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エピローグ
恋人として君と過ごす幸せな日々について
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「あ……! 明日は出張だから、そんなにしたらダメ……ぅあ……」
「だって二日も君が側にいないんだよ?」
「じゃあ……準備するので……最後までしましょうよ」
「遥君は明日移動が多いんだから、体に負担がかかることは出来ないよ」
「んんっ……こんなの、生殺しじゃないですかぁ」
僕達が恋人になって七年が経った。遥君は何年経っても可愛いのに、最近ますます色気が増して心配になっている。
「あッ! 痕つけちゃダメですからね」
「だってここ、前のが消えて来たから」
昔は清潔な色気だったのに、最近は魔性というか妖艶というか、とにかくクラッと来るような色気がある。本人に自覚はないようなので、どうかそのままの遥君でいて欲しい。
「出張明けはジムに行くから、見える所はダメです!」
首筋まで赤くした遥君がグイっと僕の顔を押しのけた。何をしていたかといえば、二人の寝室で遥君のパジャマを脱がせ、ベッドに押し倒して体中を撫でつつ色々なことをしていた。
「もうっ! ちょっとだけってオレ言ったのに!」
「君が僕のベッドに入って来て『触って欲しい』なんていやらしく言うから……それは好きに触っちゃうよ」
「い、いやらしくは言ってないですし……ちょっとだけ触って欲しいって言ったんですっ」
遥君がムキになって言い返して来るのが見たくてついからかってしまう。彼が上体を起こしたので僕も彼の横に並ぶように座った。一緒に暮らし始めてもう五年になるのに、未だに遥君には初々しい所がある。
「ごめんごめん。僕も二日分触りたくなってしまって」
「オレだって……急な出張で二日も会えないから、あなたに触って欲しかったんです……」
目を伏せて遥君は気だるげに言った。彼は何も纏っていない。相変わらずキレイな体だなとまじまじと見ているとシーツで隠された。
「……そんなジッと見るのなら照明を落としてくださいよ」
寝室の照明はまだ赤々と灯っている。
「暗いと昔より見えにくいんだよね。歳のせいかな」
「……本当ですか」
「三分の一くらいは、本当だよ」
「……心配しちゃったじゃないですか。もう寝ますからね」
遥君は咎める様な目で僕を見つめ、寝室の照明を薄暗くしてしまった。
「僕のベッドで寝てくれるの?」
寝室にベッドは二つ並べている。家具を購入する際、お互い仕事で寝る時間が合わないこともあるだろうからと遥君に諭され、渋々二つにしたのだった。
ただ、実際に生活していると何かと理由をつけてはどちらかのベッドに入り込み二人で並んで寝ている。ベッドは一つでも良かったなと今でも思う。
「ふふ、オレが側で寝ていないと寂しいんでしょう?」
遥君は形の良い唇の端を上げ、いたずらっぽく笑った。目を細めて笑う彼からは艷やかな色気が溢れ出ている。
「うん……それはもう、すごく寂しいよ」
僕は色気に当てられそうになり、ため息を漏らした。
「今日はこのまま……胸で寝ますか?」
遥君が少し照れた声色で胸をシーツから覗かせた。彼の生身の胸で眠るのは恋人になった当初はよくしてもらっていた。
「え、良いの?」
一緒に暮らすようになってから「胸が敏感になったから直接肌に当たるのはダメ」と言われ、生身の胸に抱かれて眠ることは少なくなった。
ちなみに素肌に直接触れなければ良いので、胸に抱いて寝ること自体は今でもしてもらっている。そして彼の胸が敏感になったのは僕が色々したせいなので自業自得かもしれない。
「そのまま何かしても良いの?」
「ダメです。でも、キスしたり抱きしめたり、ちょっとだけ触るのは良いです」
「それは何かしているよ」
「も、もう! 良いじゃないですか!」
遥君は枕を持つと、グイグイと僕の胸に押し付けて来た。
「ふ……ははっ、遥君はいつまでも可愛いなあ」
「オレはもういい歳なのに……可愛いなんて言うのはあなたくらいですよ!」
遥君は枕ごと僕をベッドに押し倒すと、いそいそとパジャマの上を羽織って隣に寝転んだ。そして僕をそっと胸に抱いて満足そうに小さく笑った。彼の熱い肌は昔より肉付きが薄くなっていたけれど、優しい匂いがして心地良い。
「遥君にこうしてもらうとぐっすり眠れるんだよね」
「……お役に立てて光栄です」
そんな風なことを言いながら、ふいに胸から顔を上げるときょとんとした顔で僕を見た。
「どうかしました?」
「君はいつも可愛いけれど、今日も本当に可愛いくて魅力的だね」
「ど、どうしたんですか」
「二日分言っておかないとって思って」
