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第四十六話 二人だけの個室
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すると、レストランの女性が紅茶とお菓子とケーキを運んできた。
オディルギュール殿下のだらしない姿を見て、その女性は驚くのではないかと思ったのだけれど、いつものことなので、慣れているようだ。
そして、表情を変えることは一切なく、お菓子をテーブルに置き、紅茶をわたしたちのカップに注いだ後、戻って行った。
「まずは紅茶を飲んでからだな」
オディルギュール殿下はティーカップを取った後、再びふんぞり返った体勢になって、紅茶を飲む。
わたしも紅茶を飲んだ。
そして、甘いものが大好きなわたしは、お菓子とケーキを食べ始める。
以前も思ったのだけれど、ここはおいしいものを出してくれるので、気に入っている。
「おいしいそうに食べてくれてうれしいよ」
「誘って下さって。ありがとうございます」
オディルギュール殿下がわたしを誘った目的はよくわからないのだけれど、わたしとしては、これだけでも、もう満足だ。
「ああ、リタックスできるね、そして、その状態で、そなたの美しい姿を堪能できるのが、何と言っても素敵なこと。わたしは、こういう時間がをもとめていたんだ。ああ、ずっとこのままの状態でいたいな……」
オディルギュール殿下はそう言った後、また下品な笑みを浮かべる。
わたしのことを褒めてくれるのはうれしい。
でも、下品な笑みを浮かべながら言われると、うれしさが半減してしまうのよね……。
複雑な気分。
オディルギュール殿下は、しばらくの間、下品な笑みを浮かべる状態を続けていた。
まあ、わたしは別に急ぐ用事はないので、オディルギュール殿下の次の言葉を待つことにした。
それにしても、こうして眺めてみると、改めてオディルギュール殿下がイケメンであることを認識する。
ますますオディルギュール殿下が、だらしない恰好や下品な笑みを浮かべて、そのように見せないようにしているに意図が理解できなくなっていた。
やがて、オディルギュール殿下は、
「そろそろ自己紹介といこうか」
と言ってきた。
わたしがうなずくと、オディルギュール殿下は、
「まあ、今さら言うこともないとは思うが、改めて言うことにしよう。わたしはリックスヴィノール王国の王太子オディルギュールだ。今日はそなたのような美少女に出会えてうれしい。よろしくお願いするよ、お嬢さん」
と言った。
ここで初めて、自分はリックスヴィノール王国の王太子オディルギュール殿下であると、名乗りを上げたことになる。
しかし、わたしは既にこの人のことをオディルギュール殿下だと認識していたので、驚きはない。
ただ、これで。この人がオディルギュール殿下だということが確定したことになった。
それに対して。わたしは、
「オディルギュール殿下、それではわたしの方も自己紹介をしてよろしいでしょうか?」
と聞いたのだけれど、オディルギュール殿下は、依然としてふんぞり返った体勢のまま、
「いいよ」
と応えた。
このような態度を取って返事をされると、どうしてもいら立つ気持ちが湧き出してくるのだけれど、それを言ってもしょうがない。
わたしは。
「わたしはギュールヴィノール公爵家のルリーゼティーヌです。よろしくお願いします」
と言った後、オディルギュール殿下に対して頭を下げた。
オディルギュール殿下は、わたしの言葉を聞くと、
「そなたがわたしの婚約者候補になっているお嬢さんか?」
と言った。
さすがに驚いているようだ。
「わたしの父からは、幼い頃からそのような話をされております」
「なるほど。それはありがたい話だな。こんなに美しい女性がわたしの婚約者候補だとは」
普通だったら喜ぶところだろう。
しかし、オディルギュール殿下が下品に笑う為、喜ぶどころか、少しいら立ってしまう。
この下品な笑いで、すべてがぶち壊されていることに、なぜ気がつかないのだろう?
