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イザナギ学院入学前編
第17話 藪蛇
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「は、吐く。これ以上走ったら、昼間の給食のピラフがもんじゃ焼きになって戻ってくる」
俺はバフや回避系のスキルをかけながら車に食らいつくこと凡そ5分。俺は諸々戻しそうになりながら、どこか見覚えのある珈琲店の前に来ていた。
ーー……ココって。
ガレージを見るとやはり先ほどの車が止まっていてる。何となく先ほどまでの追跡劇が無駄足になるような予感がしたが、冬香が連れ込まれたと思われる店の中に恐る恐る侵入した。
「ちょっと! いくらなんでもあんな連れていき方ないんじゃないですか!?」
「い、いや。師匠がな?」
「それでもです!」
どうやら、冬香は言い争いをしているようだ。俺は柱の陰から様子を伺っていた。
「落ち着け、冬香。俺が史郎に指示したんだ、あまりコイツを責めてやるな」
声のした方向を見てみると、銀髪でガラの悪そうだが、超絶美人がそこには居た。
ーーあ、コレ確定だわ。ココ、やっぱり望月茜の店だ。
望月茜。世界でも数少ないSランクエンフォーサーにして、冬香の師匠。邪神教団に古くから対抗しているレジスタンス『メラム』そのリーダーでもある。普段は珈琲店を経営していて、よく主人公たちはココを憩いの場として訪れている。
そして先ほど冬香に問い詰められてたのは土井史郎。冬香の兄弟子にして苦労人ポジション、ちなみにAランクエンフォーサー。
「どうしてあんな誘拐じみたやり方で連れてくるんですか!」
「だってお前、嫌がるじゃないか」
「当たり前です! 何が悲しくて今から明日の朝までお墓の警備、それもあの馬鹿のご先祖様のお墓なんか!」
はい、確定である。俺が死ぬ一週間程前、公式サイトで発表があった。
曰く、ラスティアのスピンオフシリーズを作ると。
以前からラスティアは冬香や茜達は何らかの組織に属していて、龍斗の護衛のために冬香が常に隣にいる。というあまり詳細の分からない情報しか匂わせて居なかった。
確かこうだ。
「私、小さい頃はアンタが嫌いだった。だらしがないし適当だし、こっちが何かしてやっても淡白な反応しかしないし。私は組織から命令されてたのとアンタのお母さんからアンタの事を頼まれてた。だから仕方なく一緒にいるだけで、私の人生を無自覚でも勝手に奪ってくアンタの事が大嫌いだった」
でも、と彼女ははにかみながら言う。
「でも今は違う。私は心の底からアンタを守りたい、その為だったらなんだってする。だから……大好きだよ、○○」
あ。ちなみに名前が○○なのはゲームでは名前を入力出来るからで、デフォルト名やコミカライズでは龍斗である。
ここのシーンのみでしかその組織の存在は語られていなかった。
だがそのスピンオフでは冬香の所属する組織での日常が描かれるらしい。
中学一年生の冬香は、レジスタンス組織『メラム』の仕事で師匠に強制連行されて龍斗のご先祖の墓所を警備している最中、墓に眠る秘宝を狙う邪神教団の幹部邪眼のエリクと相対する事になる。
まだ弱い頃の冬香はこの危機をどう切り抜けるのか? って感じのあらすじだったな。
公式では手傷を負っているもののエリクは邪神教団の幹部、さぁどうする冬香! って感じだったけどエリクさんもう死んでるんだよな……
「我々の使命はなんだ? 冬香」
「邪神の手先から世界を守ることです」
「よろしい。ならばあの墓所に眠る秘宝を、奴らの手に渡すわけにはいかないことは分かるよな?」
「はい……だからってなんで今なんですか!」
「最近墓所に侵入者が現れた形跡があってな、それに最近邪神教団の動きも怪しい。だから一度警備を強化することになった、それで今日は我々の登板という訳だ。お前らにはキッチリ働いてもらうぞ」
「分かりました師匠」
「……了解です」
二つ返事で了承した史郎に続いて、冬香は渋々と返事をした。
「それでは割り当てを発表する! 私は山の北側、史郎は西、冬香は南、そして柱に隠れているお前、お前は東だ」
ーー……は?