「眠れなくなるからやめてくださいっ」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられたので、大人しく彼の胸に埋まった。くすぐったいのを我慢しているのか、時折色っぽい吐息が聞こえる。胸の粒が頬に当たるので口に含んだら怒られるかなと、少しだけ悶々としてしまった。
「ね、遥君、少し痩せたよね」
「うーん……痩せたというか……筋肉が少し落ちましたね。最近ちゃんとジムでトレーニングが出来なかったので」
「ああ、ずっと忙しそうだったから」
遥君は役職がつき、部下を持つようになった。今は部署内で編集長の補佐をしている。それはとても喜ばしかったけれど、彼はもう僕の担当編集ではなくなってしまった。会社の辞令とあっては仕方がないとはいえ、寂しかった。
遥君自身もとても残念そうに「いつかまた絶対にあなたと仕事をします」と言ってくれた。僕も担当を指名出来るくらいの作家になろうと密かに決意したのを覚えている。僕は彼がいなければ作家を続けていなかったわけだし、このくらいの公私混同は許されるだろう。
「今がやたら立て込んでいるだけなので、もう少ししたら落ち着きますよ……多分」
遥君は僕の髪を撫でふっと息をついた。明日の出張も別件が入った上司の代理らしく、とても忙しそうだ。ただ、営業部にいた頃に比べたら何でもないと言っていた。どれだけ営業が肌に合わなかったのだろうかと内心苦笑した。
「敬久さんも、今度一緒にジムに行きましょうね」
「うん……考えておくよ」
「もう……いつもそればっかり。定期的に運動すると健康になりますよ」
「一応、散歩とか……軽いストレッチはしているよ。キャンプでも重い物持ったりしているし……」
言い訳するように返した。遥君は僕の年齢が年齢だけに、昔よりも更に気遣ってくれている。
以前、彼が通うジムを紹介され、お試しでついて行ったことがある。彼が泳いでいる姿はとてもキレイだったけれど、僕自身は運動とは分かり合うことが出来なかった。
「ジムに行っても、僕は君みたいには出来ないし……」
「トレーナーが優しく教えてくれますよ」
「君に教えてもらいたいなあ」
「え? そ、そうだったんですか? 仕方ないですねえ……」
遥君は僕に甘えられるのにとても弱い。声色がとても嬉しそうだ。そういう所は昔から変わっていない。
「じゃあ、家で出来るトレーニングを出張中に考えておきますね!」
「うん、お手柔らかにお願いするよ……」
思っていた以上に張り切ってくれている。
「ふふふ、出張明けが楽しみです!」
「それは、良かったよ……」
遥君がとても嬉しそうに言った。彼が出張から帰って来るまでに湿布を買い足しておいた方が良いだろう。僕の筋肉が悲鳴を上げることは目に見えている。僕が唸っていると遥君が頭を撫でてくれた。
「……ねえ、敬久さん」
「どうしたの遥君?」
「出張から帰ったら……抱いてくださいね?」
「はぁ……そんなこと、この状態で言われたら僕の方こそ生殺しだなあ」
胸の粒に頬擦りすると遥君の手がビクンと止まった。口に含んで良いか聞くと「ダメです」ときっぱり言われたので渋々諦めた。
「ちょっとだけ触るのは良いんだよね?」
「ええ……まあ、ちょっとだけ」
僕は遥君の「ちょっとだけ」がどのくらいか探る様に尋ねた。
「うーん……キスするとストレスが減るって言うよね?」
「じゃあちょっとだけキスしましょうよ……ちょっと……十分……いや、二十分くらい……」
「ふふっ、ちょっとかなあ、それ」
「……オレの中では、ちょっとですよ」
顔を上げるとチュッと音を立てて軽いキスをされた。
「はぁ……やっぱり生殺しだよ」
流石に二十分はしてくれなかったけれど、啄む様に何度も唇を落としてくれた。
「ね、明日の朝食は僕が当番だよね。リクエストはある?」
「オレ、あなたが作るホットサンドが食べたいです」
「うん、任せてよ」
見つめ合って笑うと、幸福というものが遥君の形をして僕の前に存在しているようだった。遥君の全ては僕のもので、僕も遥君のものだ。
ギュッと彼の体を強く抱きしめると「寂しがり屋ですね」と笑われた。僕は彼の温もりをこの先もずっと味わえますようにと願った。
「おやすみ、遥君。いつまでもずっと君を愛してるよ」
「な、何ですか急に……オレも……その……あなたをずっとずっと……愛していますよ。おやすみなさい、敬久さん」
明日は駅前まで彼を送って行こう。幸い〆切には追われていないので、新幹線のホームまで見送りに行っても良いかもしれない。
君と暮らすようになってから、春は二人で桜を見に行くようになり、夏は必ず麦茶を作るようになった。秋になると本を何冊読んだか競い、冬は星を見に行くのが決まり事になった。