そう思わざるをえない。
オディルギュール殿下はひとしきり笑った後、
「それで、そなたはわたしのことが好きなのか? 愛しているのか?」
と聞いてきた。
これがまた、いきなりすぎる話だ。
オディルギュール殿下についての情報自体は、今まで入ってきていたのだけれど、実際に会うのはこれが初めてだ。
普通であれば、そういう質問自体をしないと思う。
ただ、わたしは先程のオディルギュール殿下との初対面時に、「運命の人」だと認識している。
その意味では、「好きで愛している」という認識になるのだろう。
とはいうものの、オディルギュール殿下とはまだ知り合ったばかりなので、「運命の人」という認識と「好きで愛している」という認識が、心の中ではまだまとまらず、分離してしまっている。
それまでのわたしは、「運命の人」という認識と「好きで愛している」という認識は一致するものだと思っていた。
それが、いざ実際にそういう場に立ってみると、うまくいかない。
オディルギュール殿下が、わたしに対していら立つ態度を取っているのが、その大きな要因だと思う。
オディルギュール殿下が、恐らくは本来の姿である、高潔な貴公子という姿で現れてくれれば、このようなことにはならなかったのに、と思ってしまう。
これから時間を付き合っていけば、まとまっていく可能性が高いのだろうけど……。
オディルギュール殿下のだらしない姿を見て、その女性は驚くのではないかと思ったのだけれど、いつものことなので、慣れているようだ。
そして、表情を変えることは一切なく、お菓子をテーブルに置き、紅茶をわたしたちのカップに注いだ後、戻って行った。
「まずは紅茶を飲んでからだな」
オディルギュール殿下はティーカップを取った後、再びふんぞり返った体勢になって、紅茶を飲む。
わたしも紅茶を飲んだ。
そして、甘いものが大好きなわたしは、お菓子とケーキを食べ始める。
以前も思ったのだけれど、ここはおいしいものを出してくれるので、気に入っている。
「おいしいそうに食べてくれてうれしいよ」
「誘って下さって。ありがとうございます」
オディルギュール殿下がわたしを誘った目的はよくわからないのだけれど、わたしとしては、これだけでも、もう満足だ。
「ああ、リタックスできるね、そして、その状態で、そなたの美しい姿を堪能できるのが、何と言っても素敵なこと。わたしは、こういう時間がをもとめていたんだ。ああ、ずっとこのままの状態でいたいな……」
オディルギュール殿下はそう言った後、また下品な笑みを浮かべる。
わたしのことを褒めてくれるのはうれしい。
でも、下品な笑みを浮かべながら言われると、うれしさが半減してしまうのよね……。
複雑な気分。
オディルギュール殿下は、しばらくの間、下品な笑みを浮かべる状態を続けていた。
まあ、わたしは別に急ぐ用事はないので、オディルギュール殿下の次の言葉を待つことにした。
それにしても、こうして眺めてみると、改めてオディルギュール殿下がイケメンであることを認識する。
ますますオディルギュール殿下が、だらしない恰好や下品な笑みを浮かべて、そのように見せないようにしているに意図が理解できなくなっていた。
やがて、オディルギュール殿下は、
「そろそろ自己紹介といこうか」
と言ってきた。
わたしがうなずくと、オディルギュール殿下は、
「まあ、今さら言うこともないとは思うが、改めて言うことにしよう。わたしはリックスヴィノール王国の王太子オディルギュールだ。今日はそなたのような美少女に出会えてうれしい。よろしくお願いするよ、お嬢さん」
と言った。
ここで初めて、自分はリックスヴィノール王国の王太子オディルギュール殿下であると、名乗りを上げたことになる。
しかし、わたしは既にこの人のことをオディルギュール殿下だと認識していたので、驚きはない。
ただ、これで。この人がオディルギュール殿下だということが確定したことになった。
それに対して。わたしは、
「オディルギュール殿下、それではわたしの方も自己紹介をしてよろしいでしょうか?」
と聞いたのだけれど、オディルギュール殿下は、依然としてふんぞり返った体勢のまま、
「いいよ」
と応えた。
このような態度を取って返事をされると、どうしてもいら立つ気持ちが湧き出してくるのだけれど、それを言ってもしょうがない。
わたしは。
「わたしはギュールヴィノール公爵家のルリーゼティーヌです。よろしくお願いします」
と言った後、オディルギュール殿下に対して頭を下げた。
オディルギュール殿下は、わたしの言葉を聞くと、
「そなたがわたしの婚約者候補になっているお嬢さんか?」
と言った。
さすがに驚いているようだ。
「わたしの父からは、幼い頃からそのような話をされております」
「なるほど。それはありがたい話だな。こんなに美しい女性がわたしの婚約者候補だとは」
普通だったら喜ぶところだろう。
しかし、オディルギュール殿下が下品に笑う為、喜ぶどころか、少しいら立ってしまう。
この下品な笑いで、すべてがぶち壊されていることに、なぜ気がつかないのだろう?
そう思わざるをえない。
オディルギュール殿下はひとしきり笑った後、
「それで、そなたはわたしのことが好きなのか? 愛しているのか?」
と聞いてきた。
これがまた、いきなりすぎる話だ。
オディルギュール殿下についての情報自体は、今まで入ってきていたのだけれど、実際に会うのはこれが初めてだ。
普通であれば、そういう質問自体をしないと思う。
ただ、わたしは先程のオディルギュール殿下との初対面時に、「運命の人」だと認識している。
その意味では、「好きで愛している」という認識になるのだろう。
とはいうものの、オディルギュール殿下とはまだ知り合ったばかりなので、「運命の人」という認識と「好きで愛している」という認識が、心の中ではまだまとまらず、分離してしまっている。
それまでのわたしは、「運命の人」という認識と「好きで愛している」という認識は一致するものだと思っていた。
それが、いざ実際にそういう場に立ってみると、うまくいかない。
オディルギュール殿下が、わたしに対していら立つ態度を取っているのが、その大きな要因だと思う。
オディルギュール殿下が、恐らくは本来の姿である、高潔な貴公子という姿で現れてくれれば、このようなことにはならなかったのに、と思ってしまう。
これから時間を付き合っていけば、まとまっていく可能性が高いのだろうけど……。
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