僕が僕を許せる日まで

星夜るな

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弟の病室を訪れた。ドアを開けると弟が僕に気づいた。
事件の前は、人懐こい笑顔で「兄ちゃん!」と呼ぶ弟が…。やつれたような笑顔で迎えた。父譲りの茶髪が夕日に照らされ輝いていた。そんな姿が、一層痛々しく瞳に映る。
兄として、どう声をかけるべきか。わからない。迷い続け何かを言いかけたその時。
病室のドアがあいた。
シャートン。
「はじめましてかな。俺は、天川家あまがわけ次男の息子の天川りゅうだ。よろしくな。星川家ほしかわけ、長男のしんと次男のそらで間違いないな。俺が来た理由は、簡単に言うと、お前達を引き取りに来た。」
と言った。
僕は、いきなりでびっくりとしてしまい、にらんでしまった。
空は、ポカンと口を上げたまま。
それを見た流さんは、
「混乱するのは仕方ないが、にらむな。まあ、事情を話すと、お前たちの父は、天川家の長男。でも、自分で自分の道を決めると言い出ていったんだ。それで、次男だった俺の父にあとを継がせた。だが、今回お前達の父とその伴侶である母。両親がいなくなったから、約束。小さくころにしたらしくてな。それ以外にも理由はあるが、このへんでいいだろう。ということで、家に帰るぞ。焦らなくて。少しずつでいい。慣れるのは。」
そう言われたとき、流さんに心の中を見透かされた気持ちになった。
そういえば。
「あの、空の入院って…。」
僕が言い終わらないうちに、
「ああ、退院の許可は降りているからな。心配するな。」
そして僕達は、見たことのない外車に乗せられた。
病院から2時間くらい経つと、大きな家が見えてきた。
「兄ちゃん。これからこんな家に住むの?というかもう屋敷だよね。」
と、心配そうに。後半はワクワクしているように。
病院では見せなかった笑顔を僕の瞳に映した。
「うん。そうだね。大きいね?」
と。空とは違いほとんど片言か。というぐらい内心はびっくりしていた。
(だって…。と言わせてほしい。いや言う。だって流さんが来たというのもびっくりしたことだし。それが終わったら外車に。大きな家?に。脳がエンジントラブル起こしそう。なんで空は余裕なの?案外図太かったの?)
と頭の中で考えていると
「ほら、降りるぞ。」
という流さんの声が聞こえた。
中に入ると、そこは別世界?と言えるほどの空間が広がっていた。
豪華な食事が出され。広いお風呂に。一人部屋?というぐらい広い部屋。に案内された。
やっと驚きのループから解放され、ダラダラとこの状況を整理するために日記をつけた。
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