愛しい君と共に出来るだけ長く生きて行きたい。恋人として君と過ごす日々がこれからも続いていくと思うと、僕は心が踊るような気がして眠れなくなってしまいそうだ。
瞼にそっと唇を落とすと、君は目を瞑ったまま小さく笑ってくれた。
「だって二日も君が側にいないんだよ?」
「じゃあ……準備するので……最後までしましょうよ」
「遥君は明日移動が多いんだから、体に負担がかかることは出来ないよ」
「んんっ……こんなの、生殺しじゃないですかぁ」
僕達が恋人になって七年が経った。遥君は何年経っても可愛いのに、最近ますます色気が増して心配になっている。
「あッ! 痕つけちゃダメですからね」
「だってここ、前のが消えて来たから」
昔は清潔な色気だったのに、最近は魔性というか妖艶というか、とにかくクラッと来るような色気がある。本人に自覚はないようなので、どうかそのままの遥君でいて欲しい。
「出張明けはジムに行くから、見える所はダメです!」
首筋まで赤くした遥君がグイっと僕の顔を押しのけた。何をしていたかといえば、二人の寝室で遥君のパジャマを脱がせ、ベッドに押し倒して体中を撫でつつ色々なことをしていた。
「もうっ! ちょっとだけってオレ言ったのに!」
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「い、いやらしくは言ってないですし……ちょっとだけ触って欲しいって言ったんですっ」
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「ごめんごめん。僕も二日分触りたくなってしまって」
「オレだって……急な出張で二日も会えないから、あなたに触って欲しかったんです……」
目を伏せて遥君は気だるげに言った。彼は何も纏っていない。相変わらずキレイな体だなとまじまじと見ているとシーツで隠された。
「……そんなジッと見るのなら照明を落としてくださいよ」
寝室の照明はまだ赤々と灯っている。
「暗いと昔より見えにくいんだよね。歳のせいかな」
「……本当ですか」
「三分の一くらいは、本当だよ」
「……心配しちゃったじゃないですか。もう寝ますからね」
遥君は咎める様な目で僕を見つめ、寝室の照明を薄暗くしてしまった。
「僕のベッドで寝てくれるの?」
寝室にベッドは二つ並べている。家具を購入する際、お互い仕事で寝る時間が合わないこともあるだろうからと遥君に諭され、渋々二つにしたのだった。
ただ、実際に生活していると何かと理由をつけてはどちらかのベッドに入り込み二人で並んで寝ている。ベッドは一つでも良かったなと今でも思う。
「ふふ、オレが側で寝ていないと寂しいんでしょう?」
遥君は形の良い唇の端を上げ、いたずらっぽく笑った。目を細めて笑う彼からは艷やかな色気が溢れ出ている。
「うん……それはもう、すごく寂しいよ」
僕は色気に当てられそうになり、ため息を漏らした。
「今日はこのまま……胸で寝ますか?」
遥君が少し照れた声色で胸をシーツから覗かせた。彼の生身の胸で眠るのは恋人になった当初はよくしてもらっていた。
「え、良いの?」
一緒に暮らすようになってから「胸が敏感になったから直接肌に当たるのはダメ」と言われ、生身の胸に抱かれて眠ることは少なくなった。
ちなみに素肌に直接触れなければ良いので、胸に抱いて寝ること自体は今でもしてもらっている。そして彼の胸が敏感になったのは僕が色々したせいなので自業自得かもしれない。
「そのまま何かしても良いの?」
「ダメです。でも、キスしたり抱きしめたり、ちょっとだけ触るのは良いです」
「それは何かしているよ」
「も、もう! 良いじゃないですか!」
遥君は枕を持つと、グイグイと僕の胸に押し付けて来た。
「ふ……ははっ、遥君はいつまでも可愛いなあ」
「オレはもういい歳なのに……可愛いなんて言うのはあなたくらいですよ!」
遥君は枕ごと僕をベッドに押し倒すと、いそいそとパジャマの上を羽織って隣に寝転んだ。そして僕をそっと胸に抱いて満足そうに小さく笑った。彼の熱い肌は昔より肉付きが薄くなっていたけれど、優しい匂いがして心地良い。
「遥君にこうしてもらうとぐっすり眠れるんだよね」
「……お役に立てて光栄です」
そんな風なことを言いながら、ふいに胸から顔を上げるときょとんとした顔で僕を見た。
「どうかしました?」
「君はいつも可愛いけれど、今日も本当に可愛いくて魅力的だね」
「ど、どうしたんですか」
「二日分言っておかないとって思って」
「眠れなくなるからやめてくださいっ」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられたので、大人しく彼の胸に埋まった。くすぐったいのを我慢しているのか、時折色っぽい吐息が聞こえる。胸の粒が頬に当たるので口に含んだら怒られるかなと、少しだけ悶々としてしまった。
