまり強くないので選んで良かったなとほっとした。ワインを鍋に入れて火にかけ、タイマーをセットした。遥君は紙袋から箱を取り出すと、中身をまな板に出した。
「何ていうお菓子なの? いやパンかな?」
大きなパンに真っ白な砂糖がたっぷりとまぶされていて、とても甘そうなお菓子だ。
「これはシュトーレンというパン菓子です」
「名前だけ聞いたことあるなあ。食べたことないから楽しみだよ」
遥君は中央から真っ二つに切ると、薄くスライスした。
「真ん中から切って食べていくらしいんですよ……不思議ですよね。少し味見してみますか?」
「うん、頂くよ」
「オレも食べようかな……」
一切れを半分に切って口元に差し出されたので、そのままパクリと食べた。表面の砂糖が甘く、中はナッツやドライフルーツがぎっしりと入っていて洋酒の風味がする。
「けっこう甘いけれど美味しいね。お酒に合いそうな味」
「生ケーキか悩んだのですが……日持ちするのが良いなって思って。残ったら執筆の合間に食べてください」
遥君は嬉しそうに笑うと、残りの半切れをパクリと食べた。
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