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魔法学校編
スペルシア家
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水の国は北西に位置する国で自然が豊かだ。
北に行くほど寒暖差は激しいが、そのおかげで野菜が甘くて他国でも人気だ。
また医療技術にも力を入れており、魔法の治癒で治せないほどの病へ対しての研究は積極的である。
スペルシア家について
スペルシア家は優秀な魔法使いが多かった。
魔法使いの魔力量は家柄で決まる。
位が高い家柄なら、それに見合った魔力の子が生まれるのは必然だった。
水の国ではスペルシア家とローズガーデン家の二大貴族が特にその地位にあった。
そして15年前にスペルシア家に生まれたアイン・スペルシアは水の王からも特別視され、とある予言にある"王を超える者"でないかと噂されるほどだった。
王は即位してから二千年間、誰一人として一度もその玉座を退いてはいない。
半竜の故、寿命が人間と違うのもあるが、なによりもその圧倒的な魔力量は人の及ぶところではなかった。
______________________
水の国 中央大都市ベネーロ
大貴族スペルシア家
屋敷の一室、薄暗い部屋のベッドには横たわる一人の少女が寝ていた。
ベッドの横には椅子があり、眼鏡をかけた少年が座る。
髪は青が薄ら入り、顔立ちは綺麗だった。
「サーシャ……」
眼鏡の少年は、優しく少女の名前を呼ぶ。
サーシャと呼ばれた少女は少年の呼びかけに応えるように目を開ける。
「兄様……」
「すまない、起こしてしまったな」
少年はそっとサーシャの髪を撫でる。
その銀色の長髪は窓から差し込む月明かりで輝いていた。
「いいえ、いいのです。それよりもあの薬を……」
「……わかった」
少年はサーシャを起こし、コップに入った黒い水を少し飲ませた。
「これで少しは落ち着くだろう。眠るといい」
「はい……」
サーシャはまた深い眠りについた。
少年はサーシャの部屋を出た。
部屋の前には執事が暗い表情で立っていた。
「アイン様……サーシャ様は?」
「あれを飲んで寝たよ」
アインは眼鏡を上げ、執事の質問に答える。
その表情は悲しげだった。
「恐らく、そろそろ限界だろう」
「そんな……」
「もし万が一、また暴れ出したら今度は殺めなければならない……」
その言葉に執事は涙する。
12年も一緒にいて可愛がった主人の子の死が目前であることに耐えられなかったのだ。
「それよりも、あの薬を出した医者は見つかったか?」
「国境の記録を調べておりましたが、恐らくは土の国へ行ったのではないかと……」
「妹を手にかける前に、その医者を見つけ出さなければ」
もしかしたら間に合わないかもしれない……
そんな不安に襲われる毎日でアインは気が気ではなかった。
「俺は明日からセントラルに行かなければならない。長期の休みの際は戻るが、その前に何かあればすぐに知らせてくれ」
「はい……」
アインはそのまま自室に戻り、医療書に目を通す。
あの黒い薬はなんなのか?