「ね、遥君、少し痩せたよね」
「うーん……痩せたというか……筋肉が少し落ちましたね。最近ちゃんとジムでトレーニングが出来なかったので」
「ああ、ずっと忙しそうだったから」
遥君は役職がつき、部下を持つようになった。今は部署内で編集長の補佐をしている。それはとても喜ばしかったけれど、彼はもう僕の担当編集ではなくなってしまった。会社の辞令とあっては仕方がないとはいえ、寂しかった。
遥君自身もとても残念そうに「いつかまた絶対にあなたと仕事をします」と言ってくれた。僕も担当を指名出来るくらいの作家になろうと密かに決意したのを覚えている。僕は彼がいなければ作家を続けていなかったわけだし、このくらいの公私混同は許されるだろう。
「今がやたら立て込んでいるだけなので、もう少ししたら落ち着きますよ……多分」
遥君は僕の髪を撫でふっと息をついた。明日の出張も別件が入った上司の代理らしく、とても忙しそうだ。ただ、営業部にいた頃に比べたら何でもないと言っていた。どれだけ営業が肌に合わなかったのだろうかと内心苦笑した。
「敬久さんも、今度一緒にジムに行きましょうね」
「うん……考えておくよ」
「もう……いつもそればっかり。定期的に運動すると健康になりますよ」
「一応、散歩とか……軽いストレッチはしているよ。キャンプでも重い物持ったりしているし……」
言い訳するように返した。遥君は僕の年齢が年齢だけに、昔よりも更に気遣ってくれている。
以前、彼が通うジムを紹介され、お試しでついて行ったことがある。彼が泳いでいる姿はとてもキレイだったけれど、僕自身は運動とは分かり合うことが出来なかった。
「ジムに行っても、僕は君みたいには出来ないし……」
「トレーナーが優しく教えてくれますよ」
「君に教えてもらいたいなあ」
「え? そ、そうだったんですか? 仕方ないですねえ……」
遥君は僕に甘えられるのにとても弱い。声色がとても嬉しそうだ。そういう所は昔から変わっていない。
「じゃあ、家で出来るトレーニングを出張中に考えておきますね!」
「うん、お手柔らかにお願いするよ……」
思っていた以上に張り切ってくれている。
「ふふふ、出張明けが楽しみです!」
「それは、良かったよ……」
遥君がとても嬉しそうに言った。彼が出張から帰って来るまでに湿布を買い足しておいた方が良いだろう。僕の筋肉が悲鳴を上げることは目に見えている。僕が唸っていると遥君が頭を撫でてくれた。
「……ねえ、敬久さん」
「どうしたの遥君?」
「出張から帰ったら……抱いてくださいね?」
「はぁ……そんなこと、この状態で言われたら僕の方こそ生殺しだなあ」
胸の粒に頬擦りすると遥君の手がビクンと止まった。口に含んで良いか聞くと「ダメです」ときっぱり言われたので渋々諦めた。
「ちょっとだけ触るのは良いんだよね?」
「ええ……まあ、ちょっとだけ」
僕は遥君の「ちょっとだけ」がどのくらいか探る様に尋ねた。
「うーん……キスするとストレスが減るって言うよね?」
「じゃあちょっとだけキスしましょうよ……ちょっと……十分……いや、二十分くらい……」
「ふふっ、ちょっとかなあ、それ」
「……オレの中では、ちょっとですよ」
顔を上げるとチュッと音を立てて軽いキスをされた。
「はぁ……やっぱり生殺しだよ」
流石に二十分はしてくれなかったけれど、啄む様に何度も唇を落としてくれた。
「ね、明日の朝食は僕が当番だよね。リクエストはある?」
「オレ、あなたが作るホットサンドが食べたいです」
「うん、任せてよ」
見つめ合って笑うと、幸福というものが遥君の形をして僕の前に存在しているようだった。遥君の全ては僕のもので、僕も遥君のものだ。
ギュッと彼の体を強く抱きしめると「寂しがり屋ですね」と笑われた。僕は彼の温もりをこの先もずっと味わえますようにと願った。
「おやすみ、遥君。いつまでもずっと君を愛してるよ」
「な、何ですか急に……オレも……その……あなたをずっとずっと……愛していますよ。おやすみなさい、敬久さん」
明日は駅前まで彼を送って行こう。幸い〆切には追われていないので、新幹線のホームまで見送りに行っても良いかもしれない。
君と暮らすようになってから、春は二人で桜を見に行くようになり、夏は必ず麦茶を作るようになった。秋になると本を何冊読んだか競い、冬は星を見に行くのが決まり事になった。
愛しい君と共に出来るだけ長く生きて行きたい。恋人として君と過ごす日々がこれからも続いていくと思うと、僕は心が踊るような気がして眠れなくなってしまいそうだ。
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