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忙しない季節とキスの痕(此木視点)
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敬久さんが新しく淹れてくれたお茶を飲むと、段々と心は落ち着いていった。今度は熱い内に飲み干したくてコクコクと飲んだ。
――敬久さんは本当に優しいな……それなのにオレは、ついさっきのことなのに現実感がない……
机の上に置かれた鍵をチラリと見た。確かに存在している。これは間違いなく現実だ。
――鍵を貰ったことは、もちろん嬉しかったけれど……オレとのこれからのことを考えてくれたのが……すごく嬉しい……ヤバいな……また泣いてしまいそうだ……
オレは先程まで感極まって泣いていたのに、また涙が零れそうになった。ギュッと目を瞑って何とかやり過ごした。
――流石に号泣とまではいかなかったけれど、こんなに泣いたのは久しぶりだ
オレが泣いている間、敬久さんはオレの肩を抱き、ティッシュで涙を拭いてくれた。
――敬久さんは……本当に優しくて……好きだ……大好きだ……
敬久さんも隣でお茶を飲んでいる。朝のようにそわそわした感じがないので、今はリラックスしているようだ。オレが肩にもたれると、彼はふっと嬉しそうに笑った。
――いつから、考えていたんだろう。合鍵とか……一緒に暮らしたいとか……
「遥君……落ち着いた?」
「はい……」
彼は自分のマグカップを机に置くと、オレの肩を抱いた。
「敬久さん、オレ……幸せで……嬉しいのと……泣きそうなのとで頭がふわふわして……ああ、ヤバい……オレ、何言ってるんだろう」
「大丈夫、ゆっくり話そうよ。これからのこと、君と一緒に考えたいからさ……」
「……本当に……嬉しいんです」
言葉をどれだけ重ねても足りない。オレは敬久さんの肩に頭を擦りつけた。
「ふふ……猫みたい」
敬久さんは頭を優しく撫でてくれた。
「……あなたが、オレとのこれからを考えてくれていたことが、すごく嬉しくて……オレはいつもいっぱいいっぱいで……先のこと……考える余裕がなかったのに……」
オレが敬久さんの顔を見上げると、彼はオレの首筋を撫でた。表情は微笑んでいたけれど、彼の目はとても真剣だった。
「僕は君がずっと側にいてくれないかなって、いつも考えていてさ……君の真っ直ぐな心の側にいたくて……君の全部が欲しいなって…………ごめん、真面目なことを言おうとしたんだけれど……何だか僕の重い所が出て来ちゃったね……」
気まずそうに目をそらされた。オレは胸がキュンとなったので、マグカップを机に置いて彼を抱きしめた。敬久さんもオレを抱きしめ返してくれたので、お互いに背中を撫でたり、触れるだけのキスをした。
「……付き合い始めてすぐ、合鍵を渡そうとも考えたんだけれど……流石に手が早過ぎかなって……」
彼はオレを見つめ、ぽつりぽつりと呟いた。
「そ、そうなんですね……それで今日に……?」
「うん……今日が過ぎたら、またしばらくの間君に会えなくなると思うと、居ても立っても居られなくなってしまって……本当は一年経つまで我慢しようと思っていたんだけれど」
敬久さんは「いい大人なのになあ」と照れたように言った。
「オレはすごく嬉しかったです。良い年を迎えられる気がします……」
「良かった……『無理』とか『重い』って言われたら……どうしようって考えていたから……」
「オレはそんなこと言わないですよ……」
「僕はいつも悪い方にばかり考えちゃうんだ……」
彼の胸に顔を埋めると、痛いくらいにキツく抱きしめられた。
「敬久さん、苦しいです……」
「……君を離したくなくて……ごめん」
敬久さんはすまなそうに言って腕を緩めてくれた。
「……そんなこと言われたら……もうオレ、心臓が爆発しそうです……」
グリグリと頭を彼の胸に擦りつけた。敬久さんの胸の鼓動も早くなっている。
「た、敬久さん、もっとキスして良いですか……?」