「なに言ってるんですか? 師匠、まさかお酒の飲みすぎで……」
「お前とは後でじっくりと話す必要がありそうだな? んん?」
バ、バレてないバレてない! だ、大丈夫だよ! だって目、合わせてねぇし!?
俺が柱の陰で現実逃避していると、茜がにゅっと横から顔を出してきた。
「ぬわッ!?」
「お前だお前、全く。潜伏系のスキルも使わずに俺を誤魔化せると思ってたのか?」
そうして俺は、茜に首根っこを掴まれ二人の前に引きずり出された。
「え、えっと……さっきぶり……」
「鈴木!? 何でここに!」
「い、いや。てっきりお前が誘拐されたもんだと……」
俺がそう言うと、冬香は史郎を睨み付けた。
「え、え? 俺!?」
「まぁ実際強引に連れてこいとは言ったがな。誘拐してるように見える絵面、史郎が冬香を誘拐……アッハハハッ! なぜ俺はその場に居なかったんだ! 一生ネタに出来たぞ! プッ! ハハハッ!」
どうやらツボに入ったようだ、茜は地面に笑い転げながら地面を叩いていた。
「笑い事じゃありませんよ……この子、一般人ですよね? 大丈夫なんですか?」
「そ、そうですよ! 鈴木は一般人です! 危険すぎます! なによりもコイツがこんなことに付き合う必要はありません!」
冬香がそう抗議すると、茜は立ち上がり涙を拭きながら言った。
「いや、実力も理由もあるぞ? 実力は私が保証しよう。なんて言ったって先日の邪神教団がソフィア王女を誘拐した事件、解決したのはコイツだからな。そしてその際、邪神教団の幹部である邪眼のエリクを倒したのもコイツだ」
茜がそう言うと、冬香達は信じられないようなモノを見る目で俺を見てきた。
「た、確かにエリクは倒した。だけど俺がその警備に参加させられる理由がない」
「ん? いや、大いにあるぞ? 先日墓所に侵入したの、お前とお前の友人だろ。監視カメラに映ってるの明らかに一般人だったし、ちょっと細工して本部には報告したが。いやー良かった良かった、丁度人手が足りなかったんだ。勿論来てくれるよなぁ?」
墓所って、『名もなき地下墳墓』の事だったんかい!
そうして、俺の墓所警備ツアーの参加が決定した。チクショウ!!
俺はバフや回避系のスキルをかけながら車に食らいつくこと凡そ5分。俺は諸々戻しそうになりながら、どこか見覚えのある珈琲店の前に来ていた。
ーー……ココって。
ガレージを見るとやはり先ほどの車が止まっていてる。何となく先ほどまでの追跡劇が無駄足になるような予感がしたが、冬香が連れ込まれたと思われる店の中に恐る恐る侵入した。
「ちょっと! いくらなんでもあんな連れていき方ないんじゃないですか!?」
「い、いや。師匠がな?」
「それでもです!」
どうやら、冬香は言い争いをしているようだ。俺は柱の陰から様子を伺っていた。
「落ち着け、冬香。俺が史郎に指示したんだ、あまりコイツを責めてやるな」
声のした方向を見てみると、銀髪でガラの悪そうだが、超絶美人がそこには居た。
ーーあ、コレ確定だわ。ココ、やっぱり望月茜の店だ。
望月茜。世界でも数少ないSランクエンフォーサーにして、冬香の師匠。邪神教団に古くから対抗しているレジスタンス『メラム』そのリーダーでもある。普段は珈琲店を経営していて、よく主人公たちはココを憩いの場として訪れている。
そして先ほど冬香に問い詰められてたのは土井史郎。冬香の兄弟子にして苦労人ポジション、ちなみにAランクエンフォーサー。
「どうしてあんな誘拐じみたやり方で連れてくるんですか!」
「だってお前、嫌がるじゃないか」
「当たり前です! 何が悲しくて今から明日の朝までお墓の警備、それもあの馬鹿のご先祖様のお墓なんか!」
はい、確定である。俺が死ぬ一週間程前、公式サイトで発表があった。
曰く、ラスティアのスピンオフシリーズを作ると。
以前からラスティアは冬香や茜達は何らかの組織に属していて、龍斗の護衛のために冬香が常に隣にいる。というあまり詳細の分からない情報しか匂わせて居なかった。
確かこうだ。
