自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!

荒星

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イザナギ学院一年生編

第36話 学園祭二日目。 其の二。

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 特別競技場Cの控室にて、俺は対戦相手のA-1クラス所属のポニーテールで黒髪の真田凛子と向かい合っていた。

 ――なんか滅茶苦茶不機嫌そうなんだけど……この子、どっかで見たような。

「えーっと、対戦相手の真田だよな? よろしく」

「チッ」

 ――舌打ちされた!?

「えっと……俺君になんかした?」

「別に私には何もしてませんよ? ただお姉さまを誑かした上、複数の女子生徒を侍らせているクズの顔を見て吐き気を催しただけです」

 ――酷い言われようだな……。そういえばお姉さまって、この子エミリーヌの取り巻き其の一か! 

「誑かしたって……俺はそんな事してないって。それに残念ながら女子を侍らせてもない、アイツらは友達だよ」

 ――チッ。

 ――なんだよアウァリティア、お前まで舌打ちして。

 ――別段なんでもねえよ。

 ――なんなんだ、一体。

 ――悠馬。お前が我らに何かを隠していて、かつその何かに悩んだ末に導き出した答えなのだろうが……だが、あまりにも報われないと思ってな。

 ――何がだよ……。

 俺みたいな、出しゃばりのモブには裏方がお似合いだ。俺というイレギュラーが居なければ原作通りにイベントは進むし、ソフィア達だって俺が居なくてもあんなに楽しそうだったじゃないか。
 俺は、あいつらの前ではただの少し仲のいいモブを演じればいい。そうさ、元々俺は死人だ。俺は裏からアイツらが幸せになれるよう、手を回していくだけだ。
 例え誰も俺を見てくれなくても、な。誰もが報われる最高の選択肢じゃねえか、これのどこが悪いって言うんだ。

「その分かった気になっているような態度、それが気に入らないんですよ。まあ良いです、この戦いで貴方を倒してお姉さまの目を覚まして見せます」

『Cブロック第二回戦。第一試合出場者、鈴木悠馬選手と真田凛子選手はコロシアムへどうぞ!』



『学園祭二日目! 選抜戦Cブロック第二回戦、第一試合の選手たちの入場だ!!』

 俺達が入場すると、湧き上がる歓声とともに実況が選手紹介に移る。

『それでは選手を紹介します! まずはCブロックで一番注目されているであろうこの選手! 突如現れた期待の新星! 今選抜戦のダークホースにして台風の目! 鈴木悠馬選手!』

 ――この選手紹介って毎度あるのな。

『鈴木選手は一回戦にて序盤こそ苦戦したものの、その圧倒的なパワーとスピードを我々に見せつけてくれました! 第二回戦も期待です!』

 今回は手を振らず、目の前の対戦相手を俺は見る。

『続いてはこの方、真田凛子選手! 真田選手の実家は古武術の道場で、真田選手自身も古武術の使い手です! その槍術は目を見張るものがあります!』

 そして、真田も俺を睨みつけてきた。

『それでは両選手、準備はよろしいでしょうか! 3,2,1! 試合開始!』

「ハァァァ!」

 真田は試合開始の合図と同時に突っ込んできて、ものすごい速さで突きを繰り出してきた。

「ヒェッ!?」

 ――殺意高すぎだろ!?

「セァァ!」

「グッ!」
 
 俺はスキルを発動させようとするが、息をつく暇もなく繰り出される連撃にそれどころではなくなっていた。

 ――スキルを発動させる隙が無いッ!?

「このッ!」

 破れかぶれに剣を繰り出すもからめとられるようにして大きく弾かれ、天十握剣が手から離れてしまう。

「なッ!」

「隙あり、です!」

 真田はその隙を見逃さず、スキル攻撃を繰り出してきた。

「ガッ!?」

 俺は吹き飛ばされ、闘技場の壁に背中から激突する。

「これで終わりですッ!」

 そして、そんな俺に真田がスキルを発動させながら急接近してくる。

 その瞬間、俺は疾風迅雷・真を発動させた。

「チッ、例の速度が異常に上がるスキルですか!」

 俺はかがんで横なぎに振るわれた槍を回避した。

「ご名答!」

 ――正直対人戦は素人だよ、俺は。だけどッ!