謎の医者は新薬と言って飲ませた。
確かに最初サーシャは走り回れるくらい元気になったが、数ヶ月で寝たきりになり、ある日は凄まじい力で暴れ出した。
薬を飲ませると落ち着くが、薬のストックにも限りがある。
その前にこの薬を処方した医者を探し出さなければ。
薬はサーシャが一時良くなったことで、スペルシア家の当主のヴェイン・スペルシアが大量に購入して、一年半分はある。
今は少しづつ飲ませているが、それでも三年せずに薬は無くなるだろう。
逆に薬が無くなる前に妹が死んでしまう可能性もある。
その前に土の国へ行かなければ。
アインは明日セントラルの魔法学校へ行く。
早く学位を取るには対抗戦で優勝するしかない。
「一番厄介なのはバディ探しか……」
アインは眼鏡を外し、ベッドへ横たわる。
朝まで寝付けなかったアインはそのままセントラルへの旅路へ赴くのだった。
北に行くほど寒暖差は激しいが、そのおかげで野菜が甘くて他国でも人気だ。
また医療技術にも力を入れており、魔法の治癒で治せないほどの病へ対しての研究は積極的である。
スペルシア家について
スペルシア家は優秀な魔法使いが多かった。
魔法使いの魔力量は家柄で決まる。
位が高い家柄なら、それに見合った魔力の子が生まれるのは必然だった。
水の国ではスペルシア家とローズガーデン家の二大貴族が特にその地位にあった。
そして15年前にスペルシア家に生まれたアイン・スペルシアは水の王からも特別視され、とある予言にある"王を超える者"でないかと噂されるほどだった。
王は即位してから二千年間、誰一人として一度もその玉座を退いてはいない。
半竜の故、寿命が人間と違うのもあるが、なによりもその圧倒的な魔力量は人の及ぶところではなかった。
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水の国 中央大都市ベネーロ
大貴族スペルシア家
屋敷の一室、薄暗い部屋のベッドには横たわる一人の少女が寝ていた。
ベッドの横には椅子があり、眼鏡をかけた少年が座る。
髪は青が薄ら入り、顔立ちは綺麗だった。
「サーシャ……」
眼鏡の少年は、優しく少女の名前を呼ぶ。
サーシャと呼ばれた少女は少年の呼びかけに応えるように目を開ける。
「兄様……」
「すまない、起こしてしまったな」
少年はそっとサーシャの髪を撫でる。
その銀色の長髪は窓から差し込む月明かりで輝いていた。
「いいえ、いいのです。それよりもあの薬を……」
「……わかった」
少年はサーシャを起こし、コップに入った黒い水を少し飲ませた。
「これで少しは落ち着くだろう。眠るといい」
「はい……」
サーシャはまた深い眠りについた。
少年はサーシャの部屋を出た。
部屋の前には執事が暗い表情で立っていた。
「アイン様……サーシャ様は?」
「あれを飲んで寝たよ」
アインは眼鏡を上げ、執事の質問に答える。
その表情は悲しげだった。
「恐らく、そろそろ限界だろう」
「そんな……」
「もし万が一、また暴れ出したら今度は殺めなければならない……」
その言葉に執事は涙する。
12年も一緒にいて可愛がった主人の子の死が目前であることに耐えられなかったのだ。
「それよりも、あの薬を出した医者は見つかったか?」
「国境の記録を調べておりましたが、恐らくは土の国へ行ったのではないかと……」
「妹を手にかける前に、その医者を見つけ出さなければ」
もしかしたら間に合わないかもしれない……
そんな不安に襲われる毎日でアインは気が気ではなかった。
「俺は明日からセントラルに行かなければならない。長期の休みの際は戻るが、その前に何かあればすぐに知らせてくれ」
「はい……」
アインはそのまま自室に戻り、医療書に目を通す。
あの黒い薬はなんなのか?
謎の医者は新薬と言って飲ませた。
確かに最初サーシャは走り回れるくらい元気になったが、数ヶ月で寝たきりになり、ある日は凄まじい力で暴れ出した。
薬を飲ませると落ち着くが、薬のストックにも限りがある。
その前にこの薬を処方した医者を探し出さなければ。
薬はサーシャが一時良くなったことで、スペルシア家の当主のヴェイン・スペルシアが大量に購入して、一年半分はある。
今は少しづつ飲ませているが、それでも三年せずに薬は無くなるだろう。
逆に薬が無くなる前に妹が死んでしまう可能性もある。
その前に土の国へ行かなければ。
アインは明日セントラルの魔法学校へ行く。
早く学位を取るには対抗戦で優勝するしかない。
「一番厄介なのはバディ探しか……」
アインは眼鏡を外し、ベッドへ横たわる。
朝まで寝付けなかったアインはそのままセントラルへの旅路へ赴くのだった。
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