「うん……」
オレは顔を上げると、また敬久さんと唇を合わせた。彼の唇を食むと甘い味がしたのでつい夢中になってしまった。
――敬久さんは本当に優しいな……それなのにオレは、ついさっきのことなのに現実感がない……
机の上に置かれた鍵をチラリと見た。確かに存在している。これは間違いなく現実だ。
――鍵を貰ったことは、もちろん嬉しかったけれど……オレとのこれからのことを考えてくれたのが……すごく嬉しい……ヤバいな……また泣いてしまいそうだ……
オレは先程まで感極まって泣いていたのに、また涙が零れそうになった。ギュッと目を瞑って何とかやり過ごした。
――流石に号泣とまではいかなかったけれど、こんなに泣いたのは久しぶりだ
オレが泣いている間、敬久さんはオレの肩を抱き、ティッシュで涙を拭いてくれた。
――敬久さんは……本当に優しくて……好きだ……大好きだ……
敬久さんも隣でお茶を飲んでいる。朝のようにそわそわした感じがないので、今はリラックスしているようだ。オレが肩にもたれると、彼はふっと嬉しそうに笑った。
――いつから、考えていたんだろう。合鍵とか……一緒に暮らしたいとか……
「遥君……落ち着いた?」
「はい……」
彼は自分のマグカップを机に置くと、オレの肩を抱いた。
「敬久さん、オレ……幸せで……嬉しいのと……泣きそうなのとで頭がふわふわして……ああ、ヤバい……オレ、何言ってるんだろう」
「大丈夫、ゆっくり話そうよ。これからのこと、君と一緒に考えたいからさ……」
「……本当に……嬉しいんです」
言葉をどれだけ重ねても足りない。オレは敬久さんの肩に頭を擦りつけた。
「ふふ……猫みたい」
敬久さんは頭を優しく撫でてくれた。
「……あなたが、オレとのこれからを考えてくれていたことが、すごく嬉しくて……オレはいつもいっぱいいっぱいで……先のこと……考える余裕がなかったのに……」
オレが敬久さんの顔を見上げると、彼はオレの首筋を撫でた。表情は微笑んでいたけれど、彼の目はとても真剣だった。
「僕は君がずっと側にいてくれないかなって、いつも考えていてさ……君の真っ直ぐな心の側にいたくて……君の全部が欲しいなって…………ごめん、真面目なことを言おうとしたんだけれど……何だか僕の重い所が出て来ちゃったね……」
気まずそうに目をそらされた。オレは胸がキュンとなったので、マグカップを机に置いて彼を抱きしめた。敬久さんもオレを抱きしめ返してくれたので、お互いに背中を撫でたり、触れるだけのキスをした。
「……付き合い始めてすぐ、合鍵を渡そうとも考えたんだけれど……流石に手が早過ぎかなって……」
彼はオレを見つめ、ぽつりぽつりと呟いた。
「そ、そうなんですね……それで今日に……?」
「うん……今日が過ぎたら、またしばらくの間君に会えなくなると思うと、居ても立っても居られなくなってしまって……本当は一年経つまで我慢しようと思っていたんだけれど」
敬久さんは「いい大人なのになあ」と照れたように言った。
「オレはすごく嬉しかったです。良い年を迎えられる気がします……」
「良かった……『無理』とか『重い』って言われたら……どうしようって考えていたから……」
「オレはそんなこと言わないですよ……」
「僕はいつも悪い方にばかり考えちゃうんだ……」
彼の胸に顔を埋めると、痛いくらいにキツく抱きしめられた。
「敬久さん、苦しいです……」
「……君を離したくなくて……ごめん」
敬久さんはすまなそうに言って腕を緩めてくれた。
「……そんなこと言われたら……もうオレ、心臓が爆発しそうです……」
グリグリと頭を彼の胸に擦りつけた。敬久さんの胸の鼓動も早くなっている。
「た、敬久さん、もっとキスして良いですか……?」
「うん……」
オレは顔を上げると、また敬久さんと唇を合わせた。彼の唇を食むと甘い味がしたのでつい夢中になってしまった。
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