「戦い様はあるッ!」

 俺は同時に神威を発動させながら、向かってきた真田にイグニススラッシュを使って弾き飛ばす。

「図に乗らないで下さい!」

 タラリアを発動させ、空中で追撃しようとした俺を真田は咄嗟に防御する。

「フッ!」

「キャッ!?」

 俺の剣を槍で受け、地面に向かって落ちていく真田に再びタラリアを使って追撃した。

「貴方なんかに負けてたまるもんですか! 絶対にッ!」

 真田は落下したまま、俺に向かってスキルを発動させ槍を突きだしてくる。

 俺はそれを見て、紫電一閃・真を発動させた。

「なッ!? 槍が!」

 真田は繰り出した槍がバラバラになるのを見て驚愕する。

「ハァァァ!」

 そして、俺はスキル天叢雲剣を真田に叩きつける。

「ガッ!?」

 そのまま真田は地面に叩きつけられ土煙が晴れると、気絶して倒れる真田の姿が見えた。

『決まったァァ! Cブロック二回戦、第一戦目! 勝者、鈴木悠馬選手ッ!!」



 数時間後。俺は龍斗の出るCブロック第四戦目を見ていた。

「ヒャヒャ! どうだい? 僕の毒はァ?」

 龍斗は試合開始前から顔色が悪かったが、遂に倒れ伏してしまう。

 ちなみに本来のラスティアでは、ここで秘めたる力。まあ覚醒の事なのだが、それの一端が露になるはずだったのだが……。

 ――本来ならトドメを刺される寸前に、一瞬だけ無意識に覚醒モドキが発動して相手を吹っ飛ばすんだが……。もう既に覚醒を習得してる癖して使わない。いや、使えないってことはもう体力が残ってないのか。これも俺が余計な事をしたせいで起こったバタフライエフェクトなのか?

「グッ……」

「安心してくれ、交流戦のメンバーには君の代わりに僕がなろう! それに、その方がふさわしいだろ? 知性の劣る脳筋の猿達が選ばれるよりも、この天才たる僕が選ばれる方がねェ」

 そう言うと、龍斗の対戦相手。有田智貴は龍斗の頭を踏みつけた。

「ホント、試合前に毒を仕込んでおいて正解だったよ! まさか試合開始時点でもう毒が全身に回っている上、試合中も散々毒を打ち込んだにもかかわらず戦えるなんてね。さて、終わりにしようか!」

 そう言って有田がニタリといやらしい笑みを浮かべながら、短剣を振り上げたその時。

「……な」

「な、なんだい?」

 有田は龍斗の異様な気配を感じて後ずさった。

 ――この気配は!? 

 ――どうしたアウァリティア!?

「ふざけるなッ! 無力な自分も、今も苦しむ美優ちゃんを助けられない事も、目の前のコイツも何もかも許せないッ! だから力を貸してくれッ! イーラッ!」

 龍斗はそう言って立ち上がると、何処からともなく現れた。真紅の、龍を象った鎧に包まれる。

「なんだそれはァ!?」

 ――あれはまさか龍装!?

 ――ああ。アイツが纏ってるのは憤怒の龍、イーラの力だ。

「僕はお前を絶対に許さないッ!」

「ぼ、僕に近寄るなァ! い、良いのか? 解毒剤は僕の手の中にあるんだぞッ!」

「そうだね、だから」

 龍斗はそう言うと、有田の目の前に瞬間移動する。

「お前を倒して解毒剤を手に入れる! そして!」

 龍斗はそのまま有田の顔面を鷲掴みにし、空中へ飛んだ。

「美優ちゃんを助けて、お前に勝つッ!」

「放せェェェ!」

 そして、龍斗は有田を天高く放り投げ奥義スキルを放った。

「バハムート・バスターッ!!!」

 その後。気絶し地面に激突した有田の懐から何かを取ると、龍斗はへたり込んだ。

『決まったァァァァ! Cブロック第四回戦! 勝利を手にしたのは、鳴神龍斗選手だッ!』

 ――やっぱり主人公だな、スゲーな。龍斗は。

 俺は微笑むと、特別競技場を後にした。
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