「私、小さい頃はアンタが嫌いだった。だらしがないし適当だし、こっちが何かしてやっても淡白な反応しかしないし。私は組織から命令されてたのとアンタのお母さんからアンタの事を頼まれてた。だから仕方なく一緒にいるだけで、私の人生を無自覚でも勝手に奪ってくアンタの事が大嫌いだった」
でも、と彼女ははにかみながら言う。
「でも今は違う。私は心の底からアンタを守りたい、その為だったらなんだってする。だから……大好きだよ、○○」
あ。ちなみに名前が○○なのはゲームでは名前を入力出来るからで、デフォルト名やコミカライズでは龍斗である。
ここのシーンのみでしかその組織の存在は語られていなかった。
だがそのスピンオフでは冬香の所属する組織での日常が描かれるらしい。
中学一年生の冬香は、レジスタンス組織『メラム』の仕事で師匠に強制連行されて龍斗のご先祖の墓所を警備している最中、墓に眠る秘宝を狙う邪神教団の幹部邪眼のエリクと相対する事になる。
まだ弱い頃の冬香はこの危機をどう切り抜けるのか? って感じのあらすじだったな。
公式では手傷を負っているもののエリクは邪神教団の幹部、さぁどうする冬香! って感じだったけどエリクさんもう死んでるんだよな……
「我々の使命はなんだ? 冬香」
「邪神の手先から世界を守ることです」
「よろしい。ならばあの墓所に眠る秘宝を、奴らの手に渡すわけにはいかないことは分かるよな?」
「はい……だからってなんで今なんですか!」
「最近墓所に侵入者が現れた形跡があってな、それに最近邪神教団の動きも怪しい。だから一度警備を強化することになった、それで今日は我々の登板という訳だ。お前らにはキッチリ働いてもらうぞ」
「分かりました師匠」
「……了解です」
二つ返事で了承した史郎に続いて、冬香は渋々と返事をした。
「それでは割り当てを発表する! 私は山の北側、史郎は西、冬香は南、そして柱に隠れているお前、お前は東だ」
ーー……は?
「なに言ってるんですか? 師匠、まさかお酒の飲みすぎで……」
「お前とは後でじっくりと話す必要がありそうだな? んん?」
バ、バレてないバレてない! だ、大丈夫だよ! だって目、合わせてねぇし!?
俺が柱の陰で現実逃避していると、茜がにゅっと横から顔を出してきた。
「ぬわッ!?」
「お前だお前、全く。潜伏系のスキルも使わずに俺を誤魔化せると思ってたのか?」
そうして俺は、茜に首根っこを掴まれ二人の前に引きずり出された。
「え、えっと……さっきぶり……」
「鈴木!? 何でここに!」
「い、いや。てっきりお前が誘拐されたもんだと……」
俺がそう言うと、冬香は史郎を睨み付けた。
「え、え? 俺!?」
「まぁ実際強引に連れてこいとは言ったがな。誘拐してるように見える絵面、史郎が冬香を誘拐……アッハハハッ! なぜ俺はその場に居なかったんだ! 一生ネタに出来たぞ! プッ! ハハハッ!」
どうやらツボに入ったようだ、茜は地面に笑い転げながら地面を叩いていた。
「笑い事じゃありませんよ……この子、一般人ですよね? 大丈夫なんですか?」
「そ、そうですよ! 鈴木は一般人です! 危険すぎます! なによりもコイツがこんなことに付き合う必要はありません!」
冬香がそう抗議すると、茜は立ち上がり涙を拭きながら言った。
「いや、実力も理由もあるぞ? 実力は私が保証しよう。なんて言ったって先日の邪神教団がソフィア王女を誘拐した事件、解決したのはコイツだからな。そしてその際、邪神教団の幹部である邪眼のエリクを倒したのもコイツだ」
茜がそう言うと、冬香達は信じられないようなモノを見る目で俺を見てきた。
「た、確かにエリクは倒した。だけど俺がその警備に参加させられる理由がない」
「ん? いや、大いにあるぞ? 先日墓所に侵入したの、お前とお前の友人だろ。監視カメラに映ってるの明らかに一般人だったし、ちょっと細工して本部には報告したが。いやー良かった良かった、丁度人手が足りなかったんだ。勿論来てくれるよなぁ?」
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