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「敬久さん、さっき畳んだ段ボールってこれだけでしたっけ」
「後は台所にもあるから持って来るよ」
「ありがとうございます」
季節は春になり、オレと敬久さんは二人して引っ越し後の後片付けに追われていた。
荷造りと荷解き、そして家具の組み立てを引っ越し業者に依頼することにより、時間をだいぶ短縮することが出来た。それでも大人二人分の引っ越しというのは大変な重労働だ。
敬久さんは「僕は時間の融通が利くから」と引っ越しに絡む細かい手続きを率先して進めてくれた。電気にガスにインターネットに火災保険――本当に引っ越しと言うものは大変だ。敬久さんは大学生の頃に引っ越しアルバイトをよくやっていたらしく、段ボールを畳んだり、引っ越しゴミを纏めたりと、手際がとても良い。
(く……オレもそういうアルバイトをやっておけば良かった。オレが会社に行っている間も彼が色々動いてくれたから、引っ越しがスムーズに出来た……敬久さんは忙しいのに……!)
オレは久しぶりの引っ越しだったせいか、荷解きされた段ボールの量にだいぶ心が折れそうになっていた。
そんな時、敬久さんが何でもないことのように「今日片付けられる所はやっておこうか」と言い、サッと軍手を着けて作業に入ったのが格好良くてオレの心は折れずに済んだ。
荷解きされた物を棚に詰めたり、引っ越しゴミを掃除したり、荷物を棚に詰めて、ゴミを掃除して――ひたすらに繰り返すと段ボールは段々と数を減らしていった。
(オレは本が多いし……敬久さんも資料とか沢山あるし……本当に大変な作業だ)
片付けの小休止中に敬久さんの学生時代の引っ越しアルバイトの話を聞かせてもらったが、エレベーターがない家への真夏の引っ越しや、玄関に家具が入らない家への引っ越しなど、聞くだけでぞっとするようなエピソードの数々だった。
(敬久さんはそんな修羅場を乗り越えて来たから、こんなに頼もしいんだ……)
オレは荷物から引っ剥がしたガムテープをゴミ袋に入れながら、段ボールを運ぶ敬久さんをポーッと見ていると、彼は「どうかしたの?」と近づいて来た。
「……何でもないです。頼りになるなぁって見惚れていました」
「ふっ……段ボール運んでいるだけなのに見惚れてくれるの?」
敬久さんはクスクスと可笑しそうに笑い、畳まれた段ボール達を荷造り紐で纏めた。
「遥君は作業具合はどんな感じ?」
「取り敢えず、寝室はどうにか寝られるぐらいには片付きました。自分の荷物はまあ……まだまだもう少しって感じです」
「僕の方は台所は大体片付いたけど、置き場所は使いながら確認して行きたいかなって」
「そうですね。後で配置を共有しましょう……」
荷物はまだ2/3程残っている。朝から引っ越しを開始して休憩を挟みつつ作業していたが、もうすぐ夕方が来る。
「久しぶりの引っ越しってすごく大変ですね……」
「うん、大変だよねえ」
オレが壁にもたれて息をつくと、敬久さんも隣に来て同じように壁にもたれた。
「明日も頑張ろう。遥君」
「任せてくださいよ……オレは……体力には自信があるんですから……!」
「ふふ、頼もしいなあ」
敬久さんは軍手を取って、オレの頭をポンポンと撫でた。
「けっこう良いペースだから、案外土日の間には片付け終わっちゃうんじゃないかな」
「敬久さんがそう言うのなら……何だか終わりそうな気がして来ました」
「うん、僕らならきっと出来るよ」
「はい!」
オレが勢いよく返事をすると敬久さんは穏やかに微笑み、また頭をポンポンと撫でてくれた。
「後は台所にもあるから持って来るよ」
「ありがとうございます」
季節は春になり、オレと敬久さんは二人して引っ越し後の後片付けに追われていた。
荷造りと荷解き、そして家具の組み立てを引っ越し業者に依頼することにより、時間をだいぶ短縮することが出来た。それでも大人二人分の引っ越しというのは大変な重労働だ。
敬久さんは「僕は時間の融通が利くから」と引っ越しに絡む細かい手続きを率先して進めてくれた。電気にガスにインターネットに火災保険――本当に引っ越しと言うものは大変だ。敬久さんは大学生の頃に引っ越しアルバイトをよくやっていたらしく、段ボールを畳んだり、引っ越しゴミを纏めたりと、手際がとても良い。
(く……オレもそういうアルバイトをやっておけば良かった。オレが会社に行っている間も彼が色々動いてくれたから、引っ越しがスムーズに出来た……敬久さんは忙しいのに……!)
オレは久しぶりの引っ越しだったせいか、荷解きされた段ボールの量にだいぶ心が折れそうになっていた。
そんな時、敬久さんが何でもないことのように「今日片付けられる所はやっておこうか」と言い、サッと軍手を着けて作業に入ったのが格好良くてオレの心は折れずに済んだ。
荷解きされた物を棚に詰めたり、引っ越しゴミを掃除したり、荷物を棚に詰めて、ゴミを掃除して――ひたすらに繰り返すと段ボールは段々と数を減らしていった。
(オレは本が多いし……敬久さんも資料とか沢山あるし……本当に大変な作業だ)
片付けの小休止中に敬久さんの学生時代の引っ越しアルバイトの話を聞かせてもらったが、エレベーターがない家への真夏の引っ越しや、玄関に家具が入らない家への引っ越しなど、聞くだけでぞっとするようなエピソードの数々だった。
(敬久さんはそんな修羅場を乗り越えて来たから、こんなに頼もしいんだ……)
オレは荷物から引っ剥がしたガムテープをゴミ袋に入れながら、段ボールを運ぶ敬久さんをポーッと見ていると、彼は「どうかしたの?」と近づいて来た。
「……何でもないです。頼りになるなぁって見惚れていました」
「ふっ……段ボール運んでいるだけなのに見惚れてくれるの?」
敬久さんはクスクスと可笑しそうに笑い、畳まれた段ボール達を荷造り紐で纏めた。
「遥君は作業具合はどんな感じ?」
「取り敢えず、寝室はどうにか寝られるぐらいには片付きました。自分の荷物はまあ……まだまだもう少しって感じです」
「僕の方は台所は大体片付いたけど、置き場所は使いながら確認して行きたいかなって」
「そうですね。後で配置を共有しましょう……」
荷物はまだ2/3程残っている。朝から引っ越しを開始して休憩を挟みつつ作業していたが、もうすぐ夕方が来る。
「久しぶりの引っ越しってすごく大変ですね……」
「うん、大変だよねえ」
オレが壁にもたれて息をつくと、敬久さんも隣に来て同じように壁にもたれた。
「明日も頑張ろう。遥君」
「任せてくださいよ……オレは……体力には自信があるんですから……!」
「ふふ、頼もしいなあ」
敬久さんは軍手を取って、オレの頭をポンポンと撫でた。
「けっこう良いペースだから、案外土日の間には片付け終わっちゃうんじゃないかな」
「敬久さんがそう言うのなら……何だか終わりそうな気がして来ました」
「うん、僕らならきっと出来るよ」
「はい!」
オレが勢いよく返事をすると敬久さんは穏やかに微笑み、また頭をポンポンと撫でてくれた。
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